トラウマの原因が覆されたら、その世界はどうなるか。   作:袖野 霧亜

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意外と早く投稿する事に()


俺と葉山隼人

 葉山の問題を解消する方法を伝えてから次の日のバイトに行く道中。

 折本達には適当に理由を付けて先に行ってもらい、今は俺と葉山の二人だけで歩いていた。

 葉山曰く、どうやら何度も送られてきていたチェーンメールは今日の昼にはなりを潜めているらしい。

 例の三人は同じグループとして行動することが決まり、どこの職場に行くかの話し合いを少しずつ始めているようだ。これでやっと一件落着になりそうで良かった。もし仮にここからまた一悶着なんてあったら雪ノ下にパスするつもりだったから命拾いしたな、葉山。

 

「本当に助かったよ。ありがとう」

「別に特別何かした訳じゃねぇよ」

「俺からしたら、特別に見えるさ」

「そういうもんか?」

「あぁ。これでも少しは成長したつもりだったんだけど、まだまだだなみたいだな」

 

 肩を少し落として苦虫を噛み潰したような笑顔を作る。

 これはアレだな。少し前に流行ってた俺TUEEEE系小説にある俺またなんかやっちゃいました? の流れだな? いやでも本当に大した事でも無いから気の所為だな。

 

「少しでも比企谷に近づけたと思った自分が恥ずかしいよ」

「は? 俺に? 何言ってんのお前」

「いや、比企谷にはなんて言うのかな。……憧れ、に近いものがあるからさ」

「憧れ、ねぇ」

「だからかな。少しでも君のように強い男になりたかったんだよ」

「…………」

 

 コイツ、本気で言ってるのか。

 冗談を言っているような目じゃないのは見ればわかる。

 葉山だけじゃない。雪ノ下もそうだ。

 コイツらは俺を高く見すぎている。

 

 ──君がやったことのツケを返さないといけないんだよ。

 

 何故か奉仕部に入る前に平塚先生に言われた言葉が脳裏に()ぎった。

 あぁそうか。薄々勘づいてはいたが、まさかホントにこれの事なのか。

 なら話は簡単だ。

 

「葉山」

「何かな?」

「お前のそれは勘違いだ」

「……? どういう事かな」

「俺はお前が思っているような人間じゃなかった、って話だよ。そもそも、高々小学生みたいな子供のやった事だぞ。後先考えずにやった愚行に過ぎねぇんだよ」

「…………」

「それに、だ。あれをやった後、俺がどんな風に学校で過ごしてきたのか見てないのか?」

 

 今では笑い話で終わらせられるが、当時は気が滅入っていた。

 耐性の無いまま悪意、雪ノ下が負っていた一部だけを受け継ぎはしたが、それだけでもキツかった。あの時、雪ノ下のやり返し方とか学んでなかったら自殺は覚悟してただろうしな。

 だからな、葉山。

 

「俺は最初からお前等が思っているような人間じゃ無かったし、何度も言ったと思うが、アレは俺が勝手にやった事なんだよ。いつまでもそんな昔の勘違いを引きずって生きてんな。お前が俺に近づくなんて、ハナから無理なんだ」

 

 人は誰かの代わりになれる。しかし、その人自体に近づく事は出来ない。

 俺がそれを身をもって実践した事だ。

 雪ノ下のようにやり返そうとしても、同じような結果になった試しが無かったしな。

 だからこそ、俺は何度でも言う。

 

「俺は俺で、お前はお前だ。それだけは変え難い事実だ。だから、いつまでもお前の中にある無駄に補正がかかってる俺を追いかけるのを辞めろ」

 

 そもそも、理想を追いかけたところで追いつけるわけないんだ。理想だからこそ美化していつまでも自分を下にする。実際はもう既に追い抜いているのに、ずっと足踏みして前にも後ろにも進めないまま、時間を浪費する。

 そんな無駄な真似をいつまでも葉山にやらせておくわけにはいかない。

 何故なら、そもそも俺のやり方や考え方は葉山隼人という人物に根っから合っていないからだ。

 

「……それでも」

「でももクソもねぇ。諦めろ。諦めて受け入れて、その上で自分らしいやり方見つけろ。その方がお前は今回の事だって、少しはどうにか出来たと思うぞ」

 

 葉山はそこで押し黙って下を向く。髪で顔が見えなくなり、その奥に隠れている物も分からなくなったが、これだけ言えば多少は考え方くらい多少変わるだろう。ていうか、これで変わらなかったらもうお手上げだ。まぁその時は平塚先生に丸投げにしてしまおう。俺は言うべき事は全部言った。

 

 だから葉山。後は全部、お前次第だからな。




あっれれ〜? おっかしーぞぉ〜? なんか(投稿)早くなァい(当社比)?

昔みたいに一日一本書けるようになれれば楽なんだろうけどなぁ。もう少し早く書けるようになりたいなぁ。

まぁ無い物ねだりしても仕方ないからのんびり自分のペースでやらせて頂きやす。

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