5話突入。
八幡と風音、自分でももうちょっと甘々に書きたいとは思っているけど、何をさせたらいいんだろう・・。
※R15タグは念のためです。
それではご覧ください。
テニスコートにはすでに由比ヶ浜と雪ノ下がいた。
雪ノ下は制服のままで、由比ヶ浜はジャージに着替えていた。
雪乃「では、始めましょうか」
彩加「よ、よろしくお願いします」
雪ノ下に向かって、戸塚がぺこりと一礼する。
雪乃「昨日の比企谷君の提案でテニスをさせるけど、戸塚君の相手は誰がするの?」
八幡「この中じゃ、俺と風音ぐらいしか戸塚の相手にはならないだろ。・・・風音、いけるか?」
風音「うん、中学以来やってないけど問題ないと思う」
八幡「サンキュー。よし、始めるぞ」
彩加「うん、お願いします」
礼儀正しいんだな、戸塚は。同じ年の人に敬語ってなかなか難しいと思うが。主観的な感想だけど。
結衣「え?ちょっと、あたしには何も聞かないの?」
八幡「お前、テニスできるのか?テニス部相手に」
俺の言葉に、うっ、と言葉を詰まらせる。
八幡「だろ?いざとなった時に呼ぶわ」
果たしてその時が来るのだろうか。
―――――――数十分後
俺と風音は交代しながら、ポンポンポンポンと戸塚と打ち合っていた。
しばらくラリーを続けていると、戸塚がずさーっと転んだ。
結衣「うわ、さいちゃんだいじょうぶ!?」
由比ヶ浜は、戸塚に駆け寄った。戸塚は擦りむいた足を撫でながら、濡れぼそった瞳で、にこりと笑い、無事をアピールをした。健気な奴だ。
彩加「・・うん、大丈夫だから続けて」
雪乃「まだ、やるつもりなの?」
彩加「うん、皆付き合ってくれてるから、もう少し頑張りたい」
それを聞いた雪ノ下はそう、と言って元いた場所へ戻っていった。
彩加「・・・呆れられちゃったのかな?」
戸塚ががくりと肩を下げて俯いた。今の反応されちゃそう思っちゃうよな。
だけど、
風音「雪乃ちゃんに限ってそれはないと思うよ。困ってる人を見捨てるような人じゃないから」
八幡「そうだな。だからあまり気にすんな。休憩したら再開しよう」
「あ、テニスしてんじゃん、テニス!」
戸塚の応急手当てを終えて、俺達はベンチへ向かおうとした瞬間、きゃぴきゃぴとはしゃいだ耳障りな声が聞こえた。振り返ると、あの集団がいた。イケメンと金髪ドリルで構成された、うるさいグループが。
金髪ドリルは由比ヶ浜をちらろと見た切り、無視して戸塚に話しかけた。
金髪ドリル「ね、戸塚ー。あーしらも遊んでいい?」
彩加「三浦さん、僕別に遊んでるわけじゃなくて・・・練習を」
金髪ドリル「え?なーに、聞こえないんだけど」
戸塚の小さすぎる抗弁が聞き取れなかったのか、声に押されて黙ってしまう。
このままじゃ、押し負けてコートが使われるな。それだけは阻止しねぇと。
八幡「悪いがお引き取り願おうか。俺らは練習してるんだ。遊んでるわけじゃない」
金髪ドリル「はぁ?あんたいきなりなに?部外者は引っ込んでなよ」
八幡「俺らは部外者だが関係者だ。戸塚から練習に付き合ってくれと正式に依頼されたからな」
金髪ドリル「ふーん。じゃ、あーしらも練習に付き合うからいいよね?」
何言ってんだこの女?馬鹿なのか?今それ言ったって何の意味もないくらいわかれよ。
八幡「ダメに決まってる。お前らは戸塚との練習を口実に遊びたいだけだろ?真剣にやってる戸塚に迷惑だ」
イケメン「まぁまぁ、そんなケンカ腰にならなくても・・」
イケメンが仲裁に入った。もうそのままあいつら連れて帰れよ。
イケメン「ほら、皆でやった方が楽しいしさ。そういうことでいいんじゃない?」
カチンときた。思わず発動しかけたが、なんとか抑えた。こいつ、ここまで怒りのツボを正確に押してくるとは、ある意味天才だな。
八幡「ハッ。戸塚はな部活や部員のために一人で頑張ってるんだぞ。何も知らねぇくせに皆で楽しくとか軽々しく言ってんじゃねぇよ」
俺の鋭利な口撃に黙るイケメン。おいおいその程度か?おい?・・・・俺なんか性格悪くなってね?
イケメン「じゃあこうしないか?部外者同士で勝負。勝った方が明日からテニスコートが使える。もちろん戸塚の練習にも付き合う。強い人と練習した方が戸塚のためにもなるからな。どうだ?」
ん~、逆に本気出した俺より強い人なんているのだろうか?まぁ世界は広いからな。いなくはないと思うが。
八幡「一つ聞く。お前らが勝った場合、毎日昼休み戸塚の練習に付き合う事になるだろ?言っとくが戸塚は部活を活気づけたいという一心で強くなりたいと俺達に依頼したんだ。その依頼の責任をお前らは果たす覚悟ができてんのか?」
イケメン「・・・・ああ、もちろん」
八幡「わかった。受ける。(ハァ、どうせ口だけだろ。あの集団がまともに練習に付き合うと思えない)」
サクッと勝って、ご退場願おう。
「HA・YA・TO!フゥ!HA・YA・TO!フゥ!」
ギャラリーのイケメンコールのウェーブが始まった。まるっきりアイドルのコンサートだ。っつーかあいつはやとって言うんだ。下の名前で言うと気持ち悪いから、イケメンでいいや。
おのイケメンファンもいるんだろうが、大半は面白そうな出来事に悪乗りしてる感じだな。
その混乱のるつぼの中、イケメンは堂々とコートの中央へと歩き出す。これだけのギャラリーに怯んだ様子もない。こういうことが慣れているのだろう。
結衣「ね、ヒッキー、どうすんの?」
八幡「は?なにが?」
結衣「いや、誰が出るのかなって」
八幡「何言ってんだ。俺しかいないだろ?」
雪乃「あなた、勝てるの?」
八幡「いや、勝てるかどうかの話じゃないから。俺が負けるわけないじゃん」
雪乃&結衣&彩加&義輝「「「「?」」」」
皆がみんな疑惑の目でこちらを見ている。そんなに信用無いかなぁ・・。
風音「八くん。あんまり無茶しないでね」
金髪ドリル「ねー、はやくしてくんないー?」
うるせーなドリルビッチと思って顔を上げるとラケットをもってコートに立っていた。それを意外に思ったのは俺だけではなく、イケメンも同様だったようだ。
隼人「あれ?優美子もやんの?」
優美子「はぁ?当たり前だし。あーしがテニスやりたいっつったんだけど」
隼人「いや、でも向こう男子が出てくるんじゃないか?あのー、ヒキタニ君だっけ。ちょっと不利になるんじゃない?」
だから誰だよヒキタニ君って。そんなやつここにはいない。あと別に不利にならないからこのままで十分なんだけど。むしろいいハンデまである。
優美子「あ、じゃ、男女混合ダブルスでいいじゃん。うそやだあーし頭いーんだけど。っつってもヒキタニ君と組んでくれる子いんの?とかマジウケる」
優美子とかいう金髪ドリルが甲高い下品な声で笑うと、ギャラリーにもドッと笑いが起こった。俺も思わず笑ってしまう。
その余裕ぶった笑いが絶望に変わることを考えるとな。笑いが止まらねぇよ。
ちなみにヒキタニ君と組む相手はいない。比企谷君なら一人いる。
八幡「風音ー」
風音「お待たせ~八くん」
テニスウェアを着た風音が走ってきた。うむ、実に似合っている。眼福です。
八幡「なんか悪いな。つき合わせちゃって」
風音「彼女なんだから遠慮はいらないよ。・・・それに私もイラッときたし」
おお、風音から黒いオーラが・・。笑顔だけど笑ってない。
八幡「ちゃんといるから安心しろ。そんじゃ始めるぞ」
隼人「あ、待ってヒキタニ君」
八幡「なんだよ」
隼人「俺、テニスのルールとかよくわからないんだ。ダブルスだと余計難しいし」
八幡「ハァ・・じゃあ適当に打ち合って点取りあえばいいだろ。細かいルールは無しだ」
隼人「そのほうがいいな。・・じゃあ試合回数は3回で2回勝った方の勝ちでいいかな?」
風音の体力もつかな、と思い風音の方を向いたら、わかんないとアイコンタクトで返してきた。俺達すごいな。
八幡「問題ない。んじゃさっさと始めるぞ」
試合開始の笛が鳴った。
試合は火花散るような一進一退の攻防を見せた。
お互いの打ちつ打たれつで長いラリーが続き、俺は壁で鍛えた正確無比なコントロールで点を取り、風音も負けじとボールを裁く。
意外なことに風音は中学以来だけど腕は落ちていなかった。つまり、かなり強い。
1試合目は俺らが勝ち、第2試合目に移る。
だが、油断は禁物になってきた。
あのイケメン、テニス初心者だが、持ち前の運動神経で補っている。一方の金髪ドリルはおそらく経験者だ。サーブが鋭く、球が弾丸の如くコートに突き刺さっていた。
2試合目では相手にリードされている。風音は肩で息をし始めた。思ったより1試合目で体力かなり使っちゃったんだな。まぁ、あれだけラリーが続いちゃったら仕方がないか。
それを察知したのか鋭いサーブは風音の方へ。
そのサーブは風音の横を抜けて金網に当たった。・・マズいな、もう限界か。
第2試合は取られ、第3試合目に移る
優美子「そこの彼女もう限界なんじゃないのー?どうすんのー?諦めて降参するー?」
チッ・・・悔しいがあの女の言う通り風音はもう体力がほぼ尽きた。
隼人「ま、お互いよく頑張ったってことで。あんまマジになんないでさ。引き分けってことにしない?」
は?何言ってんだ?お前。寝言は寝て言え。自分が有利になった途端に敵に情けとかかけるんじゃねぇよ。
風音「ハァ・・ハァ・・八くん・・ごめんね」
八幡「謝るな風音。ありがとな、こんなお遊びに付き合ってもらって・・。あとは任せろ」ドロドロ
一度言ってみたかったんだよねぇ。あとは任せろって。なんかカッコいいじゃん・・。
そう言って俺はコートの中央に立つ。風音も入れてるがコートの隅っこで待機してもらうことにした。
隼人「続けるのかい?」
・・・言っただろう。笑いを絶望に変えさせるってな。その気持ち悪い爽やかな外面笑顔の仮面を剥いでやるよ。
八幡「当たり前だ。勝ち逃げは絶対許さん」
優美子「あーし手加減とかできないけど」
八幡「おお、いいぜ。本気でこいよ」
俺が余裕の笑みでそう言い放つと二人とも顔をしかめた。舐められてるとでも思ってんのかな?
まぁ実際舐めてるんだけどね。
ボールを上にあげ、俺は力強くサーブを打った。
――――――――バコン!!
誰も反応できていない。打った球はコートに跡を残して、金網へと一直線に向かった。あ、ちょっと力入れすぎたかな?球が金網に挟まっちゃった。
隼人「なッ!」
優美子「ウソ・・」
相手の二人は目を見開いて驚愕していた。そうそうその顔が見たかったんだ。
この場の全員が呆然としていた・・・・・風音以外ね。
そう、これが俺と風音と小町しか知らない俺の能力。
―――――――――【ロットアイ】
普段濁っている目を更に濁らせ、色彩感覚を無くす(モノクロ世界)代わりに全てにおいてパワーアップする、俺だけにしかない能力だ。
それにしてもすごいな・・俺の目を見た人みんな後ずさりしてる。
俺はもう一度サーブを打つ。
必死にボールに食らいついていたが、そもそも追いつけていない。・・わかっていても止められないだろう。
イケメンは歯ぎしりをし、俺を睨む。おー怖い怖い。
隼人「なんだ、あれ?人が変わったように強く・・・」
優美子「ちょ、マジでなんなの。・・・あれ!」パコン
俺の反則的な強さに苦悶の声を上げるが、なんと高速サーブをラケットに当ててきた。やるじゃん。
だが無駄だ。俺はそれを難なく打ち返しイケメンの真横を通過させた。
後は、俺の独壇場で試合は一気に片が付いた。
隼人「・・・俺達の負けだ。練習の邪魔をしてすまなかった」
イケメンはそう吐き捨て、帰ろうと足を後ろに向けた。
八幡「おい、謝る相手が違うんじゃねぇのか?」
俺は帰らせずに、イケメン達に謝罪を要求した。当然だ、これで一番迷惑がかかったのは一生懸命練習をしてた戸塚自身なのだから。
隼人「ッ!そうだな・・戸塚、練習の邪魔をしてすまない」
彩加「えっ?う、うん。もうしないならいいよ」
戸塚は、しり込みしながらも、謝罪を受けた。
八幡「おい、そこの金髪ドリル。お前は何も言わねぇのか?」
優美子「は?なんであーしが・・」
八幡「そもそも事の発端はお前自身が原因なんだぞ?そこのイケメンは明らかに巻き込まれた側の人間だ。そいつにだけ謝らせておいて自分はだんまりか?いいご身分だな。・・・まさか、自分に非はないと思ってんじゃねぇだろうな?」ギロッ
優美子「ヒッ・・そ、そんなこと・・ねぇし」
俺の濁りきった目で睨まれた金髪ドリルは涙目で怯えていた。これくらいやんなきゃ気が済まない。
八幡「なら、誠心誠意戸塚に謝れ」
優美子「と、戸塚・・・その、悪かったし・・」
彩加「うん、そのかわりもうしないでよ」
戸塚の許しをもらった集団は、周りのギャラリーと共に帰っていった。通夜みたいな雰囲気だったな。・・いやぁ~愉快愉快♪
俺は【ロットアイ】を解き、色彩感覚を元に戻した。
八幡「カハッ!!・・・ハァ・・ハァ・・ハァ・・」
解いた途端、体中からドッと全身に疲労が襲い掛かった。俺は持っていたラケットを杖代わりにし、中腰になる。
そう、【ロットアイ】はすべてパワーアップする。故に、今の自分の限界を超えるのだ。発動時間が長ければ長いほど辛くなる。
風音「八くん!大丈夫?」
風音は俺に駆け寄って水を差しだした。
八幡「・・・・サンキュー。助かったわ」
水をゴクゴク飲む。立ち上がろうとするが、うまくいかない。それを見かねた風音が肩を借してくれた。・・・情けねぇな。彼氏が彼女の肩を借りるなんて。
その後も、戸塚や材木座、奉仕部の面々が俺の周りに集まった。
彩加「比企谷君、新島さん・・・ありがとう。僕のためにあそこまでしてくれて・・」
八幡「なーに、気にすんな。お前は大事な依頼人なんだ。コート取られてたまるかよ」
義輝「うむ、実に見事であったぞ。さすがは我が相棒。アッパレだ!」
八幡「はは、そうかい。・・・っと風音もう大丈夫だからいいぞ」
俺は風音の肩から離れ、猫背になりながらも立ち上がる。
結衣「・・ヒッキー」
雪乃「比企谷君、アレは一体・・」
八幡「あー、お前らの言いたいことはわかるが、今は休ませてくれ。この後すぐ授業だろ。・・・雪ノ下、悪いが今日は部活休んでいいか?」
雪乃「ええ・・・・今日は部活を休みにしましょう。あなたのことで部活に集中できなくなるかもしれないし」
八幡「そうか。わりぃな」
昼休みを終えるチャイムが鳴り、それぞれ各教室に返っていった。
案の定、俺は授業で寝た。それでもまだ疲れは取れない。・・厄介だな~この反動。
何故かやたらと後ろから視線を感じたんだが、気にしないようにしよう。
《帰り道》
風音「もう、あんまり心配かけないでよね。授業にも集中できなかったんだから」
八幡「あ、いや、ほんとにごめんな。ついカッとなってな。・・あいつら許せなかったし」
風音「まぁ私もあの人たちの身勝手さには頭にきてたし、戸塚君のためでもあったから、あんまり言わないけど・・・」
八幡「ああ、悪いな。心配かけちまって」
風音「ほんとだよ。・・そのかわり」
八幡「ん?なんだ?」
風音「今日は泊まり込みで八くんの回復に努めるからね♪」
《比企谷家》
八幡&風音「「ただいま」」
一応説明しとく。俺と風音は、比企谷家・新島家にとって家族同然なのでただいまと言っている。俺も新島家に訪れたらただいまと言っている。
小町「おかえり~、お兄ちゃん、風姉。今日は早いね・・・ってお兄ちゃんなんかすごい疲れてない?」
八幡「ああ、ロットアイ使ってきたからな」
小町「ええぇ!?大丈夫なの?」
さすがの小町も心配してくれている。なんか申し訳ないな。
八幡「ああ、ちょっと休めば問題ない。心配かけて悪いな。」
小町「そっか。・・・でも学校で使う機会って全然ないよね?一体何があったの?」
風音「それは、私が説明するから。八くんはベッドで休んでて」
八幡「そうさせてもらうわ」
俺は2階へ上がり、自分の部屋に入ってベッドにダイブした。
ハァ・・・寝よう。
≪リビング≫
ここからは私、新島風音が語り手になるよ。
小町「それでそれで、一体何があったの?お兄ちゃんはあの能力をめったに使わないのに?」
小町ちゃんは真剣な顔で聞いてきた。兄思いな妹だな~。
風音「それが、今日の昼休みにね・・・・・」
私は、今日の昼休みに起こった出来事を話した。
小町「ほぇ~、そんなことがですね~。まぁ、人助けが理由ならあまり強く言えないなぁ。逆にあそこで何も言わなかったら、お兄ちゃんの事軽蔑してたと思うし
・・・・・・・でも、嫁さんを心配させるのは小町的にポイント低い!」
風音「よ、嫁さんて//・・・・だから今日は泊まり込みで回復に努めるってことになったの。・・泊まっていい?」
小町「そういう事なら構わないよ~。ジャンジャン泊まってって♪ていうか用がなくても泊まっていいから~」
風音「うん!ありがと~」
とりあえず、八くんの様子でも見てこようかな。
≪八幡の部屋≫
ガチャッ
風音「八く~ん・・・・あらら」
八くんは制服のまま、ベッドに横たわっていた。ダイブしてすぐ寝ちゃったんだね。
晩御飯ができるまでそっとしておこう・・。今日は私が作るからね♪
――――――――2時間30分後
風音「八く~ん、起きて~」
俺の名を呼ぶのは・・・誰だ♪誰だ♪誰だ~♪ビルの谷間に忍ぶ影♪
いや、俺ならどこでも忍ぶ影になれる、ハッチマンだ!
そんなくだらないこと考えながら、俺は目を開ける。
風音「晩御飯できたから食べよ」
八幡「・・・おう」
気付いたら時計の短針は6を過ぎていた。結構眠れたみたいだ。
≪リビング≫
小町「あ、お兄ちゃん起きたね。じゃ、食べよっか。今日は風姉の手料理だよ~♪」
テーブルに目をやると、肉が中心の料理が並んでいた。うむ、実に美味そうだ。早速いただこう。
八幡「ありがとな、風音。んじゃ食べるか」
八幡&風音&小町「「「いただきます」」」
目の前の肉料理を箸で掴み、口に運んだ。
八幡「・・・うめぇ・・」
すげぇ美味い。箸が勝手に動く・・。止まらない。
寝起きに脂っこいものは、あまり食が進まないというが、風音の料理はそれを感じさせない。
これは、冷しゃぶサラダか。ちゃんと栄養バランスも考えられている。
・・・あれ?
八幡「なぁ、おかわりもらっていいか?」
わずか7分近くでごはんを平らげてしまった。しかし、まだ食いたいという衝動に駆られている。
もう、俺はだれにも止められない!
風音「ッ・・・うん!」
風音は満面の笑みを浮かべ、ご飯をよそいに行った。
八幡「・・・・」ガツガツ
風音「・・・・」ニコニコ
小町「・・よかったね、風姉!」
風音「うん!」ニコニコ
八幡&風音&小町「「「ごちそうさまでした」」」
俺は白米を4杯おかわりし、皿に乗っていた肉料理をほとんどたいらげた。こんなに食べたのは久しぶりだな。
結論・・俺の彼女の料理は超絶美味い。
八幡「ほんとに美味かったぞ、風音。すごい腕が上がっててビックリしたわ」
風音「ふふっ、ありがと~。嬉しいな♪」ニコニコ
風音は俺が食べ始めてから終始ニコニコしてるな。まぁ自分が作った料理が絶賛されたんだから当然か。
小町「うん、ほんとに美味しかった!・・・あ、お兄ちゃん、お風呂沸いてるから先入っていいよ」
八幡「え?いいのか?・・じゃあお先に失礼するわ」
俺は着替えをもって脱衣所へと向かった。
≪浴場≫
八幡「ふぅ・・・」カポーン
いい湯だ・・。疲れがとれていく。
ここで風呂に関する豆知識だ。何故湯船につかると『ふぅ』や『あぁ~』と声や息を吐くのか・・。それは、
湯温に関係があり、気温、体温とお湯の温度の差が大きい時は、瞬間的に筋肉が緊張するためお腹の底から「あぁ~っ」と声が出てしまう。逆に体温と湯温の差が小さい時は、心臓に負担もかからず副交感神経が刺激されてリラックスするため、溜息に近い「ふぅ~」と言ってしまうんだって。
ちなみに『あぁ~』と声を出すのはストレス解消法にもなるらしい。ぜひやってみてくれ。
俺は誰に向かって、雑学を教えているのだろう?
ふと俺は、今日の昼休みを顧みる。
はぁ、大勢の前で力を使ってしまった。目立っちまったかもなぁ。平穏な日常が続くか不安になってきた。もうテニス部勧誘ラッシュは勘弁してほしい。いや、下手したらほかの運動部からくるかもしれない・・。さすがに自意識過剰か・・。
それに風音にも心配かけちまったし・・。あまり乱用するのはよそう。
そろそろ出るか・・。
ガラララ
俺は浴場から出ようとドアを開けた。
目の前に飛び込んだのは、着替え中の風音だった。今ブラに手をかけている。
目と目が逢う~♪瞬間好きだと気付いた~♪あなたは今どんな気持ちでいるの?♪
自分の気持ちを確認する前に、素早くドアを閉めた。
八幡「な、なにやってんだ!?風音!」
風音「え、えぇと、その、八くんの背中流そうかなと思ったんだけど///」
八幡「いや、もう洗い終わったし、今から出るところなんだけど・・」
風音「そ、そうみたいだね・・あぅ//」
どうしようか・・俺が出ても風音が入ってきても、お互い裸の状態ですれ違うことになる。
風音「せ、せっかくだから、久しぶりに一緒に入ろう//」
身体にタオルを巻いた状態の風音が入って混浴を要求してきた。・・・え?何故に?
八幡「いや、ちょっと、それはどうかと思うg「え~い」っておい!」
風音に手を掴まれて、浴槽に無理矢理入れられた。
八幡「お、おい、風音・・・」
風音「ふふっ、別に初めてじゃないんだから、恥ずかしがらなくても・・//」
八幡「いや、それ小6までの話だろ。・・・・ったく、少ししたら俺は上がるからな」
風音よ・・いつからこんな大胆な行動に・・・。平然を装うとしているのがバレバレだ、顔赤いぞ・・。
しかし、男の本能なんだろうか・・。どうしても風音の体に目がいってしまう。
タオル越しでもわかる、二つのちょうどいい大きさのふくらみに、スラッっとした肢体が、俺の理性を徐々に削ってくる。
俺の視線に気づいたのか、風音は
風音「な、なんならタオル外そうか?//」
バッシャーーーーン!!
俺は、勢いよく水柱をたて、立ち上がる。
八幡「お、俺もう出るからな」
風音「え~、もうちょっと・・」
八幡「いや、そろそろ熱くなってきたし出るわ。お前ものぼせんなよ」
風音「む~、わかった・・」
俺は素早く脱衣所に出た。あ、あぶねぇ・・危うくこのシリーズにR18タグ付けるとこだった。
俺は、早々に体を拭き、着替えて自分の部屋に向かった。
≪八幡の部屋≫
ふぅ、風音のやつ、いつの間にあんな大胆な子に・・。まぁ嬉しかったけどね、久しぶりに二人で入れて・・。でもどうしていきなり?
ガチャッ
風音「八く~ん・・」
八幡「ん、来たか。・・・どうした?」
風音は何やら浮かない顔をしている。
風音「ご、ごめんね。八くんに疲れを取ってほしくて、一緒に入ろうって思ったんだけど・・迷惑だったよね?」
何だそんなことだったのか。
八幡「別に気にしてねぇよ。むしろ俺のためにやってくれたんだろう。ありがとな」ナデナデ
風音「八くん・・」
八幡「一緒に入るなんて久々だったからな。悪くなかったよ。・・・また頼もうかな?」ナデナデ
風音「え?そ、それは///」
八幡「いや~、もう一度風音のきれいな肢体をみたいな~」ニヤニヤ
風音「な!?は、八くん!///」
急に恥ずかしくなったのか顔をうずめてきた。え~なにこの可愛い生き物。思わず抱きしめちゃったじゃん。
八幡「さて、明日は休みだが、何かするか?それとも寝るか?」
風音「ん~、特にやることないし、八くんも今日は大変だったから寝ようか」
八幡「そうか、お熱い夜をご所望で・・」
風音「違うよ!普通に寝るの!八くんさっきっからなんかいじわるだよ!」
八幡「冗談だ。んじゃ、寝るぞ」
風音「うん、お休み」
最後まで読んでいただきありがとうございます。
※申し訳ないのですが基本的には感想に返信などはしません。そこらへんをご了承ください。
八幡の能力が解禁されました。詳しい説明は、後日八幡自身が話してくれます。
また次回。