無能転生 ~提督に、『無能』がなったようです~   作:たんぺい

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飛鷹弄りな序盤戦は、その、盟友zero-45様とかのリスペクトな何かです、ハイ
そして、知る人ぞ知る、ダイスの女神様のスーパークリティカルな裏話をあとがきで書かせていただきます、ハイ


六十八話 再び、出会えた魂は

さて…釣竿齋の術一部が解け、本来の魂を取り戻すかつてのパラオの仲間達。

提督だった者を含め、合わせて九人の者達が、かぶりを振ったり傷付いた箇所を手で庇ったりしつつゆっくりと正気を取り戻し始める。

 

そんな彼等が、元の仲間達を…天龍や金剛達を認識するに辺り、揃って同じ声を挙げる。

ソレは…

 

 

「「「「「「「「「飛鷹、お前なんで殆どすっぽんぽんなんだよ!!?」」」」」」」」」

「…最初にツッコム所、それなの?」

 

…そう言えば、ずっと半裸だった飛鷹へのツッコミだったと言う…

 

尚、折角再開できての第一声がそんな梯子外しだった事に、金剛達他の旧パラオメンバーを中心に、当の飛鷹以外のその場にいたメンバーほぼ全員がずっこけていたのであった…

 

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「むぅ、私は別にあんまり気にしてないんだけど…まあ皆が気にするなら仕方無いか。扶桑さん辺りから服を追い剥ぐかな?」 

 

そんなかつての仲間達の言を受けた半裸の飛鷹…とりあえず、手近に服を調達しようと扶桑に目を向ける。

 

「ブホッ…!?ちょ、何で!?何でピンポイントで私から!?」

 

一方の扶桑、キャラも投げ捨て素で吹き出してこの反応である。

 

「…いや、事情が事情だから阿賀野と夕張さんから取り返す訳にはいかないし。私の身長とスタイル鑑みたら、剥ぎ取って一番良心痛まないのが…隼鷹が素面だから、アンタか加賀だけど、胸当てとか無いから剥ぎやすいかな~って」

「ちょ、ま、この半裸のバカ、力無駄に強ッ…誰か、誰かこのマジモンのサイコパスに服か何か貸してあげて!?脱がされるぅ!助けてぇ!?…って、何してんの加賀さん!私を押さえつけて…さては、私を売ったな手前は!?」

 

そして、飛鷹さん容赦なく追い剥ぎを実行と言う酷いカオスが発生。

加賀が無言で飛鷹へとアイコンタクトを取り、飛鷹の矛先が此方に向かわないように扶桑を追い剥ぐのを手伝うと言う酷い事案が発生。

…ギャグ回だと何気に加古とは別ベクトルでクズさを発揮する一航戦の青いのの真髄、発揮である。

 

「わかったわ扶桑さん!飛鷹さんも落ち着いて、仲間同士で追い剥ぎなんて駄目よ!私の服あげるじゃない!!」

 

そんなカオスな状況を救うは、件のトラック泊地が誇る大天使雷である。

彼女は手慣れた手付きで制服を二秒もかからず脱ぎ去るなり、笑顔で自分の制服を飛鷹に渡す。

そして、飛鷹は礼を軽く言うなり、扶桑から手を離すと淡々とその制服を着だしたのであった。

 

「雷さん恥ずかしげもなく脱がないで…そんで姐さんも無言で着るなァ!色々パッツンパッツン過ぎてえらいことなってるから!?」

 

…尚、舎弟な球磨型5番艦からのツッコミがコレ。

彼女の言うように、飛鷹のモデル体型に巨乳に巨尻と言う抜群なスタイルが、幼児体型に合わせた暁型の制服を着た結果、サイズの無茶が合わさってえらいことになっている。

 

元々丈が合っている訳ではないので、お臍とかは思いっきり丸だし。

「雷の体型」に合わせたミニスカートなので、飛鷹の腰回りからしたら丈の関係上お尻とかも丸だしな上に、パッツンパッツン過ぎてお尻のラインが浮き上がり半裸の時よりエロチックになっている。

 

バストサイズもそんな感じだ。

元々、飛鷹みたいな巨乳の娘が着る事を想定していない子供っぽい制服が、飛鷹の全身に引っ張られた結果、ピッチピッチに引っ張られラインが完全に丸出しだ。

…と言うか、コイツ、現在下着も実質阿賀野と夕張に貸してるので、その…先っぽが浮いていると言う恐ろしいことが発生していた。

艦娘特有の「大事な所は絶対に見せないガード」が働いてるせいか、丸見えにはなってる訳ではないのが不幸中の幸いでもあったものの。

何か、物理的にミリミリ言っている雷の制服と共に、無理している感全開の色々な意味でギリギリアウトな飛鷹が完成されていた。

 

尚、雷は下着姿で謎のドヤ顔と言うおまけ付きでもあったと言う。

慌てて、夕立が見せられないよとばかりに壁際まで雷を持っていくなり、夕立の体で色々隠そうとするオチも付いてしまった、とか。

 

「やっぱり…雷ちゃんの制服が伸びちゃうかしら?」

「問題はそこじゃないよΣ(-∀-;)!?いや、問題は問題だけど何もかもがおかしいでしょ!(;゜∇゜)」

 

一方の飛鷹はと言うと、着苦しい雷の制服を着た感想はこんな感じであり、阿賀野も思わずツッコミを入れざるを得なかったとか。

 

「ふむ、服と言うと微妙ですが、デュエルディスクなら…有りますが?」

「カイゼル髭なら有るわよ飛鷹さん」

 

そして、便乗して悪乗りするバカ駆逐艦二名が割り込んでくるUC。

…朧と、霞であった。

 

「ありがとうね朧、そして霞。とりあえず付け髭つけて腕にディスク嵌めたら良いのかしら?」

「ツッコミ処を無駄に増やすなァァァァァァァ!!!」

 

…と言う感じで、シリアスな空気をぶっ壊すカオスがぎゃあぎゃあ飛鷹を中心に広がる中…

 

「…アイツは相変わらず、か」

 

元提督だった彼は、実に味わい深い顔でそんな様子をバッサリ切り捨てては居た。

 

 

…と、まあ、それはそうと。

どこぞのアホのせいで全体が無駄にわちゃくちゃした事を尻目に、金剛がずっこけたままの釣竿齋に一つ確認する。

どれぐらい時間は有りマスか?と。

 

釣竿齋が返すには…長くはないだろう、と。

今はさっきまでの様に彼等の魂を我が法力で現世に無理矢理縛り付けてる訳ではない、仮初めの身体はそう長くは持たないだろう、言いたいことが有るならば手短に済ませるが良い、と。

 

そうデスか…と、金剛が返すなり、ずいと彼女はそのまま提督だった彼の前に立つ。

そして、苦笑いのまま、こう続けるのであった。

 

「…正直、私は皆にいっぱい文句言いたいことが有りマス。いっぱい、皆に謝らないことが有りマス。…上手く纏まりませんね、言いたいことが有りスギテ…纏まりまセン…ハハ…皆の事を夢に見た事も両のフィンガーじゃ数えきれないぐらいは想ったハズなのニ、もしもう一度逢えたらなら言わないといけないこと沢山あったハズなのニ…イザとなって答えが出てこないなんて…駄目な艦娘デス…」

 

そう言って、俯く金剛に追随がかの様に、いつの間にかシンと静まり返った機内では、天龍達を含めたパラオの本来の生え抜きと言って良いメンバー達も、言葉を詰まらせて追随する。

 

沢山、言いたいことは…有るハズだ。

沢山、伝えなくてはいけないことは、有るハズだ。

時間がないと、再び引き合わせてくれた英雄が言うならば、尚の事だろう。

だがしかし、イザ目の前にしてしまうと…何も言葉が出てこなかった。

 

良い感情も悪い感情も思い出と共に渦巻くだけ渦巻いて、吐き出すことが許されない。

そんな、不思議な状態だったのであろう。

…或いは、甦った者達ですら、然りと言うことだった。

 

 

そんな静寂を断ち切るのは…件の、元提督だった彼である。

ただただ、彼は青天を衝く霹靂の様に、かつての仲間達であり生き残った側のパラオの艦娘達に対して頭を下げる。

そんな直角に頭を下げるままに、彼はこう切り出したのであった。

 

「…すまなかった…俺には、ただただこう言うことしか出来ない…!俺は、俺だけが、死ぬべきだったんだ。わかっていた、俺が出来もしない仕事をさせられたのが理由とは言え皆を導く立場だったのに、それをこなせないなら後任を探してでも一人で消えるべきだったのに…下らない見栄やプライドか責任感かは今でもわからないが、出来無かった。金剛の言葉だって、もっとちゃんと止めるべきだったのに…俺には、悪い方向に傷口を広げることしか出来無かった…そして、陸奥を、由良を、青葉を、曙を、五月雨を、高雄を、鳳翔を、不知火を…喪ってしまった、一人も欠けずパラオに帰したかったのに、出来無かった…金剛や飛鷹達も、きっと、深く傷つけてしまった…怨んでくれ、罵ってくれ、俺を…!」 

 

そう言うなり土下座する彼に向かい…吐き捨てる様に、声を上げたのは、彼から提督の座を継いだ氏真だ。

氏真は、彼にこう告げる。

君のせいで…僕は良いが、天龍ちゃん達残された娘達や、愛娘の一人が君が居ない空白の期間の中でえらい目にあったのか、と。

 

顔をあげて氏真に視線を合わせた彼は、一瞬だけいぶかしむが…直ぐに、得心がいったとばかりの表情を彼に見せた。

貴方が、俺の後任の提督さんだったのか、と。

 

然り、と告げる氏真は…君が居ないせいで、残された側の私生活の管理と管轄権の問題で残された側も上層部も立て直す側も全部が大変だったんだ、と言って、最後にこう告げた。

…君のいけない所は、周りが見えなくて後先考えられない所だろうな、そう言う意味で想像力が足りてないのが根本の問題だっただろう、と。

 

そう、氏真に言われた彼は…誰かに叱られるのは何年ぶりだろうな、と、恥ずかしそうな顔をしながらもこう最後に告げるのであった。

 

「…まあ、俺の駄目なところはそう言うことだったんだろうな。だから、皆の怨みと悲しみはは全部俺があの世に持っていくから、他の奴等には何か…簡単なことで良い、短くて良いから、優しい言葉をかけてやってくれ」

 

そう言うなり、再び土下座の姿勢に戻る、元提督だった彼。

そんな男に対して、様々な表情を見せるパラオのメンバー達の中…金剛は、彼の言を振り切るように、彼を抱き上げるように上半身を起こして、そのまま抱き締めながら、こう返した。

 

「…貴方のそう言う愚直な優しい所が、好きでシタ。駄目な人なのに、どうしようもないことを無理矢理任されただけの軍人志望ですら無かったハズの普通の人なのニ、私達を想って逃げずに立ち向かった貴方が、私は好きでシタ。やり方も結果も、誉められた部分なんて何処にもなかったかも知れないデス。それでも…私は、私だけは、どうしようもないことに巻き込まれても、不器用で一生懸命だった貴方の事を愛しマス…だから、逝くならば私のラブを持っていって、逝ってくだサイ…悲しいこと、言わないで下サイ…」

 

そう言うなり、静かに泣き出す金剛に釣られてか…彼も、一筋だけ涙を流してしまう。

そして、彼は苦笑いでこう続ける。

…俺には泣く資格なんて無いくせにみっともない真似してるなぁ、金剛の体温感じてドキドキしてもいるし、本当最低だ、と。

 

そんな彼の軽口に対して、戦慄する男が…一人、居た。

釣竿齋宗渭、今生に彼の魂を呼び戻した、その張本人である。

口をあんぐりあけたこの破戒僧はと言うと、こう言うのである。

ドキドキ…お主、心の臓が動いとるのか!?と。

 

金剛が、釣竿齋の言葉を聞いてキョトンとするが…釣竿齋の言を受けた金剛は自分の耳を、彼の元提督だった男の胸部にピッタリとくっつける。

 

 

…ドクン、ドクン、ドクン…

 

 

そんな、確かな心音が…温かい体温と共に聞こえているのである。 

金剛はその旨を告げるなり、釣竿齋は、ただただ、マジか!?と言う顔になりながら、こう返したのであった。

 

「今の彼等は…あくまでも『仮初め』の身体のハズなのだ…!!有り得ぬぞ!?鼓動が聴こえるなぞ、そんなバカな話が有りうるものか…?術が解けたら塵芥か土塊にでも帰する、仮初めの身体に鼓動や体温だと……まさか、コレは…!?」

 

そんな戦慄する釣竿齋の言を受けた浜風が、慌てて元提督だけでなく、甦った八人の艦娘達の脈やら何やらを調べようと、彼女達の胸に手を充てる。

 

「高雄さんが優勝です…!!100㎝に迫るリミット・オーバー、なんと言う巨乳!?これはFは固い…!」

「って、誰がバストサイズ申告しろって言ったクマァ!!」

 

…球磨にしばかれる一幕が有りながらでは有ったが、まあ、それはそうと。

浜風は…嬉し泣きの様な表情で、こう返したのであった。

 

「鼓動も、皆、有りました…仮初めじゃないですよ、コレ。ちゃんと、『帰って』きてます…奇跡、です!帰ってきたんです!!!」

 

そう理解を越えた言葉を告げる浜風の言に、全員が一瞬絶句する。

そして、その浜風の言を飲み込むなり…ドヨドヨと、言葉が漏れるなか、加賀が一言だけ、釣竿齋に向けてこう告げるのであった。

 

「…金剛さん、いえ、漏らしのクズ含めて全員ですが、パラオに居る人達は皆、凄く好い人だったのです。勿論、私と父さんがパラオに来て以降着任した艦娘全員が含めて、ですが。そして、艦娘以外に集う人達だって、出会った人達全員…村上さんに憲兵さん、それに釣竿齋さんや瑞鳳さん達ですら含めて、皆好い人達ばかりだったのですよ。そんな人達は、笑っているべきです。でも、三流な展開でもハッピーじゃないと、笑えないじゃないですか。…だから神様だって、百分の一ですら届かない幸せの道程を抉じ開けてでも、あの人達を一番笑顔で再会できるようにしてくれたんですよ…その切っ掛けを作って下さり、ありがとうございました」

 

そう言って…本来無関係なハズの加賀が頭を下げる事に対して、とうの釣竿齋はハハハと笑うことしか出来無かった中でのこと。

そんな二人に割り込むように、癖の有る甲高い声が、割り込んでくるのであった。

 

「礼は私が言うべきことと言って差し上げますわ!!そして、私はFすら生温い至高のおっぱい、Gカップですわ!」

 

…高雄、甦った艦娘の一人である。

そしてここから、彼女達の独壇場が始まるのである。

 

それは、ある意味で、かつての『パラオ壊滅』の本当の原因がかいまみえたと言うことを、氏真達は魂で理解するのであった…

 

 

 




ここで、ついに明かされる、かつての活動報告内で言っていた『金剛さん大勝利』と言う話を一つ

かつての仲間達の魂は、成仏するか現世に留まるか…情けない話、ダイスで決めました
仮初めの身体のまま、この世に留まる、と言うのが最初のプロット案
成仏して、メッセージを残して金剛さん達の目の前から去ると言うのが、次の案でした

どちらも捨てがたく、個人的には後者の方がストーリーが綺麗だとは思いながらも、金剛さん含めてパラオのメンバーの幸せの事を考えたら前者でも有りじゃないかなとも思いながら100面ダイスをダイスロールして… まあ、活動報告にあった様に、如何様とか無しでスーパークリティカルを叩き込み、絶対に金剛さん笑顔にするマン的なダイスの女神様の導きのままに、プロットを練り直し、結果的に『全員が完全体の身体で現世に復活』と言うドラゴンボールが巻き起こる事態になったりしました

…うん、前者寄りに纏めるとしても、飛鷹か隼鷹の式神として魂が留まるとか妖精さんとして転生とか考えたのに、ダイスの女神様がプロットさんぶっ壊してくれましたよ
良かったね金剛さんこの野郎、幸せになれるよ!

本当、凄いわ、金剛さんが生き残るの確定するルートがAルートだけかつダイスロールで100分の1ぶち抜いたから300分の1のリアル奇跡の結果ですからね…加賀さんの言も、実はリアル作者の感想だったりしました


では、そんなメタメタな裏話はさておき、続きを御期待くださいませ

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