24話突入。
この回書くのに、かなり時間かかっちまった。何度も修正してやっと完成。
後、京都観光や新幹線のくだりは割愛しています。
それではご覧ください。
皆さん、ご機嫌麗しゅう。
普段起きる時間よりもさらに早く、家族からお土産リストを渡され、微睡の中、風音と共に東京へ向かう。
途中で偶然彩加と合流し、集合場所である新幹線口に着いた。すでにぞろぞろと生徒の大半は集まっていて、普段から人が多い東京駅が、さらに騒がしくなっていた。
凛「お、来た来た。八幡、風音ー、彩加ー」
飛鳥「おはよー」
俺らよりも早く着ていた凛と飛鳥が手を振って、挨拶をしてきた。
風音「2人共早いね」
凛「いやぁ、楽しみすぎて、早起きしちゃったんだ~」
飛鳥「私は、その凛に電話で起こされて、まだ眠い。ていうか寝たい」
じと~、と目を細めながら凛を睨む飛鳥。対する凛は、明後日の方向を向きながら、口笛を吹いている。いや、吹けていない。二酸化炭素だけが放出されている。
八幡「新幹線では寝れるから、ゆっくりすればいいだろ」
飛鳥「いや、そうしたいのはやまやまなんだけど。凛に何されるかわかったもんじゃないから」
彩加「前に何かされたんだね・・・」
風音「何されたの?」
飛鳥「い、言えない!絶対に!」
おお、予想外の勢いで拒絶したな。そんなに凄い事をされてしまったのか・・・。でも、この飛鳥の反応を見ると、余計気になってしまう。
凛「実はあの時ね・・・」
飛鳥「だ、ダメ!?」
顔を赤くしながら、凛の口を思いっきり塞いだ。痛かったんだろう・・・。凛が涙目だ。
そんなことをしているうちに、予定された集合時間になり、新幹線も到着したので、各々クラス別で、決められた車両へと乗り出す。・・・風音ェ、一緒に乗りたかった・・・。ぐすん。
新幹線の座席は不思議な作りになっており、一列五席で、二席三席と分けられている。
という事で、男子女子に別れ、席に座った。
そして、その横で騒がしく、席の取り合い譲り合いをしているのは、葉山達だ。ちょっと戸部や海老名の事があったので、気になって観察をすることに。
優美子「あーし窓際がいい」
開口一番に自分の希望を言う金髪ドリルこと、女帝の三浦優美子。
結衣「沙希ちゃんはどこがいい?」
沙希「え?私は静かならどこでも・・・」
川崎、そのグループの席に座るだけで、その願いは叶わないと思うぞ。
結衣「そっか。じゃあ、とべっちがそこで、姫菜が・・」
姫菜「はいはい。結衣がここで、サキサキがお向かいね」
由比ヶ浜の言葉を遮り、そそくさと座る位置を決めた海老名。そして座席は、葉山、戸部、川崎。向かい側が由比ヶ浜、三浦、海老名になった。
やはり、わざと戸部から避けている節が見られる。
◆
一日目の修学旅行が終了し、ホテルの指定された部屋にいる。新幹線と京都のくだりは全部割愛。
風呂も飯をすべて済ませ、今は彩加と明日のグループ行動について色々話している。
その時、横からある男が現れた。
隼人「ヒキタニ君も戸塚も、一緒に遊ばないか?」
そう言われて、葉山の後ろを見ると、戸部大岡大和が麻雀やらトランプやらウノで盛り上がっている。
彩加「うん。僕も遊びたいからいいよ」
隼人「ヒキタニ君は?」
八幡「・・・・いいよ。遊ぼうか」
隼人「珍しいな。どういう風の吹き回しだ」
八幡「おいそれどういう意味だこの中途半端金髪野郎」
ちょうど聞きたいこともあったからな。戸部に。
戸部「おー、ヒキタニ君達もやるー?よぉーし、じゃあウノやろーぜー」
戸部はすぐにウノを用意し、手早く俺らにカードを配った。
八幡「そういや戸部。いつ告白する気だ?」
戸部「ちょ、今その質問だすかぁー。えー、惑わしてるぅ?」
何をだよ・・・。
八幡「いや、単純にいつ告白するか聞いてるだけなんだが・・・」
彩加「え?戸部君告白するの?」
戸部「お、おう。まぁな」
戸部は少し照れ臭そうに、頭をガシガシ掻いている。そして、俺の質問に答えるべく、口を開いた。
戸部「・・・ん~、明日するわ」
八幡「明日?3日目じゃないのか?」
戸部「あー、ぶっちゃけそれもありだったんよ。でも、明日グループ行動じゃん?そっちの方が誘いやすいというか・・・。俺に考えがあるわけよ」
隼人「戸部の考えか・・・。なんか頼りない感じがするな」
奇遇だな葉山。俺も今全く同じこと考えてたぞ。
戸部「隼人君それないべー。ていうか緊張してきたわー。っつーか、場所どうしよーかー」
大和「頑張れよ!ヘタレ」
大岡「そうだ。告白しろヘタレ」
戸部「ちょっ!その扱いはないべ!」
そうだなぁ、場所か。告白なんて正直どこでもいい気がするが、折角の京都だ。どうせならこだわりたいところだ。
先程彩加と話し合いながら、開いていた雑誌を手に取り、パラパラとページをめくり始める。条件は、まあそれらしい雰囲気で、2人になれる場所。・・・・ここだな。
八幡「戸部、ここならいいんじゃないか?」
俺が見せている写真には、いったい何本生えているか全く見当のつかない、青々とした竹林。そして、夜になると設置されている灯籠が光を放つ。そのコントラストは夜の嵐山にさぞ映える事だろう。
戸部「おー!なんかここいいべ!よっしゃ、ここにするわ。ありがとなヒキタニ君!」
八幡「依頼だからな」
◆
マッカンが・・・ない。
彩加たちと一旦離れ、自販機でマッカンを買おうとしたが、ここがどこだか今気づき、落胆している。
肩を下げ、落胆していると、前から何者かに抱擁された。いや、何者かではない。この何年も味わってきた、そしてこれからも味わっていたい温もりは
風音「はーちくん♪」
この頃一段と、大胆になってきた彼女、風音の登場だ。
八幡「おー、風音。会いたかったぞー」
風音「私もー♪」
傍から見たらバカップルな事をしている気がする。でも周りは誰もいないから、特に気にする必要もない。
風音「どう?戸部君の方は」
八幡「ああ、明日告白するらしい」
風音「明日?3日目かと思ってた」
八幡「なんか戸部に考えがあるらしくてな。ま、取り敢えず見守っていればいいだろう」
風音「そっか。・・・私、何もしてあげられなくて、ごめんね」
八幡「クラスが違うんだから仕方がない。それに、あまりする必要ないって言ったろ?戸部の健闘を祈るくらいだ。・・・そろそろ消灯の時間だ。お休み」
風音「お休み。3日目楽しみだね♪」
八幡「そうだな」
◆
風音と二言三言会話し、彩加たちのいる部屋に戻ってきた。やはり告白のことで話が盛り上がっている。
八幡「そういや、戸部が告白するとき、葉山達はどこにいるんだ?」
隼人「ああ・・。戸部が、俺の雄姿を見ていてくれって言ってたから、おそらく後ろから見守ることになる」
八幡「そうか・・・。少し話がある」
俺は葉山をみんなから離れさせ、誰にも聞かれないように小さい声で話を切り出した。
八幡「どうだったんだ?今日の戸部や海老名の様子は?」
俺がそう聞くと、葉山は暗い表情になり、月の光が降り注ぐ夜空に目を移した。
隼人「俺でも分かったよ。姫菜は戸部を避けているように見えた」
八幡「そうか・・・。不安になったか?」
隼人「はは、口では信じてるとは言ったけど・・・。けど、自分のグループを信じてない人がいるって思うとな・・・」
まぁ、そうだよな。告白なんて失敗したら気まずくなるというのは、もう常識だと思われているんだから。それに、戸部が告白することや、海老名が告白を受けることは、唯一三浦だけが知っていない。少なからず三浦も葉山のグループの事を信じているかもしれないが。一番の問題は、やはり海老名だ。葉山の話を聞いた限り、結局今の状態のグループを維持することに決めたらしい。
隼人「君が気にする必要なんかない。これは俺達の問題だから」
八幡「そうだな。じゃ、健闘を祈ってるぜ。でも、依頼は依頼だ。一個だけ言いたいことがある」
隼人「なんだい?」
八幡「告白の時は、俺達含め、三浦たちもいた方がいい。と、俺は思う」
一応、三浦だけが知らないというのは、何だか可哀想だし。それに、グループ内の問題なら、知っておかなくちゃいけない。そう思った俺は、葉山にこう言った。
隼人「・・分かった」
ちょっとした気遣いなのに、何故か葉山は神妙な面持ちで、俺の言葉を受け取ったように見えた。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
京都観光は割愛すると言いましたが、風音とのデートはちゃんと書きます。26話にします。甘々に。
また次回。