IS ー血塗れた救世主達ー   作:砂岩改(やや復活)

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第十一革 波乱の学年別対抗戦ー開戦ー  -school side-

 

 

学年別トーナメント当日、IS学園には世界各国からの来賓が訪れていた。学園のヘリポートから姿を現したのはイギリスIS管理局長ゴルドウィン准将とイギリス代表イルフリーデ・シュルツだった。

 

「久しいな、オルコット…」

 

「お、お久し振りです…」

 

ゴルドウィンの目の前にセシリアは石像のように固まり油を差していないロボットの様にガチガチまま案内を始める。その様子をイルフリーデはヤレヤレと言った感じで見ていた。

 

ーー

 

「確認いたしました…アメリカIS管理局長の代理のリヴァイブ・リヴァイバル様とアニュー・リターナー様ですね」

 

「えぇ…間違いありませんよ…」

 

「席は指定されていますのでお気を付けください」

 

「ありがとうございます」

 

美男美女の二人組を送った係員は顔を真っ赤にしながら話す。

 

「格好いいわね、双子かしら」

 

「でも苗字が違ってたわよ」

 

「あんな人に出会いたーい!」

 

そんな二人の会話を背景にリヴァイブことカゲトは周囲を見渡すとそれに習ってアニューことケイニも見渡した。するとカゲトは目的の人物を見つけたのかその人物に近寄る。

 

「やぁ、久しぶりだねぇ…」

 

「貴方は!どうしてここに?」

 

「機体をもう少しマシな状況にしに来ただけさ」

 

カゲトは笑いながらその人物を促し足早にISのメンテナンスルームに向かうのだった。

 

ーーーー

 

「しかし凄いなこれは…」

 

一夏は男子更衣室に設置されたモニターで観客席の様子を見るとそこには各国政府関係者、研究員、企業エージェント(誰も知らないがテロリスト)などその他諸々の面子が一同に会していた。

 

「三年にはスカウト、二年には一年間の成果の確認にそれぞれ…一年には関係ないと思うけど上位入場者には早速チェックが入ると思うよ…」

 

「ふーん、ご苦労なことだ…」

 

簡単に言えば誰につばを着けるのか見極めるためにこんなに集まっている。そう言うのをあまり好まない一夏にとってはあまり興味を引かないことだった。

それより現在気になっていたのは1回戦の相手…。

 

「箒と花柳ユイカペアかぁ…花柳さんは四組の専用機持ちだけどクラスが遠くてあまり接触してないよね」

 

「そうだなぁ…」

 

正直…ラウラとフィーリアの訓練でかなり鍛えられたと自負していた一夏だがまだまだ付け焼き刃、上手くやれるかは心配だった。

 

「確かに1対1じゃ勝てないかもしれないけど僕たちはペアだ…連携すればなんとかなるよ」

 

「ありがとう…」

 

同室と言うこともあってか秘密を共有しているのもあるのか二人は良い関係を築けていた。

 

ーー

 

その一方、反対側の更衣室…女子が使っていた部屋は人口密度が激しく高い中で二人の操縦者の意見が一致しないで居た。

 

「織斑一夏は私が相手をする…その間、貴方はフランスの代表候補生を足止めしていればいい」

 

「なにを言うか!私は一夏の手の内を知り尽くしている…早々に相手を脱落させたいのであれば私にやらせた方が得策の筈だ」

 

「では貴方は代表候補生同士の戦いに割って入れるの?」

 

「うっ…」

 

ユイカの言葉に箒の言葉が詰まる。剣術の腕が良いと言ってもその程度、IS操縦に関しては一夏とあまり変わらない…それに対して箒は訓練機で相手2機は専用機持ちだ。

 

「フランスの代表候補生は強い…織斑一夏を先に潰さねば…」

 

「分かった…」

 

共に訓練をした友であり想い人である一夏を先程から潰すなどと言う言葉を発している…ただの言葉だと思っていたが彼女の目は本当にしかねない目だった。

 

(もしも一夏に危害を加えようとしたら…)

 

(織斑一夏…簪の敵討ちをさせて貰う…)

 

友の無念を晴らすためにユイカは静かに闘志を燃やすのだった。

 

ーーーー

IS学園沿岸部

 

そこには日本政府から派遣された精鋭部隊を任されたアキは戦闘オペレーターとして配属された光一と話していた。

 

「小原、どうだ?」

 

「はい…現在の所レーダーには何も映っていません…」

 

「個人的には?」

 

「嫌な気配です…何か天敵に睨まれているような…」

 

その言葉に満足するように笑みを浮かべる。

 

「全くもって同感だ…」

 

周囲から見下ろされているような不快な感じが肌に触れ鳥肌を立たせている…濃い殺気も混じっているようだ。

 

「敵は来るぞ!警戒を厳にせよ!!」

 

「「「「了解!!」」」」

 

ーーーー

 

「よう箒、お前と戦えるとはな」

 

「あぁ…私も驚いている…」

 

学年別トーナメント第1試合は織斑&シャルル対箒&ユイカペアだった。箒は一夏の声に答えながらも真剣に打鉄の装備《葵》を構える。

 

「長槍…珍しい武器だね…」

 

「私に死角はない…」

 

会話が成り立っていないことを感じながらもシャルルはユイカの機体をジックリと見る。

 

(接近戦だけじゃなさそうだけど…)

 

左腕に装備された籠手の様なものにグレネードランチャーが仕込んであると踏んだシャルルは一筋縄で行かないことを再確認した。

 

《試合開始!!》

 

「ぶっ潰す!」

 

「叩きのめす!」

 

開始のブザーと共に一夏は瞬時加速を開始、一気に距離を詰める。白式の武装は雪片弐型のみ唯一であり最大の攻撃力を持つこの武装の直撃を避けねばならない。

 

「上手くいくか!」

 

「まだまだ!」

 

ユイカはその言葉と共に長槍を高速で振るうと矛先で雪片を受け止めいなす。受け流された一夏は背中に周り遠心力を利用した一撃を振るう。長槍はリーチが長い分、扱いが難しい…接近されればなおさらだ。

 

「貰った!」

 

「甘いわ!」

 

ユイカは矛先の反対側に装備された石突で一夏の顔面に一撃を喰らわす。開始から10秒、専用機同士による高度な戦いに観客たちは目を奪われた。

 

「貰った!」

 

「甘いよ!!」

 

倒れた一夏に追撃をしようと攻撃しようとしたユイカの鼻先に銃弾が殺到する。一歩退き避けるがそのせいで一夏を逃してしまった。

 

「フランスの!?」

 

「好きにはさせないよ!」

 

「やらせるものか!」

 

アサルトライフル《ガルム》を構えたシャルルを妨害するように箒は打鉄のシールドを構えながら距離を詰める。

 

「うおおぉ!」

 

「チッ!」

 

ユイカによる高速の槍術を一夏は少しずつダメージを受けながらも雪片を振るうが槍とのリーチ差が激しく中々当てられない。

 

「なんとかしなきゃ!」

 

ーーーー

 

一夏は苦しみながらそう叫んでいたその時、アリーナの管理室に居た千冬たちに異変が訪れていた。

窓もないこの部屋を明るくするのは天井にある電灯に頼るしかない…その電灯が前ぶれもなく消えるとすぐについた。

 

「なんだ!?」

 

「海底の送電線が爆破されました!外部からの攻撃に間違いありません!」

 

千冬の言葉に真耶はすぐに答えるとコンソールを操作する。

 

「楠木中佐と連絡を!」

 

「はい!」

 

「どうした!?」

 

千冬は繋がった開戦からアキの声が聞けてほんの少しだけ安心するがそれはほんの一瞬だった。無線の先から爆発音や悲鳴が聞こえたからだ。

 

「そちらで何が起きている!?」

 

「海中から敵が湧いてきた!何機居るのか分からん!」

 

アキは自身の専用機《崩月》に装備された刀、《舞桜》で襲ってきていたゼー・ズールのヒートクローの一撃を受ける。

 

「クソッ!こちらは手が離せん!」

 

スラスターを吹かし、ゼー・ズールを退かせると海で監視をしていたイージス艦が突如爆発した。

 

「まだ海中戦力が居るのか!?」

 

「七番機!シグナルロスト!」

 

「なにぃ!!」

 

「IS学園上空に成層圏からミサイルらしき機影接近!!」

 

切迫した状況下でアキの耳に届いたのは小原の焦った声だった。その言葉と共に上空をハイパーセンサーで探ると確かに一発のミサイルがIS学園に向けて降下していた。

 

「え?ミサイル内からISのコア反応?数は4!!」

 

「ISだと!?」

 

するとミサイルの外殻が外れ中から機影が四つ現れる。そのそれぞれが異なる姿をしていた。

 

その機体は一夏たちが参加しているトーナメントのアリーナに向かって落ちて行くのだった。

 

ーーーー

 

「なんだ!?」

 

突如砂煙に包まれる会場。試合中、アリーナのシールドバリアーを突き破り現れたのは2機のISだった。

その様子に状況を察した4人は素早く対戦を中止して砂煙の中央部に向けてそれぞれの得物を構える。

 

「これがセシリアたちが言ってた…"奴ら"」

 

「気をつけろよ…あいつらかなり強いぞ!」

 

「来たか…今度は私にもISがあるぞ!!」

 

「これが…奴ら…」

 

砂煙から最初に姿を現したのは両腕に大型のダブルガトリングガンを装備したゴツい機体。肩には大型キャノン砲に背部にはミサイル発射管。一つ目を光らせ一夏たちを睨む。

 

「なっ!!コイツは…」

 

次に姿を現した機体を見て一夏は言葉を失ってしまった。雪片を持った右手に女性らしいボディ、とある人物の髪を模したその姿は織斑千冬その者だった。

 

「千冬ねぇ…」

 

「い、一夏?」

 

「どうしたのだ?」

 

「ふざけやがって…」

 

態度が豹変した一夏にシャルルと箒は困惑するが彼にはそんな事どうでも良かった。

 

「千冬ねぇを勝手に弄びやがって!ぶっ壊してやる!!」

 

「一夏!」

 

シャルルの言葉も虚しく瞬時加速とともに一夏はその機体に向かっていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





ついに開始されたトーナメント戦と襲いかかる革命軍、そして彼らはついにユイトと出会うことになるのだった。
次回はblackside、お楽しみに!


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