トラウマの原因が覆されたら、その世界はどうなるか。   作:袖野 霧亜

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今日より!短編CP祭り!開催です!



三木刻は葉山隼人の考えを否定する。

「いらっしゃいませー……って比企谷? と隼人くんじゃんおいっすー」

「おう折本。お疲れさん」

「やぁ。お疲れ様」

 

 葉山からの依頼を聞くため、コーヒーをたかる為に俺と折本のバイト先の静かな喫茶店に来た。向かい入れてくれるのはバイト中の折本。学校の制服では無く、バイト先の制服に身を包んでいる。

 なんで俺達がここで働いているか。もうわかってると思うが、この静けさと制服の可愛さだ。

 俺は騒がしいところが嫌だ。折本は特にこれと言った要望は無いが、あまり地味な制服で働くのもなぁ……。と二人してこの店でボヤいているところにこの店の店長がやってきて「うちで働かないか?」と誘ってくれたからだ。

 確かに俺の願望は叶っているが、折本は制服がちょっと……って言ってたけど何故か特注で作ってくれると言われ秒速で首を縦に振り抜いた。俺達の欲をこんなに取り入れている好条件のバイトとか無いだろ。

 それで折本好みの制服を作ってもらったわけなんだが、最初の頃は見慣れなさ過ぎて直視する事が出来なかった。

 だってロングタイプのメイド服を着てるんだぞ? あの折本が。黒を基調として、白いエプロンをしているんだぞ。お店の雰囲気に合ってるし、折本も静かにしていれば完全な美少女だから映えるんだよ。え? 喋っててもかわいいだろって? 何を言ってるんだか……。

 まぁそんな折本の姿も今ではバッチリ見れるようになって、俺もだいぶ成長したなって感じるわ。今ではフォルダに折本の隠し撮りと一緒に制服で写ってる写真でいっぱいになってるしな。

 

「それでー? 二人でどしたの?」

「あぁ、葉山がコーヒー奢ってくれるっていうし、ついでにお前等と合流出来ると思ってな」

「へー。そしたら美咲達はいつもの席にいるからそこに案内しよっか?」

「どうする葉山。お前が決めていいぞ」

「……まぁいいさ。雪乃ちゃんの耳に入らなければいいだけの話だから」

「雪ノ下? アイツに関係する事か?」

「いや、雪乃ちゃんが関わったらいけない事だ」

 

 なんかよくわからないな。雪ノ下が関わったらなんだって言うんだ。って聞こうとしたけど葉山が若干にがーい顔をしていたので聞かないでおこう。後で聞かされるかもしれないが。

 

「まぁいいわ。じゃあ勝手に席に行ってるわ。俺はいつものやつで頼む」

「ほーい。隼人くんは?」

「俺はオススメで頼む」

「えっ、あーうんわかったー」

 

 そう言ってひひひっと笑いながら裏に戻っていく。

 葉山お前もしかしてここで薦めてるコーヒーを知らないのか? 大丈夫か?

 

「んじゃまぁ行くぞ。こっちだ」

 

 まぁ俺には関係ない事だからいいか。それに俺がこの店で働いてるの知ってるならこの店のオススメも知ってるだろ。

 

「うん? 八幡と……葉山か。珍しい組み合わせだな」

「おう刻。ちょっと知恵貸してくれ。葉山からの面倒事だ」

「葉山から? まぁいいだろう。とりあえず二人とも座れ」

 

 いつも使っているところが複数人がけの席だから男衆と女衆で分かれるように座り直してもらう。とりあえず葉山に軽く仲町さん達と軽く挨拶を交わしながら本題に移らせる。

 

「このメールに覚えある人はいるかな?」

 

 そう言って出されたのは一通のメール。受信履歴を見る限り、部活中に送られてきたという変なメールなのだろう。

 なるほど、今回の依頼はこれか。

 

「チェーンメールか。俺は見た事がないが……姉貴と千佳はどうだ?」

「メールは見ないからなーい」

「私も多分無いかな」

 

 三人共見た事が無い、という事はうちのクラスでの出来事か? でも俺にも来てないから……あっ、俺クラスの奴とメアド交換してなかったわ。そしたら後で折本に──、

 

「ほい、コーヒーおまちー」

「ちょうどよかった。折本、このメールに見覚えあるか?」

 

 葉山の携帯に指差してどうか確認をとる。

 折本はんー? と目を細めてそのメールの内容を見る。

 するとすぐにポンっと手を叩く。

 

「あー、知ってる知ってる! 先週末くらい? に来てたよ」

「ナイスだ折本。お前がちゃんとクラスのやつとメアド交換してくれてて助かった」

「比企谷はクラスメイトと関わってないもんね」

「ばっかお前、ちゃんと関わってるわ。最近だと戸塚とも話すようになってるからな。メアドとか交換出来てねぇけど」

 

 ちなみに他の奴らのも持ってないです。

 

「今回はこのメールをどうにかして欲しいんだ」

「どうにか? 送信してるやつ特定して吊るしあげればいいのか?」

「いや、穏便に済ませる方法を教えて欲しいんだ」

 

 無理だろ。

 無理というのは純粋に送信者を見つけるのと、仮に見つけたとして刻には穏便に済ませる能力が備わってないからな。

 

「とりあえず先週末から届いてるメール見せてもらってもいい? 何かあるかもだから」

「あぁ、もちろん。……だいたいこの辺りだな」

 

 今まで送られてきたメールを全てに目を通すと、まず一つの共通点が浮かび上がる。

 このメールはとある三人の事についてしか書かれていない。この三人は俺も知らない人物──、

 

「これ確か隼人君のグループの人達じゃない?」

 

 ……うん、まぁ俺はまだクラスメイトの名前ほとんど覚えてないからわからなくて当然だったわ。当然じゃダメなのはわかってるけど、そこは置いといて貰おう。いいんだよ、多少覚えてなくても特に問題とか無いからな!

 

「あぁ。それで頼みっていうのはどうしてこんなものが流れたのかを突き止めて欲しい。出来れば、このメール自体を無くして欲しいんだ」

「うん? ちょっと待ってくれ。一つ確認させてくれないか」

「……なにかな。えっと、刻でいいかな? お姉さんと呼び分けたいしね」

 

「あぁ、もちろんだ。それで、お前の頼みというのは迷惑メールが流れた原因の追求とそれを止める事の二つでいいんだな?」

「その通りだけど、何かダメかな」

 

 難しそうに顔をしかめて腕を組む刻。ややあって、目を開いて葉山に言った。

 

「そもそもが無理だ。それは諦めろ」

 

 

 




どうも、わて様です。
やったぞみんな! 今日は楽しみ短編CP祭りだ! やったぜ!!!
下のURLから作品見れるようにしてるから是非見てね!!! わて様たち企画班も全員書いて、計16作品あるよ!!!!

https://syosetu.org/novel/208387/

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