トラウマの原因が覆されたら、その世界はどうなるか。 作:袖野 霧亜
なにかとモヤモヤした職場見学も終わり、クラスで打ち上げをしに行くことになったらしいが俺はそれをスルーして帰宅……を決めようとしたんだが、たまには全体の集まりに参加しろという折本の指令が下された数日後。
また一つ、悩みの種が俺、いや俺達に撒かれた。
「規則違反している生徒への説得、ですか」
「そうだ。これは私からの依頼として受け取ってもらって構わない」
悩みの種を持ってきた平塚先生は面倒臭そうに頭をガシガシと掻きながらそう言った。
曰く、総武の生徒が深夜に働いているんじゃないかという生徒同士の内緒話を平塚先生の耳に入ったそうだ。
もしそれが本当だったなら、その生徒は即刻バイトを辞めさせられる上にペナルティーが発生する。
「何か必要なものがあるなら私に言うといい。工面しておこう」
「わかりました。では今日から早速始めていきます。みんなもそれでいいわね?」
「あぁ、俺はそれで構わないよ」
「右に同じく」
「比企谷に同じく意義なーし」
「下に同じく」
「地べたにいないでちゃんと椅子に座れ姉貴。俺も問題ない」
「ていうか、二人とも部員じゃないんだから許可する必要ないでしょ」
「……いつの間にこの部活はこんなに大所帯になったんだ?」
「うちのメンバーがすみません。今日はなんか面白そうなことが起きそうだから絶対行くと三木が……」
「いやなに、今回に限っては人手があってもいいからな。ただし、あまりことを大きくするなよ? 学校側はそういった厄介事は好まないからな」
それもそうだ。本来、深夜のバイトは未成年がやってはいけないからな。もし仮に問題が大きくなって一番被害を被るのは雇った側になる。
そして、加害者となったのがうちの学校の生徒だった、なんて話が外に漏れた暁には社会からどれだけのバッシングを受けるのかなんて想像もしたくない。
「ま、そういうわけだ。なにかあれば私に言ってくれたまえ。今回に関しては君たちの手に負えない事態も想定して私も出来る限り手を貸そう。では雪ノ下、後は頼んだぞ」
「わかりました。首がつながっている未来を祈っていてください」
「そうだな。辞表の文章だけは考えておくとしよう」
そう言って扉から出ていく先生の背中は何の迷いのない、立派な先生だった。
「あんなかっけぇとこ見せられたら俺たちもやらな」
『――いっっったぁ!?』
「……すごく動揺していたみたいだね」
「なんて締まらない……」
外から思い切りどこかしらを打ち付けた音と、先生の悲鳴が轟く。
葉山と雪ノ下の言う通り、何とも締まらない去り際だった。
「ま、まぁそれは置いといてだ。とりあえずさっさとその問題の生徒を捕まえてこよ……おっ?」
スマホに着信音が鳴り響く。ポケットから取り出して画面を見ると小町の名前が表示されていた。
「もしもし、小町か。どした。買い物か?」
『あ、お兄ちゃん? 違くてさー、ちょーっとお願いがあるっていうのかな~』
「ほーん、まぁいいぞ。言ってみ」
『えっと、小町の相談じゃなくてね……ん-、電話じゃなんだからどこかで会えない?』
「えぇ、やる気ダダ下がりになったから断りたいんだけど」
『じゃ、お兄ちゃんのバイト先で待ってるから~』
「おいちょっ、切りやがった……」
どうしてこんなわがまま娘になっちゃったかなぁ。まぁいいか。妹のわがままを聞くのも兄ちゃんの特権だしな。
「すまん、急用が入った」
「小町さんね。そういえば小学生の頃少し遠くから見た程度だったわね。比企谷君、そのうち彼女に挨拶をしに行くわ」
「なら一緒に来るか? どうせこれから小町に会う予定だし」
「そう? ならそうさせてもらおうかしらあぁ葉山君今日の部活動は終わりよ戸締りをして平塚先生に鍵を返しておいてもらえるかしらそれと折本さんたちも申し訳ないけれど今日のところは――」
「はい落ち着いて雪乃ちゃん。酸欠になるから酸素ちゃんと取り込んで」
「すぅー……はぁー……。大丈夫よ。私がそんなこんなことで小町さんとの邂逅を失うような愚かな真似はしないわ」
「どんだけ会いたいんだよ……」
さすがにそこまで会いたいのか俺の妹に。
「ええ、もちろんよ。貴方の妹ですもの。ちゃんと顔を合わせて謝らなくちゃいけないことがあるもの」
「だから心を読むなって。それとそれはもう」
「貴方がよくても私や小町さんは違うわ」
「そーそー、ちゃんと比企谷に関係してる人にはちゃんと確認取らないとね~」
そういうもんか。まぁ、そうだよな。でも小町もそんな昔のこと、しかも俺のしでかしたバカなことで雪ノ下に当たるとは思わねぇけどな。
それにしても、小町のお願いって何なんだろうな。他の奴からの相談っぽいから行く気がマイナスに吹っ切れそうなんだが……。
やっと引っ越しやら他の書き物やらが落ち着いたから投稿です。
ちなみに仕事は切迫してきましたヤバいですね! まぁおかげで体力と自然治癒力高まってきたからいいけど。
あと最近スマホじゃなくてPCでやってるのでだいぶ執筆スピード落ちてるけど最近やっと早く打てるようになってきたからやったぜ! って状態です。ブラインドタッチは出来ませんけどね!
まぁそんなどうでもいい話は置いておいて、です。
俺ガイル、完結してこの作品も需要減ってきましたよね(火の玉ストレート)。
いや、考えてみてくださいよ。みんな読みたいでしょ? 本家がやったらあれだけど、それはそれで読みたいけど、本家が終わった先の未来の話とか。私はそっち読みたい。
でも、この作品では読めません。そもそも根底から乖離させてますもんね。
というわけで、私はこの作品を書きますよ。私、こっちのほうが読みたいですし。
なのでこの作品を読んでくれている皆様、首を長くさせ過ぎて申し訳ないですけど、今後もよろしくお願いします。