謎の生徒会長と別れて数分掛からずにアリーナに併設された整備室に辿り着き山田先生に借りた鍵を使い中に入る
「予想していたより広いですね・・・おや?」
軽く整備室の中を見渡すとガントリーに牽引されたISの前で端末を操作している見慣れた水色の髪を見つけたので、入り口の鍵を確り閉めてから彼女の方へ歩み寄る
「簪さん、何やら煮詰まっている様ですが・・・」
「・・・・・!?!?」
作業に集中していて私に気付かなかったのか、簪は座っていた体勢から飛び退き何処に仕込んでいたのか特殊警棒を構える
「・・・イチカ」
「すみません、驚かせるつもりは無かったのですが」
隙なく構えていた彼女は構えを崩しながら私をジト目で睨んで来たので素直に謝り頭を下げてから
「改めて、何やら煮詰まっている様ですが・・・」
チラリと牽引されているISへ眼を向けると
「・・・私の、専用機・・・・・織斑一夏のデータを解析する為に、開発が凍結された・・・から」
簪は少し俯きながら そう言う
「つまり、先に受注していた仕事を身勝手な理由で投げ出したと?何のフォローもなく?」
あまりにも酷い有り様に呆れて言うと、彼女は静かに頷く
確か白式の開発先は倉持技研だった筈、と言う事は倉持技研は先に開発中で有った簪の専用機を作りかけで放置を決定し引き継いでくれる所も探す事が無かった訳か
さしずめ簪はいつ来るか分からない専用機を待つよりは自分で作ってしまおうと考えたのだろう
何やら姉と確執が有る様だし、それも原因かも知れない
「・・・つくづく日本には呆れてしまいますね、全く・・・」
あまりにもアホウが多くて軽く頭痛がしたが我慢し
「簪さん、暇な時だけになりますが、私で良ければ手伝いますよ?」
ドクターのお陰で、この手の機械弄りは得意なので言うが簪は首を縦には振らず
「気持ちは嬉しい、でも私1人で完成させないと・・・あの人と同じ、1人で」
いつも大人しい雰囲気を纏う彼女の眼には揺らめく炎が見えた気がした
「貴女は貴女です、他の誰でも有りません。貴女は貴女の姉にはなれません」
「イチカに何が分かるって言うの!!」
諭す私に簪が言葉を荒げる
「何も分かりませんよ?私は貴女では有りませんし、貴女の姉でも有りませんから。ですが貴女が姉を超えたいと言う気持ちは分かります」
彼女を見据え優しく諭す様に私は喋る
「あ・・・そうだ、貴女に1つ私の知る人のお話をしましょう。聴いてくれますか?」
私の真剣な眼を感じ取ったのか、簪は静かに頷いた
簪ちゃんの話も1話のつもりが、2話にwww
次も簪ちゃんの話になりますw