9話突入。
段々、タイトルに無理が出てきて、焦ってる。
それではご覧ください
風音の部屋に泊まった翌日の放課後。俺達は大志の依頼で姉の不良化の原因を調べている。途中で彩加に会い、由比ヶ浜が勝手に相談内容を言って、協力してくるとのこと。お前ぺらぺらしゃべりすぎ・・。守秘義務というものを知らないのか。
そんなわけで俺達は校門前で作戦を練っている。現在のメンバーは、俺、風音、雪ノ下、由比ヶ浜、小町、彩加、大志の7人だ。
雪乃「少し考えたのだけれど、一番いいのは川崎さん自身が自分の問題を解決することだと思うの。誰かが強制的に何かをするより、自分の力で立ち直った方がリスクも少ないし、リバウンドもほとんどないわ」
八幡「そりゃそうだろ」
不良に限らないが、自分の行動を他人にあれこれ言われるのは腹がたつだろう。例えば、親に勉強しろと言われて、やる気をなくす。これと同じだ。
雪乃「まず、一つ目の案はアニマルセラピーよ。動物と触れさせ合うことで彼女の心のケアになると思うの」
大志「あ、すんません。姉ちゃん動物アレルギーなんでダメだと思います」
はい没。次
八幡「平塚先生に話してみたらどうだ?あの人他の教師より生徒の関心が高いし、生活指導を担当している。むしろこれ以上ない人選だと思うが」
彩加「あ、それいいかも。親だと近すぎて話しづらいこともあるだろうし。やってみようよ」
彩加の賛成の意に他の奴も頷いて納得した。そうと決まれば連絡だ。先日、先生に無理矢理ケータイ番号交換させられたのが功を奏したな。
八幡「・・・あ、先生ですか?実は・・・・」
平塚先生に事情を話し、ここに来るよう約束を取り付けた。
5分後、ヒールをカツカツ鳴らしながら俺達にもとに先生がやってきた。
八幡「あれ?早かったですね」
平塚「うちの生徒が深夜バイトしてるという由々しき事態にのんびり等してられないだろう。これに限っては緊急性を要する。私が解決しよう」
ふっふっふ、よ不敵な笑みを浮かべる平塚先生。何か勝機でもあるのか?
平塚「君たちは見てたまえ。2分ほどで戻る」
あれ?何でだろう、頼もしいこと言ってる筈なのにこの不安は・・・。嫌な予感しかしない。
そしてその予感は見事に的中してしまった。
平塚先生は川崎を呼び止めて、朝帰りの話を切り出していた。それからしばらく口論になって、イケるか?と思っていたら、先生はうなだれてトボトボと川崎から離れていってしまった。何言われたのか大体想像できるが口には出さないでおこう。そして一方の川崎はずっと無表情を貫いていた。その分余計ダメージがデカい。先生、南無三!
はい次
結衣「やっぱり女の子が変わることなら、こ、恋とかじゃ、ないかな?」
なにやらとても恥ずかしいことを口走りやがったぞ、こいつ。その提案で何故か由比ヶ浜は、あの甘ちゃん博愛主義者、葉山を連れてきた。
あとなんで今時のJKは何でも色恋沙汰に話を繋げるのだろうか。常に脳内では妄想が働いてるのか?それまたずいぶんcongratulationな頭ですこと。深夜バイト=恋?(ヾノ・∀・`)ナイナイ。
隼人「それで、なんで俺なんだ?」
結衣「え、だって隼人君モテるし」
確かにこいつは見た目はイケメンだからな。さぞ女の子におモテになっているんだろう・・。
隼人「え、いや、それで俺?・・ヒキタニ君とかはダメなの?」
八幡「あ?お前彼女の前で女口説けっつってんのか?ふざけんじゃn
風音「ダ、ダメ!八くんが口説いていいのは私だけだよ!誰にも渡さないから!」ダキッ
八幡「うお!ちょっと風音!」
いきなり何やってるの風音!ほらみんなポカーンとして見てるから、おい小町、そのニヤニヤした顔やめろ、無性にチョップしたくなる。
風音は自分が何をしたのか理解し、顔を赤くして俺の胸板に顔をうずめてきた。それにしても、嫉妬した風音、可愛かったなぁ、写真撮りたかった・・。
隼人「そ、そうだな、すまない、失言だったよ。・・・・それじゃあ結衣、何か聞いてくればいいのかい?」
結衣「うん、最初は雑談程度で、こっそり聞き出すみたいなことしてきて」
隼人「努力するよ」
由比ヶ浜にそう告げて、葉山は川崎の下へ向かっていった。
葉山の様子を見てるみんなに対して俺と風音は携帯を取り出し調べ物をした。それは大志の言ってたエンジェルなんとかっていう川崎のバイト先だ。いくら朝帰りでも遠くまでは行くわけないと思い、近辺でエンジェルと名の付く店を探している。OK Google!
八幡「どうだ?風音」
風音「この辺だと『えんじぇるている』っていうメイド喫茶かな?そこと『エンジェル・ラダー』っていうバーがあるよ」
うむ、やはりな。俺も全く同じ結果が出た。だが行ったところで俺達に事情を話してくれるとは到底思えない、いくら弟からの依頼でも、家庭の事情に首を突っ込まれるのは迷惑極まりないからな。あと一つ言いたいことがある。
八幡「なあ、いつまでそうしてるんだ?」
風音はあの時抱き着いてから腕にぴったりと張り付いて一向に離そうとしない。
風音「しばらくこれがいい♪」
調べ終わった俺達は静かに葉山を見守りながら待った。
時折腕に当たる柔らかいモノに幸福を感じていたら、浮かない顔で戻ってきた。お前もかよ・・・何言われたんだ?
隼人「アハハ、なんか俺、フラれたみたいになったんだけど・・・」
八幡「お前何言われたんだよ・・・ま、ご苦労さん」
微苦笑を浮かべる葉山に対して、俺は、同情の意を込めて労いの言葉を送った。そして俺と風音は、先ほど調べた川崎のバイト先について話を切り出す。
風音「さっき八くんと、大志君が言ってたエンジェルなんとかっていう店を検索してみたんだけど、この辺りで二店見つけたんだよ、おそらくそのどっちかで働いてると思うんだ」
雪乃「あなたたち、いつの間にそんなことをしていたのね・・・」
八幡「いや、考えてみろよ、そもそも家族にすら教えてないことを、他人の俺達が聞けるはずがないだろ」
雪乃「確かにそうね、でもその言い分だと、たとえバイト先へ行ったとしても、話を聞くことはできないんじゃないかしら?」
八幡「そうなんだよな~、そこが唯一の問題点なんだよ・・」
風音「取り敢えず、今日はここまでにしない?中学生もいるんだから夜遅くまでいられないし。明日にでも、その二つの店に調査しに行くことでいいんじゃない?」
雪乃「そうね。バイト先が絞れた事と、川崎さんは誰にも話す気はない事がわかっただけでも収穫はあったわ。ここまでにしましょう」
確かに収穫はあった、けど、依然として原因は分からずじまいだ。何故2年から始めたのか、深夜に働いているのか、誰にも話さないのか、金がいるのか、遊び目的でない事はすでに明白だ。
隼人「なぁ、俺がやったことって意味あるのか?」
某フリーゲームのコトノハの如く、手掛かりになりそうなキーワードを並べて試行錯誤していると、唐突に葉山に話しかけられた。
八幡「あー、すまんな、由比ヶ浜が迷惑かけたみたいで。お前にとっちゃ、あまり気の進まない仕事だよな。奉仕部への貸しにしといていいぞ」
隼人「いや、別にそういう目的で聞いたわけじゃないんだ」
八幡「そうか、んじゃ、俺達は帰るからな」
隼人「ああ、また頼んでほしいことがあったら呼んでくれ。できる限り力になるよ」
葉山はそう言い残して、この場を去った。あいつ何でこんなに協力的なんだ?無関係なのに・・。
終始腕を離さなかった風音に、今夜も泊まることを約束し、帰路に就いた。
≪風音の部屋≫
八幡「さて、どうしたものかね・・・」
風音「う~ん、あんなに頑固とは・・・。本人の口から聞くことは不可能だね」
八幡「ああ、あの様子だと、たとえバイト先へ行ったって一切喋らないと思う。せめて、理由が分かれば、いや、分かったとしても俺らで解決できるかどうかという話になってくる」
風音「一回大志君に何か聞いてみたら?せっかく連絡先交換したんだし」
・・あ、そうだ、忘れてた。
八幡「すっかり忘れてたわ。早速連絡してみる」
・・・・・・ガチャ
大志「はいっす、どうしたんすか?」
八幡「ちょっと聞きてぇことがあったから電話した。早速本題に入るぞ。
・・まず、川崎がバイトを始めたのは2年になってからって言ったよな、それと同時に家族の間で何か変化が起きたか?」
大志「家族でっすか・・・・。あ、そういや、俺なんすけど、受験生になったんで塾に通うようになったっす」
塾か・・・・。
八幡「そうか、次は、お前の姉ちゃん自身についてだ。あいつがバイトをする理由を思い当たらないか?」
大志「うーん、ダメっすね。うちは共働きなんで、そこまでお金に困ることはないっす」
クソッ、やっぱり知らないか。・・・少し頭を柔らかくしよう。学生がバイトをする理由は、遊ぶ金、将来の軍資金、・・・・将来。
八幡「なあ、お前の姉ちゃんは進路どうしてるんだ?」
大志「え、姉ちゃんは高1からずっと大学行くって言い張ってたっす。そのために予備校に行ったりしてるみたいで」
八幡「・・・そうか。わかった、サンキューな」
大志「はい!よろしくお願いします!」
風音「どう?何かわかった?」
八幡「少し時間をくれ」ドロドロ
【ロットアイ】を発動させ、今まで聞いてきた言葉を思い出し、それらを繋ぎ合わせ、一つ一つ錠を解いていく。
―――『前はすごく優しくて、下に妹と弟がいるんすけど、結構面倒見てて、飯も作ってくれてたんす』
―――『俺が聞いても『関係ない』の一点張りなんす』
―――『受験生になったんで塾に通うようになったっす』
―――『姉ちゃんは高1からずっと大学行くって言い張ってたっす。そのために予備校に行ったりしてるみたいで』
―――『彼女は優しいと言われてるのだから、心配を掛けたくないという思いがあると思うわ』
―――『うちは両親共働きだし』
・・・・成程な。
八幡「フゥ・・風音、悪いが用意してもらいたい物がある」
風音「え、何かわかったの?」
八幡「ああ、ただ解決するのに必要な物があるんだ」
風音「うん、わかった!何が欲しいの?」
八幡「ああ、実は、”―――――――”が欲しいんだ」
風音「う~ん、まだあったかな、ちょっと探してみるね」
八幡「おう、悪いな」
風音はごそごそと机を漁り始め、俺が求めている物を探す。これは解決するための重要なカギになってくる。
――――数分後
風音「あったよ!」
そう言って俺の手元に与えられたのは、複数の紙の束である。
八幡「よし、これだ。ありがとな、風音」ナデナデ
風音「えへへ♪でも、それ何に使うの?」
八幡「明日になってからのお楽しみだ。もう寝ようぜ、ちょっと疲れた」
風音「お疲れさま。じゃ、お休み」
俺と風音はベッドインし、眠りにつこうとしたが、俺は風音の不意を突いて抱きしめた。
風音「えっ//八くん急にどうしたの?//」
八幡「いや、ただこうしたかっただけだ。嫌か?」
風音「嫌じゃないよ、嬉しい//」ギュウ
八幡「寝心地いいな。お休み」
風音「私も安心して寝られるよ♪お休み」
今度こそ俺達は深い眠りについた。
《翌日》
放課後の夜、昨日の葉山、平塚先生、大志、小町を除くメンバーで、エンジェルと名の付く店にやってきた。夜も結構更けてきたから、中学生組は待機だ。
まずは『えんじぇるている』というメイド喫茶に行く。はっきり言うが、先生と葉山を追い返した時点で、メイド喫茶というメルヘンチックな場所で働いてるとは思わないんだが・・。
結衣「へぇ~、ここってメイドの体験もできるみたいだよ」
雪乃「それは都合がいいわね。それを利用して、お店の裏側を調べるわよ」
メイドの体験か。風音のメイド服姿・・・・この目で見てみたい!写真に収めたい。
風音「メイド服か~着る機会ないから、着てみようかな」
そうと決まれば早速入店だ。風音がいるから若干入りづらかったが、本人がこう言ってるんだから、入ろう。早く風音のメイド姿が見たい。早く!風音に!メイド服を!・・・・俺なんかアブナイ人みたいになってない?
風音「そ、そんなに急かさないでよ八くん。恥ずかしくなってきた//」
八幡「さらっと心の声を拾わないでくれ。俺の方が恥ずかしくなってくるぞ」
彼女の読心力(俺限定)に少し恐れながらも、俺達はドアを開け、入店した。
「おかえりなさいませ!ご主人様!お嬢様!」
定番の掛け声とともに、俺達を迎え入れたのは、ふりっふりのドレス?を纏った女性共だった。この時、俺は確信する。
絶対にここじゃない。
こんなキャピキャピきゅるるん萌え萌えパワーみたいな場所で、あんな遠目からでもわかる鋭い目つきをした奴がいるはずがない。
いないとわかったら、あとは風音のメイド姿を拝むだけだ。まだかな~。
風音「お、お待たせしました//ご主人様//」
着替え終わった風音は、モジモジしながら俺の目の前に立った。
現在の風音の姿に、俺は呆気にとられた。
八幡「一生俺の専属メイドになってください」
気付いたら、手を握って、目をまっすぐ向け、真剣な顔でそう言い放っていた。
風音「ええぇ~!八くんいきなりどうしたの!?///」
八幡「大好きだ・・・」ギュウ
風音「はぅ//は、八くん、いったん離れて。ほら、みんな見てるから!」
八幡「え?・・・はっ!」
我に返った俺は辺りを見回す。そこには、ニヤニヤしてる女性店員が数名、優しい瞳で見守る女性店員が数名がいた。
八幡「あ、悪かったな・・・その、あまりの可愛さに体が勝手に動いちまった」
風音から離れた俺は一言謝罪し、席に座った。
風音「あ、でもすごく嬉しかったよ!褒めてくれたし・・・抱きしめてくれたし//」
掘り返すのはやめてほしいん。思い出すだけで恥ずかしさのあまり悶えそうだ。
彩加「2人とも、ほんとに仲がいいね。なんだか羨ましいよ」
八幡「昔からの仲だしな、彩加にもいずれそういうやつが現れるよ」
彩加「うん。そうなるといいなぁ」
雪乃「ここには川崎さん、いなかったわよ」
調査が終わったのか、雪ノ下達は裏から戻ってきた。
結衣「ヒッキー、見て見て!どう?これ」
由比ヶ浜はくるりと一回転して感想を聞いてきた。ここで俺の言うことは一つしかない。
八幡「俺の彼女が世界一可愛い」
メイド喫茶を出て、俺達はもう一つの候補店に来た。その店は、ホテル・ロイヤルオークラの最上階に位置するバー『エンジェル・ラダー天使の階』だ。
千葉市内で朝方まで営業している、エンジェルの名を冠する最後の店だ。
雪乃「ここが最後ね。さすがにこの格好じゃ入れそうにないから、各々バーに見合った服を見繕ってきてくれるかしら。そしたらまたここに集合しましょう」
八幡「具体的にどんなのがいいんだ?」
雪乃「男性は、襟付き、ジャケットがいいわね。女性は、それなりの服装で」
八幡「妙に女性だけざっくりだな・・・。それなら親父が持ってたかもしれなねぇから借りてくる」
風音「私もお母さんがそういうの持ってた気がするから借りてくるよ」
結衣「えー、どうしよう・・・。私、家でそういうの見たことないよ・・・」
雪乃「そう、なら私の家に来て頂戴。貸してあげるから」
結衣「え?いいの?ありがとう!」
俺達は一旦に家へ帰り、雪ノ下の要望通りの服を着こんだ。
小町「おお、お兄ちゃんカッコいいよ・・、風姉もすごく綺麗。大人のデートだよ!キャーー!」
小町は俺らを見て半狂乱に、興奮していた。何故そんなに浮かれてんだよ、これから潜入捜査だってのに・・。
無視しよう、こういう時の小町はシカトに限る。さっさとホテルを目指そう。・・別にいかがわしい意味じゃないからね。
ちなみに彩加は門限があるため、夜はあまり出歩けないから来れないそうだ。
雪乃「揃ったわね、それじゃあ行くわよ」
雪ノ下についていく形で、エレベーターに乗り、最上階のエンジェル・ラダーを目指した。
そしてバーに入ると、すぐさまギャルソンの男性が脇にやってきて、すっと頭を下げた。その男性は、俺らより一歩半先に先行し、一面のガラス張りの窓の前、その中でも端のほうにあるバーカウンターへと俺達を導く。
そこにはきゅっきゅっとグラスを磨く、すらりと背の高い女性バーテンダーさんがいた。このほのかな照明が灯る店内では、憂いを秘めた表情と泣きぼくろが印象的だった。
あいつが川崎でいいのかな?
俺達は川崎らしき女性の前に座り様子を窺った。こちらには気づいていない様子。
八幡「あの、川崎でいいのか?」
沙希「ん?・・・あ、あんたあの時の大ジャンプ男」
八幡「は?」
え?なにその異名、俺グレートサイヤマンじゃないんだけど・・・。
雪乃「そのあだ名は一体何かしら?」
沙希「こいつ、屋上で4メートルくらい飛んでたんだよ。なんか紙掴んでたし」
・・屋上・・紙・・・・あ、もしかして
八幡「お前、あの時給水塔に寄りかかってた奴か」
俺がそう質問すると、川崎は小さく首を縦に振り、頷いた。
雪乃「今はそんなこといいわ。それよりも、捜したわよ、川崎さん」
沙希「・・そっか。ばれちゃったか」
別段、隠し立てするでもなく、川崎は肩を竦めて見せた。そして、壁にもたれかかり腕を組んだ。もうどうでもいいという雰囲気を醸し出していた。その表情はどこか哀愁が漂っていた。
沙希「・・何か飲む?」
雪乃「じゃあ、ペリエを」
結衣「あ、私もそれで」
沙希「あんたたちは?」
こういう場所ってきたことないから、なんて言ったらいいかわからないな。取り敢えず、飲みたい物を言ってみるか。
八幡「じゃ、MAXコーヒーで」
結衣「いやいや、こんな場所にマッカンなんてあるわけ「あるよ」・・ってあるんだ!?」
八幡「お、マジで、じゃあそれで」
風音「あ、私もそれがいい」
全員の注文を受けた川崎は、苦笑交じりで、了解と言い、手際よく、慣れた手つきでグラスに注ぎ、コースターの上に置いた。
MAXコーヒーをグラスで飲むなんて初めてだな。早速一口。・・味は変わらないがひんやりとして美味い。
MAXコーヒーの変わらぬ美味しさに舌鼓を打ちつつも、俺達は本題に移る。
八幡「お前、最近帰りが遅いんだってな。朝の5時らしいじゃねぇか。大志が心配してたぞ」
沙希「成程。最近周りがやけに小うるさいと思ってたら、あんたたちのせいか。大志が何言ったか知らないけど、私から言っておくから、これ以上関わらないでね」
川崎は俺を睨みつけた。
関係者ない奴はすっこんでろ、という意思表示だろう。
雪乃「バイト、やめる気はないのね?」
沙希「ないよ」
結衣「あのさ、川崎さん、別にこんな夜中じゃなくてもいいんじゃない?ほら、夕方のバイトなんていっぱいあるんだから・・・」
沙希「放課後は私用で忙しいの。それに、こっちの方が稼ぎがいいからね」
風音「ずっと気になってたんだけど、どうして家族に話したりとかしてないの?」
風音の質問に、川崎は顔をしかめる。
沙希「迷惑かけたくないんだよ。下に3人の兄妹もいるし、これ以上負担になりたくないだけ」
風音「でも、大志君に心配かけさせてるのわかってるよね?見ず知らずの私たちや同級生に相談するほど、気にかけてるんだよ?」
沙希「ッ!・・わかってるよ、そんなこと。でもバイトはやめられない。私にはお金が必要なの!」
川崎は声を荒げ、やめる気はないと断言した。おそらく、正攻法じゃもうやめさせることはできないだろう。
なら、自分の意思で辞めさせるまでだ。
八幡「川崎、実は、俺はお前がバイトしなきゃいけない理由を全て知っている」
俺のこの発言に、風音以外のメンバーが驚いていた。
雪乃「比企谷君、それは本当なの?」
結衣「ヒッキー、なんでわかったの?」
八幡「ああ、今まで聞いてきた話を繋ぎ合わせたら、一つの結論に辿りついた。今からその説明をする。・・風音、アレをだしてくれ」
風音「よしきた!」
風音は懐から、一つのA3サイズの封筒を俺に差し出した。中にはある資料が入っている。
俺はその封筒をカウンターに置き、説明を始める。
沙希「これ、何?」
八幡「川崎、弟から聞いたが、予備校に通ってるんだよね?」
沙希「え、そうだけど」
八幡「そんとき、予備校案内のパンフレットか何か読んだか?」
沙希「読んだというか、軽く目を通しただけだけど」
八幡「やっぱりな・・。これはその時のパンフレットだ。もう一度しっかり読んどけ。キーワードは『スカラシップ』だ」
この言葉に、雪ノ下と風音は、俺が何を言ってるのか理解し、ハッと何かに気づいた表情をした。
八幡「説明は以上だ。さて、俺らは帰ることにするよ」
沙希「え、ちょっと!・・」
八幡「それを読んで、俺の言ったキーワードを忘れなかったら、お前はバイトをしなくてもいい。ただ、少し頑張ることになるがな」ニヤ
不敵に笑う俺に対して、川崎は未だに納得のいかないような表情で、封筒を手に取った。
さっさと会計を済ませ、ホテルの外に出たら、雪ノ下達に質問された。
雪乃「比企谷君、少し説明が欲しいのだけれど」
八幡「ああ、そうだな。まぁ大志から聞いたことなんだが、川崎は大学に進むためにバイトしてるんだ。進学は金がかかるからな、親の負担になりたくないって言ってたのもこれが関係してるだろう。それに、大志は今年受験生で塾に通い始めているらしい。まぁ、塾の学費はすでに解決されてるがな」
風音「成程、それでスカラシップなんだね」
結衣「ゆきのん、そのすからしっぷ?って何?」
雪乃「スカラシップというのは、奨学金の事よ。予備校では成績がいい人の学費を免除してくれるの」
八幡「これで、解決したろ。ていうか眠いから帰っていいか?」
雪乃「そうね、それでは解散にしましょう。比企谷君、お疲れさま。今回はあなたに助けられたわ」
結衣「うん、ヒッキー、ありがとう」
八幡「別にいいって。そういう部活なんだし。帰ろうぜ、風音」
風音「うん♪じゃあまたね」
別れの挨拶をし、各々別の道へと歩いていった。
≪帰り道≫
八幡「そういや、風音は進路どうするんだ?」
風音「え?・・・八くんのお嫁さん///」
八幡「バッ!//そういうこと聞いてるんじゃねぇよ//」
風音「アハハ♪そうだねぇ、まだ正確に見据えられてないんだ。でも、八くんとキャンパスライフを楽しみたいな♪」
八幡「そうか。俺も同じだな、全く」
最後まで読んでいただきありがとうございます。
そして、しばらく書き溜め期間に入りたいと思います。なので、しばらく投稿できそうにない。
3~4話までぐらい書けたら、投稿しようと思う。
また次回