トラウマの原因が覆されたら、その世界はどうなるか。   作:袖野 霧亜

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改めまして、入部する事になります。

「比企谷、改めて言うが奉仕部に入ってくれないか?」

 

 奉仕部に訪れた翌日、平塚先生が放課後のいつも俺達が(たむろ)している俺の所属している教室にわざわざ来た。というか奉仕部に入ってくれ? それに改めて? おかしい、そんな事言われるのは初めてのはずなのに言われたような気がしてならない。正気を失っている間に言われてたのかな? 

 しかし奉仕部にか。バイトもあるから出来ればノーと言いたいが、その前に一つ疑問をぶつけてみるか。

 

「雪ノ下と葉山の2人だけじゃダメなんですか?」

 

 片や学年一の才女、片や校内の人気や人望の厚いイケメン。学園生活を送る上での大抵の事柄ならほぼ問題無い、というか過剰戦力じゃないか? 解決出来ないことなんてそう起きまい。

 

「ダメじゃない。だが、あの二人だけでは足りないんだ」

「足りないことは無いと思いますし、そもそもなんで俺なんです? 他にいるでしょうに適任者なんて」

「もちろんいるにはいる。だが、君じゃなければ駄目なのだよ」

 

 他に当てがあるのに俺じゃないとダメとかそれなんて日本語だよ。あれ、おかしいな平塚先生って国語の担当教師の筈なのになぁ……。

 ていうか放課後にバイトあるから入ったとしてもあまり顔出せないし、折本達とも遊んだりするからあまり入る気分には──

 

「無論、無償でやってくれとは言わない。入ってくれるなら私が受け持つ教科だけでなく理系科目にも成績を少し上乗せして貰えるよう担当の先生方に話を付けておこう」

「──よろしくお願い致します」

「交渉成立だな」

 

 ニヤッといい笑顔を浮かべる教師とそんな教師に対して土下座でもするのかという勢いで頭を下げている生徒の図。これだけ見たら脅迫現場に見えなくもない。いやあの先生? 何でそんなに悪い顔をしてるんですか? 何でそんな「計画通り」とか言わんばかりの顔をしていらっしゃるんですか? 何やらされるの俺? 使い潰されたら用済みだと言わんばかりに殺されちゃうんじゃねぇのか? 

 

「「「「…………」」」」

「うわ怖っ! なんだよ」

「比企谷が奉仕部に……」

「響きが卑猥な部活に……」

「薄い本が描けそうな展開が出来そうな部活に……」

「なんとなく凝視してみた」

 

 刻、もっとマシな理由で見て欲しいんだが。あ、やっぱ見なくていいぞ。野郎に見つめられても得が無ぇ。

 それとなんだそこの女子三人。徐々に危険な匂いが漂う言い方をしていくんじゃないよ。そういう所じゃないから。……じゃなかったよね? 昨日の記憶朧気(おぼろげ)になってるから確信して言えんのだが。

 

「てか比企谷ー、バイトどーすんの? 掛け持ちで出来んの?」

「それについては問題無い。バイトや交友を優先して貰って構わない。ただ暇な時に部室へ顔を出してちょっと力を貸してくれるならそれでいいんだ。どうだ? かなり良い条件だと思うんだが」

「へー」

 

 暇な時に部室に顔を出して何かあればそれを解決のお手伝いをすれば成績を良くしてくれる……。エサにしては随分特大な気がする。そもそも部活として成り立っているのかわからないような部活だよな。二人しかいなかったように見えたし。百歩譲って正式な部活だったとしても平塚先生が他の先生に一個人の成績を割増してくれるように頼んだところで実際に増えるとは限らないし、そもそもこの先生にそこまでの権力とかそういうの持ってるように思えないんだよなぁ。

 思わぬエサにうっかり飛びついてしまったがよくよく考えたらおかしな事だらけの提案だ。やはり先生には悪いが断らせてもらおう。何かあってからじゃ怖いし。

 

「あの先生、やっぱりこの話無かったことに」

「じゃああたしも入ろうかなー」

「は?」

 

 あの折本さんや? なんで入部しようとしてんの? 俺が入るかもしれないから一緒に入るつもりなのか? 何それかわいい、じゃなくてだな。そうか、そりゃあ俺が部活始めるってなったら折本といる時間が少なからず削られるんだからそういう行動に出るのも仕方ない、のか? いやいや、疑問形にしたらダメだろ。一応彼氏彼女だしな。うん、まぁ、それっぽい事ほとんどした事ないけど。

 

「なんだ、折本も入部するのか?」

「だって成績も良くしてくれるんでしょ? 普通に考えたらメリット大きいし!」

「そうか。なら一度試しに行ってみるといい。歓迎しよう」

「あの先生、やっぱりこの話無かったことにするのは出来ませんか?」

「「えっ?」」

 

 さっき言いかけたことをそのまま復唱すると二人してぎょっとした顔で見てくる。いやまぁ、ビックリしてる所悪いんだけど、どうにもエサが口に入りきらないから……。

 

「理由を聞いてもいいか?」

「とりあえず理由としては三つですね。一つ目は他にあてがあるのに俺じゃないとダメとか意味がわからないですし。二つ目に正直俺がいようがいまいがなんでも解決出来そうな二人がいる時点で存在価値皆無になりますし。んで三つ目はいくらなんでも好条件過ぎるところですね」

「へーい比企谷ー。私達とつるむ時間が減るっていう理由が入ってないぞー。なんで入ってないんだーコノヤロー泣くぞー」

 

 三木にそんな事を言っているが、んな棒読みで言われても説得力無いぞ。つーかお前だってたまにふらっと消えてるだろうよ。探しても見つかんねぇし。

 

「まぁとりあえずそんなとこですね。ぶっちゃけこんな好条件だと見返りとして何を持ってかれるかわかったもんじゃないですからこの話は無かったことにしたいわけなんですよ」

「そうか、つまりとにかく馬車馬の如く扱ってくれた方がまだ入部する意欲があったと」

「それはそれで無いですよ! 嫌ですよ俺、社畜みたいな事するのは」

 

 一時期現在進行形で社畜になっている母ちゃんと親父を反面教師にして専業主夫として家庭を守っていこうと考えていた俺からしたら絶対に避けたい事案だ。

 

「そうか、なら一つ課題、というよりあの二人に君がしなくてはいけない事を教えてあげよう」

 

 そう言うと先生は俺の耳に顔を近づけてくる。いやいやいやいや待て待て待て待て近い近い近い近い! ビックリしちゃうでしょ! 俺の心の一番目と二番目が埋まってなかったらかなり危ないところだったわ! 

 そんな風に少し慌てていると先生が小さい声で、

 

「君がやったことのツケを返さないといけないんだよ」

 

 と、囁いてきた。




若干物語の修正やらいつ戸塚を出すかでめちゃくそ頭使ってたらこんな投稿期間が開きました。どうも、主です。

物語の修正とは言ってもあれです、ゆきのんと隼人の性格面の修正やらなんやらです。基本的には前回と同じ感じではありますが、今後の流れだとあの感じのままでは物語がほんとに生温くなるので少し難易度ルナティックを加えて改編させていきます。まぁ私の腕ではそこまでのものが出来るとは思っていませんが。(謙遜)

あと戸塚きゅんだけど、彼って原作だと八幡の孤高(?)さに惹かれてたんです……よね? だから今の八幡だとそこまで親密になれないんじゃないかなって。個人的に彩ちゃん好きなので出したいんです。キャラソンもキュンキュン来ますし。あ、俺のそんな話どうでもいい? そうですか……。ま、まぁ、そういう訳なのでこれも若干軌道修正して行くつもりなのです。なのです!(確固たる決意)

あ、あとネタばらしにならない程度に今後の予定ですが、まず結衣ちゃんのお悩み解決、サキサキのやーつ、文化祭、体育祭って感じになるはずです。気まぐれで八折要素が大さじ10くらいのものを書いたりするかもしれませんが、あの二人、実はまだ手を握ったくらいしかしてないのでその話を書いたりするかもしれません。え? 下の名前で呼ばせないのか? キスはまだしてなかったの!? ですって? …………。まぁ、八幡ですし。

んでまぁ結論から言うとこの作品は受験シーズンの息抜きで書き始めた作品で見切り発車で作った作品だから、内容はほとんど今年の春〜夏の間使って考えてました。あっ、そう考えるともう書き始めて3年以上経ってるのか……。遅筆もいい所だね☆

そ、そんなわけで毎度の如く遅れてごめんなさい! 完結にはあと4年近くかかるかもしれないけどそれまで俺ガイルを好きでいてくれると助かります! では最後に一言だけ、



小町最高!



また見てね☆

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