トラウマの原因が覆されたら、その世界はどうなるか。 作:袖野 霧亜
由比ヶ浜のグループのいざこざから数日後の放課後、バイトが休みなので俺と見学という名目で遊びに来るいつものメンバーと部室へと赴いていた、のだが。
「なんでいるんだお前帰れ」
「あれ、我、もしかして歓迎されてない?」
部室に着くと何故か木刀を腰にかけ茶色のロングコートを着た謎の男、ではなく材木座義輝とか言うやつが居た。去年体育の時お互いパートナーが居なかったのでちょくちょく組んでいたから一応知ってはいる。
「またよくわからんものを書いて見てくれとかだろ。もう腹一杯だから退室していいぞ。あぁ、出口はあそこな」
「ふっ、舐めるなよ八幡。あれからネットや書き仲間に心が治らないレベルにまで砕かれ続けてようやっと出来た作品なのだ。せめてこれを受け取ってからにしてくださいお願いします」
「必死かよ……」
まぁコイツがそんだけ言うんだったらいいだろ。去年から何故か三木に色々仕込まれてたし。
「それで比企谷君、これは貴方宛ての依頼で片付けていいのね? そしたらざい、ざいもく……材津君には一度退席していただいてまた後日来てもらうとしましょう」
「やっぱり我歓迎されてないよね? 寧ろ帰れっていうオーラがヒシヒシ伝わるのだが」
ぶっちゃけ間違っていない。お前がいるとホントに暑いし。筋肉成分が多過ぎるんだよ。一年の時のあの脂肪はどこに置いてった。そして三木、何をさせたらこんなに変えさせられるんだよ。
俺もいずれ教えて貰おう。折本の趣味のサイクリングに付き合うとやっぱり体力と筋肉必要だし。
それにしても、本当に変わったなぁ。あのでっぷりとしてたあの材木座が、厨二病をこじらせまくってたあの材木座がここまで来ると普通にイケメンなんだよなぁ。若干厨二病ご残ってるけどイケメンだから普通に個性になるし。なにそれすげぇなイケメン補正。ズルいぞ! 俺にも寄越せ!
「それに今回はそこまで時間は取りはしない。導入、漫画で言うところの連載開始の一話目までしか用意しておらん」
「そりゃまた。いつもみたいにログ・ホライズンみたいなものは持ってこなかったんだな」
「反省させられた……」
あ、うん全て理解したわ。
ここでさすがに折本が話についてこれ無さすぎて説明をする事に。
掻い摘んで説明すると、去年まで厨二病デブの材木座。ある時からノベル作家になりたいと言い始め、それを個人的に見ていたのだが、どこから知ったのか三木が嗅ぎつけてきた。そこから三木による特訓が始まったのだが。結果はご覧の通りになってしまった。俺と折本がバイトの日に行っていたらしいから知らないのも無理は無い。
「まぁいいわ、とりあえず読むぞ」
「うむ、よろしく頼む」
さてさて内容は……、まーた異世界転生物……? ふむふむ……、ほーん。なるほどなぁ……。
読み始めてから五分。とりあえず読み終えた。
「ど、どうだった八幡。面白かったか?」
「いや、まだ面白いかはわからん。次の話持ってきてくれ」
……いつもの如く俺TUEEEEと現代知識無双、とか思ったけど普通の異世界ものだったわ。最初の頃と比べてるから面白く見えるだけかもしれんし……。
「……文構成がまだ甘い。もっと短く簡潔に出来る」
「む、どこであるか!?」
すぐに三木との話し合いが始まったがとりあえず依頼は解決としておこう。あれはもう奉仕部とは関係無い話だしな。
「ところでざ、ざー? 在庫切れ?」
「材木座な? 何をしてたらそれが人の名前になるんだよ」
「そーそれ! なんであんな格好してんの?」
「……いいか由比ヶ浜。お前が知らなくてもいい世界があるんだ。それがあれだ」
由比ヶ浜は純粋過ぎるのであまり変なものを見せたらいけない……らしい。
クラスの女子達によってああいう変な物を由比ヶ浜に見せない、教えない、植え付けないの三原則を徹底しているので俺もそれに乗っかっておく。てかその制度作ったの絶対三浦だろ。過保護過ぎやしません? 過保護のユミコなの?
「あいや承知致した! では改めて書いて持って参るのでその時にまた頼む!」
「……それは別に奉仕部ではなく、比企谷君に直接頼んでもいいんじゃないかしら?」
そう言うな雪ノ下。折角あまり依頼者の来ない部活なんだから。
ていうか依頼者がまだ二人しかいないからな? 困ってる人とかがいないならいないでそれはいい事なんだけど。
「義輝。なんでまず八幡に直接行かなかったの?」
「む、それなんだが……八幡の周り
「まだかおり達のことビビってたのか……。しっかりしろよ」
「ぐっ、
「その呼び方止めろよ恥ずかしい。姉ちゃんのこと普通に呼べてるのに」
「……矯正が、な?」
「……なんかうちの姉がスマン」
材木座と刻の仲が深まったのを確認したところで、今後の予定を決めていこう。とりあえず材木座の依頼は俺預かりとなり、作品が出来次第持ってくる流れとなった。依頼が完遂されたら雪ノ下に報告し大まかな事務報告さえすれば後はなんでもいい、との事。よし決まったな。じゃあ解散だ帰れ材木──
「──ふっ!」
ビシッと弾く音が材木座の方から鳴る。
……コイツなんで木刀振り抜いてんだよ危ねぇな。一瞬俺の心を読んで攻撃仕掛けてきたのかと思っちゃったじゃんか。
「うわっ、ハエ!?」
由比ヶ浜が騒ぐので目線の先を追うと一応の原型が保たれている蠅の姿があった。まさか木刀で打ったの? えっ、怖っ。
「す、すまぬ!
「義輝、後で校舎裏集合」
「八幡助けて美咲殿に殺される」
蝿ぶっ叩いた木刀持ったまま近寄んな。てかうっかり斬るところだったって木刀で斬れるもんなの? もし止めようとしなかったら普通に蠅のこと真っ二つか爆散させられたってこと? こっわ。ミキーズブートキャンプの成果ならやっぱり俺受けなくていいわ。そこまで極めたいわけじゃないし。
その後、解散の流れになったが三木と材木座の姿は帰り際に無くなっていたことは言うまでもない。
書き出し祭りに参加することが決定致しました。どうも、主です。
書き出し祭りとはなろうで行われるもので、一次創作に限定されたお祭りです。初参戦なのであまり詳しくわかってないのでハッシュタグ付けて書き出し祭りって調べればなんかわかると思います。
そんなこんなでそこに出すための作品を作るためだったり就活で疲れてまったりして更新遅れました。はい、言い訳終わりです。すんません。
次回あたりにかおりと八幡のほんのりとしたイチャイチャらしき何かを書きたいですね。なんやかんやで1回も書いてなかったので。
それではまた次回も首を長くしてお待ちください。