トラウマの原因が覆されたら、その世界はどうなるか。   作:袖野 霧亜

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初デートは買い物で始まる。〜①〜

 土曜朝九時半の千葉駅。今日までに折本と話し合いでどこに集まるかを決めたり小町にファッションチェックをされたりで忙しない日々だった。初めての女の子とのお出かけなので気持ちが先走りしてしまい集合の三十分も早く着いてしまった。

 時になぜ集合場所が千葉駅なのかといえば、この駅の最寄にあるららぽで買い物をするからだ。……小町とお袋で経験しているが女の買い物は長いから回避したかったが仕方ない。せっかくの初デートなのだ大目に見てもいいだろう。なぜ上から目線になってるんだ俺は……。

 

「──がや」

 

 そういえば漠然とららぽに行くことは決まってはいるがどこら辺を回るか決めてなかったな。意外とあそこは広いから一日かけて買い物か? 休日は家でゴロゴロしてるか小町の買い物にたまに付き合うくらいだから体力には自信ないぞ。

 

「──きがや」

 

 つーかもし女性服売り場に連れていかれたらどうしよう。さすがに不審がられるだろうし店の外で待っていたい……。

 

「──えいっ」

「うひぃ!?」

 

 突然脇にくすぐったい感覚が襲い掛かってきて変な声が出てしまった。いきなり脇に手を差し込んできた折本は誰だ。折本って思いっきり言ってるじゃん。

 

「くっ、なに比企谷。今の声ちょーウケるんだけど」

「普通に呼べないのかよお前」

「呼んでるのに反応しなかったじゃん」

 

 はて? そんなことされたか? 思いの外深くまで考え事をしていたらしい。いや、おそらくそれだけじゃないだろうけど。

 

「そうだったか。すまん」

「まぁあたしとしては面白いもの見れたからいいけどね」

「ホントに不意打ちで脇を擽りにくるのやめてくれ」

「そんなことより早く行かない? ほら時間は有限だし!」

 

 話をそらされた……。コイツにやられて初めて気付いたけど脇って思った以上にこしょばゆいから不意打ちされると変な声が出て死にたくなる。いや、教室でやられたら恥ずかしいからね? 恥ずか死するからね? 

 

「まぁたしかにそろそろ行かねぇとな。初デートでグダグダするのは鉄板ネタだがせっかくなら楽しみたい……し?」

 

 お、おや? 折本がポニョのように真っ赤っ赤になってしまったぞ? 如何致したのでしょう? 

 

「……比企谷」

「な、なんでしょう?」

「……あまりそういう事ほいほい言わないで。心臓がもたない」

 

 そういうとスタスタとららぽの方に向かって歩いていってしまった。そういう事? そういう事ってどういう事だ? よくわからん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほ〜、比企谷もなかなか攻めてるねぇ」

「ねぇ美咲。私達一体何をしに呼ばれたの?」

「第一回・かおりと比企谷のデートを付けよう二十四時」

「なるほど、いじるネタ探しね」

『ちょっとお二人さん? 言い方が酷くない?』

『バレたらタダじゃ済まなそうなんだけど』

「じゃあ二人は帰るかい? 面白いもの見れそうなのに? 例えばさっきのかおりの照れ顔とか」

『『よし行こう是非もない!』』

「よし、二人が乗り気になったところで早く追いかけよう。あっちの方向って確かららぽだし見失っちゃう」

「途中参戦とかは?」

「無しの方向で」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ところで折本。どこから回るつもりなんだ?」

 

 折本も買いたいものがあってららぽを選んだんだし、そこから絞って行くのがベストだろう。少しでも楽したいからな。

 

「買うわけじゃないけどとりあえず服からかな。もちろん比企谷のも合わせるからね」

「は? 俺も?」

「何その顔! ウケる!」

「いやウケねぇから。え、何? 俺も服選ばなきゃいけねぇの?」

「そりゃそうでしょ」

 

 さも当然のように言う折本に顔をしかめる。めんどくさい。いや、服ってよくわからんけど種類が異様に多いじゃん? その中から自分に合ったのを探しだすのがとてもめんどくさい。この気持ちわかる人いるかな? あ、俺だけなのかそうなのか……。

 

「いやなの?」

「まぁ面倒っていうのが一番の理由だな」

「ふーん、じゃあぱぱっと済ませちゃおう」

「あぁ、俺のはそれでいいが折本はゆっくりでもいいぞ」

「? どういうこと? 面倒だって」

「面倒なのは自分の服探しであって別に買い物そのものが面倒なわけじゃない。それに小町で慣れてるしな」

「なるほどねー。比企谷は小町ちゃんの服とか選んであげたりするの?」

 

 さてどうだろうか。たまにどちらを買うかで悩んだ時に聞かれたりするが大抵俺が選んだのじゃない方を選ぶからな小町のやつ。たまに一から選ばされることがあるけど全部没にされたし。俺にはこう、そういうセンスが無いんだろう。だから今回も棒立ちになる自信がある。

 

「小町は自分の好みをちゃんと理解してるところあるから俺は荷物持ちなんだよ」

「ふーん……。よし、今日の予定決まり!」

 

 今の会話で何が決まったんだ?

 

「今日は比企谷の好みと何が合うのか徹底的に調べる! ついでに私の好みを知ってもらう!」

「はぁ、なら先に俺のからでいいか?」

「ダメ、それだと比企谷のことだからお昼で話をすり替えて私の買い物にするつもりでしょ?」

「何お前エスパーかなんかなの? まるっきりそのまんまの行動しようと思ったんだけど」

「そういうことだから。……ところで比企谷、眼鏡は?」

 

 眼鏡? あーそういえば掛けてくるの忘れてた。学校では念を押されてるから持っていくけど、今日はそもそも存在を忘れてた。

 

「はぁ、これなら昨日比企谷から眼鏡預かっておけばよかった」

「すまん、すっかり忘れてた」

「いいけど、次は気を付けてよ? またやったら(くすぐ)りじゃ済まさないからね?」

「肝に銘じる」

 

 脇を人質にされてしまったからにはきちんと持ってくるようにしなくちゃな。

 

「よっし、まずは私のからだから……あっちからかな。行こっか」

「はいよ」

 

 とはいえ女子の買い物は長いと相場が決まってるからな。出来るだけ俺も折本の買い物の時間を引き伸ばして俺に割く時間を無くしていく作戦にしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……バカな」

「どしたの比企谷、そんな絶望しきった顔して」

 

 現時刻は午後の一時。そこそこに腹も減ってきたところでららぽにあるフードコートで昼食をとることにした俺と折本。

 絶望しきってるかはさておき、想定の二分の一以下の時間で終わったのは驚きだ本来なら五、六時間くらいは粘ろうと思ってたんだけどなぁ……。

 

「ま、自分に合う服とお店は知ってるからね。そりゃ時間もそんなにかからないよ」

 

 そ、そんなんチートやチーターやん! ワイはこないなこと認めへん! 認めへん! 大事な事だからもう1度、認めへん! 

 ふぅ、少し落ち着いた。やはり気を沈めるにはキバ○オウさんに限るな。

 

「じゃあお昼食べたら次は比企谷の服探しに行くからね」

「……へいへい。わかっ──」

「ん? どしたの比企谷」

「あ、いや何でもない」

 

 気のせいか窓の外に見覚えのある顔が二人いた気がしたが……、まぁ気のせいだろう。俺に顔見知りすらいなかったしな。自虐で胸が痛くなってきたが気にしない方向で。

 

「ふーん。とりあえず覚悟しときなよ。へとへとになるまで連れ回すからね」

「……御手柔らかに頼む」

 




やっほ〜! ???さんだ! ちょっと後書き長いって言われたから今回は一人でやっていくことにするよ!
とりあえずだいぶ遅れてしまったことを深く謝罪しつつ今後の予定を言うよ。
ひとまずほんの少しずつ書いてってるんだけど、書いても1日500文字くらいだから出すのはだいぶ遅れちゃうね。この作品3000字ギリギリいかないぐらいの文だから早くても6日かかるくらいの計算だね。まぁ気分が乗れば1日2日で書くけどね。今は俺ガイル12巻発売の影響で創作意欲高めになってるけどね。


とりあえず報告は以上かね。あ、そういえば本文では八幡が誰かを見つけてたね! 誰なんだろう。私! 気になります!
たぶんどうせあの2人だろってなると思うけどね。

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