トラウマの原因が覆されたら、その世界はどうなるか。   作:袖野 霧亜

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色々なお話は後書きで。


時は過ぎ去り、比企谷八幡は切に願う。

 クラスの奴らに囲まれた日から時が経ち、朝のSHRで担任から回された紙切れをぼんやりと自分の席で眺める。

 この紙切れ一枚の為に頭を悩ませなくてはならない生徒は数多くいるだろう。俺もそのうちの一人だ。何故にこんなものを作らなきゃならんのだ。学校側からやらせるようにしないと進学先を決めないのかうちの生徒は。まぁ俺もやらされない限りたいした準備とかしないけどな。

 とりあえず行こうとしてるところは決まってはいるから別にどうでもいいが。併願? 理数科目が息をしてないからそこまでいい所には行けないから関係ないな。一応とってはおくけど。

 

『『「「「うーん……」」」』』

 

 いつもの女子メンバーは俺の周りで頭を抱えたまま唸りをあげている。やはり二年の冬間近でもあまり進学先を決められていないようだ。そこまで悩むようなことあるのか? いや確かに俺も悩みはするがここまでではないぞ? いやいや、本当だよ? ハチマン、ウソツカナイ。

 

「んで、なんでお前ら俺を囲うようにしてるわけ? 新手のイジメでも始めるつもりか?」

「そんなことするわけない無いでしょ。なんで未だに自虐ネタが健在してるんだし。さすが比企谷ウケる」

「じゃあ早く自分の席に戻れ。授業始まるぞ」

「うーわ、自分の彼女をそんな無下に扱うなんて酷ーい」

「本当にそう思ってるならもう少し感情を入れてくんない? 棒読みが過ぎると愛犬AIB○より酷いからな?」

 

 アイツの方が感情読み取りやすいんじゃないかってくらい感情が無かった。もう少し良い反応とか出来ませんかね俺の彼女様は。

 

「比企谷君、高校はどこ行くつもりなの?」

「総武」

「……Pardon?」

「何故に英語……。総武だって」

「なんでそんな頭のいい所に?」

「なんでって……。いや、とりあえず家から通えてこの学校から誰も行けなさそうなとこに行こうかなってだけだが」

 

 仲町さんの疑問もわからなくもない。今の俺なら同中が沢山いそうな所に行っても問題は無いかもしれないが俺に対するヘイトが消え去ったわけじゃない。あとアイツ。あの男子なんて言ったか忘れたが俺に好意向けてくるアイツ。そいつから離れる為でもある。むしろそれが大部分と言っても過言ではない。

 それに総武だぞ? 進学校だから雪の影響で学校が無くなることもあるんだから見返りは大きい。うっかり自称進学校に行ってしまえば雪の中でも始業時間ずらしてまで登校させにくる。頭おかしいんとちゃいます? まぁ関東に雪が降ることなんて滅多にあるものでは無いけど。

 

「じゃああたしも総武にしーよっと」

「は?」

「私も」

「ひ?」

「私はたぶん無理だから海浜総合かな」

「ふ?」

『私も無理』

「へ?」

『私も』

「「ほ?」」

「誰だ被らせてきたの」

「あたし以外に誰がいると思う?」

「それもそうだったわウケる」

「……ひひっ」

 

 最近折本は俺がウケるという度に不思議な声を漏らしながら手で顔を隠して身体を背けるようになった。ホントに何があったんだこいつの中で。

 

「とりあえず仲町さんとかは一緒に来て欲しい気もするけどな。折本の面倒を見る係として」

「ちょっと比企谷、それは彼氏たるあんたの仕事じゃないの?」

「あー、ゴメン比企谷君。将来的に他の事で手が離せない状況になると思うから遠慮しておくね」

「最近周りの人たちが保護者目線になってきててウケる!」

 

 まぁ実際俺たちの周りで何かしらの問題やらなんやらが出てきたら九十九割方折本が発生源だからしっかり見てないと厄介事が増えそうでたまらない。いや、そこまで大きいものじゃないからいいんだけどね? 

 

「そういや折本って成績どれくらいなんだ? 一度も聞いたことないけど」

「…………」

「おい?」

「……海浜総合に行けるかなーくらいです」

「絶望的じゃねぇか」

 

 海浜総合と総武だとかなり偏差値に差があるから運が良ければで入れるレベルじゃないぞ? え、もう無理じゃね? まぁ別の学校に通うことになったらそれはもうしょうがないと思うけども。諦めは肝心だぞ。

 

「うわーん助けてミサえもーん!」

「全くしょうがないなぁかおり君は。てれれってれー、万能弟〜」

 

 なんだこの茶番。つーか万能弟? 三木って弟なんていたのか? いやそもそも弟に勉強教わるってどういう事ですかねぇ。俺たちより頭脳明晰なんですかわかりたくないです。

 

「放課後にでも頼みに行こう。善は急げとかいう四字熟語を知らんか」

「ことわざだろ。4文字だからって理由で四字熟語にカテゴライズするな」

 

 まぁこんな間違いをテストでやるようなやつはいるとは思わないけどな。三木さんもお巫山戯が過ぎますことよ? 一瞬騙されそうになった方が若干名いますがねぇ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「かくかくしかじか」

「ふむふむ、まぁだいたい理解したよ」

「今ので何がわかったのか教えて欲しいんだが」

 

 時は放課後、場所は二つばかり教室を飛ばしてここは三木の弟がいるというクラスの前。どうやら双子の弟だったらしい。よかったー、歳下に勉強教わらなくて。もう中学レベルで歳下に教わってたら歳上の面目丸潰れじゃ済まないわ。いや、塾とか通っててもう俺達の所までやってるって言うなら話は別だけどね? 

 

「勉強くらい自分でやった方が効率的なのになんで俺に頼むの?」

(きざみ)に教わった方が優しい&塾とかに行かなくて済むからね」

「その分報酬としてコンビニデザート一品要求したい」

「前払いで買ってきてあげるから」

「交渉成立」

 

 双子ってスゴい。「かくかくしかじか」しか言ってないのに相手にちゃんと内容が伝わるんだもん。俺も小町とそれ位仲が良くなることってあるかな。無いよね。わかってたよ畜生め。

 

「比企谷八幡、だったっけ? 俺は弟の刻だ。よろしく」

「あー、まぁよろしく頼む」

「とりあえず勉強出来るところに行こうか。図書室でいいか?」

「あぁ、まぁ基本折本に教えて貰えると助かる」

「いつもごめんねー刻」

「今度のは受験勉強、それも総武高校なら更にビシバシやらないとな」

「……お手柔らかにお願い」

 

 なんで既に行こうとしてる高校までわかってるのん? 怖っ、三木姉弟怖っ。

 これ以降、俺たちは刻(姉と混ざるから下の名前で呼べと脅された)を講師として付いてもらい勉学に励んだ。もちろん学校行事が来たらそれを全力で楽しむ事を忘れず、ひたすら志望校を目指して勉強を続けた。

 ちなみに俺も何故か特に理数系の科目を死ぬほどやらされた。特に数学と物理。計算問題を無理矢理詰め込まれて夢でも計算している夢を見ちゃう所にまで達していた。小町にも心配されたよ。目が虚ろになりながらも問題を解いてる兄を見て心配をしない肉親はいないとは思うけど。

 そして時が経ち、総武高校の合格発表日になった。

 

「一年と二ヶ月……、長かった。本当に長かった……!」

「落ち着け折本。ずっと勉強で辛かったのはわかるがせめて合否を見てからそうなれ」

「いいじゃん、どうせ受かってるんだし」

 

 事実、俺と折本、それから三木姉弟は受験後自己採点をしてみたらかなりの点数が採れていた。おそらくこれなら受かっているんじゃないかという進路相談を担当する先生からの御墨付きなので多少は気分が楽なのである。だからと言って絶対受かっているわけでは無いから心臓の鼓動がうるさいけどな。

 そう、ただ受かっているかどうかで緊張しているだけなのだ。決して折本が俺の左腕にしがみついているから緊張しているのでは無い。あー、顔があっついなぁ! 

 

「ヒューヒュー、お暑いねぇ二人とも」

「全く、俺のスマホの容量がお前達の写真で一杯になってしまう」

 

 からかう三木と俺達の写真を撮りまくる刻。何時もの光景になったこのやり取りも合否次第で無くなってしまうかもしれない。そう思うと何故だろうか、俺だけ落ちてるんじゃないかという気持ちが湧き出てくる。大丈夫だ、落ち着けと頭の中で言い聞かせていると左腕の締め付けがキツくなった。おそらく俺の不安が伝わってしまったのだろう。

 これ以上心配かけまいと笑ってやると何故かツボに入ったのか口に手を当てて笑い始めた。解せぬ。

 

 そんな事をしていると目の前に見知った、というか見知りすぎている人を見つけた。

 

「あ、比企谷君とかおり。それと美咲と刻じゃん」

「あれ千佳? なんで総武に?」

「私もダメ元で受けてみた」

「へっ? ダメ元?」

 

 ダメ元なわけが無い。何故なら仲町さんは得意科目が五科目の中に無く、平均的な点数を勉強会を始める前から採っていたからこの長い月日をかけて勉強を続けた仲町さんの学力が上がっていないわけが無い。証明終了。

 

「そーそー、千佳でダメ元だったらあたしは絶望的になるかんね?」

「さり気なく俺の思考を汲み取った上で会話を続けるな。お前一体何者だよ、いやマジで」

「比企谷八幡の彼女者だけど?」

「…………」

「…………」

「照れるなら言わなきゃいいのに」

「行こうか仲町。こ奴等はいつまで経ってもウブすぎる」

「ホント、いい加減慣れたらいいのに」

 

 俺もいい加減慣れたいと常々思ってますとも、ええ。

 

「それよりそろそろじゃねぇか? 合否発表の」

「うっ、緊張が……」

「かおりがキャラ崩壊してる」

「それどういう意味!?」

「あ、来たみたい」

「無視された! ウケたい!」

 

 緊張し過ぎだろ。大丈夫か? いつもならウケるとか言ってるのになんで願望になっちゃってるの? 故障しちゃったのん? 

 

『えー、ただいまより合格発表をしたいと思います。受験者は自分の受験番号をこちらに用意してある紙から探してください。それでは貼ります』

 

 筒状に丸められていた紙をホワイトボードに広げて磁石で固定させていく。さて、自分の番号を探すかねっと。

 

「…………あっ」

 

 あった。

 

「…………やった」

 

 左隣からポツリとそんな声が聞こえた。折本の方を向くと折本もまた俺の方を向いていた。

 アイコンタクトで確認し合う。どうやらお互い合格出来ていたらしい。

 

「「…………よっしゃあああ!」」

 

 少しずつ現状を飲み込めるようになってじわじわと腹の底から歓喜やら何かがこみ上げてきた。達成感が半端じゃない。頑張ってよかったぁ! 

 

「八幡達も受かったみたいだねぇ」

「姉貴と仲町も受かってよかったじゃん」

「よ、よかったよぉぉぉ……」

 

 ふぅ、少しずつ落ち着いてきた。そろそろ提出物を貰いに行かないと……。

 

「ん?」

「あり?」

 

 何故に俺は俺は折本を抱き締めていて、折本は俺に抱きついているんだ? え? この状況何? 

 

「…………す、スマン折本!」

「…………ご、ゴメン比企谷!」

 

 俺のバカ! 何普通に折本のこと抱きしめちゃってるの! バーカバーカ! アホ! 八幡! 

 

「あの初ップルは置いておいて先に行っちゃおう」

「待て姉貴、せめてあと十枚くらい写真を撮らせろ!」

「二人とも先に行ってるからねー」

 

 かくして俺達の中学生活は終わりを迎え、春休みが明ければ晴れて総武の生徒となるのだった。

 

 

 出来ることなら、高校生の間に折本との進展がありますように。




 どうも! 主こと霧亜でっす! 遅れてごめんなさい! テストと合宿の準備で死んでました! それとプラスで大事なお話があります。


ゲーム作ることになりました(白目)。


 まぁ待ってください。私も何言ってるのかわかってないです。何故そんな話になったのかすら知らないです。ホントに遊びで作ろうって言われただけなんで。

 『おしゃべりタイム』、皆様ご存知ではないと思いますので説明を。これは私のリア友で結成された団体でして、主な活動としては動画投稿とかです。そのメンバーから突然団体LINEから「ゲーム、作ろうぜ☆」っていう誘いが来たからつい乗っかってしまいました☆

 私の役目はお察しの通り、大まかな流れとチャプター事の発生イベント作り。それと会話文と書物の内容文を作ることです。残りは皆と相談しつつ俺がまとめるという形で。

 このゲームは春休み中に完成させようという急ピッチ作業なのでまた投稿期間が空いてしまいます。お詫びとしましてここまでのお話を全て若干ではありますが書き直しました。

 投稿期間が空いてしまう事で有名な私のですが更に空いてしまうことをお許しください。私の役目が終わり次第またこちらも再開させていきます。

 ちなみにフリーゲームなので完成させれたら気軽に遊んでくれると幸いです。

 長文失礼しました。

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