とうとう20話突入。
今回は文字数がとっても短いです。その分次回は多いです。
それではご覧ください。
八幡「一体どういうことですか?」
平塚「今言った通りだ。仕事が滞っていて全然進んでいない。このままだと相当マズいことになる」
結衣「マズい事って・・?」
平塚「最悪、文化祭自体が無くなる」
結衣「そ、そんな!?」
何でだ?どうして突然・・・。一体あっちで何があったんだよ・・。
八幡「原因は何ですか?」
平塚「おそらく文実の委員長、相模だ」
は?・・・あいつが委員長だと。なにを血迷ったんだ?あいつは所詮葉山に推薦されて、ノリでやったようなものだろ・・。
平塚「こういうことを言うのは何だが。その相模が仕事を上手くできていないんだ。今は、生徒会長が手を回してくれてるおかげで事なきを得ているが、このままだと間に合わない」
八幡「ったく、ノリがいいやつもここまでくると、面倒だな。・・・・で、何でそれを俺達に?」
平塚「ああ、私からの依頼で、文実を手伝ってほしいんだ」
八幡「無理ですね」
ある程度は予想していたけど、俺にもやることがあるんでね。
八幡「今はどこの部活も休んでいます。奉仕部も例外じゃありません。それに、雪ノ下や風音は、クラスでやることがあるし、俺にもクラスの主役という役目があります。だから、そんなことしてる暇はないんです」
平塚「し、しかし・・・」
八幡「そもそも、教師陣は何かしているんですか?仕事に手こずっているのなら、サポートするのが先生の役目でしょう。生徒会や俺らばっかに頼らないでください。目安箱の時もそうですが、奉仕部は便利屋じゃないんです」
先生にそう言うなり俺は、教室の中心に戻り、劇の練習を再開させた。
隼人「何かあったのかい?」
八幡「あ?・・・いや、何でもねぇよ。さ、続きを始めようぜ」
隼人「?・・分かったよ」
こいつに相模が原因で文実が機能していないと知ったら、真っ先に自分が推薦したことに責任を感じて、文実の仕事を手伝ってしまうだろう。ていうか、葉山は実行委員に推薦しただけだからな。委員長になったのは、あくまで相模自身なんだから、直接関係はしていない。それに、劇の主役と文実なんて掛け持ちできるはずがない。それだと、せっかく用意してくれた奴らに失礼だ。ここは、黙っとこう。
◆
あれから数日が立ち、いつもより海老名監督は張り切っていた。
姫菜「衣装ができたよ!」
そう言って、俺ら2人に掲げてきたのは、まるで絵本で見るかのような、THE・王子という派手な衣装だった。すっげぇキラキラしてる。
八幡「こ、これを着るのか?・・・」
隼人「あはは、暑そうだね・・・」
確かにまだこの残暑の中、こんなの着たら暑さでやられてしまう。
姫菜「さあ!あそこで着替えてきて。ぐ腐腐、あの空間で男子2人が生着替え。ろ、録画しても?」ハァハァ
隼人「いや、それはやめてほしいな」
そんなわけで、着替え終わり、カーテンを開けた。その瞬間、教室の女子たちが色めいた声をあげる。
『きゃーー!葉山くんカッコいい!』『凄い似合ってる!』『こっち見てーーー!』『えっと、ヒキタニ君だっけ?結構カッコいいじゃん!』『私普通にタイプだよ!』
八幡「なんか、凄い騒がれてるな・・・」
隼人「ははは・・、似合ってるよ、ヒキタニ君」
八幡「やめろ。気持ち悪い。悪寒が走る」
姫菜「うんうん、いいよ、凄くいい!滾る!」ダラダラブッシャ――!
八幡「一旦外出るか。このままだと死人が出る」
隼人「あはは・・・・、そうだな」
◆
教室から出て、俺は葉山と別れ、文実が行われている会議室にやってきた。
窓から覗く形で。
正面から様子を見たら、絶対に仕事をやらされそうな気がしたからな。一階上の空き教室のベランダに出て、手すりに足を引っかけ、逆さづりの形で覗いている。
ふむ、窓越しでもわかるこの緊迫感。本当にヤバいらしいな。そして、俺のあの時の言葉が効いたのか、何人かの教師が仕事を手伝っている。・・・ん?おい、待て。何故由比ヶ浜がそこにいる?奉仕部は休止中だってのに?それなのに何故手伝っている。そんな自分勝手にやすやすと相談に乗ると、部長に怒られるぞ。そしてなぜか、平塚先生本人が見当たらない。なにやってんだあの人?生徒に相談をしておいて・・・。
実行委員の席の方へ視線を向けると、ぎこちない動作で、焦燥に駆られながら、資料を処理している相模がいた。でも、半分以上は生徒会が手を回している。傍から見たこの絵面だと、足手まといにしか見えてこない。
相模の表情は、『なんか思ってたのと違う』と凄く分かりやすく顔に出ていて、後悔の念が滲み出ている。そして、完全に自信を無くした目をしていた。
・・・・・・・・・・・・・・
これは勝手な俺の推測だが・・・
お前が責任を取らなきゃいけない日は、文化祭当日だと思うぞ。覚悟しとけ、葉山。
・・・ん?あれ~?その葉山が何故か会議室を訪れたぞ。ちなみに話し声は俺にダダ漏れだからな。ロットアイ地獄耳を舐めるな。
隼人「あの、有志団体の申込書、持ってきました」
どうやら、有志団体でバンドをやるらしい。か~、主役の後にバンドとか随分とやる気だな。よく体力持つもんだ。
「うん、分かった。それじゃあ預きゃっとくね」
隼人「へ?」
おっと、あの女子もしや結構なアニメ通だな。俺もあの作品は好きだぞ。あずにゃん推しだ。
◆
八幡「あぁ~、きつい」
風音「やっぱ劇の練習、厳しいの?」
八幡「まぁな。風音の方はどうなんだ?」
風音「私は接客だから、覚えることは少ないよ。ちょっと気楽でいられるかな」
いいなぁ、それ。
風音「八くん疲れてるんだ。・・じゃあ癒してあげないとね。何してもらいたい?」
八幡「ん~、それじゃあ、一緒に寝よう」
風音「お安い御用だよ♪」
別に深い意味はないよ。ただ風音を抱き枕にして寝たいだけであって・・。これも相当やばい理由だな。
そして翌日、目が覚めたら逆に俺が抱き枕にされていた。しかも俺の顔面を抱いている状態だから、すっごい柔らかい胸が、俺の顔面をクリーンヒットさせていて、一日頑張れる気合が入った。風音は俺だけのやる気スイッチだな。
◆
隼人「今晩・・君は来ちゃいけない」
八幡「ぼくたちはずっと一緒だ」
姫菜「大分役に板がついてきたね。中々いいよ!」
確かに、ここ数日の海老名監督によるスパルタのおかげで、早くも噛まずに台詞を言えている。それに関しては葉山もそうだ。
姫菜「これなら、本番までには完璧になるかもね!さぁ、この調子でもう一度」
サーイエッサー。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
じわりじわりと、由比ヶ浜に悪印象を与えるような形にしています。
それではまた次回。