IS ー血塗れた救世主達ー   作:砂岩改(やや復活)

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第六革 クラスマッチ -school side-

 

「まぁ、頑張ってね…それしか言えないから」

 

「おう、ありがとう」

 

「すいません、ピットに居ていいのが二人だけなんて…」

 

「フィーリアには世話になっているのだが…」

 

ピットの入り口で話していたのはフィーリアたちの四人だった。ピットはあまり大きめに設置されているがそれはISが自由に動けるようにだ。

あまり人数を入れるとケガをする可能戦もあると言うことで二人しか入室を許可されていなかった。

 

「いいよ、いいよ…観客席の方が全体を見れるから」

 

一人だけ観客席で観戦するのはフィーリア、彼女自身が言い出したことだが何かと世話になっている箒とセシリアは申し訳なさそうだ。

 

「じゃ、頑張ってね…訓練に付き合ってくれた箒とセシリアのためにもね」

 

「ありがとう…フィーリアの分もやってくぜ」

 

「そうか、ガンバ!」

 

一夏とフィーリアは拳をコツンとぶつけてお互いの場所に戻るのだった。

 

ーーーー

 

《それでは両者、規定の位置まで移動してください》

 

「一夏、今謝るんだったら…少し痛めつけてあげるくらいに済ましてあげるわよ」

 

「雀の涙くらいだろ、そんなんいらねぇよ…全力で来い」

 

鈴の言葉に一夏は挑発的な態度になる。今の時代にしては珍しい男のプライドを持った彼にとっては遠慮されるなどたまったものではないだろう。

 

《それでは両者、試合を開始してください》

 

鳴り響くブザー音、両者は動き出した。白式の雪片弐型と鈴のIS、甲龍(シェンロン)の青竜刀が激突する。

 

「ふぅん、初撃を防ぐなんてやるじゃない……けど…」

 

流石は代表候補生、扱いずらそうな武器を難なく使いこなしている。

ゲルググのビームナギナタを沸騰させる形状の刀身は鈴の手によって変幻自在の攻撃を繰り出す。

 

「一旦、距離を!」

 

「甘い……」

 

一夏が一度立て直そうとした時、鈴の言葉と共に見えない何かに吹き飛ばされた。訳が分からない一夏の身にもう一度何かに殴り飛ばされた。

 

ーー

 

「なにあれ?」

 

観戦席でフィーリアと見ていた鷹月は疑問を漏らす。当然だ…なにも知らないものから見れば一夏が勝手に飛んでいった様に見えるのだから。

 

「《衝撃砲》だね、空間に圧力を加えて砲身を生成…余剰で生じる衝撃それを砲弾として打ち出す」

 

「ん?よく分からないや…」

 

「ん~見えないビットっと思ってればいいと思うよ」

 

二人が話す間も二人の戦闘が続いていく。フィーリアの率直な感想は勝てないかな…と随分と冷たい反応だった。

一夏は最初の剣戟で何とかして流れを呼び寄せなければ勝機は無いっと思っていた彼女にとって一旦引いて体勢を立て直すなど悪手にほかならなかった。

 

「逆転は出来るけどねぇ」

 

白式はIS界の中で恐らく最高レベルの攻撃力を誇るだろう。その攻撃を生かすためには織斑先生に教えて貰ったあの技を使うしかない。

クラス代表決定戦で一夏の虚を突いたフィーリアの技の初級。

 

瞬時加速(イグニッション・ブースト)

 

「ん?」

 

ポツリと呟いたフィーリアの言葉に鷹月は振り向くも彼女の目は試合に釘付けになっていた。

 

ーー

 

そんな中、二人の試合は中盤に掛かっていた。

 

「鈴、本気で行くからな」

 

「な、なによ…そんなこと当たり前じゃない…とにかく、格の違いを教えてやるわ!」

 

鈴は青竜刀を頭上で回転させて構える。衝撃砲も発射態勢に入ったようだ。ほんの少しだが鈴は油断している…これは好機だ。

一夏の奥の手、瞬時加速を発動させようと意識を集中し始めた時…。

 

ーズドオオオオォン!!

 

シールドバリアを突き破って何かが隕石のように降ってきたのだ。

 

「なんだ!?なにが起こって…」

 

「なに?事故?」

 

ISのようなものが降ってきたことで試合は止まり観客たちが何事かと席を立って確かめる。

この場にいた者全てが状況を理解していなかった…もちろん千冬も例外はない。

 

ーー

 

「なんですの?」

 

「いったい何が起きたのだ?」

 

ピットにいたセシリアと箒もリアルタイムモニターを見やる。砂煙が晴れ墜ちてきた機体の姿が明らかになる…その姿を見た瞬間セシリアの表情が一変した。

 

「どうした…セシリア?」

 

「あの機体は…ッ!」

 

「セシリア!」

 

態度を変えたセシリアが会場に向けて走り出す。そんな様子を箒はただ見送るしか出来なかった。

 

ーー

 

砂煙から現れた機体は全身を赤色に塗装した機体、そのフォルムはどこか生物的なものを感じる。背中から赤い粒子を放出し所持していた大剣を杖のように使っていた。痛かったのか開いてる手で頭を抑えて振っている。

 

「一夏…油断しないで……」

 

「なんでだよ?明らかに被害者は向こうじゃないか?」

 

鈴の言葉に一夏は思わず疑問を言う。

 

「アンタって本当にバカじゃないの!?シールドバリア突き破ってきたのよ!ISの攻撃を余裕で防げるシールドを体当たりで!」

 

鈴の言うことはまともだった。シールドバリアは頑丈に張られている、雪片のような能力が無い限り簡単に破れるものじゃない。

 

「じゃあこの機体は…」

 

突然の警告音が鳴り響き操縦者たちである一夏と鈴に危険を知らせる。だがその警告は遅かった…鈴の目の前にはあの赤い機体が…。

 

「はやっ…」

 

「………」

 

青竜刀で防ぐ時間も無く巨大な大剣でたたき落とされた。

 

「鈴!クソッ!」

 

「下がってくださいまし!」

 

「セシリア!?」

 

雪片弐型を構えて突貫しようとした一夏を留めたのはセシリアだった。ミサイルを撃ち放ち、ビットを展開する。

 

「………」

 

直進するミサイル、全周囲から放たれたレーザー…避けようのない攻撃を赤い機体は難なく乗り越えた。ミサイルを一降りでたたき落とし、レーザーを難なく避ける…ほぼ同時に行われたその行動は神業と呼べる代物だった。

 

「なっ!」

 

「クソッ、いくぞ!……うおぉぉぉぉ!」

 

雄叫びを上げながら突っ込む一夏、どんな機体だろうが雪片弐型が脅威に他ならない。まさに一撃必殺、これはとった。そう一夏は確信していた。

 

「………」

 

「なっ!」

 

一撃が入ると思われた瞬間、大剣を持ってない左手で手首を掴まれ自由を奪われる。引き寄せられた刹那、膝撃ちが一夏の腹部を捉える…シールドバリアで和らげられない衝撃をまともに受け悶絶する。

 

「ガハッ!」

 

続いて肘撃ち、首根っこへの攻撃で彼は意識をもぎ取られる。

 

「一夏さん!このぉ!」

 

怒り心頭のセシリアはスターライトMK-IIIを構えて撃つ。その一撃も紙一重で避けられ赤い機体の接近を許してしまう。

 

「ッ!」

 

スターライトMK-III切り裂かれ破壊されたセシリアは短刀であるインターセプターを呼び出そうと名前を叫ぶ。

 

「インターセ……」

 

肩口から真っ二つにするように大剣で切られる、シールドバリアで守られてはいたがその衝撃で地面にたたき伏せられ沈む。

その時間は約40秒、教師部隊が駆けつける前に決着が着いてしまった。

 

「みんな…」

 

全員が子供の様にあしらわれる光景に箒はただ呆然とするのだった。

 

ーー

 

駆けつけだが間に合わなかったフィーリアと楯無も教師陣もISを展開しその機体を取り囲んでいた。

 

「さぁ、逃がさないわよぉ」

 

ランスを構え、口調と合わない鋭い目つきの楯無をも嘲笑うように赤い機体は上空に浮かび上がる。

 

「逃がすと……ッ!」

 

フィーリアは大型ビームライフルを構え発射態勢を整えると視界が一瞬で真っ白になる。

外部から打ち込まれた煙幕弾だ…レーダーもサーモも砂嵐になり使い物ではなくなってしまった。

 

「チャフスモーク!?多種多様な弾を使って!」

 

視界的に電子的な視界を奪われた学園勢は迂闊に動けずにいた。素直に煙が晴れるのを待っていると予想通り、その場にその機体はいなかった。

 

「クソッ!」

 

緊急時の指揮を執っていた千冬は怒りのままコンソールを殴る、コンソールが一部木っ端微塵になるがそんな事は気にしない。

千冬はただ赤い機体がいた場所を映したモニターを睨みつけるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 




なぜ楯無がはテストパイロットとしてなんでアルケーが突っ込んできたのか?さぁ、なにがあったのかはblack sideを見たら分かると思います。

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