IS ー血塗れた救世主達ー   作:砂岩改
<< 前の話 次の話 >>

64 / 78
第四十八革 第2次IS学園攻防戦 ―開戦―



「間もなく日本の海域に入ります」

「よし、そのまま待機だ。ガルダの動きと合わせるぞ」

 革命軍の空母2隻も作戦可能領域に侵入、ガルダの動向に合わせて待機していた。その姿を海自の巡回艇が発見、すぐさま自衛隊、日本政府上層部とIS学園に伝えられた。

ーー

「千冬…」

「あぁ、ついに来たか」

 橘と千冬はその知らせを聞き目を鋭くさせIS学園に常駐していた軍人たちは自衛隊を主導にして配置に着きはじめる。

「MS隊は沿岸部の防衛に努めろ。可変機は屋上で待機し遊撃部隊として動け!」

「准尉、期待しているぞ」

「えぇ、頑張らせてもらいます」

 クロイはラウラに肩を叩かれ笑いかけられる。彼は少し気恥ずかしさを感じ頬を掻きながらはにかむ。

「この前は世話になったからな借りは返す」

「また助けましょうか?寝顔も可愛かったですよ」

「バカ者、新兵のくせに」

「痛い!」

 クロイの冗談に対しジャンプして頭を殴る彼女の表情には怒りはなく気恥ずかしげな笑みを浮かべるのだった。

ーー

 午前10時、IS学園に隣接する町には避難警報が鳴り響き住人たちは必要最低限度の荷物を纏め非難していく。

「住民の皆様は落ち着いて非難してください」

 それとは正反対の方向に進むのはマスコミ関係者たちだ、マスコミたちはIS学園を目視から確認できる位置へと急いで行く。海岸線は警察によってマークされているためビルなどの高台へと向かい視界を確保していた。

「時間には余裕があります。落ち着いて順番に非難してください」

「時間って…いつ来るか分からないんだろ?」

「仕方ないだろ。そうでも言わなきゃパニックになるだろ」

 ISなどの機動部隊は全てIS学園に配備され本土の海岸線は警官隊が居るだけで無防備状態、避難誘導している警官たちも不安を隠せないでいた。

ーー

 IS学園に向けて飛行しているガルダのブリッジではユイトが機長の横の椅子で座っていた。

「総帥、どうでしょう。ここは1つ、我々にお言葉をくださいませんか?」

「ん?」

 機長の言葉にユイトは目を動かし周囲の兵たちの目を見る。兵たちは皆、機長の言葉に期待し自身の言葉を待っていた。

「そうだな…」

 ユイトは渡された無線機を革命軍が使用している全ての回線に繋げ言葉を発した。

「諸君、革命軍総帥、花柳ユイトである。本作戦は言うなれば我々の存在が出来た原点、諸悪の権化である篠ノ之束の息の根を止めるのが目的でありISの象徴であるIS学園を潰しISの権力を地に落とすのが目的である」

 ユイトの言葉が先に到着していた空母の兵たち、ガルダの乗組員たちにも届き全員が耳を澄ませその言葉を聞いていた。

「我々の敵はなんだ?それはこの腐った世界そのものだ。ISによって作り上げられた女尊男卑の世界で女を憎む者、男を下卑するもの多く居るだろう。だがそれは全て間違いだと私は断言する。」

 ユイトの言葉を聞いているのは屈強な男たちと強化された子供たちだけではない、この世界の変革を望んだ女性たちも多く居る。

「この世が乱世の頃、女は頼りないと言った。現代では男がバカだからと言った。全て否だ、国の人々を理解しようとしている反面、我々は身近な人々である異性を真の意味で理解してこなかった。誰も気付かれることなくその思考に浸かっていた我々はISをきっかけに文字通り分裂した」

 ユイトの声には文字通り力があった。人々の心を突き動かすような力が。

「極端な事を言えばISには罪はないのだろう。道具は使うものによって大きく変わるものだ。だが篠ノ之束は変わり果てた世界に無関心を貫き世界を混乱させた。自分の行いに責任も取れないバカがこの世界を変えてしまったばかりに多くの者が友人を、恋人を、家族を、国を失ったのだ」

 彼の言葉を聞き、一部の者は己の境遇を思い出し涙を浮かべる者もいる。

「この作戦は我々の作る新たな世界へのけじめだ。篠ノ之束を殺し新たな世界への幕引きを行う。それにより我々の計画の第四段階へと移る。各員、それぞれ思うところがあるだろうが。私に着いてきてくれ……これより作戦を開始する!!」

「「「うぉぉぉぉ!!」」」

 歓喜極まり叫ぶ者を皮切りに全ての兵たちが雄叫びを上げる。

午前10時14分、空母よりMS隊が順次発進。後の世にて歴史の教科書に記される第二次IS学園攻防戦の幕開けである。

ーー

「第1攻撃隊発進の発進の5分後に第2次攻撃隊を発進する。各員、迅速に行動せよ」

 空母のカタパルトから放出されたグレイズは最新式の新型。巨大はハルバードとシールドを持ったグレイズと水色の地上用グレイズは海上を滑るようにIS学園へと向かう。

ーー

「来ました!敵MSの発進を確認、本学園の到着予測時間は10分!!」

「各自MS、及びISに搭乗!」

 IS学園内に警報が鳴り響き場が緊張に包まれる。

「来るのか…」

「箒、大丈夫?」

「あ、あぁ…」

 一夏たちもISを展開し迎え撃つ準備をしている。そんな中、フィーリアはISを展開したままイヤホンを耳に突っ込んでいた。

「おい、フィーリア」

「ん、分かってるよ、来たんでしょ?」

 一夏の呼びかけに笑顔で答えるフィーリア、そんな彼女達の後ろからユイカと簪の2人がやって来た。

「ユイカ…」

「シャルロットか、今回も頼む」

「簪ちゃーん、マルチロックオンは順調?」

「なんとか…でもまだちょっと不安…」

 簪の言葉にフィーリアは満足そうに頷く。
 簪に提供したのはマルチロックオンF型、超高性能マルチロックオンシステムで意気投合したフィーリアが彼女にプレゼントしたものだ。

「つくづくコイツは押し売りの才能があると思わされたよ」

 彼女の舌は思った以上にまわる。ユイカは親友である彼女が舌で丸め込められたのを初めて見た。

「まぁ、仲良くしてあげてね」

 フィーリアの言葉にみんなは頷き、彼女を暖かく迎えるのだった。一夏には厳しかったがそれはもうどうしようもないことだと諦めたユイカであった。

ーー

「敵機の機影を確認」

「各自構え、ビーム兵器は海上では減衰する。引きつけろ」

 IS学園の海岸線では防衛線を構築したMS隊がライフルを構え攻撃の命令を待ち続ける。

「敵の防衛部隊を確認した。参謀長の予測通りMSが主体のようだ」

「各機、最大戦速。敵の防衛隊を突破し上陸部隊の露払いをするぞ」

「「「了解」」」

 ハルバードを持ったグレイズが前面に展開、巨大なシールドを構えながら突っ込む。

「敵機を目視で確認、千メートルを超えました」

「まだだ、もっと引きつけろ!」

 ヘイズルが、Gキャノンが、ジェガンがビームライフルを構えロックオンする。

「撃てぇ!」

 指揮官の言葉と共に防衛隊から放たれるビーム、第2次IS学園攻防戦の開幕である。