トラウマの原因が覆されたら、その世界はどうなるか。 作：袖野 霧亜
とりあえずのんびりとかおりと八幡と千佳ちゃんのやり取り見やがってください。それではどうぞ。
時は戻り現在は折本に告白した翌日の昼休み、俺は脇をくすぐられるのを一旦やめてもらい折本と対面した。
「お前、昨日のアレ聞いてなかったのかよ」
「へ？ なんのこと？」
「教室では話しかけるなってやつ」
昨日の屋上でコイツに出した条件というのは『教室で話しかけるな』だ。なぜかだって？ 教室だと人多すぎるわ目に付くわ噂流れるわで面倒だからな。まぁ元々噂は流れるよう仕向けたけどこんな内容になるとは俺も思ってなかったからな。俺の平穏な中学生活が真黒に染まる、それだけは避けたい事態なのだ。
「あー、忘れてたわ」
えー、昨日の今日でなんで忘れるちゃってるのコイツ。アレなの？ 鳥頭なの？
「鳥頭かよお前」
うっかり思ってたことが口から出てしまった。いっけない八幡てば正直者ね！
「鳥頭とか酷くない？ マジウケるんだけど」
「たしかにかおりはこういう時鳥頭並に約束破るよね」
「違うってば千佳〜。忘れてるんだってばー」
いやこっちからしてみたら破ったのと同じですけど？
「いやこっちからしてみたら破ったのと同じだからね？」
まさかの仲町さんと同じ考えかよマジウケる。
「って比企谷君が思ってるからね？」
「なに？ 俺の思ってたことわかってて言ったの？ 代弁してくれてありがとう」
「どういたしまして」
「アタシ二人にめっちゃ責められてんだけど！ マジウケる！」
「いや、ウケねぇから」
なんなのコイツ責められてウケるとか実はドMなんじゃねぇの？
「ほらぁ、比企谷君にドMなんじゃないかって疑われてるよ？」
「え、マジで？」
「だからなんで俺の考え読めるの？ 超能力者なの？」
「それは私だからだよ」
なにそれ意味わかんない！ もう某スクールアイドルみたいな言い方になっちまったよちくしょう。あのアニメ見たことないけど。
「とりあえず周りの目が痛い。用がないならあっちに行ってくれ」
「えー、一緒にご飯食べようよ」
「お前さっきの流れ忘れたの？ 本当に鳥頭なんじゃねぇのか？」
「鳥頭とか比企谷失礼すぎだしマジウケる！」
「だからウケねぇから」
もうやだこの人。ハチマンオウチカエル。
「とは言っても比企谷君。もう既に手遅れっぽい……」
「え？ は？ ……あ」
仲町さんに言われ周りを見渡す。するとそこかしこからこちらへ目線が集まっていた。やだ八幡ってばおバカさんね自分でも教室内で話しかけるなやら周りの目が痛いとか言ったばかりなのに教室で普通に折本と話しちゃってるなんてね。
……いやマジでやっちまった少し現実逃避し過ぎてうっかりカバン持って帰ろうとしちまったよ。てかこの状況いつからなってたんだ？ 視線が痛すぎて胃に穴が……。
「ちなみにかおりが比企谷君をくすぐり始めてからこんな感じだよ？ やったね比企谷君皆にあの声聞かれてたよ」
「ねぇなんでそういうこと早く言ってくれないのいい加減泣くぞ」
いやマジで泣きたい。昨日まであったはずの平穏はどこへ旅立ってしまったんだろう。俺はお前がいないと何も出来ないんだ！ 帰ってきてくれ俺の安らかな時間！
「もういいじゃん比企谷。もう諦めなって」
「この元凶が何かほざいてるけど仲町さん、とりあえずコイツ殴りたい」
「比企谷君、かおりのそれは一生治らないって医者も匙を投げるレベルだから観念して？」
「やっぱりこの二人ひっどいよねー！ てか息が合いすぎてマジウケるんだけど！」
「「だからウケねぇから！」」
あぁ、もう折本の席で固まってるイツメンが俺らを見て呆れてるのが見え、更に周りからの反応が痛すぎる。あぁ小町。俺のマイエンジェル。お兄ちゃん、もう家に引きこもりたいよ。
てか来年から小町もこの学校に来るんだなー。やったぜ八幡、心のオアシスといれる時間が増えるよ。まぁたぶん声かけてくれないだろうけど。やだ、涙でそう。でも泣かない。だって八幡は男の子なんだもん！
「はぁ……。もう諦めるしかないのか」
「どうしてもイヤなら私達がかおりをシバいて教室では話しかけさせないようにするけど？」
「いやシバかなくていい。こいつに声をかけた俺が悪いからな。俺が折れればいい話だ」
「えっと、遠回しにいつでもかおりと一緒にいてやるって言った？」
なんでそんな風に聴き取れるんだよおかしいだろ。確かに俺は捻デレかもしれねぇけどおいこら誰が捻デレだおかしな造語で俺を語るな！ あ、言ったの俺ですよねごめんなさい。
「いやー、美咲の言う通り捻デレって言い得て妙だね」
「俺のデレとか誰得だよ。てか美咲って誰だよ」
「比企谷ー、美咲を知らないとか人生の七割無かったことになるよー？」
俺の人生ほぼ無駄だったんですねわかります。いや、本当に知らないな。なんならこの学校で名前覚えたヤツ1人もいないほどだからな。
「三木美咲、この学校のマスコットキャラクターを知らないなんてねー。てか昨日も一緒にいたじゃん」
そういえばアイツらの名前仲町さん以外聞いてなかったわ。今度聞いておかないとな。
『あ、あの折本さん。ソイツとどういう関係なんだ？』
おずおずとクラスの男子が折本に質問する。あ、バカお前そんなこと聞いたら、
「えー？ 恋人だよ。私の彼氏」
ほら、こう言うに決まってるじゃん。見てみろ、質問してきた男子はおろかクラスの空気が固まったぞ。ナニコレ面白い！ もう現実どころかお家に逃避したくなっちゃう！
そして俺に捻デレの称号を与えてくれた女子がいつの間にか近くに来ていて俺の肩をポンッと叩くと、
「仕方ないよ。かおりは残酷なんだから」
なんか聞いたことあるフレーズだな。てか意外とこいつもアニメとか見るんだな。まぁ某進撃する巨人は結構な人気あったしな。別に驚くことでもないか。
おっと、そろそろ俺も現実を直視しないといけなくなってしまったようだ。さぁ、今のうちに耳を塞ごう。え？ なんでそんなことするのかって？ はっ、決まってんだろ？
『『『えぇぇぇぇぇぇぇ!?』』』
こんな感じで皆が絶叫するんだから。ちなみに折本と仲町さんはその声にビクッとしていた。一瞬かわいいとか思ったのは秘密だ。
三木美咲。このキャラはボツ作品のキャラの名前から持ってきました。性格まったく違うけどね( ´∀`)ﾊﾊﾊ。まぁどうでもいいよねそんなこと。