IS ー血塗れた救世主達ー   作:砂岩改(やや復活)

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これからのIS学園攻防戦はblacksideとschoolside混ぜ混ぜで行きます。





第十二革 波乱の学年別対抗戦 ー激突ー

 

 

「あれは…千冬の暮桜か…」

 

アリーナの観覧席から無人機を見たイルフリーデは窓に張り付きながら呟くと、ゴルドウィンも顎に手を添えて頷く。

 

「各国の政府関係者だけでも逃がさなければなるまい」

 

「それは無理でしょうね、扉が外部からの指示でロックされています」

 

「ん…君は?」

 

「それはここの事態を解決してからにしましょう」

 

見たことのない人物にゴルドウィンは首をかしげるが、彼の言ったとおり現在の状況を打破することが一番だ。

解除が無理だと悟ったのか、彼ことリヴァイブは元の席に戻り戦闘を観戦し出す。かなり肝の据わっている人物のようだ。

 

「さて、どう動いてくれるか…」

 

リヴァイブは楽しそうに試合を見つめるのだった。

 

ーーーー

 

「うおぉぉぉぉ!!」

 

アリーナでは一夏の操る白式が雪片弐型に攻撃するが、無人機の巧みな剣裁きで受け流され、反撃されてしまう。

 

「一夏!一回退がって!」

 

「コイツだけは!」

 

シャルルの制止も聞かずに一夏は無人機と何度も刃を交わしては吹き飛ばされるの繰り返しだった。

 

「デュノアさん!危険です!!」

 

「ッ!」

 

シャルルに向けて放たれたガトリング弾の雨を、ユイカが長槍を回転させることで弾き飛ばして防ぐ。

 

「貰ったぞ!」

 

その隙に箒はバスターの背後に周り刀を振るうが、バスターはガトリングガンの砲身で受けて蹴り飛ばす。

 

「ぐわぁ!」

 

「箒!…一夏!連携しないと!」

 

「無駄だ…あのバカは放っておけ…」

 

ユイカの言葉にシャルルは悔しそうに一夏を見やると目の前の機体に集中することを決めた。本来なら一夏を落ち着かせるのが先決なのだろうが、敵が2機もいてはそんな余裕はないのが現実であった。

 

ーーーー

 

IS学園中央広場、普段なら生徒たちの憩いの場になる場所は崩れ去り、鋼鉄の人形たちが戦闘を繰り広げていた。

 

「やるわね…」

 

「………」

 

デュエルの基本装備であるビームライフルグレネード装備型を2丁携えたノワールは、楯無のミステリアス・レイディと高速戦闘を繰り広げていた。

楯無の蛇腹剣の一撃は各部に備え付けられたアンカーで弾かれたり避けられたりと、かなり腕が立つようだ。

 

「貴方、女の子でしょう…その腕があればいいIS操縦者になれるのにね!」

 

「その為に作られ育てられた…だが私達にはその才能がなかった!」

 

ノワールがグレネードを撃ち放ち、楯無がガトリングガンで撃ち落とすと爆煙が発生する。目眩ましに使われては面倒だ…すぐに機体を後退させると背後から襲いかかってきたのはブルデュエルだった。

 

「私達三人はIS適性から弾き出されました」

 

振るわれるビームサーベルに対し蒼流旋で防ぐ彼女だが、ビームサーベルの高熱に耐えきれずに蒼流旋の特殊ナノマシンを含んだ水が蒸発する。

 

(耐熱処理が追いつかない!)

 

「貰ったよん♪」

 

ヴェルデバスターは腰に装備された複合バヨネット装備型ビームライフルを連結し、高出力ビームを撃ち放つ。それと同時にブルデュエルはスティレット投擲噴進対装甲貫入弾と言う名のナイフを投げつけながら後退する。

 

「きゃ!」

 

咄嗟に特殊ナノマシン入りの水で防御するが、それすら蒸発させて楯無にビームが直撃する。ビーム兵器と水は相性が悪いのはある意味当然だろう。だが準備は整った…。

 

「さっきから暑くないかしら」

 

「「「ッ!」」」

 

すると突然、3機の周囲の空間が爆発した。<ruby><rb>清き熱情</rb><rp>(</rp><rt>クリア​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​・​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​​パッション</rt><rp>)</rp></ruby>、ナノマシンで構成された水を霧状にして攻撃対象物へ散布し、ナノマシンを発熱させることで水を瞬時に気化させ水蒸気爆発を起こす。外という巨大な空間内で3機同時に爆破出来たのは、自身の機体が"麗しきクリースナヤ"と言う高出力状態だからだろう。

 

「これで少しは…」

 

「こんな芸当が出来るとは……」

 

「なっ!」

 

爆煙の中、姿を現した3機は全くの"無傷"。流石の楯無も動揺を隠せない。

 

「VPS装甲様々だねぇ」

 

「危なかったです…」

 

だが相手が悪い…この3機は実体攻撃を無力化するVPS装甲を装備した機体だ。エネルギー兵器を装備していないミステリアス・レイディには分が悪すぎる。

 

「それなら!」

 

動揺していた楯無だが彼女は止まらない、動きを止めたヴェルデバスターに接近すると蒼流旋で喉元を着く。流石にシールドバリアーが発動したようで防がれるが、これで敵もエネルギーを消費した。

 

「このぉ!!」

 

ヴェルデバスターことパティシアは接近されたことに慌てて肩部のミサイルを撃ち放つが当たらない。先程のビームライフルを構える、後退した楯無に狙いを定めるとすぐさまに発射する。

 

「今だ!」

 

速度が神速の領域に到達した蛇腹剣を振った楯無は近くに居たブルデュエルの腕を拘束、力任せに引っ張り機体を振り回す。

 

「これはまずいです!」

 

引っ張られた先には先程パティシアが放った高出力ビームが…状況を察したニックスは悲鳴を上げながらビームに突っ込み爆発する。

 

「ニックス!」

 

「やっちゃったぁ!!」

 

ストライクノワールのスワンが気を取られたほんの一瞬の隙に、蒼流旋が高速で彼女のもとに飛来。見事にビームライフル二つを貫かれ爆発した。

 

「コイツ、強い!!」

 

急に動きが良くなった…いや、パティシアたちの周囲に巡らしていた水の制御をしなくなった分の集中を戦闘に振り分けたといのが正しい見解だろう。予想以上の強敵にスワンの表情は驚き以上に歓喜に満ちていた。

 

「戦いこそが我々の存在意気!ただ駆け抜けるだけのこと!!」

 

呪詛のように呟かれた言葉と共にスワンは腰からビームライフルショーティーを取り出し装備する。一気に加速楯無に接近すると近接銃術に移行し彼女と激しい接近戦を繰り広げる。

 

「油断しました…」

 

「大丈夫?」

 

「ええ……」

 

ニックスは立ち上がると軽く頭を振りスワンと楯無との戦闘を見やる…とても自分たちが介入できる戦闘ではなかった。

 

ーーーー

 

「このぉ!」

 

アリーナ観客席、鈴は自身の機体、甲龍を展開すると観客席のロックされたドアを破壊する。

 

「こちらですわよ!ゆっくり進んでくださいまし!」

 

出口の確保と避難誘導をする鈴とセシリアの声に従って生徒たちは我先にと逃げ出す。

 

「中央広場でも戦闘が起きてるみたい!避難しても途中でやられるかも」

 

「とにかくハッキングしている奴を見つけなければならないな」

 

「その前に一夏だよ!あれじゃみんなやられちゃう」

 

フィーリアとラウラは何とか戦況の把握に努めるがどこもかしこも戦闘状態でメチャクチャだった。

 

ーー

 

「アリーナの扉は解除できないのか!?」

 

「駄目です!何者かにハッキングを受けているようです!」

 

「場所を特定した後!専用機持ちに連絡!急げ!!」

 

「はい!」

 

アリーナ管理室に閉じ込められた千冬たちは動けなくなっていた。IS学園教師部隊も格納庫に閉じこめられ、身動きが取れない。そのような状況に千冬は思わず唇を噛み締めるのだった。

 

「"あれ"が使えれば!」

 

千冬は眠りについてしまった自身の機体、暮桜を思いながらモニターを食い入るように見つめるのだった。

 

ーーーー

 

「このやろぉ!」

 

何度も反撃されボロボロの一夏、それでも彼は諦めずに雪片弐型を構えて突っ込もうとした瞬間。

 

「この大馬鹿ちんがぁ!!」

 

「ぶべっ!」

 

横合いから突然の衝撃に一夏は吹き飛ばされる。肩を掴まれ持ち上げられるとフィーリアの顔が間近に迫っていた。

 

「しっかりしなよ!今のこの状況を見て!!」

 

ブロッサムを展開した彼女は真剣な表情で一夏を揺さぶる。肝心の千冬型無人機はラウラがAICで動きを封じ込められていた。

 

「IS学園への電力供給線が破壊されたの!IS学園の予備電力だけでアリーナのシールドバリアーが維持できるのは42分が限界なの!」

 

「なんだって!」

 

一夏は愕然とする、もしこの様な乱戦状態でシールドバリアーが途切れてしまったらIS学園の生徒たちに奴らの凶弾が襲いかかってしまう。

 

「織斑先生への尊敬も分かるけど!その代償に何人殺すつもり!」

 

「ッ!」

 

「急げフィーリア!食い千切られる!」

 

ラウラの叫び声と共に無人機を見ると力ずくでAICから抜け出そうと藻掻いていた。

 

「すまねぇ、目が覚めた…フィーリア!ラウラ!協力してくれ!」

 

「もちろん!」

 

「全く…大馬鹿者が!」

 

一夏の言葉にフィーリアとラウラは武器を構えて無人機、ブレイドに向けて駆けるのだった。

 

 

 

 

 





個人的に一夏は融通の利かない性格だと思いますね。
まだまだ未熟者ですから仕方ないのかも知れませんが。
ユイト君は次回登場します。

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