俺と彼女のハイスクールライフ   作:”アイゼロ”

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はい、どうも、アイゼロです。

30話突入!

今回は糖分多めのいちゃこら回。久々の小町登場。

それと、作者本人すら忘れかけているんですが、八幡は眼鏡をかけています。詳しくは11話参照。

それではご覧ください。


30話:俺と彼女の結婚プロミス

朝、目が覚めると、そこは八くんの部屋だった。別に入れ替わってはいないよ。ただ単に今日は八くんの家で一日中一緒にいるだけ。八くんの両親は私の両親と新島家で談笑する予定。小町ちゃんはこの家にいます。久々に3人と遊ぶのは久しぶり。

 

どうやら私が先に起きたらしく、八くんはまだ横で熟睡中。いつ見ても寝顔は幼くて可愛らしい。久しぶりに、やってもいいよね。うん、最近甘えられてないからいいよね。

 

全身八くんの上に覆いかぶさり、再び私は眠りについた。

 

 

 

 

まぁ何という事でしょう。横で寝ていたはずの可愛い彼女、風音は俺にしがみついた形で覆いかぶさりながら寝ているじゃありませんか。前までは抱き着くだけで恥ずかしがるほどだったというのに、成長したんだなぁ。お兄さん嬉しいよ。

 

とはいえ、どうしようか。多分乗っかられてからしばらく経っているため、体が重いと感じている。耳元で風音の寝息が聴こえていて、軽く興奮状態の俺。

 

まず抱きしめるのは当たり前として、その後どうしようか。・・・・・あれれ?考えているうちに無意識に手が風音のハリのある臀部に向かっていってるぞ。

 

到達。まだ数回しか触れていなかったが、いい。胸とはまた違った感触に、俺はおぉ、と感嘆の声を漏らす。

 

己の欲望を解放し、優しく揉む。風音が悪い。こんな誘っておいて、俺が何もしないわけがないだろう。俺は彼女を大事にするあまり『私って魅力ないの?』って不安がらせるような男じゃない。多分。

 

「んぅ、ぁあ」

 

寝息が突然喘ぎに変わった。顔を見ると、先程よりも顔が赤くなっている。何故女性というのは、睡眠中でも触られたくない場所を触られたら、そうやって反応をして、認識をするのだろう。不思議。なんかこれだと語弊があるな。風音のしか触ってないからね。

 

「八くん・・・」

「おう、おはよう風音」

「お尻、触ってるよ・・・・」

「わざと。嫌か?」

「ううん。たまにはこうやって触れ合わないと」

 

そう言って、風音も俺の胸板などをなぞるように指で触り、その後に掌で頬を撫で始めた。目を閉じ、少し唇を前に出す。

 

ピピピピピピ

 

期待に応えようと、俺も同じ行動をしようとした瞬間、セットしていたアラームが無情にも鳴り響いた。

 

それでもかまわず、おはようのキス。アラームごときで、俺らを止められると思ったら大間違いだ。

 

時刻は10時。とっくのとうに互いの両親は談笑しているだろう。小町も起きているはずだ。

 

「「おはよう」」

「おはよ~」

 

リビングに入ると、ぶかぶかTシャツを着て、ソファで雑誌を読んでいる小町がいた。それ俺の・・・。

 

「お兄ちゃんと風姉、生徒会に入ったんだよね」

「ああ。俺が会長、風音が副会長だ」

「はぁ、なんか、お兄ちゃんが会長なんて、信じられないなぁ。風姉もそうだけど、お兄ちゃんをここまで変えた人を見てみたいよ」

「そんじゃあ、遊びに来いよ。そいつらも役員だし」

「八くんの妹だって言ったらすんなり通してもらえそうだね」

「それって職権乱用じゃ・・・。まぁそう言う事なら行こうかな♪小町も総武高入ったら生徒会入るし」

「おう。まだ庶務が空いてるから入学と同時に入れられるぞ」

 

生徒会長特権をここで使う。多分理事長ならOK出してくれるはずだ。

 

「本当に!やったー!」

「じゃあ受験勉強頑張らないとね」

「はーい♪」

 

半ばはしゃぎながら、自分の部屋へ戻ってしまった。やる気を出すのは良いがほどほどにしてほしいところだ。朝から勉学は良いと言われているけど。俺らがモチベーションとなるなら、兄と義姉である俺達は嬉しい限りだ。

 

「お兄ちゃん、風姉、教えて」チラ

「・・・はいよ」

「いいよ~」

 

 

どうも、小町です。昼ご飯を食べ終えた小町達はリビングでまったりとしています。小町はこの日はお兄ちゃんたちのおかげでかなり集中して勉強に取り組めました。本当、お兄ちゃんと風姉の教え方が上手過ぎてスムーズにシャーペンが動いた。

 

さて、そのお兄ちゃんたちですが、ソファで

 

「あ~、癒される」

「ふふ、痛くない?」

「全く。最高」

 

お兄ちゃんは風姉に膝枕をしてもらっています。風姉はお兄ちゃんの頭を撫でています。もう、甘々。今日のお兄ちゃんは結構甘えん坊になり、風姉のお腹に顔を押し当てた。

 

「今日はやけに甘えん坊だね」

 

そう言って、お兄ちゃんの頭を包むように抱き、片方の手でアホ毛をいじり始めた。

 

「・・・」ぐびぐび

「小町、そんな大量に無糖コーヒー飲むと、体壊すよ」

「じゃかぁしい!そんなに小町の口から砂糖吐き出させたいわけ!・・・って、呼び捨て?」

「あ、妹をちゃん付けおかしいって思ってね」

「そっか。ってそうじゃなくて!話をそらさない!」

「逸らしたの、小町だよね・・・」

「あのね、2人きりの時は別にいいよ。2人きりだったら何してもいいし、何だったらとっととゴールしてもらって、したい事すればいいよ。でもね、ここに小町がいるの。もう見ていて、小町うんざりだよ!」

 

この2人といると、無糖コーヒーは必須なのだ。無糖コーヒーが一瞬にしてマッカンのように甘くなる。生徒会役員の人たち、大丈夫なのかなぁ。

 

お兄ちゃんが起き上がった。お?やっとだ。・・・と思った矢先、今度は風姉がお兄ちゃんの腕に抱き着き、頬ずりしている。

 

お母さん!お父さん!小町もそっちに連れてってーーーーー!小町、嘆きの叫び。

 

 

3時になりました。3時のおやつという事で、小町はお兄ちゃんたちとお菓子を作ることになりました。思ったんだけど、正しくは15時だよね?何で3時のおやつっていうんだろう。

 

ここにいる3人は全員料理ができるから、難しいお菓子を作る。その名もアップルパイとガトーショコラ。

 

最初はアップルパイを作る。カスタード入りだよ♪。作業工程はカット!

 

調理の中盤、小町は調理器具やオーブンを担当。ふと、横目にお兄ちゃんたちを見る。横に並びながら、キッチンで食材に手を付けている様は、さながら夫婦のようだ。

 

「うし、できた。半分は向こうの親たちにあげようぜ」

「そうしよっか。じゃあ行ってくれるね」

 

風姉はできたてのアップルパイとガトーショコラを、お皿に乗せ、ラップで包み、目の前の家で談笑している親たちに差し入れとして、持って行った。

 

そうだ、ずっと疑問に思ってたことがあったんだ。風姉もいないことだし、折角だから聞いとこう。

 

「ねえねえお兄ちゃん」

「ん?なんだ?」

「お兄ちゃんと風姉って、いつ結婚するの?」

「結婚?・・・。そうか、結婚。・・・いつにしようか・・」

 

意外だ。お兄ちゃんの事だからてっきり結婚について話すと、照れてキョドリそうだと思っていたけど。さすがは5年付き合ってる事だけはある。表情は真剣だ。

 

「渡してきたよー」

「あ、風音。ちょっと聞いていいか?」

「ん?何?」

「俺達、いつ結婚する?」

「・・・えぇ!結婚!?どうしていきなり!」

 

風姉が戻ってきた直後、小町と全く同じ内容で聞いたお兄ちゃん。なんの変化球もないストレートな質問に、風姉は顔を赤くして、耳にかかった髪をかき上げながら、チラチラとお兄ちゃんを見ている。可愛い。

 

「可愛い」

 

あ、お兄ちゃんもやっぱりそう思ってた。

 

「でも、結婚かぁ。いつにしようか・・・」

「そうだよなぁ。就職して安定したら、結婚が普通なんだが。我儘言うと早く風音と結婚したい」

「私も八くんと早く結婚したいな。八くんだから、将来の仕事なんて心配ないし」

「何そのえげつないくらいの信頼・・・。凄い」

 

彼氏の就職にそこまで信頼を注ぐ彼女って、もしかして風姉だけなんじゃないかな?不安な表情すらしていない。

 

「あ、八くん。あのさ」

「ん?」

「私達、同じ誕生日でしょ?」

「うん」

「お互い同時に18歳になるわけじゃん」

「ああ。・・・・・まさか」

 

お兄ちゃんは何か勘付いた様子で、風姉を凝視した。小町でも分かった。

 

「来年の8月8日にさ、市役所行って、籍入れようよ」

 

おおっとぉ!ここでまさかのプロポーズ!!しかも、婚約ではなく結婚!ああでも、あくまで約束だから婚約になるのかな?とにかく高校生にして、結婚!小町、どうしていいかわからないよ!興味本位で聞いたのがバカだった!ていうか、小町何でここにいるの?もういらなくない?

 

「風音・・・・。そうだな、そうするか」

「うん♪」

 

お互い、結婚を了承し合い、お互い小町でも強く見える程抱き合った。もう見てらんない。悪い意味じゃなくてね。

 

「あ、あのー、ちょいとよろしいでしょうか?」

「ああ、悪いな小町。なんだ?」

「親への確認は、いいの?」

「「あ、そっか。行ってくる」」

「そうそう・・・・・ってええ!今!ちょ、ちょっとぉ!」

 

小町の発言で重要なことに気づいた甘々バカップルのお兄ちゃんと風姉は、いそいそと目の前にある新島家の家へと訪問しに足を運んだ。いくら何でも早すぎると焦燥に駆られた小町は後を追うように走った。走るって言ってもすぐそこなのにね。

 

 

「親父、母ちゃん!」

「お父さん、お母さん!」

「な、何八幡、急に入ってきて。ビックリしたわ」

「どうしたの?風音」

 

俺と風音はお互い結婚すると誓いを立て、親にもその報告し、了承を得ようと、目の前の家なのに小走りで親の元へ来た。

 

「あの、俺と風音、来年の8月8日に結婚しようと思うんだ」

 

風音と手を繋ぎながら、覚悟と決心を背負って、結婚宣言をした。この親たちは、俺達が付き合っていることに歓迎し、幸せを願いっているが、結婚となれば話は別になってくる。結婚というのは、人生最大の幸福と共に、責任も降り注ぐ。婚姻届けという紙一枚が、そのすべてを詰めている。なんか話反れたな。とにかく、そう簡単には行かないんじゃないか、という事だ。

 

手を繋いでいる方の風音の手が一層と強くなった。気持ちは同じなのだろう。後ろに追いかけてきた小町も、少し緊張の趣だ。

 

「「「「そっか。お幸せに」」」」

 

しかし、当の親たちは、いつものようなフラットな表情と口調で、軽々と結婚を認めた。いやちょとまてちょとまてお兄さん!あまりにもあっさりと了承したから、俺と風音は戸惑いを隠せない。

 

「じゃあ、アレだそっか」

 

すると、風音のお母さんが掌をパンッと叩き、何かを取り出した。それを俺達に渡す。

 

「未成年の場合は親の確認が必要だから、はいこれ」

 

渡された紙は、なんと婚姻届けだった。しかもとっくに親が埋める欄が埋まっている。後は俺達の名前や詳細を書いて市役所にもっていけば成立だ。まだできないけど。

 

「あの、そんなにあっさりでいいんすか?」

「なんか、色々言うと思ったんだけど・・・」

「別に今更2人の関係に口出ししないわよ。だって、他の人となんて絶対に付き合わないでしょう」

「「うん」」

「ほらね、だから私達親も、2人には結婚してほしいと思ってるの。それだけよ」

「お前ら、幸せになれよ!」

 

風音の母に続いて、父親も俺達にエールを送る。

 

「八幡、絶対に幸せにしろよ」

「そうよ、八幡。しっかりね」

 

親父、母ちゃん・・・。なんか、拍子抜けというか、ホッとしたというか、腑に落ちないというか、もうよくわかんねえや。

 

 

俺と風音は俺の部屋に戻り、目の前の婚姻届けを眺めている。

 

「残った空欄書こうぜ」

「うん。そうだね♪」

 

ニコニコと隠すこともしない笑顔でペンをとり、すらすらと書き込む。本当、用意周到過ぎて、親怖いわ。

 

「風音。名字はどうする?新島か比企谷」

「比企谷がいい」

「そうか。分かった」

 

その後も、着々と空欄を埋め込み、最後の印鑑を押した。

 

「よし、これで後は市役所に出すだけだ」

「来年の誕生日までは大切に保管だね」

「ああ。・・・すげぇ急だったけどな」

「だね。けど、私は嬉しいよ♪」

「・・・俺もだ」

 

お互い顔が見えなくなるほど密着し、それぞれの身体に腕を回した。

 

「やっぱり八くん、がっしりしてるね」

「そうか?風音なんて強く抱きしめたら今にも折れそうで怖いわ」

「私、そんなやわじゃないよー。ほら、もうちょっと強く抱きしめて」

 

要望通り、回していた腕の力を強くした。風音の柔らかくて華奢な肢体が、俺の身体に温かく包まれる。とってもいい匂い。

 

 

小町は今日、貴重な体験をしたと思います。物心がついたその日から一緒にいたお兄ちゃん、風姉が、本日結婚の約束を、目の前でしました。元凶は小町なんだけどね。それでも、大好きな2人が結ばれるのは小町も大変喜ばしいし、舞い上がるほど嬉しい。今の小町的にポイント高い!これ久しぶりに言ったなぁ。

 

その高揚感をぶつけるべく、夜ご飯もちょいと奮発してお肉を一杯使ったり、食後のデザートとして3時に作ったお菓子をひと手間加えて食べたりと、小町の方がはしゃいでしまいました。てへっ。お赤飯美味しかった。

 

さ~て、婚約した人同士は部屋で何を話しているのかな~?あまりいい趣味とは言えないけど、好奇心の方が勝ってしまってるのです。

 

「八くんは将来なんの仕事するの?」

 

お?どうやら就職やら仕事関係の話のようだ。それもそっか。結婚するんだから、将来設計はちゃんとしないといけないし。・・・・そう言えばお兄ちゃん、何したいんだろう。前から風姉を幸せにするって言ってたけど、教えてはもらってなかったなぁ。

 

「笑うなよ?」

「笑わないよ」

「・・・・教師」

「へぇ・・・・ええ!八くんが教師!」

 

ええええええ!!!お、おおおお兄ちゃんがきょ、教師!あ、あのお兄ちゃんが!あ、あれかな?反面教師としてかな?

 

「何してんだ小町?」

「え?・・・は!」

 

小町は気付いたらドアを開けてお兄ちゃんの部屋に入っていた。脳の許容量を超える衝撃事実に、体が勝手に動いていたのだろう。

 

「それよりも、お兄ちゃん教師になるの?」

「聞いてたんだな・・・・。まぁ、結構前から決めてたことだ」

「どうして教師に?」

「そうだな、なんていうか・・・。まず公務員だから安泰」

「八くんらしい回答・・・・・。そう言う事聞いてるわけじゃないのに・・・(-_-)」

「分かってるって。・・余計なお世話って気もしてならないが、もしかしたら、俺と同じような人もいるかもしれないし、イジメに困ってる奴に手を差し伸べたいって思ってんだ」

 

お兄ちゃんは気恥ずかしそうに顔を少し下に向けながら、教師志望の理由を話した。確かに、お兄ちゃんなら向いているかもしれない。まず基本的に教えるのが上手いし、何より、普通の人とは違い、色々な事を経験してきたお兄ちゃんなら、きっといい教師になる。ずっと小町が見てきたのだから確かです。あ、でも風姉の方が長いんだった。妹以上に付き合いが長い彼女って、今考えてみれば凄いなぁ。

 

「八くんが教師かー。意外と似合うかも」

「意外とってなぁ・・・」

「いいと思うよ。・・・・私からも、教えてほしい事があるからね」

「へ?」

 

風姉の意味深な発言に、訝し気な表情になるお兄ちゃん。すると、風姉は耳元で小町には聞こえない距離で囁いた。小町には言えないことなのかな?

 

「・・!?なっ、おい風音、お前いつからそんなむっつりになった?」

「お、女の子だってこう思うときはあるの!男だけだと思ったら大間違いだよ」

 

何言ったのーーーー!?めちゃくちゃ気になるんですけど!聞こうとしてもはぐらかされるし!これ絶対気になって眠れなくなるよー!うわああああ!お兄ちゃんと風姉顔赤いんだけどー!

 

そして、その後も、風姉の発言は、知る由もなかった。

 

まぁ、とにかく、結婚おめでとう。

 




最後まで読んでいただきありがとうございます。

次回は戸塚回です。オリキャラは少ししか出ません。

また次回。

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