トラウマの原因が覆されたら、その世界はどうなるか。   作:袖野 霧亜

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由比ヶ浜、ハピバ ~②~

 ――これが、詰んだってやつか。

 

 商業施設一階に設置してあるベンチに座って黄昏れている俺がいる。

 最初、犬のグッズとか買おうとしたんだがさっぱりわからん。何アレ、どんだけ種類あんだよ。ボールとか人形とか首輪とかリードとか……。どういうのがいいのかわからん。

 そもそもアイツが飼ってる犬がどんなのかわからん。下手にサイズがあるものとか選ぶと邪魔になるだけだし……。

 

「あー、面倒くせぇ……」

 

 正直、こんな真面目に探さなくてもいいはずなんだよな。適当に菓子の詰め合わせとかにしておくか。それならあいつも喜ぶだろ……たぶん、知らんけど。

 そういや、俺なんも知らねぇ気がするなぁ。由比ヶ浜って何が好きなんだ? 折本達の好みなら、美咲を除いていくらでも知ってるけど他のヤツは知らねぇ……ていうか、名前すら知らない気がする。いや、気がするじゃなくて知らないな。ん~……。

 

 まぁ、いいか。

 

 そんなことより、さっさと美味そうな菓子でも探すか。それなら目に付いた店のを適当に探しておくか……ん? スマホが鳴ってる?

 

「よっと、誰から……って、葉山? アイツ、なんで俺のアドレス知ったんだ? 渡してねぇはずなんだけど」

 

 まぁどうせ折本だろ。アイツならやりかねないし。

 んで、内容は……。

 

「……マジか。プレゼント菓子禁止かよ」

 

 誕生日パーティーの時に大量の菓子とケーキを用意するから、とかいう理由で食べ物関連のプレゼントを避けるよう頼むような内容だった。せっかく人がこれにしようとした矢先にこの連絡は萎えるな……。

 ま、まぁ? 買う前に言われて助かったと前向きに捉えておこう。後ろ向きに捉えたらやってくれたなクソッタレ、だな。いや、なんか違うな。

 

「あー、もう知らん。本当に知らん。知るかもう。帰ろう。帰って撮り溜めたニチアサを全部見つくすぞっと」

 

 重たい腰を上げ、隣に置いておいた鞄を肩に下げて帰ろうとして、

 

「お? アレって……」

 

 

 

『比企谷~。どうだった? いいの見つかった?』

「あぁ、たぶんな」

 

 家についてしばらくした後、折本から電話がかかってきたと思ったら開口一番がこれだった。

 

『……え? 買ったの? ホントに?』

「なんだその意外そうな声。買わないと思ってたのか?」

『でも実際、買おうとしたけど何がいいのかわからなくなって何も買わずに帰ろうとしたでしょ?』

「エスパーかよ。正解だ」

 

 さすがになんでもわかられてるな。まぁ、唯一否定することがあるなら――

 

『ていうか、雪ノ下さん達からヒント貰わなかったら何もせずに帰ろうとしたでしょ?』

「おう、まったくもってその通りだな。パーフェクトだ、折本」

『当ったり前でしょ。ていうか、何買ったん? こっそり教えてよ』

「あー、いや、それは見てからのお楽しみにしといてくれ」

『何それ、めっちゃ気になるんだけど! じゃあハードル上げておくからよろしくっ!』

「は、いや待てそれは勘弁――」

『じゃーね~おやすみっ!』

 

 ……マジで切りやがった。

 正直勘弁してほしい。たまたま見つけて、何となく買ったものだ。だからホント、マジで、勘弁してください。

 

 ……振りじゃなく、マジだからな?

 




ういっす、霧亜です。

相変わらず適当な時間にのんびり書いてますぜ。
というわけで、特にいうことないのでまた次回も首をキリンにして待っててくだちい。

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