31話突入。
なんとか10月中に投稿できて良かった。思いのほかネタが浮かばなかったんだ・・・。
6月に予約していた俺ガイルのゲームを買って、夜中にやってます。前作はやってないです。
いろはすぅぅぅぅぅぅぅ!!
それではご覧ください。
今日も今日とて生徒会室には、全員そろっている。皆暇すぎ。
今日は俺からの議題だ。内容は『歩きスマフォ危険』だ。スラスラ~っとホワイトボードに書き込む。
「前から注意を受けている、歩きスマホ禁止。だが、全く効果がなく、最近増えてばっかだ」
「確かに、自転車乗りながらとか、本当に危ないよ」
近頃増えている、歩きスマフォ、ながらスマフォ。危ないと知っていながらも、その勢いは収まるどころか悪化している。
「けど、どうしていきなり?」
「それなんだけどね・・・」
俺の代わりに風音が説明してくれるようだ。そう、今朝あったんだよ。これを議題にする理由が。
あれは、朝の登校中の頃だった。
いつものように、腕を組み、キスをしながら登校「してないよ!」・・失礼。世間話をしながら登校していると、数メートル先にスマフォを持った小学生2人が歩いていた。
何やらスマホに夢中の小学生は信号が赤なのにも気づかず、横断歩道を渡っている。そして、突っ込んでくるトラック。ここまで言えばわかるだろう。
いち早く察知した俺は風音にカバンを預け、アイシールド21の如く、光速で小学生を抱え、トラックを回避。いや、平然と話してはいるが、ガチで危なかった。
生徒の模範となる会長は小学生にきつく注意し、風音の下に戻った。当の風音は若干膨れっ面だった。理由はおそらく小学生が女子であり、つい父性が出て頭を撫でてしまった事だ。
全くぅ、小学生相手に嫉妬とは可愛いなぁ!っと思いっきり抱きしめて頭を撫でた。
「そんなことがあったんだよ」
「いる?ねえ、2人のいちゃこらしたところいる?」
「凛、その無糖コーヒー一口頂戴」
さりげなくする気もなく、堂々と甘い出来事を言われて、ブラックコーヒーを口に含む2人。
「さて、その歩きスマフォだが、最近それに特化したアプリが流行っているのは知っているか?」
「ポ〇〇ンGO?」
「そうだ。現にその小学生もそれをやっていた。おかしくないか?歩きスマフォは危険だと言われているのに、それを促進させるアプリを作るなんて」
「おーい、怒られるぞ。色々と」
「さすがに俺も作者も怖いからここまでにしておこう」
結論:歩きスマフォは、何を言っても無駄なので自己責任。
◆
「八幡。来ちゃった♪」
「おう、いらっしゃい」
俺らが企画した球技大会に向けて、体育の授業はその球技の練習になった11月の中旬。ジャージを着て、凍てつく寒さに耐えながらも、真剣にスポーツに打ち込んでる姿が目に焼き付く。けど、やはり渋々といった人も目に映る。こればっかりは仕方がない。全校生徒全員が喜ぶ行事なんて、絶対存在しないのだから。ん?序盤のアレは何だって?茶番だ。
そんな中、ここ生徒会室に1人の男の娘が現れた。無論彩加だ。
「えっと、どこに座ればいいのかな?」
「んー、俺の膝来るか?」
「もうっ、からかわないでよ!子供じゃないんだから」
俺の冗談にムッと頬を膨らました。俺は苦笑交じりに空いてる庶務の席に促し、常備されているお茶を用意した。
「ありがとう」
「おう。どうだ?部活は」
「いい調子だよ。皆上手くなってきてるし、それに、前よりも僕を頼りにしてくれてて、嬉しいな」
「そうか・・・。大丈夫なのか?プレッシャーとか」
「まぁ、ないと言えば嘘になるけど。それも全部試合で出して、結果を残すの!」
なんとも彩加らしい回答だ。男らしく拳を強く握り、だがそれが可愛く見えてしまう。
「じゃあ、今度試合あるとき、見に行っていいか?風音達と」
「うん!僕もみんなが来てくれるとやる気出るから♪」
嗚呼、なんて前向きで純粋な子なんだろう・・・。逆にちょっと心配になってきちゃうレベルだ。子作りとかできるのか?もしかしたら筋斗雲乗れるかもしれないぞ。何故俺はそこまで心配してるんだ?
と、余計なお世話という自己完結をしたところで、彩加の方を見ると、肩が凝っているのか自分の手で肩を揉んでいる。
「肩凝ってんのか?」
「そうなんだよね・・・。腕を振ってばかりだから」
「俺で良かったら揉んでやるぞ」
「え?いいよそんな。八幡迷惑でしょ?」
「んなことねぇって・・・。ほら」
「あ、気持ちいい」
言葉通り、彩加が気持ちよさそうにしているため、しばらくこうすることにした。しっかし、うなじを見る限り、白い肌だな。とても男子高校生には見えない。見た目もそうなんだけどね。そういや、ずっとジャージだな。制服着た彩加を見たことがない。ここの高校は登下校も授業もジャージOKだからなんだろうけど、制服嫌いなのか?
今考えてみれば、彩加と2人だけで会話とかしたことなかった。今は風音達は少し用があって遅れている。折角だから、色々話とかした方がいいかもしれない。
「なぁ彩加。俺らって、まだお互いの事わかってねぇとこあるだろ?」
「え?・・・あー、確かにそうだね。それ聞かれると、八幡の事知りたくなっちゃったよ」
お、おおぅそうか。俺の事が、ね・・・。げへへ、じゃあまずどこから知りたいんだぁ?俺も彩加のイロイロな事知りたいなぁ・・・。腐女子歓喜回になるか?なりません。
とにかく、男だけの会話という事で、色々話すことになった。まずは、最初にも言ったが彩加が常時ジャージの件について。
「制服は、あまり着ないかな。基本ジャージだよ」
「着ないのか?」
「そうだね。これの方が動きやすいし」
総武高も結構緩いところがあるもんだ。皆も思っただろうが、いくらジャージがOKでも、学校の行事によっては制服着用が絶対あるんじゃないかと。それがないのだ。さっき俺が言ったように、彩加の制服姿は見たことがない。職場体験も、遠足も、始業式も、彩加は全部ジャージだ。
そんなわけで、彩加に頼み込み、制服を着てもらうことになった。単に俺が見たいだけなんだけどね。
「どうかな?」
「・・・・・似合ってるな、うん」
何でしょうねぇ。もう男装趣味の女子にしか見えません。さらに彩加の照れた様子がそれを促進させている。
「カッコいいかな?」
「可愛いぞ」
「可愛い!?カッコよくないの?」
「カッコイイっちゃカッコイイんだが、可愛くもある」
「むぅ・・・。着替えてくる」
◆
「彩加は好きな異性のタイプとかあるのか?」
「ええ!いきなりどうしたの?」
「いや、男子高校生同士の会話ってこんなこと話す・・・んじゃないのか?やべ、俺男同士で会話全然したことなかった」
「実は、僕もなんだ・・・。部活の事しか話さない」
彩加はあはは、と眉を八の字にし、困った表情をしながら、乾いた笑みを漏らした。俺も男子同士で会話なんて、したことがない。だって俺の周り女子しかいなかったし。あ、自慢じゃねぇぞ。小町と風音だけだからな。俺の周りが女子だらけとかどんな夢物語だよ・・・。
「じゃ、最初に質問した奴でしゃべってみようぜ。好きな異性のタイプは?」
「う~ん、あんまり考えたことないからなぁ。中学からテニスばかりしてたから」
早速会話が途切れてしまった。意外というか、予想してたというか、あまり女性に興味を示していないように見える。しかし、校内で話す相手は大抵女子だ。
男子というのは、女子と初対面のときはまず、上から下までくまなく見る。簡単に言えば、品定めだ。自分にとって好みな人、可愛い人には、自然と胸や下半身に目がいってしまったりするのだ。その視線から逃れるため、女性の方も防衛本能というのが発動する。前に風音から教えてもらったが、女子はこういう視線には敏感らしい。中には例外もいるけどな。
その例外が彩加だ。彩加は話しかけてきた女子に対し、ちゃんと目を向き合わせて会話をしている。他に視線を逸らすことなく、相手の目を射抜いている。もう純粋過ぎて、こちらが恥ずかしいよ。
「彩加って、女子に興味とかあるのか?」
「それは、僕だって男の子だし、興味はあるに決まってるよ」
だよなー。良かった。これで興味ないとか言われたらどう返そうか超困ってたところだし。俺の中で戸塚彩加男好き疑惑が浮上するところだった。逆に好かれた男子は意外と喜びそうだけどな。俺とか。嘘だ!嘘だぞ!冗談だ!・・・あー、でもちょっとは嬉しい。
「んじゃ、一つずつ質問するぞ。年は上と下、同い年。どれがいい?」
「年下かな。一番守ってあげたいって気がする」
なにこのイケメン過ぎる回答。なんか眩しいんだけど。
「髪型は?」
「ロングが好き」
「性格とかは?」
「う~ん、性格か分からないけど、頼ってくれたりする人が好き」
意外と兄気質のある彩加であった。
しかし、意外とぺらぺらと教えてくれているな。こういうのって結構友達に対しても躊躇してしまうものだと思っていたんだけど。
「八幡は風音の事大好きだよね」
「そうだな。もう風音しか愛せないし。結婚の約束もしてるしな」
「結婚!おめでとう八幡!素敵だね♪」
「お、おう、ありがとな」
彩加の裏表のない祝福の言葉に、戸惑う俺。結婚って、人によってはタブーな単語と聞いたことがあるから、彩加の言葉に多少面をくらった。別に彩加はそういう事は思ってないと思っていたけど、前にそんなこと聞いたら、やはり不安になってしまうものだ。
例えば、結婚式に招待された女性が帰るとき、ゲーセンに寄ってパンチングマシン使うとか・・・。
〈職員室〉
「へっくしょん!なんだ?誰か私の噂をしてるのか?・・・これが男性であることを祈りたい・・・くぅ、結婚したい」
「僕もそういう相手、見つかるといいなぁ」
「でも彩加って引く手数多だろ?美少年だし」
「そんなことないって。けど、今はテニスに集中したいし」
「ま、これから大学とかあるから、そこで見つかるかもしれないだろ。自分にどストライクな人が」
「それもそうだね。先の事なんて分からないし。そういえば、八幡はどこの大学行くの?」
「俺か?俺は、電車で行ける国立だな。風音もそこだ」
「さすが学年一位二位だね♪僕はまだ決まってないんだ」
「彩加も頭いいからいいとこ狙えるんじゃねえか?学年30位以内には入ってるだろう」
7クラスある中で学年30位以内は優秀な方だ。それが進学校なら尚更だ。彩加は部活で部長もやって、テニススクールにも通っているのに、成績を維持し続けいる。小さな身体だけど、ポテンシャルを相当秘めている。俺達5人の中では間違いなく一番努力家だろう。
「そうだけど、やっぱり不安なんだよね。特にテスト返却。毎回ドキドキしてるんだよ」
その気持ちは分からなくもないな。学年一位か二位は確実だから、そこではドキドキしないけど、問題はその後だ。風音とテストを見せ合う時。俺が勝ったら風音はムッとして可愛いし、俺が負けたらどや顔可愛いし。ぶっちゃけ、俺に得ばっかある。俺ら優秀じゃね?
彩加はまだ考え中でテニスに集中したいらしい。もうすぐ冬の大会があるとの事だ。これは風音達と見に行こうと思う。
◆
「あ、そろそろ休憩終わるから、もう行くね」
「そうか。頑張れよ」
「うん♪」
彩加は時計を見て確認をした後、笑顔で手を振りながら生徒会室を去った。何故男の笑顔であれだけ癒されるのだろうなぁ。
今日は珍しく彩加と2人きりで話をしたな。いや、ほぼ初めてなんじゃないか?それにしても、彩加の意外な一面も見れたし聞けたし。女子がいないこの暇な時間が有意義になった。一番驚いたのは、女性に興味があるという事だ。あ、いや、別にホモだとか思ってなかったから。改めて認識したらって話だ。その好みも普通に教えてくれたし。なにより彩加の事を知れたのは、柄にもなく嬉しいと思った。
・・・・それにしても風音達遅いな。なにしてんだ?
1時間近くたっても来ない風音達に若干の疑問を抱くと同時に、俺は庶務の席に置いてある見覚えのないものが目に入った。その正体は、リストバンドだった。魂と装飾されているため、如何にも男前!と思わせる。十中八九、彩加の物だと思う。
そうとわかれば善は急げだ。渡しに行こう。
久しぶりのベストプレイスは心地がいい。
俺は、テニスコート付近にある、今まで昼食の時に使っていた場所へきた。最近は凛達と教室で食ってるからな。
テニスコートを阻んでいる金網越しに、彩加の姿を確認した。左右に素早く動いてラケットを振るっている。他の部員も、サボる人は少なく、やる気のある人も結構いる。
「彩加ー」
「あれ?八幡。どうしたの?」
「忘れもん、お前のだろ?」
「あ!ありがとう。わざわざごめんね」
「問題ない。じゃあな」
「あ、折角だし、テニスやってかない?」
「いやぁ、疲れるし、遠慮するわ」
「そっか。八幡会長で忙しいもんね。ごめんね」
ぐっ、今は特別忙しくないし、この後も暇を持て余すことしかないから、凄い罪悪感が・・・。そんな申し訳なさそうな顔で覗かないでくれぇ。
「す、少しなら、していいかな」
「本当!いいの?」
「ああ、少しは体動かさないとな・・・」
結局俺は、約1時間、ジャージでラケットを借りて、彩加とラリーをしたとさ。
◆
足と腕に疲れを感じ、少々猫背になりながら、生徒会室へと足を運ぶ。運動不足がここにきて支障を来したな。かといって、運動する気なんてさらさらないけどね。今のように、たまーにするくらいがベスト。
季節は現在冬だから、自販機もホットが増えた。当然マッカンも。毎年思うんだけど、やめてくんねぇかな?俺はマッカンはホットじゃなくてクールで飲みたいのに。ホットはそこまで好きじゃないんだよ。まぁ飲むけど。疲れたし、好物だからね。
生徒会室に入ると、既に風音、凛、飛鳥たちがいた。
「あ、八くん。随分遅かったね」
「いや、お前らが遅かったんだからな。少し外出てたんだよ」
「八幡何で汗かいてるの?そんなに歩いたの?」
「彩加とテニスしてた」
「いいなぁ、私たちもやりたかった」
「球技大会の練習がてらにね」
「部活の邪魔になるからやめとけ」
「えー、八幡だけずるい」
「俺は誘われたからやっただけ」
テニス部は冬に大会があるし、彩加の友達だからって特別扱いもよろしくない。
今日も特にすることも無く暇で、女子たちが会話を弾ませているのを、俺は傍観しているだけ。これが日常となった。
今日彩加がきたことは言ったが、会話の内容は話していない。人生初、男子同士の会話ができたのだから。記念だ記念。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
カンヴァセイション=会話
序盤のアレは作者がニュースを見てふと思った事です。深い意味はないよ。
というわけで、戸塚回でした。次回は、もうとにかく色んなネタをぶっこみます!
ではまた。