今回は過去編プロローグ的なもの、短めです。
ISの登場より1年前、今から11年前。彼らは既に世界に転生し静かな目覚めを得ていた。
「おい、ユイト…」
「んあ…」
中東某所、熟睡していたユイトはリョウの声によって目覚めさせられた。
暑い日差しを避けるために地下水の湧き出る洞窟を拠点にしていた彼らは割と快適な生活を送っていた。
「終わった、終わった…」
「ふぅ…何とか出来たっすねぇ」
旧ザク2機、ザクⅡ2機、ザクキャノン1機が膝を突いて待機しておりその周りではケイとカゲトが整備をしていた。
火薬以外は全てそこら辺に落ちてる残骸を元にカゲトが作成したMS、開発チート能力を持っているお陰で随分と楽が出来る。
「あのクソ女神、いつにはなったらMSを寄越してくれるんだよ」
リョウがため息をつきながら手にしていたライフルを肩に乗せる。全員がボロボロの格好をしておりその服からは血の匂いが漂ってくる。
「いきなりあんな事言われてもね」
ヤレヤレと言わんばかりのケイの言葉に全員が頷く。
ーー
「面倒くさいから単刀直入に言うわね。貴方たちに世界を救って貰いたいの…」
「は?」
皆が皆、悔いが残る最期を遂げ目を覚ますとそこには純白の長髪を靡かせた美人が羽を生やし立っていた。
まあ、突然のことだったので呼び出された5人は内容を理解できずにキョトンとしていた。
「私の予知が正しければ人類はあと20年で滅亡への道へ進んでしまう。それを阻止し人類をあるべき姿に戻すのよ」
置いてきぼりのユイトたちを完全に無視し女神と思われる人物は話を進めていく。
「ちょっと待ってくれよ。いきなりすぎて分からねぇ」
それを止めたのはリョウ、彼の訳が分からず混乱しているようだ。
「まぁ、説明をするわよ。貴方たちはインフィニット・ストラトスの世界を知ってるかしら」
「ライトノベルのっすよね。アニメ化もされてる」
カゲトの言葉に対し他の4人も頷く。それを見た満足そうに女神は話を進める。
「その世界の特徴って分かる?」
「ISがあるのが特徴的だが更に注目すべきは女尊男卑と言う特殊な状態にあることだ。男尊女卑であった今までの世界とは正反対」
ユイトの言葉にそう言えばそうだったと納得するケイとリョウ、主人公である織斑一夏が女尊男卑の影響を全然受けていなくて忘れかけていたのだ。
「その通り、完璧ね」
「女尊男卑と世界崩壊が何の関係が?」
「少し考えれば分かる事よ。私はこの世界の管理者、この世界を救うために死した貴方たちを借りてきたわけ」
「いきなり世界を救えと言われても困るんだが…」
「じゃあ、頑張ってね。貴方たちには深層意識を読み取って能力を着けておいたわ。有効に使いなさい。細かいことは後で指示するわ」
ハルトがいい加減な彼女を見てため息をつくが女神は気にせず天井から降りてきた紐を引っ張る。
「は?」
すると5人の足元がガバッと開き重力に従って全員が落ちていくのだった。
「「「ふざけるなぁぁぁぁぁ!」」」
「バイバイ~」
ーー
実際に転生させられたのは自身たちが産まれた年、つまり革命軍の本格的活動から18年前となる。
紛争地帯のど真ん中に放り投げられた5人は持ちうる全ての能力を使ってここまで生き残ってきたのだ。
「女神の言っていた事が分かったぞ…」
そこら辺から盗んできたコンピューターを使い計算していたハルトは画面を見ながら声を出した彼の元に全員が集まり画面を見つめる。
「これは…」
「おいおい、マジかよ…」
「まぁ、おそらく人類は絶滅する。それも人間の手によってな」
単純だがありえる話、IS出現によるミリタリーバランスと性別による思想概念の崩壊が起きたらこうなると結果が出たのだ。
「俺の考えも大方同意だ…」
ハルトの脳は世界随一の力を持っている、それこそ篠ノ之束に匹敵する、それ以上のものだ。なら彼の導き出した答えは正しいのだろう。
「この世界を救えとはそう言う意味だったのか…」
この時から革命軍の主目的であり行動理念である計画《創世計画》が始まりを告げたのだ。