18話突入。
今回も、凛、飛鳥、彩加がメインです。
それではご覧ください。
チュンチュン
朝を伝える小鳥の囀りと共に俺は目を覚ました。いつの間に寝てたんだな。泣き疲れたのかな?俺らしくもない。
意識がちょっとずつ戻ってくると、自分は床で寝てることに気づいた。そして、上から毛布が掛けられている。
彩加が掛けてくれたのか・・。ありがたや。彩加を探そうと辺りを見渡すと、驚く場所にいた。
俺の真横。
寝息をたてながら、彩加は添い寝の形で俺の横で寝ていた。ベッドあるのに、何でここにした?使ってくれてもよかったのに・・。
時計を見ると、時刻は7時だった。起こした方がいいかもな。
八幡「彩加、起きろー」
彩加「ん・・・んぅ~。あ、おはよう、八幡」
ぴょこっと立った寝癖、寝相で地味にはだけたパジャマ、そして寝起きのトロンとした目。なんか・・・エロイ。
八幡「おはよう。ちょっとシャワー浴びてくるわ。昨日風呂入り損ねたし」
彩加「分かった。じゃあ僕、朝ごはん作るね。食材使っていいかな?」
八幡「いや、それは全然構わないが・・。彩加って料理できるのか?」
彩加「そこまでじゃないけど、朝食ぐらいならお母さんに教わってるから」
凛、どうやら5人の中で料理できない奴はお前だけだぞ。
◆
シャワーを浴び終えた俺はパンツ一丁で、リビングに戻ってきた。そしてテーブルには、トーストにベーコンエッグ、コーンポタージュが並んでいた。
八幡「すげえ。美味そうじゃん」
彩加「えへへ、ありがとう♪食べよっか」
八幡「おう。いただきます」
彩加の料理は、上の下の腕前で、美味かった。
「「ごちそうさまでした」」
トントン
食器を下げようと、キッチンへ向かおうとしたら、ドアがノックされた。おそらく、風音達だろう。
八幡「はーい」
風音「おはよう、八くん、彩加」
凛「おはよう、八幡、彩加」
飛鳥「おはよう、八幡、彩加」
ん?コピペ?全く同じ挨拶がきた。
彩加「おはよう」
八幡「おう、おはよう」
風音「あ、八くん、この後どうしようか考えてたんだけど・・・」
八幡「ん?何か行きたいところでもあったのか?」
凛「海に行くよ!」
八幡「・・・は?」
飛鳥「海に行くよ!」
八幡「いやいや、聞こえてるから。それとさっきっからそのコピペやめろ」
彩加「海、僕も行きたい!」
風音「八くんは?」
八幡「いいぞ。行こうか」
ここで行かないとか言えるわけがないじゃん。まぁ、最初から拒否する気は無かったけど・・。
風音「じゃあ、一旦家に帰って、また集合しよう」
凛「うん、分かった」
◆
各々家に戻り、準備を終え、クーラーの聞いた電車に揺られながら、俺達は海に辿り着いた。
男である彩加と俺は着替えが早いため、そこで借りたパラソルを刺している。そして、荷物番。
風音「おまたせ~」
ゆる~い声で駆け寄ってくる俺の彼女、風音は白の水着を纏っていて、とても眩しい。
凛「おまたせ」
飛鳥「あ、パラソルありがとう」
続いて凛と飛鳥も来た。凛は黒の水着に飛鳥は赤の水着。白、黒、赤、どれも高校生で着るような色じゃない(小町情報)。
凛「どう?似合う?」
飛鳥「ど、どうかな?」
ちょっぴし照れた様子の飛鳥に対して、凛はそんなそぶりも見せずにアピールをしてきた。
八幡「似合ってるぞ」
彩加「うん、2人共可愛い♪」
凛「ありがとう//」
飛鳥「ふふっ、ありがとう//」
2人共照れ隠し下手だな・・。凛、さっきの勢いはどこいった?思いっきり照れてんじゃねぇか・・。
風音「八くん、私は?」
八幡「世界一可愛いぞ!なんだったら誰にも見せずに1人占めしたい。いや、させてくれ!」
風音「はゎ//・・・ふふ」
おっと、あまりの可愛さにうっかり抱きしめてしまった。幸せ。風音も嬉しそう・・・。
凛「あれ?これはこれで正しいはずなのに・・。なんか悔しい」
飛鳥「なんだろう・・。私も凛と同じ気持ちだよ・・」
彩加「あはは・・・。じゃ、思いっきり遊ぼう!」
彩加の合図とともに俺らは海に向かっていった。訂正、俺以外が。俺は引き続き荷物番だ。別に寂しくないよ。慣れてるし・・。
そんな卑屈になっていると、何故か風音達が戻ってきた。
風音「日焼け止め塗るの忘れちゃった・・・」
ははは、このドジっ子め♪
風音「あ、八くん、背中塗ってくれない?」
八幡「OK」
風音から日焼け止めクリームを受け取り、自分の手で少し温めて置き、風音の白くきめ細かな肌に手を付いた。
風音「あ・・・」
うわ・・・久しぶりに触ったけど、すっげぇすべすべだ。なんならずっと触ってたいくらい。
凛「さぁ、そのまま、彼女の胸へぬるぬると手を伝らせ・・・」ボソ
唐突に、耳元でそう囁かれた。
風音「ちょっと、聞こえてるからね!触りたいならせめて家に帰ってから!」
凛「え//」
八幡「か、風音?//」
飛鳥「ちょっ、何言ってるの//」
彩加「////」プシュー
風音「え・・・。あ!ち、違うの///今のは!・・・」
凛「風音って、意外と大胆な子だったんだね///」
風音の無自覚な発言により、この場にいる全員が赤面している。彩加なんて、真っ赤にして硬直してるし。なんて純粋な子なんだろう。
八幡「と、取り敢えず、気ぃ取り直して遊ぼうぜ。熱くなった顔を冷やして来い!」
飛鳥「よ、よし!行こう皆!」
彩加「お、おおー!」
凛「行くぞー!」
次こそ、皆海に向かって走り出した。
風音「冷たーい」
凛「ほーらほらほら」バシャバシャ
彩加「この~、お返し!」
これが俗にいう青春というやつなのかねぇ・・・。今まで悪だの嘘だの言ってきたが、今はあんまりそんなことも思わずに、楽しんでいる。でも、風音や彩加、凛に飛鳥じゃないと、こんな楽しい青春は謳歌できないような気がする。
そんな感慨深くしていると、凛がこちらに駆け寄って、海を指さし
凛「八幡、海を割って」
とんでもないことを言ってきた。
八幡「できるかぁ!なにさらっと怖い事言ってんだよ!せいぜい5Mが限界だ!」
飛鳥「できちゃうんだね・・・。あはは」
風音「私も見て見たい!八くん、いい?」
風音ぇ!え、今までは心配って言ってあまり使わせてこなかったのに、何かと遠慮が無くなってきてない?ちょっとは心配してよ。八幡悲しいよ・・。
八幡「ハァ、分かったよ」ドロドロ
周りに小さい子供がいないかちゃーんと確認し、俺は手刀をつくった。
八幡「おらよ!」
そのまま海面に切れ目を入れる感じで、手刀を放った。
その瞬間、ざっぱーん!、ごおおおお!という轟音を鳴らしながら、約5M、割れたことが確認できた。・・うわ、やっぱできちゃった。
風音「すごい!海底の地面が見えちゃったよ!」
凛「すごーい!!!」
飛鳥「おーー!綺麗ー!」
彩加「す、すごい・・。八幡すごいよ!」
八幡「・・・フゥ」
疲れた。今の結構力入ってたからなぁ。体育館2周走った疲れがきた。
風音「ありがとう、八くん」
凛「無理言っちゃってごめんね」
飛鳥「でも凄かったよ!いいものが見れたし」
彩加「八幡、大丈夫?」
よし、ここはキザにカッコいい言葉を投げてやろう。
八幡「フッ、どうってことないぜ。それに、お前らの喜ぶ顔が見れただけで、俺の疲れは吹っ飛んださ(キリッ)」
ふっ、決まった・・。
一同「「「「・・・」」」」
・・・・あれ?どうしたの皆?なんでそんな無表情なの?魂抜けちゃったの?おーい。
凛「よし、じゃあ引き続き遊ぼうか!」
八幡「いやいやちょっと待て。せめて何か言ってくれ。なんか惨めだろ!」
飛鳥「ビーチバレーでもやろうよ!」
八幡「飛鳥!お前まで・・」
風音「じゃあ、ビーチボール買いに行こうか」
八幡「ちょっと風音!見捨てないで。何か言ってくれ!」
彩加「」肩にポン
八幡「うぅ・・」
その後、風音達が買ってきたボールで、楽しんだとさ・・・。
◆
八幡「そろそろ飯にしようぜ」
彩加「そうだね。お腹すいちゃったし。・・あ、あの海の家で食べよう!」
彩加が奥にある海の家を指さした。「海の家 れもん」という名前だ。
凛「じゃあ、あそこにしようか」
適当に席に座り、店員さんに注文をした。
風音「私はカレーで」
「はいでゲソ」
え?ゲソ?
凛「私は焼きそば」
飛鳥「あ、私もそれで」
彩加「僕はこのスパゲッティ」
八幡「・・俺はエビチャーハンで」
「はいでゲソ。ちょっと待つでゲソ」
なんだあの、ちっこい店員。いちいち語尾にゲソなんて入れて。しかもよく見ると、容姿も結構異様だ。頭は白い頭巾のようなものを被っているように見え、髪なんて水色で先端は矢印のようになっている。
「お待たせでゲソー」
しかもそいつは、その髪の毛を触手のように、自在に操りながら、料理を運んでいる。その異様な光景に俺達は目を奪われていた。
飛鳥「す、すごい人だね・・・」
八幡「いや、明らかに人外だろ・・。あれ」
「お待たせでゲソ」
そいつに目を奪われている間に、俺達全員分の料理を運んできた。・・取り敢えず、食べよう。
八幡「あれ?・・・あの、俺エビチャーハンのはずなんですけど、エビ入ってませんよ」
俺がそう聞くと、異人の女の子は肩をビクつかせ、そそくさと戻ってしまった。っていやいや話聞いてよ!
すると、もう一人の女性店員が来て、その触手店員を捕まえて、叱っていた。
「おい!イカ娘!また客に出すエビ食べたな!」
「い、いいじゃないでゲソか!エビが目の前にあって食べちゃいけないなんて残酷でゲソ!」
あいつ、イカ娘っつーのか。あー、よく見たら、イカのような触手してるし、頭の頭巾もイカみたいだし。
「どうしたの?栄子ちゃん」
厨房から出てきたのは青っぽい長髪が特徴の伏し目がちの女性だ。料理担当の人だな。
「あ、姉貴。またイカ娘がお客さんのエビ食べちゃって」
「げっ・・ち、千鶴」
「あら、そう?・・・イカ娘ちゃん。お客様に出すエビ、食べちゃ
ダメじゃない」
ッ!!!な、なんだ今のは・・。とても人が出すようなオーラじゃない!アホ毛センサーもすごい反応をしている。ここの海の家は人外が多いのか?
「は、はい・・。ごめんなさいでゲソ・・・」
当のイカ娘とやらも、凄いびくびくしている。
その千鶴と呼ばれている厨房担当の人は、こちらに来て
「今すぐ、エビチャーハンを持ってきますね」
と優しい笑顔で取り換えようとしてくれていた。さっきのようなオーラは微塵も感じない。まさか!戦闘力のコントロールができるのか!?
八幡「ああ、いいですよ。エビにこだわってたわけじゃないので」
「あら、そう。それじゃあ、ゆっくりしていってね」
そして、再び厨房に戻っていった。
「エ、エビにこだわらないとは聞きづてならないでゲソ!エビを甘く見るなでゲソ」
急に元気になりだしたイカ娘とやらは、俺に向かってそう大声をだした。
「おい!サボるな、働けイカ娘!」
「は、はいでゲソ・・・」
激昂をくらったそいつはトボトボと料理を運び始めた。
風音「なんか、不思議な人だったね」
八幡「いや、あれどう見ても人じゃない。ていうか、あれを人となんて呼びたくない」
その後も、イカ娘の特殊な運び方を目にやりながら、俺達は食事を終えた。
何で周りの客はあの光景に何も疑問を抱かないんだ?まるで俺達がおかしいみたいじゃなイカ。
◆
彩加「次は何して遊ぶ?」
八幡「あ、そう言えば、さっきそこでスイカ安く売ってたから買ったんだ。スイカ割りでもしようぜ」
彩加「スイカ割り!やったー、僕一度やってみたかったんだよね!」
八幡「決まりだな。順番はどうする?」
凛「ジャンケンにしようか」
ルール
・誰も指示をしてはいけなく、自分でスイカに近づかなければならない。
・制限時間は5分
・順番は、風音、彩加、飛鳥、八幡、凛。
スタ~ト!
風音「うぅ~真っ暗」
棒を上にあげながら、ふらふらとおぼつかない足取りの風音。・・何だろう、悪戯心が芽生えてきそう。あの暗闇の中、腕を上にあげている状態。R18タグ付ける勢いの悪戯心が・・。やめなさい。
風音「えい」スカッ
惜しくも1メートル離れた先で棒を振りかぶってしまった風音。
彩加「次は僕だ」
俺の推測だと、彩加は成功するかもしれない。普段からボールを使うスポーツをしているのだから、なんとなく分かるんじゃないのか?、と。
彩加は徐々にスイカに近づき、今振ったら、スイカが割れるというところまで来ていた。お、もう終了かな?
と、思っていたが、ぎりぎり外してしまった。彩加は悔しそうに頬を膨らませた。
その後も、飛鳥と俺も失敗し、残るは凛となった。
飛鳥「なんか私出番少なくない!?」涙目
気のせいです。
凛「よーし、お姉さんに、任せなさい!」
無い袖をめくり、片腕を曲げ、もう片手をその二の腕に乗せ、どや顔をしてきた。目隠ししててもわかる、このどや顔オーラ。
棒を竹刀のように握り、見えないスイカと対峙をする凛。その自信たっぷりな佇まいに、俺達は、もしかしたらイケるんじゃないか?と、期待に胸を膨らませた。
一歩ずつ、一歩ずつ前に進み、今振れば、スイカに当たる位置まで来た。
よし、今だ!
凛「おりゃぁーー!」
凛は大声をあげながら、思いっきり棒を振るった。
スイカには当たった。だが、割れることは無く、振った棒はスイカによって跳ね返され、当のスイカは、ぽんぽんと、棒に当たった衝撃で砂の上を転がっている。
え?何故かって?
凛「え!何これ!?」
八幡「あっはははははは!」
風音「ぷっ、あっははは!」
飛鳥「あっははは、もう最高!」
彩加「ぷ、ククク、あっははは!」
あのスイカは俺達がこっそり、スイカ模様のビーチボールにすり替えていたんだ。
八幡「本物はこっちだよ」
俺は後ろに隠していたスイカをみんなの前に出した。
凛「えぇ!・・な、何してくれてんのーーー!///なんか恥ずかしいじゃない!あんな自信満々に、任せなさいって言ったのに!?」
凛の赤くなった顔、慌てふためくその動揺、それは俺達の笑いのツボをさらに押した。
その様子を見た凛は、それはもうお怒りで。
凛「うぅ・・//。このっ!八幡のバカ!!」
傍に転がっていた先程のビーチボールを勢いよく当ててきた。そして、跳ね返ったボールを再び、今度は飛鳥に当てようとした。
凛「私より胸小さいくせに!」
飛鳥「ちょっと今それ関係ないよね!?気にしたことあるんだから言わないで!」
凛「腹黒風音!」
風音「今聞きづてならない事言ったよ!私別に黒くないから!」
凛「可愛い男の娘!」
彩加「ちょっと!それ気にしてるんだから!」
凛「はあ、はあ」
八幡「はは、悪かったって。さ、気を取り直してスイカ食おうぜ」ドロドロ
凛「もう・・・」
さっき気付いたけど、切るもの用意してなかったから、俺の手刀でスイカを5分割に上手く切った。
◆
楽しかった時間も過ぎ、今は帰りの電車に乗っている。いつもより比較的空いているため、5人全員が座り、俺以外全員が寝てしまった。
楽しかったな・・。こんなに楽しい夏休みなんて想像もできなかった。もちろん風音とも毎年過ごして楽しかったけど、それとは違う楽しさを実感できた。俺も、柄にもなくはしゃいだし。
飛鳥「またね~」
凛「バイバーイ」
彩加「じゃあねー」
目的の駅に着き、皆を起こして、その場で解散となった。
八幡「おう、またな」
風音「また遊ぼうね~」
俺達は別れを告げ、各々の帰路を辿った。
風音「じゃあ、八くん。また明日ね。お休み」
八幡「おう。・・あ、その前に一ついいか?」
風音「ん?何?」
八幡「海で『胸を触らしてあげる』って言ったよな?触っていいのか?」
風音「えぇ!?//そ、それは・・・、また今度ね///お休み!」
俺のドストレートな質問に、顔を真っ赤にしながら返事をし、そそくさとお休み挨拶をして、家に入ってしまった。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
はい、先日言った由比ヶ浜退部ルートの件ですが、これを実行したいと思います。っていうか反対の人がいなかったね・・。まぁ、俺も反対じゃなかったし。むしろこっちを書きたいというのが、俺の本音だったり・・。
そんなわけで、頑張りたいと思います。
また次回。