前回色んなネタをぶっこみます!と言いましたが、先延ばしにすることにしました、すいません。いい加減原作に入らないと、と思ったので・・・。
それではご覧ください。
意外と盛り上がった球技大会も無事終わり、今年も残すこと僅かとなった12月中旬。吐く息は白く、LEDイルミネーションが街を輝かせ、それと同様に、恋人がいる人も目を輝かせながら、徐々に近づいているクリスマスを楽しみに、校内は盛り上がりを見せている。
校内掲示板も、クリスマス関連のポスターが貼られている。俺はもう、この盛り上がり方で暑苦しく、半そで半ズボンになりたい気分だ。
俺も風音がいるからデートでもする、と思っているかもしれないが、外には出ない。風音の部屋でクリスマスを過ごします。親?妹?皆出かける。
周りはすでにクリスマス一色。幸せオーラとリア充爆破の怨念が混じり合う日本の行事。
そのさなか、生徒会室のドアがノックされた。俺はどうぞ、と入室を許可する。
「失礼する」
「ん?理事長?」
『理事長!?』
訪問者はなんと理事長だった。風音達がそれを知って驚いている。そういえば、校長兼理事長だってことを教えるのを忘れてたな。風音達からすればただの校長がきたと思っていたんだろう。
「なんですか?」
「ちょっと話があってね。ほら、君たちが案を出してくれたクリスマス企画の事でだ」
「本当ですか!」
凛が嬉しそうに目を輝かせながら立ち上がる。おお、まさかアレも通ったというのか。そんなにイベント起こすと逆にこっちが疑問に思うぞ。いいのか?進学校だぞ?いや、考えてきたのは紛れもなく俺らなんだけどな。
俺は理事長と話し合うため、対面で座り、お茶を用意した。
「さっきも言ったが、クリスマスイベントの件だ」
「本当に通ったんすね」
「それが、通るかは君たち次第になってね。海浜総合は知ってるだろう?」
「はい。そこの高校と何か関係が?」
「実は、海浜総合からクリスマスイベントをやらないかって誘われてね。簡単に言えば合同イベントをやろうとの事だ」
海浜総合というのは、駅からさほど遠くない距離にある、総武の次に有名な高校だ。中学を卒業した奴らの進路は大体この総武高と海浜総合に進学する。
「今その誘った子が待合室にいるんだ。よかったら来てくれないか?」
「あ、はい。それで、誘って来た人って誰なんですか?相手も理事長?」
「いや、君と同じ、生徒会長だ」
待合室にて・・・・。
「初めまして、僕は海浜総合の生徒会長の玉縄だ。お互いリスペクトできるパートナーシップを築いて、シナジー効果を生んでいこう」
「は、はぁ・・・」
待合室に座っていた玉縄という人物は、俺を見るや否や爽やかな笑顔を向け、握手を求めながら自己紹介をした。
違和感を感じざるを得ないような自己紹介に若干困惑しながら、出された手を握る。
「比企谷八幡だ」
「ともにアライアンスを結んでイベントを成功させよう」
・・・・・何言ってんだこいつ?こわ・・。
「と、ういのが俺が抱いた第一印象」
「な、成程・・・」
先程の情報を、生徒会室に戻って風音達に話した。
「つまり、ビジネス用語を頻繁に使ってくるってこと?」
「その通りだ。しかも明らかに高校生が使うような言葉じゃない」
「例えばどんな感じ?」
「ん~・・・いや、俺もどう表現すればいいのかわからない。後日にイベントの会議があるから、そこで直に聞いてもらおう」
そもそも俺はビジネス用語をあまり知らない。高校生であんなカタカナ使う事なんて滅多にないからな。ていうか、あの玉縄という奴。何故あそこまでそんな言葉を選んだかのようにわざと並べて話していたんだ?しかもあの手の動き。演奏の指揮者みたいだったぞ。
けど、だからといって断るのもちょっとあれだ。理事長的には合同イベントをやってくれたら宣伝にもなるし、それに球技大会でもかなり助けてもらったからな。
◆
合同イベントを請け負った数日後。今日が初めての会議だ。場所はあの超有名大型商業施設、マリンピア。略してマリア。なんか外国人の名前みたいだな。夕方だと奥様方の姿が目立ち、学校帰りの生徒が寄る場所でもあるためちらほらと、放浪しているのが目に映る。
今回行われる会議の会場のホールについた。中に入ると、いくつもの机と椅子が揃えてあり、既に海浜総合の生徒が集まっていた。
俺らが入ると、玉縄はこちらに歩み寄ってきた。
「良かったよ。総武と一緒に企画できてさ。お互いにリスペクトできるパートナーシップを築いてシナジー効果を生んでいけないかと思ってさ」
『は?』
のっけからいいパンチ放ってくるなー。何言ってんのか全くわからん。風音達も後ろでは?って口で言ってるし。っつーか、俺と会った時と同じこと言ってる・・・。
「それでは、会議を始めます」
慣れた手つきで会議を始め、軽く頭を下げた。
ついに会議が始まる。初めてなのにどうしてこうも不安に駆られるんだろうか。この不安は杞憂であってほしい。
「じゃあまず、前回と同じくブレインストーミングから始めようか」
前回という事は、一回こいつらだけで話し合ったのか。不安がぬぐえないままだったため、かまえていたけど、普通のブレストか。細かい定義は色々とあるが、簡単に言えば集団で自由にアイディアを出していくってことだ。
◆
「それでは一旦休憩に入ります」
1時間近く続いた会議は、玉縄の指示で中断され、休憩時間に入った。さて、ここで俺らが会議をして、分かったことを言おう。
全くわからん。
一体前回は何を話していたんだろうか。話しが全く見えてこないし、何言ってんのか分からない。玉縄だけだと思ったら、あっちの生徒会も同じだった。カタカナばっかり。
こいつらは気付いているのか?会議が全く進行していないことに。何一つ決まっていないことに。いや、自覚はないな。向こうは何故か満足顔をしているし。
・・・・ああ、分かった、いや、分かってしまった。こいつらは今を楽しんでるだけなんだ。中身なんて全くない。
「言葉の使い方が微妙に違うときがある。この人たち、覚えたての言葉を使ってるだけだよ」
「ああ、全くその通りだ」
横にいた風音がため息交じりに呟いた。国際教養科の風音は、ビジネス用語をある程度学んでいるため、分かっている部分が多いだろう。一方、凛と飛鳥は終始、は?とでも言いたげな表情を続けていた。
「大丈夫か?お前ら」
「全然大丈夫じゃない」
「何?あの人たち?言ってる事全然分からないんだけど」
凛たちもこのありさまだ。まさか、初会議でここまで参らされるとは思わなかった。
「あれ?風音?」
どんな神妙な面持ちの中、何とも軽い口調で俺の彼女の名を呼んだ。誰だ?聞こえた限り女子だったが。良かった~。これが男子なら俺速攻で八つ裂きにしてたわ。
「あれ?かおり!」
「久しぶり!比企谷もいるじゃん!」
俺達の前に現れたのは、海浜総合の制服と纏った、黒髪ショートボブの女子だった。俺達に気兼ねなく話しかけているが、俺はこいつを知らない。風音は仲がいいのだろうか、ちゃん付けじゃないあたり相当な信頼関係があるのだろう。
「誰だ?」
「同中のクラスメートに誰って、ウケる」
「いやウケねえから」
「同じクラスで委員長やってたかおりだよ」
「いや、知らない」
「まぁ、比企谷人間不信だったからね。ウケる」
確かに中学の時は、まだ人間不信で誰にも興味を示さなかった。風音が仲良く友達と喋っているのを横目に毎日黙って本を読んでた中学校生活を送った。
・・・ん?待て。何故そのことをこのかおりという人物が知っているんだ?
「あれ?比企谷知らなかったの?風音が皆に言ってたんだよ。比企谷が人を怖がってるからそっとしといてやれって」
「・・・えぇ!」
どうりで平穏に過ごせたわけだ。おそらく、風音からこの元クラスメイトに伝わってクラスにも伝わったという事か。委員長なら全員に伝えられるからな。
「ごめんね八くん。今になって考えると、八くんを1人にさせるようなことしちゃった・・・」
「いやいや、何気に病んでんだよ。寧ろありがたかったぞ」
浮かない顔をして伏せてる風音に頭を撫でる。確かに俺から人を遠ざけるような事を言ったと思うが、もし俺に話しかける奴がいたとしたら、俺は相手に不快な思いをさせたかもしれない。そう思うと、風音のとった行動は正しいと俺は思う。
「お前、名字は?」
「折本」
「折本か・・・。お前も生徒会なのか?」
「いや、私はお手伝い。ていうか、比企谷が生徒会長って、超ウケるんだけど」
ほ、ほぅ、そうですか。まぁそうですよね。中学3年間目立たなくて一人だった奴が、高校で生徒会長ですものね。笑いものですよね。しかも人間不信だという事をクラスに知れ渡ってたのに。
「比企谷、克服したの?」
折本は、机にうなだれている凛と飛鳥を見てそう聞いてきた。
「まぁ、色々あってな。克服はできたんじゃないか?」
「自分でもよくわかってないんだ。ウケる」
「いや、ウケねぇよ」
笑いのツボがおかしい人だ。何か言う度に笑うとはな。
可笑しい人と言えば、やっぱりあいつだな。ちょうどいい、あの玉縄について少し教えてもらおう。
「なあ折本。今の会議、理解できたか?」
「え?いやいや全然。何言ってるかわかんないし」
おーい、お前たちのお手伝いさんにも伝わってないぞ。それに今更だが折本達話し合いに参加してなかったし。一体何のために呼んだんだよ。助っ人頼んでるんなら少しは理解されるように話し合えよ、全くよぅ。
かくいう俺らも会議に参加できていないんだけどな・・・・・・。
さて、一体どうなるのやら・・・。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
ビジネス用語って難しいね。サイトの一覧表見ながら書いてました。だけど、会議の描写はしません。原作とあまり変わらないので。
あ、球技大会はぼーなすとらっく的な番外編として投稿するつもりです。
また次回。