俺と彼女のハイスクールライフ   作:”アイゼロ”

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はい、どうも、アイゼロです。

27話突入。

気合入れて書き始めたら、いつの間にか10000文字超えてた。

いろはす登場。

それではご覧ください。


27話:俺と彼女の生徒会エレクション

修学旅行も終わり、今日からまた通常授業が始まる。

 

今日部活で雪ノ下に生徒会に入ると言い、退部をするつもりだ。

 

いつもと変わらず、教室に入り、凛と飛鳥、彩加に挨拶をした後、席に座り、読書に励む。最近芥川賞受賞で話題になったコンビニ人間という本を買ったので早速読んでみることに。

 

隼人「おはよう、比企谷」

 

八幡「なんだよ・・・」

 

すると突然横から、最近一皮むけた葉山がおはようと挨拶をしてきた。こいつヒキタニって呼ばなくなったな。

 

隼人「何って、挨拶だよ。俺とお前の仲じゃないか」

 

こいつ口調も少し変わったのか・・・。お前っていう奴ではなかったはず。

 

八幡「いつからそんな仲になったんだよ・・・・」

 

隼人「さぁな。用はそれだけだよ。じゃ」

 

何だったんだ一体・・・・。

 

 

放課後、風音と合流し、自販機で飲み物を飲みながら、奉仕部を目指す。

 

八幡「うーっす」

 

風音「お待たせ~」

 

雪乃「こんにちは」

 

いつもと変わらない素っ気ない挨拶も終わる。いつもの光景・・・・光景?・・。

 

風音「あれ?結衣ちゃんは?」

 

雪乃「由比ヶ浜さんなら、退部したわ」

 

八幡「マジか・・・」

 

雪乃「ええ。何でも戸部君の事を根に持ってたらしく、私じゃ役に立たないって、私に言い残してやめたわ」

 

そう言って雪ノ下は由比ヶ浜の退部届を俺達に見せた。入部の時同様正式な退部届じゃなく、丸文字の自作だった。

 

八幡「止めなかったんだな」

 

雪乃「ええ。入部するか退部するかは本人の自由だもの」

 

あれ?じゃあ強制入部された俺ってなに?自由はないってこと?何それ嫌だ。

 

雪乃「戸部君と海老名さんの件だけど、ありがとう。あなた達のおかげだわ。それと、ごめんなさい。私は見る事しかできなくて」

 

風音「でも雪乃さ、授業中でも何か考えてたよね」

 

雪乃「けど、結果的には私は見る事しかできなかった」

 

風音「それを言うなら私もだよ」

 

八幡「俺もだな。あれは戸部の考えた策と、葉山のおかげでどうにかなったんだ。だから、もうこの話は無しだ」

 

無理矢理話を終らせ、いよいよ風音と本題を切り出す。・・・うん、あれだ。由比ヶ浜の退部があったのに、さらに俺らも退部なんてちょっと言いづらい雰囲気になってしまっているな。

 

八幡「なぁ、突然で悪いが、俺らもやめていいか?」

 

雪乃「本当に突然ね。理由を聞こうかしら」

 

俺達は、俺は生徒会長、風音が副会長に立候補することを話した。俺は前言ったが、葉山が応援演説。風音の応援演説は、神崎がやってくれるとの事だ。

 

八幡「まぁ、そんなわけだ。後は平塚先生なんだが・・・」

 

雪乃「平塚先生からは私が言っておくわ。元々強制だったもの。自分から生徒会長になるっていう人を縛るようなことは出来ないわ」

 

おお、結構心強いな。その、時に見せる鋭い眼と論破力なら、どこか安心できる。なにがか分からないけど。

 

雪ノ下に退部を認めてもらい、俺と風音は職員室で奉仕部退部届をもらいに行き、生徒会に立候補すると教員に話をしに行った。平塚先生は何故か見当たらない。どこかで別の生徒と話でもしてるのだろうか。

 

「助かったよ。もう選挙は近いっていうのに、未だに立候補してくれる人がいなかったからね」

 

・・・・嘘でしょ?え?まだ誰も立候補してないの?俺達が最初?生徒会やりたくない人多すぎだろ。

 

「でも、生徒会長には君ともう1人いるよ。精々頑張るんだな」

 

八幡「はい」

 

それもおかしい話だ。他の役職には誰もいなくて生徒会長だけなんて。そいつも十分やる気のある奴なんだな。

 

退部届を手に、奉仕部の部室へ戻る。

 

部室のドアを開けると、依頼しに来たのか人が何人か入っていた。1人は平塚先生、だからいなかったのか。そしてもう1人は生徒会長の城廻先輩。もう1人は・・・・・・誰?

 

「雪ノ下せんぱ~い。この人たちは?」

 

雪乃「同じ奉仕部よ」

 

いろは「そ~なんですか~。初めまして、一色いろはです。よろしくおねがいしまーす」

 

・・・・・ははぁ、はい分かっちゃった。いやぁ、人の本性が見えすぎるのも困ったもんだ。この一色いろはという奴、自分を可愛く見せることに長けているな。おそらく長年、男子に愛想振り回してたんだろう。分かりやすく言えば、『こいつ俺のこと好きなんじゃね?』と思わせる天才。容姿やルックスが良い分タチが悪い。さぞや女子に嫌われていることだろう。この猫かぶり。ホラ見ろ、風音を。微妙な表情をしてるぞ。

 

風音「・・・新島風音です」

 

八幡「比企谷八幡だ。取り敢えずその猫かぶりやめてくれないか?正直うざい」

 

いろは「っ!・・・ばれちゃいましたか。まぁいいです。今回はちょっと相談があってきました」

 

俺と風音は定位置に座り、一色も城廻先輩も席に座った。平塚先生はドア付近で壁に背中を預けている。

 

 

いろは「実は私、生徒会長に立候補させられちゃったみたいで・・・」

 

なんと驚きの事実。俺のライバルはすぐそこにいた。

 

風音「させられた?」

 

自主的に立候補したわけじゃないんだな。気付いたらされてた。高確率で嫌がらせだな。

 

八幡「でも、なんか書類とか必要だろ?本人印とか」

 

めぐり「ごめんね。まさかこんな悪戯するとは思わなくって、見逃してたのかも・・・」

 

確かになぁ。こんな面倒な嫌がらせ普通ならしない。要するに一色は普通以上に周りから邪険されているという事実がここにある。

 

雪乃「ですが、立候補するには30人の推薦人が必要なはずです」

 

八幡&風音「「え?そうなの?」」

 

雪乃「あなた達、知らなかったのね・・・」

 

ええー。ここにきて鬼門が現れたよ。30人・・・。そこまで交友関係ないよ俺。どうしよう・・・・。まず、凛と飛鳥、彩加だろ。風音に頼んで神童と神崎。あの、川、川崎でいいんだっけ?材木座、雪ノ下。あれ?無理じゃね?

 

平塚「何故お前が落ち込んでるんだ?」

 

八幡「あ、俺生徒会長になりたいので」

 

俺がそう言った途端、この部室に訪れた3人目を見開いて驚いた。

 

平塚「本当なのか?しかし、部活は・・・」

 

八幡「風音とやめます。風音も副会長に立候補するので。だからさっき退部届もらってきました」

 

退部届の紙をひらひらと見せると、先生は怪訝な顔をしている。まぁ、予想通りだな。強制入部なのに、勝手に退部なんだから。でも、この場合は言い返せるし、先生は不利だ。今この場に現生徒会長がいるし、立候補させられた一色はやりたくない、そして生徒会長になろうとしている俺。雪ノ下にもすでに許可をもらっている。運がいいことに最高のシチュエーションだ。

 

なんか、先生に対してダンガンロンパするわけじゃないのに、何でこんな追い込んだみたいにしてるんだ俺?

 

平塚「君には罰としてこの部に入れたんだが・・・」

 

八幡「強制でも、生徒会長やりたいので、やめます」

 

平塚「それだと雪ノ下が」

 

雪乃「私は1人で大丈夫ですよ。自ら生徒会長になる人を止めるなんて愚行はしません。先生も、できませんよね。前に進もうとしてる生徒を止めることは」

 

先程よりも鋭い目で先生を睨み、俺らの不安が取り除けた。

 

平塚「・・・・そうだな。確かに君の言う通りだ」

 

先生は両手を上げ、降参のポーズをとった。その行動から予測すると、俺らと一戦交える気だったのか?そこまでして俺らをこの部にいさせて何になるというんだろうか。

 

とにかく、退部は認めてもらえたから良しとする。

 

いろは「あのー、という事は私、生徒会長をやらなくて済む、ってことですか?」

 

おずおずと手を挙げながら、気まずそうに聞いてきた。

 

雪乃「そういうわけではないわ。あなたには皮肉なことに推薦人が30人集まっているもの」

 

八幡「そうだな。実際、俺はまだ集まってないからお前の方が有利だ。ったく、どうやったらそんな周りに敵を作れるか知りたいくらいだ」

 

いろは「そ、それは・・・・。あはは。とにかく、選挙に出たとしても、負ければいい話です。そのことで、今回奉仕部に依頼をしに来ました」

 

雪乃「それは、選挙で負けたいという依頼でいいのかしら」

 

いろは「はい」

 

八幡「それはどうだろうな」

 

いろは「え?」

 

一色は気付いていないようだが、これはこれから先の一色の高校生活に支障を来す。一色を目の敵にする女子共は、晒し者にし、嘲笑するためにこのような計画を行ったんだ。一色は客観的に見て可愛い部類に入る。もし、彼女を責めるようなことをすれば、男子が黙っていない。そして、一色を責めた女子が男子に目の敵にされる。

 

選挙に負ければ、好き勝手言われる。一色を不快にさせられる。自業自得。それだけを求め、言わせるために、リスクを伴わず、地味で緻密な、一色を貶めようと、こんなくだらない悪戯を仕込んだんだ。

 

勝てば官軍負ければ賊軍。それがこの世界の決まり事だ。

 

これは一色が負ければ、という話だが、一色自身、負けたいといったから、勝つ仮説なんてどうでもいい。

 

この事を一色に話すと、あはは、と空笑いの表情を浮かべた。

 

いろは「仕方、ないですよ。自業自得って言われたらぐうの音も出ません。甘んじて受け入れます。生徒会長になればそんなことないと思いますが、私にはやりたいことがあるので・・・」

 

最初は面倒くさいからやりたくないと思っていたんだが、どうやら予想以上に一色は覚悟を決めていたらしいな。

 

風音「八くん、どうしよう・・・」

 

風音も心配そうにしている。昔、俺も似たような状況なったことあるしなぁ。・・・・ん?似たような?

 

・・・・・そうか。そうだったな。俺と似たような状況か。なら、対策は練りやすい。俺の時とは違う、けど似たような解決方法でいける。

 

いろは「どうしたんですか?ニヤついて、ちょっと危ない人に見えますよ?」

 

八幡「おい、人が折角解決方法導いたのにその言い草は何だ・・・」

 

いろは「え?本当ですか!?」

 

それに対して俺は、無言でうなずく。

 

八幡「城廻先輩、一色の書類持ってますか?」

 

めぐり「一応持ってきたけど・・・」

 

八幡「そこには本人の意思確認のための印鑑、押されてませんよね?」

 

めぐり「うん」

 

よし、証拠1つ目。

 

八幡「続いて、推薦人名簿は本名が書かれています。さて、どうしようか?」

 

雪乃「・・・あなたまさか」

 

雪ノ下も風音も納得した様子だ。取り敢えず2つ目。

 

八幡「一色、最後にもう一度聞く。生徒会長はやりたくない。どんな嫌がらせも甘んじて受け入れる。それでいいのか?」

 

いろは「・・・・はい、そのつもりです」

 

一色の本気の覚悟を再確認したところで、一色を負けさせ、貶めようとした奴らの度肝を抜き、これからの高校生活に支障をきたさない、作戦を練る、奉仕部最後の仕事が始まった。

 

何故、初対面の奴に協力するかは、前にも言ったが、俺は本気の奴が嫌いではないからだ。それに、自分と似た状況にいる人を放っておけるほど冷たくない。

 

・・・・それにしても、推薦人どうしよう・・・。

 

 

一色の選挙敗北の作戦は当日説明と同時に執行するとして、俺の推薦人だ。

 

凛たちと昼食をとっている時にそのことを打ち明けた。

 

凛「へぇ、八幡生徒会長になるんだ。いいね」

 

飛鳥「元ボッチが生徒会長か・・・。凄いね、ドラマみたい」

 

彩加「推薦人なら僕たちがいるから、書くね♪」

 

凛「ところで、八幡は生徒会長、風音は副会長、後は?」

 

八幡「それが、まだ誰も立候補してなくてな」

 

飛鳥「ええ!でも、締め切り一週間前だよ!間に合うの?」

 

多分ダメだと思う。生徒会やりたい奴なら2週間前から立候補してるはずだ。演説の作文を書かなくてはいけない。

 

でもどうなんだ?このまま立候補者が現れないとしたら、選挙はどうなるんだろうか?前代未聞だからどう対応したらいいのか教師もわかんないと思う。

 

凛と飛鳥はその話を聞いて、数秒顔を見合わせ、うん、と頷きこちらに顔を向けた。

 

凛「私、会計やる」

 

飛鳥「私は、書記」

 

八幡「・・・・・は?」

 

え?それは生徒会に立候補するという事でいいのか?いや寧ろそれしかないだろ。

 

八幡「いいのか?」

 

俺がそう聞くと、問題ない!それにやってみたかったんだ、と笑顔で快く受けてくれた。よかった、俺と風音だけじゃしんどいと思ってたし、かといって他の人が立候補したら、未だコミュ力低い俺だからどうしたらいいか迷ってた。だから、こいつらなら気を抜いて生徒会ができる。楽しくなりそうだ。

 

彩加「僕だけ仲間はずれ・・・」

 

プクーっと可愛く、呟く彩加。あ、可愛い。狙ってない純粋なあざとい仕草だとこうもグッときてしまうんだな。凛なんかグハッと仰け反ってるし。

 

飛鳥「でも彩加部活あるし。でも、たまに生徒会に遊びに来ていいよ」

 

そう言って慰めているが、普通に彩加の頭を撫でているため、説得力がなく、余計彩加をぷんぷんと怒らせた。

 

彩加「子ども扱いしないで!」

 

飛鳥「ごめんごめん。弟と妹がいるからついね」

 

八幡「飛鳥、弟と妹いたんだな」

 

飛鳥「うん。妹は明日奈(あすな)、弟は桐人(きりと)って名前で双子なの。ゲームが好きなんだ。よくオンラインゲームっていうので遊んでるんだよ」

 

・・・・あれ?なんか、聞いたことあるぞ。確か、ソー?、ソード・アート?、SAお?・・・・いや、聞いたことないな。うん、そうか。明日奈と桐人か、カッコいい名前だ。

 

八幡「お前ら、推薦人30人集められるのか?」

 

凛「私たちは八幡と違って他のクラスに友達がいるから大丈夫。それより八幡こそ大丈夫なの?」

 

八幡「ぐっ!おい、そこで毒吐く必要ないだろ。・・まぁ、頑張るよ」

 

 

そんなわけで、できる限り集めた推薦人がこちら。

 

風音、凛、飛鳥、彩加、川崎、材木座、柴百合、高杉先輩、城廻先輩、一色、神崎、神童、葉山、戸部、大岡、大和、三浦、海老名、由比ヶ浜、雪ノ下。三浦からは一言もらった。

 

優美子「ほら、頑張るし。あ、あと、遅すぎるとは思うけど、肩の傷、悪かったし。謝るし」

 

どうやらずっと夏の林間学校を気にしていたようだ。別に俺は気にしてないし、今になって謝んなくてもいいのにな。三浦、結構いいやつ。その件は由比ヶ浜も一言謝罪を言って来た。今となっては結構気まずい関係だから、頑張って、とだけ言われた。

 

ちなみに、柴百合と高杉先輩に関しては、10話参照だ。

 

・・・・・・見ての通り、足りない。後10人。というか、結構友好関係広がってたんだな。いつの間にか。

 

目の前の推薦表を見て、感慨深くなり、自然と笑みがこぼれた。悪くない。と、心の底から思う。

 

隼人「調子はどうだい?」

 

八幡「葉山・・・。どうもこうもねぇよ」

 

隼人「その様子だと、まだ集まってないみたいだな」

 

八幡「うるせぇよ。俺はお前と違って、目立つような事したことねぇんだよ」

 

姫菜「ふっふっふ、なら私が一肌脱ごうか」

 

俺達の話を聞いていたのか、横から海老名が突然現れた。眼鏡の奥の目が見えない。そして、半ば興奮状態。ふむ、もう修学旅行の件は引きずってないみたいだ。

 

でも、一肌脱ごうって、一体何をする気だ?

 

 

・・・・・・・・・・

 

 

八幡「何でこうなった・・・」

 

隼人「俺が聞きたいよ・・・」

 

俺と葉山は肩を落としながら、ため息をついた。

 

海老名に一肌脱ぐと言われて、持ってきたのは、星の王子さまの衣装だ。ていうか、何で教室に保管されてたんだよ。持って帰れよ。それを着せられ、人がよく通る通路に立たされている。視線が痛い。

 

第一こんなんで推薦してくれる人いるのか?

 

「葉山君、何してるの?」

 

隼人「ああ、比企谷が生徒会長に立候補するから、その推薦人集めだよ」

 

葉山は軽快にそう答えると、その女子はこちらに視線を向けた。

 

「あ、じゃあ私推薦するよ。星の王子さま、面白かったし」

 

八幡「え?・・あ、どうも」

 

「じゃ、頑張ってねー」

 

早速効果あったんですけど・・・。この衣装、人を寄せ付ける効果でもあるのか?ドラえもんの秘密道具に匹敵するかもしれないな。っつーか、その道具を街中で使ってる時点で秘密もくそも無い気がするがな。

 

その女子が去り際に、その様子を見ていた女子もつられてこちらにやってきた。そして、星の王子さまの感想やら、葉山カッコいいやら言って名簿に名前を書いて去っていく。

 

そして、いつの間にか葉山にメロメロの女子が群がりはじめてしまった。それに興味津々の男子も集まってきている。

 

八幡「葉山、お前が対応してくれ。俺には耐えられん。こういうの慣れてるだろ、たらし」

 

隼人「人聞きの悪い事言わないでくれ。・・・・あ、どうもありがとう」

 

葉山の神対応により、次々と名簿が埋まっていく。凄いなぁ、葉山。なんか葉山の方が生徒会長向いてるんじゃないかと思う。

 

「ヒキタニ君!」

 

八幡「は、ひゃい!?」

 

「星の王子さま、かっこよかった。選挙、頑張ってね」

 

八幡「え、あ、ありがとう」

 

突然の俺への応援に戸惑っていると、葉山がこちらを向いて笑顔になった。

 

隼人「比企谷、君は自分が思っている以上に、人に評価されているよ」

 

・・・・・はっ、こんなこと初めてだからどんな顔したらいいかわからねぇや。

 

時間も経ち、人気が無くなったところで、名簿を確認する。・・・・・・50人以上。凄いな。

 

八幡「ありがとな、葉山。今度礼させてくれ」

 

隼人「珍しいな、君が素直にお礼を言うなんて」

 

八幡「おい、俺はそこまで捻くれてないし無礼者でもない」

 

隼人「冗談だ。・・・そうだな、それじゃあサイゼで奢ってくれ」

 

お前サイゼ好きだったんだな。やっぱりこんなオサレなカフェ行きそうなイケメンでも、千葉県民というわけか。

 

八幡「分かったよ」

 

 

推薦人も集まり、本人印も押した、俺、風音、飛鳥、凛は職員室に提出しに行き、生徒会に立候補した。退部届は一色の件が終わってから出すつもりだ。

 

結局、俺達4人と一色しか立候補者は出なかった。まぁ、4人でも機能するだろ。5人が規定なんだから。

 

 

 

そして、選挙当日。

 

ここからは、選挙と同時に、一色を負けさせ、貶めようとした連中に仕返しをする作戦を説明する。

 

まず、普通に選挙をする。生徒会長立候補者から順に壇上に立つ。俺の演説も終わり、次は一色だ。あ、ちなみに演説内容は省きます。

 

そういえば一色の応援演説する人を聞かなかったな。まぁ、どうせ貶めようとした連中の一味だろう。所々、誰も気づかないような遠回しな嫌味が入っている。

 

選挙は何事も無く終わり、後は結果を待つだけだ。作戦実行は、結果が出たときだ。

 

 

そして、結果は俺が生徒会長になり、一色は落ちた。風音は副会長、凛は会計、飛鳥は書記と決まった。

 

さて、作戦実行。さぁ、俺達(・・)の掌で踊りやがれ。

 

 

 

 

「いろはちゃーん、落選で残念だったねー」

 

「まぁ、でもー、これも日ごろの行いのせいじゃないかなぁ?」

 

「マジあんたムカつくんだよねー」

 

「ちょっと可愛いからって男子に媚び売ったりして」

 

「ま、自業自得ね」

 

一色に散々罵倒を吐いている女子グループは高らかに笑い始めた。当の一色は無表情、いや、若干ニヤついている。おい、少しは堪えろ。作戦ばれる。

 

「は?何ニヤついてんの?」

 

ああ、怪しまれた。でもこれなら十分だろう。

 

いろは「ううん、何でもないよ・・・。先輩!」

 

八幡「はいよ」

 

一色から投げつけられた謎の機械を受け取り、そのまま職員室に向かう。

 

「あれ、生徒会長の・・・。あんた、何渡したの?」

 

いろは「録音機♪今の会話全部、録音されて、今職員室に持っていかれようとしてるよ♪」

 

「なっ!ふざけないでよ!」

 

いろは「ふざけてるよはどっちですか~?嫌いな人を勝手に生徒会長立候補者にさせるくらいの、地味で汚い手でしか仕返しできない人たちが~」

 

「あんたねぇ!」

 

いろは「おー、怖い怖い。それじゃあ、私も職員室に行くとしますかー。それじゃあね♪」

 

「待ちなさい!」

 

いろは「(ふっふっふ、本当に上手くいきましたね。それにしても雪ノ下先輩と比企谷先輩、新島先輩。よくこんな事思いつきましたね)」

 

 

 

 

 

八幡「お?来た来た。じゃあ雪ノ下、頼んだ」

 

雪乃「ええ。まかせなさい」

 

怖っ!なんだ?突然冷気を纏ったぞ。ヤバい、氷の女王が職員室前にて降臨した。

 

いろは「お待たせしましたー。ってうひゃあ!」

 

一色めっちゃビビってんじゃん。

 

雪乃「ごきげんよう」

 

「え?雪ノ下先輩?」

 

「何でこの人が・・・」

 

雪乃「あなた達が、一色さんを勝手に立候補させて、嘲笑の的にした主犯格の5人ね」

 

「な、何のことですか・・・?」

 

雪乃「今更とぼけなくてもいいわ。この録音された会話を聞けばわかることよ。それに、書類には本人の意思確認である印鑑が押されてないもの。おそらく見逃してたんでしょう。さらに、この推薦人名簿なのだけれど、可笑しいわねぇ。一色さんは男子に人気なはずなのに、1人もいないなんて。まるで女子だけで計画したような感じだわ」

 

「そ、それは・・・」

 

雪乃「何か、言いたいことがあるのかしら?」

 

鋭い眼光が、女子集団を貫く。もう氷の女王じゃない。氷の魔女だ。いや、それを凌ぐ、女帝だ。周りに凍てついた森林の背景が目に浮かぶ。

 

「そもそもいろはが悪いの。可愛いからって男子からいいように見られて!」

 

雪乃「ただの逆恨みじゃない。自分を磨かずに仕返しすることしか考えられたない人たちに、男子が目を向くはずがないわ。器が小さいのね」

 

「っ・・・・」

 

雪乃「それに、一色さんは何一つ悪いことはしてないわ。彼女は相手の求めている振舞いを見抜いて、狡猾に、人によって態度を使い分ける、賢い子よ。高1で使いこなす技術じゃないわ」

 

確かにな。初めて会った部室でも、あの性格の変貌ぶりは正直驚いた。長年猫を被り続け、自然に相手を振る舞わせる性格変化。その結果、社会でも通じる程の、技術を身に着けたのだ。なんか、必殺技みたいな解説だなこれ。最近見返した、超次元サッカーアニメ見たせいかな。

 

いろは「あの、新島先輩。私、褒められてるんですか?」

 

風音「褒めてるんじゃない?ずる賢いってところを」

 

いろは「それ褒めてるんですかね・・・・」

 

「・・・・・」

 

言い返せなくなったのか、俯き始めた女子集団。

 

いろは「先輩たち、もういいですよ。選挙にも負けましたし。後は、私がやります」

 

雪乃「・・・そう。分かったわ」

 

一色の言われた通り、俺達はその場を退いた。

 

 

職員室で平塚先生に退部届を出し、雪ノ下に挨拶をするため、奉仕部に訪れた。

 

八幡「んじゃ、今日で退部だ。色々世話になったな」

 

雪乃「世話になったのは私よ。今までの依頼は、あなた達が解決してくれたもの。私は何もできなかったわ。見る事しか・・・」

 

風音「でも、雪乃さ。色々な人の相談を聞いて、八くんの解決方法とか見てさ。色々教室でメモとか書いたりして、学んだんでしょ?」

 

え?そんなことしてたんですか雪ノ下さん?ちょっと可愛いって思っちまった。・・・なんだ、見てただけなんてことねぇじゃん。

 

八幡「俺のって、そんなに役に立ったのか?」

 

雪乃「参考にはなったし、是非吸収させていただくわ。この言葉を知ってるかしら?『凡人は真似をし、天才は盗む』」

 

かの有名な画家、パブロ・ピカソの言葉だ。他の画家と画風が似ているため、パクリと疑われた際に言い放った名言。絵で例えると、真似は相手の物をそのまま写す。盗むは、相手の物を自分のものにする。似ているようで全く違う意味。ピカソは相手の物を吸収し、さらに磨きをかけ、新しい絵を描く。それを続け、同じ人が描いたとは思えないような絵を描き、偉人として名を残した。

 

雪乃「私は天才だもの。あなた達の方法を盗んで、依頼をこなしていくわ」

 

八幡「ふっ、そうか。それは光栄だ。じゃあな、もう行く」

 

雪乃「ええ。どうもありがとう」

 

風音「またね」

 

最後のあいさつを交わし、半年通い続けた部室を出た。

 

 

翌日

 

 

 

放課後、生徒会長になった俺は、生徒会室に向かう。

 

生徒会室を開けると、5つ大きくくっつけられたデスク、壁に貼られた賞状や歴代校長の写真、ショーケースに並ばれている謎の本。思ったよりアニメで見たことあるような光景で驚いている。ホワイトボードもあるし。ほら、アレだ。スケットダンスの生徒会室に似ている。

 

そして、一番奥の席は、会長席。

 

八幡「今日からここが、俺の城だ」

 

凛「なーに恥ずかしい事言ってんの?」

 

八幡「凛!いつの間に!」

 

飛鳥「結構大きい声だったから廊下に丸聞こえだよ」

 

風音「今日からここが、俺の城だ。なんてね」

 

八幡「なんだ。お前ら来てたのかよ・・・」

 

あー、誰もいないと思ってつい言っちまった。けど一度言ってみたかったんだよなぁ。俺の城って。

 

凛「じゃあ、各々席に座ろっか」

 

凛の合図で、それぞれの役職の席に座る。まず俺が、一番奥の会長席。俺から見て、右が風音、その奥が飛鳥。そして左が凛。凛の奥は庶務の席だが、誰も立候補してないためいない。彩加が遊びに来た時用だな。遊ぶって言っても仕事はちゃんとするからね。本当だよ?

 

八幡「なんか、それっぽくなってきたな」

 

ていうか、会長席ってこんな気持ちいいんだ。なんかフワフワしてるんだけど。違和感を感じ、そこに手をやると、包まった毛布がでてきた。

 

城廻先輩、忘れものです。今度返します。

 

飛鳥「じゃあ、始めに生徒会室色々と漁ろうよ。何か出てくるかもしれないよ」

 

風音「賛成♪」

 

八幡「いきなり宝探しかよ・・・」

 

各自、デスクの引き出し、ショーケース等、色々と漁り始めた。俺も会長用の引き出しを漁る。すると、何やらボロボロだが、しっかり保管されている紙を見つけた。見てくれから古いと感じさせ、黄ばんでいる。

 

大切な物なのかと思い、その紙をそーっと開くと、人の名前が羅列している。一番下には城廻先輩の名前が・・・。

 

もしかして、歴代生徒会長の名前を書くことになっているのか。・・・・面白いこと考えたなぁ、初代の人。

 

『比企谷八幡』っと・・・。

 

そっと慎重に奥にしまい込む。痛んでいるから破けないようにな。

 

もう、昔とは違う。俺が見渡す生徒会室には、『本物』と言える、恋人、友達がいる。この半年間、色々あった。その出来事が、走馬灯のように脳をよぎる。いや、別に死ぬわけじゃないから、縁起悪いな。

 

今日から俺の高校生活に、生徒会が追加された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、物語は、第二章へ・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 




最後まで読んでいただきありがとうございます。

いよいよ、連載当初から計画していた、第二章へ突入します。ここから、八幡、風音、凛、飛鳥による生徒会が始まります。もちろん彩加も一杯登場させます。

また次回。

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