トラウマの原因が覆されたら、その世界はどうなるか。   作:袖野 霧亜

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 今回、十数話以上ぶり(二年以上ぶり)に名前が出てくる子がいるので改めて説明を置いときます。

 日月(ひづき)絆奈(きずな) いつものメンバーの一人で妹が一人いる千葉県に住む姉。三年になってから八幡と妹談議をよくするようになった。さすが千葉。兄弟愛も姉妹愛も深いな。「比企谷のせいで妹が可愛く見えてきてしまった。責任をとれ!」などと言っている。
 氏神(うじがみ)環奈(かんな) こちらもいつものメンバーの一人で一人っ子。八幡と日月の妹談議に付き合っていたら妹が欲しくなっていた時に美咲が妹を攻略するギャルゲーの存在を教え、少し危ない所まで落ちかけた。今はたしなむ程度で落ち着いている。

ついでに後書きに重大発表。


戸塚、接近中。

「比企谷くん、僕は?」

 

 チェーンメールの事件が終わった二日後の朝のHR前。戸塚は俺の机に来るなりそう言った。

 かなり前屈みで顔と顔がほんの十数メートル程にまで近づいて来ており、戸塚からふんわりと届いてくる良い匂いが脳を刺激して……いや待て。戸塚は男だろう。いや、そうじゃなくても折本がいる手前でそんな事考えていいはずが無い。その証拠に折本から黒いオーラが滲み出てきている。あれ? 折本ってこんなに嫉妬深かったっけ? 美咲とか仲町さんとか、中学時代からのシスコン同盟の日月と氏神と話してる時はそうでも無いはずなんだけどな。

 

「あー、僕はって言うのは何の事だ? 俺、戸塚に対してしなきゃいけない事でもあったか?」

「う〜……。別にそういう訳じゃないんだけど……」

 

 少し離れて指をモジモジと絡ませてしゅんとする戸塚。この姿を写真に収めて壁紙にしたい程可愛い。……やめとこう。それやった瞬間、俺の命が無いかもしれん。

 

「あの、ね」

「ん?」

「比企谷くん、葉山くんと組むんでしょ?」

「あー、まぁそうだな」

「それ、比企谷くんから誘ったって……」

「まぁ、間違っては無いな」

「……む〜」

「いや、なんだよ。そんなむくれて」

 

 まぁだいたい何が言いたいのか分かってはいるが、何故だかすごくイジメたくなる。俺の性格が悪いわけじゃない。戸塚がそういう感じなのがイケないんだ。

 まぁとは言え、あまりやり過ぎると可哀想だな。

 

「戸塚」

「……なに?」

「実はまだ班員が一人空きがあるんだが、良かったら一緒に行かないか?」

「えっ、いいの!?」

「お、おぉ。問題無いぞ」

 

 またしても身を乗り出して顔が近づく。

 いやまずいまずい顔違い顔整いすぎまつ毛なっが良い匂い! これ男に抱いていいやつじゃないだろ! つまり戸塚は女の子という事になるな! はいQED!

 

「──はいストップ」

「わっ」

 

 とうとう隣の席に座っていた折本が戸塚の首根っこを掴んで持ち上げる。完全に猫を持つ時のそれでまた(なご)む。

 

「戸塚。あまりうちの彼氏誘惑するのはウケないよ」

「うぅ、折本さん。僕、男の子だから誘惑も何もないんじゃないかな……」

「……ふ〜ん? だってさ比企谷?」

「こっちに振るな。いやまぁ戸塚が男だってのはちゃんと理解してるから問題ねぇよ」

 

 嘘である。普通にドギマギしたしなんなら女の子の可能性について証明したくらいだ。

 でも俺は悪くないだろ。戸塚に迫られたら誰でもこうなるはずだ。折本やられてみたらわかるぞ。顔の良いヤツが急にアップで来たら心臓が高まるもんだ。

 

「とりあえず、戸塚。お前俺等の班に来るでいいのか?」

「うん! よろしくね!」

「わかった。後で葉山には言っておくわ」

「ありかとう! あっ、もう時間だね。じゃあまた後でね比企谷くん」

 

 そう言って戸塚は手をフリフリとさせて自分の席に帰っていく。

 ……なんであんな女の子っぽい仕草が似合うんだ。ホントに男か? もういっその事新しい性別として登録されるべきだと思うんだが……?

 

「比企谷、もしかして目覚めた?」

「ばっかお前、違ぇよ。確かにあんなかわいいのが女の子なわけ無いだろとか思ったり思わなかったりしたところはあるが、結局は男……なんだよな?」

「結局どっちなのかわかってないのウケる! でもダメだかんね。間違っても惚れたりしたら」

「あー、それは無いな」

 

 そこら辺の線引きはとある一件をきっかけに男女関係無くしてあるし、余程のことが無い限りは消すつもりも無い。

 なぜなら。

 

「俺には折本がいるしな。そんな節操無しになるつもりは無い」

「…………」

「ん、どうした? 耳まで真っ赤にさせて」

「比企谷って、ホントたまに無自覚で照れさせてくるようなことをさらって言うよね」

「何の話だ?」

「自覚無いのがタチ悪い……。そういう事他の人に言ったら絶対言わないでよね」

「……? さっきからなんだ」

 

 俺何か言ったか? 急に顔が真っ赤になったと思ったらどーのこーの……まさかこれいつもの思考が口からポロリしたパターンか? うわー、はっず。大っぴらに自分の彼女だけで幸せですってか? その通りだから誤魔化し効かないですねお疲れ様でした。

 頭を抱えると同時に鳴り響いたチャイムを聞き流し、恥ずかしさを消すように眠りにつく。起きた頃には全部無かったことになっていて、昼休みになっているだろう。

 

 

 一限が平塚先生の担当教科だったからすぐ起こされて職員室に呼び出しくらった。




 何ヶ月か前にエコーさん、冬野ロクジ(夏野レイジ)さん、しゃけ式さんと開催した俺ガイル短編CP祭りがバージョン変更して、戻ってきたァ!
 というわけで名前を新たに「勝手に俺ガイル短編祭り」の開催を報告させていただくぜぇ!
 今回は自由度が増して、各々好きなものが書けそうだから是非参加してなぁ!!!
 詳しくは下のリンクから飛んでおくれ!
https://twitter.com/popoachan666/status/1271582284009758720?s=19
 前回もかなりの人が参加してくれて良い祭りになったから、今回も皆さんのお力を……(土下座)ってな感じでやっていきます\( ‘ω’)/ウオオオオアアアアーッ!

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