無能転生 ~提督に、『無能』がなったようです~   作:たんぺい

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コラボ番外編、スタートです


コラボ番外編 やらかし赤城と、『出張!Bar Admiral』

「…とある、『珍』守府のお話をしましょう」

 

そう、切り出した赤城はつらつらと、表情筋をかえず語り出していく。

そのまま語る言葉はと言うと、次の様な具合だった。

 

「そこでは、建造マシンに良くわからない感じに『隠し味』をぶちこんで、『九知苦漢』やら『世界最強のコック』やら『紛れもない男』を召喚できるそうでして…それをヒントに、大本営所属のとある開発部が、砂糖とスパイスと素敵なものいっぱいをなんやかんやはなんやかんやして完成したのがこちらです。『超次元転移システム』~(のぶ代ヴォイスで)」

 

そんな、語る際も古いドラ○もんのやたらクオリティの高いモノマネしてる際も澄ましたままの赤城に対して…

 

「いや、お前まず5・6ヶ所つっこませろ!?おかしいだろ.何もかもおかしいだろ!セリフにツッコミどころしかねえだろぉ!!」

 

と言う、熊の様に肩幅め広く胸板も厚く大柄な、提督の制服を着た男のツッコミが飛んだ、とか。

 

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…とりあえず、少しストーリーの流れが前後してしまうが、話の流れを整理させて貰おう。

 

 

『鎮守府が二つに増える』と言う、前代未聞の大事件の発生。

パラオの艦娘達や武将二人と、ついでに憲兵の杉村にとっては晴天の霹靂である。

何が起こったとばかりに、彼らは真っ青な顔をしながら業務も全部放り出して、一様に異変が起きた箇所たる港に全員大集合する。

 

一方、『もう1つ』たる鎮守の者達も同様であったらしい。

 

提督だろう大男とそれを取り囲む数名の艦娘達が艤装を持ち出して、青い顔をしながらパラオの敷地内に踏み込みつつ、辺りを全力で警戒行動を行っている。

ガシャンガシャンと、陶器かガラスでも割れる音もそちらの敷地内から聞こえており、窓から見える箇所では一部の駆逐艦あたりの艦娘が怯えながら机の下や物陰に隠れている姿も確認できる。 

 

本当に、向こうは向こうでパラオ以上の大混乱の様相が繰り広げられていた。

 

そんな、下手したら衝突待った無しな鎮守府同士で大混乱のこの状況下で…唯一平然とした表情のままだったのが『こちら側』のラスボス娘な赤城である。

鎮守府ごと顕れるとは予想外でしたが、はじめまして異世界の皆様…などと、平然と頭を下げて挨拶していた姿を見て、赤城をこちら側の神通が吊し上げにしながら知っている情報を吐かせている最中だったと言うことだった。

 

 

さて、そんな訳で木にハムか何かの様に縛られつつ頭が沸いたことを言う赤城ではあるのだが…そんなことはまるで気にせずに、赤城は話を続けるのであるのであった。

 

要約すると、こう言うことである。

 

神通や氏真経由でパラオの大勝利と加古の進化を聞いた赤城、彼女からも何かしらパラオにお祝い事をしたいと思い、直属の上司たる元帥に相談してみる。

赤城曰く、何か美味しい飯か酒でも奢ってあげたいのです、と。

すると…元帥はこう返した、ならばいっそ、世界最高の料理人を呼んでみたら良い、と。

 

そこで渡されたのが、件の装置、『超次元転移システム』であった。

そうして、林家○い平レベルのそこそこ似てる感じなクオリティのドラえ○んのモノマネをしながら、妙にノリの良い元帥は話を続ける。

 

ここから遠く限り無く近い世界…要は、パラレルワールドとか平行世界と呼ばれる世界において、伝説と言われた…美食を極めし鎮守府が有ると言う。

そこでは、夜な夜な料理の上手い提督が、艦娘達の為に酒や料理を振る舞うのだと言う。

その鎮守府の地の名前は、『ブルネイ』。そして、その泊地にある伝説の酒場こそ『Bar Admiral 』。

 

ケミ○ルXな製法で生まれた、超次元転移装置を使えばそれを召喚することも吝かではない、と言うことだったのである。

 

 

「…と言う具合でですね、こちら側の都合で呼び出してしまい申し訳ありませんでした」

「いや、本当にな!!本当に死ぬほどびっくりしたわ!こっちは何にも悪いことをしてないのに、いつも通りに執務を終わらせて『Bar Admiral』を開いたタイミングで、いきなり鎮守府の敷地内に魔方陣みたいなのが出たと思ったら…いきなり異世界にアブダクションだぞ!!?俺らが何をしたってんだ!」

 

とまあ、赤城のマイペースかつ身勝手なセリフにつっかかるブルネイの提督であるのだが…ついでとばかりに、赤城はこう締めた。

 

「おっと、私に狼藉を働くのも貴殿が料理を作らないのも貴方達の勝手ですが…その場合、超次元転移システムのスイッチが高○名人のように16連射されてその辺の物質同士で転移システムにより干渉させられて、鎮守府どころか辺り一帯が素粒子分解をおこして半径100キロは塵と化しますよ!それが嫌ならパラオの方達の為に料理を作って下さい、お願い致します」

 

 

飯テロ(物理的な意味で)とかふざけんな!!と言うツッコミが、両鎮守府の全員から飛んできたのであった。

 

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「ほんっっとぉぉぉに、申し訳ありませんでしたぁぁぁぁぁぁ!!」

 

さて、あれからと言うと。

赤城をす巻きにして、もうパラオ・ブルネイ両鎮守府関係者からサンドバッグくんもかくや状態にして逆さ釣りに処した後で、パラオの関係者全員が低身平頭どころか全裸降伏の勢いで上記の感じな謝罪DOGEZAを決めていたのだが。

…まあ、そっちに責任は無いし、と言うことで、心の広いブルネイの関係者達は許してくれた後の事から話を進めよう。

 

 

~1時間後、パラオ泊地食堂内内~

 

 

「ここをキャンプ地…もとい、『Bar Admiral』の出張地とする!!」

 

ブルネイの提督の号令のと共にパラオ泊地の食堂は彼の指揮権の下に一時的にBar Admiralとなる。

 

そのブルネイの鎮守府からは、一時的にBar Admiralにおける提督の手伝いに来た早霜の他、

護衛の名目の元で、『戦国武将や新撰組に触れてみたい』と言う興味本意で着いてきた暁とビスマルクと夕張、ついでに同人誌のネタ集めにノコノコ着いてきたオータムクラウド先生こと秋雲がやって来ていた。

 

 

一方、こちらも何も悪いことしてないどころか、赤城と元帥による被害者同士でかつ占拠されてる側とは言え、ブルネイに対して罪悪感溢れる睦月はブルネイの鎮守府の早霜に聞く。

本当に、ご飯作ってくれるのにゃ?と。

 

早霜はと言うと…そんな睦月の心配を余所に、陰気な口調で有りながらも優しく、こう告げたのである。

 

「ウチの鎮守府は、まあワチャクチャしてるのは慣れっこですし、『大ドロボウ』だって御用達な特殊な鎮守府なんですよ…リラックスなさって、好きなお酒と料理を頼んで、ぜひとも楽しんでいって下さいな。この『提督は、Barに居る』アットホームなブルネイの空気感を!」

 

 

そうして、一日限りの『出張』された『Bar Admiral』による宴が始まったのであった。


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