トラウマの原因が覆されたら、その世界はどうなるか。   作:袖野 霧亜

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たまにラブコメの神様は余計な事をする〜②〜

 戸塚からテニスを上達させて欲しいという依頼が来てからだいたい一週間が経過した。

 俺達は平日の昼休みは学校にあるテニスコートを借り、戸塚の練習に付き合っている。

 ちなみに、俺と材木座は、戸塚と同じ基礎体力作りのトレーニングメニューをこなしている。

 俺としても体力作りに丁度良かったし、材木座も最近執筆に夢中で身体を動かして無くて腹に肉が付いてきていて危ないところだった、と言っていたので互いに戸塚に合わせつつトレーニングの日々を送ることにした。

 ところで危ないところだったってどういう事だ、と聞いたら「思い出したくない」とガチの涙目になって震えていたのでこれ以上の追求は止めた。……材木座にはもう少し優しく接しようかな。

 

「わっ」

「彩ちゃん! 大丈夫?」

 

 基礎体力作りのトレーニングを終わらせ、次はギリギリのコースを相手コートに打ち返す練習をしていた。

 すると疲労からか戸塚が脚をもつれさせて転んでしまう。

 おのれ雪ノ下、戸塚の膝小僧に擦り傷が出来たじゃねーか! どうしてくれるんだ! と心の中で言っておく。この一週間で物凄く戸塚に対して甘くなってる自覚を感じており、折本にもそれは無いわーと言われたのだ。口に出したら何が起きるかわからん。中学時代も男に告られた時もかなり怒ってたしな。告白してきた相手に。

 だから今度は戸塚に行くかもしれないので抑えておこう。

 

「へ、平気だよ。まだやれる」

「……まだ続けるのね?」

「うん、せっかく練習に付き合ってくれてるんだから、頑張らないと」

 

 そう言って戸塚は立ち上がるが膝を痛めているため立つのに苦労している。

 頑張ることはいい事だが、さすがに怪我した上で更にやろうとするのはいかんだろ。せめて傷口の手当が優先だ。

 それは雪ノ下も同意見らしく、一先ず休憩という名目で戸塚を休める。その間に雪ノ下は一人、スタコラと保健室に向かう。若干素直になれず素直に治療箱を持ってくるとは言えないまま向かっていったから戸塚が自分に何か非があったのかと落ち込んでしまった。

 しかしそこはさすが由比ヶ浜。すぐさま戸塚に対してフォローしたのでこの場はそれで収まった。

 つくづくこの二人はいいコンビだと思う。互いが互いに出来ない部分を補っているし。

 あれ? 俺必要なくね?

 

「あー、テニスじゃーん。うちらも遊んでいい?」

 

 雪ノ下が戻ってくる間に練習であちこちに散ったテニスボールを拾っていると、葉山率いる陽キャ集団が現れた。

 おいこら葉山。部活動をサボりやがって。俺にもやらせろ。

 そんな視線をぶつけると肩を竦めて苦笑いをする。ちっ、イケメンはなんでも映えるなぁ! 俺もそれくらい出来るようになって……いや違うな。俺はそういうのは向いてない。

 

「三浦さん。僕たちは別に遊んでるわけじゃ無いんだけど」

「えー? ……って結衣? なんであんた最近昼休み居ないって思ったらこんなとこにいたん?」

「あっ、えっと……。ごめんね? 先週から奉仕部の依頼で彩ちゃんの練習にずっと付き合ってたんだ」

「へー。ってそれなら隼人も手伝わないとじゃない? 奉仕部と掛け持ちしてるって聞いたけど?」

 ここで三浦の標的が変更。葉山よ、サボってたツケだ。物凄い勢いで責められてしまえ。

 

「そういえば言ってなかったな。今回の件は俺にやれる事はほとんど無いから雪ノ下さんに全部一任してるんだ。比企谷は聞いてたよな?」

「いや知らん。今初めて聞いた」

 

 葉山のやつ、クラスメイトの前だと雪ノ下のこと苗字で呼ぶんだな。なんか使い分けないといけない時でもあるか? やっぱり付き合ってるのを隠して……おっと、また悪寒が……。

 

「……ま、いーし。で、テニスやっちゃダメなん?」

「う、うん。遊びじゃなくて部活動の一環として先生に許可もらってやってるから……」

 

 葉山のせいで滲み出る威圧のせいで戸塚が押され気味になったが、しっかり断る。あーもうよく出来たな戸塚ぁ! 今すぐ褒めてあげたい! やったら白い目で見られること必至だからやらないけど! やった後折本がさらに怖いからやらないけど!

 

「ふーん、ならあーしも手伝う?」

「えっ?」

「あーしなら色々教えられるし? ねぇいいっしょ?」

 

 結論から言ってそれは出来ない。三浦は部外者で申請を通していないため使ってて見つかった瞬間アウトだ。

 しかし経験者の話も欲しい。でも三浦ってそんな凄いのか? 縦ロール的にテニスが上手くてもなんも違和感が無いので無下に……普通に出来るわ。別に雪ノ下一人で十分だし。というわけでお帰りください。いや、それ言わなくても葉山が連れて帰ってくれ。

 

「ごめん優美子。彩ちゃんが怪我しちゃってこれ以上練習は出来そうにないんだ」

「そーなん? ……ちょい比企谷借りていい?」

 

 えっ? 何故に俺?

 

「うん! いいよー!」

 

 おい由比ヶ浜。勝手に俺をやり取りに使うな。

 

「ありがと。ほら、行くよ比企谷」

 

 あっ、ちょっ、引っ張らないでくださいミウラ=サン! 助けろ葉山!

 

「すまない、今回は優美子たっての願いだからね」

 

 ブルータス、お前もか!

 

 

 

「──勝負っしょ雪ノ下さん」

「……はい?」

 

 次の日の昼休み、三浦と雪ノ下のテニス対決が勃発することになった。

 ……何故こうなった。




どうも、最近一次の書き方を叩き込んでもらったり書き直しをしていたりしていた霧亜さんです。

ここ何日か毎日短編を作り続けていたのでいつもより書き物に触れていた時間が多く感じました。

上手くなったかどうかは置いといて(よくない)、今後の予定をば。

しばらく書いてきた短編を書き直してなろうに出そうかな、と思う次第です。数がかなり多くなってヤヴァイのですが、まぁなんとかなるでしょう。(失敗作も含めると結構ある)

ホントやばいよ俺ガイル上がりの一次創作者達……。俺の10倍くらい凄いもん……。

と、泣き言はこれくらいにして、次回の予告でも。

次回、トラせか! 雪ノ下雪乃VS三浦優美子! デュエルスタンバイ!

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