16話突入。
お気に入りが500超えてました。嬉しい。けど何故か投票数が少ないなぁと思い、このシリーズの編集画面を見たら、評価設定のところに50という数字が・・・。やらかした。
そんなわけで、評価設定を0に変えました。よろしければ、投票の方、よろしくお願いします。
それでは、ご覧ください
林間学校の最終日、小学生は最後の行事である肝試しに、胸を躍らせていた。こちらは衣装を纏い、小学生を脅す側で、森に待機をしている。俺と葉山以外でな。
八幡「次だぞ」
隼人「本当にやるのか?」
俺達は、留美のグループを待ち伏せしている。他の生徒にもばれないように、ルートを少しいじった。
八幡「もうそれしかないんだよ。時間だって限られてんだから、これが最善策だ」
隼人「・・分かった。こうなったのも俺に責任がある。精一杯やらせてもらうよ」
八幡「おう。・・と、来たみたいだぜ」
隼人「じゃあ、行ってくる」
葉山は、女子集団の前に姿を現した。
「えー?なに?普通ー」
「そんなんで驚くと思ってんのー?」
「馬鹿だねー」
何もコスプレしてない葉山の姿に、馬鹿にしたように大笑いをする。年上を敬ないその態度。
隼人「馬鹿はどっちだ?年上に対する口の聞き方がそれかよ」
何とも葉山らしくもないお言葉。女子たちも予想外らしく、え?と表情を変えた。
隼人「この林間学校で、さすがにお兄さんも腹が立ったよ」
「その・・ごめんなさい」
隼人「謝ってほしいんじゃない。・・そうだな、半分はここに残れ。後は帰ってよし」
「そんな・・・」
「・・留美、あんた残りなさいよ」
留美「なんで?」
「はぁ!なんでって・・」
留美「私は何も言ってない」
隼人「その子の言う通りだ。何故その子が残るんだ?彼女はほぼ君たちと行動していないと思うんだけど」
作戦はこうだ
留美『考えって何?』
八幡『まず、あの集団の関係を徹底的に潰す』
留美『いきなり、とんでもない事言ったね』
八幡『決行は肝試し。まずは、留美のグループだけ、ルートをいじって別方向に行かせる。そこには、俺とあの葉山って言うやつが、待ち伏せするんだ』
留美『うんうん』
八幡『葉山だけ姿を出して、あの集団に、半分残って半分帰るという脅迫をするんだ。そんで確実に留美が残れ、と皆が言うはず。そこで、お前は反論しろ。お前は何もしてないんだからな』
留美『それで?』
八幡『絶対にお互い自分を守るために、誰かを犠牲にするだろうな。面白いことになるぞ、人の悪意がいーっぱい飛び交うんだからな。・・そんで、俺が出てきて、ドッキリでした~とかやる』
留美『それは・・面白そう。でも、それだと八幡たちは大丈夫なの?』
八幡『ま、大丈夫だろ。そこも考えてある』
隼人「あと30秒だ。誰が残るんだ?」
「あんたがさっきあんな事言わなければ・・」
「何それ?一番多く言ってたのあんたじゃない!」
「何あんただけ逃れようとしてるのよ!?」
「私は別に言ってないもん!」
おーおーおー。いい感じに、争ってくれてますね~。ククク。そろそろ時間切れかな?
隼人「時間切れだ。どうする?」
全員涙目で俯いてしまった。さて、ここからは俺の出番だ。
八幡「ドッキリ大成功~」
「え・・」
俺の登場に一同驚くように目を見開いた、全員の視線がこっちに向く。
八幡「ドッキリだよ。演技うまいだろ?こいつ」
「な、なんだ・・そうだったんだ」
「よかった・・」
本当に良かったのかな?ここからが俺の真骨頂だ。
八幡「さて、お互い悪意をさらけ出した気分はどうだ?あの醜い言い争いをして。相手の事を信頼できるのかな?」
俺がそう言うと、お互い気まずそうに眼を逸らしながら、距離をとっていった。間違いなく、この関係は絶たれた。
八幡「あ、そうそう。ひとつ言っとくが・・」ドロドロ
ドン!・・バキバキ!!
俺が横にある木を平手打ちしたら、その木は、大きい音を鳴らしながら、倒れていった。
八幡「どうなるかわかるよな?」
「ひっ!?ご、ごめんなさい!」
留美以外の女子が、一目散に逃げだした。ふむ、取り敢えずチクられる心配はないだろう。
留美「ありがとう、2人共。すっきりした」
八幡「おう。俺もいいものが見れた」
隼人「ああ。それと、昼はすまなかったね。俺が無知だったよ」
留美「別に気にしてないよ。それに、今回は協力してくれたし」
隼人「・そうか」
留美「あ、私もう行くね」
八幡「おう、じゃあな」
さすがに、遅れたら、教師も心配しちまうだろう。俺達も早く、この場を去った。
目の前では、昼に用意した木でキャンプファイアーをしていた。皆、曲に合わせて、交代しながら踊っている。
風音「ねえ八くん。あの孤立してた子。なんか吹っ切れたような顔してたけど。八くん何かした?」
雪乃「説明してくれるんでしょ?」
おー怖い怖い。雪ノ下が。
俺は2人に、考えた作戦を話し、それをさっき決行していたことを話した。
雪乃「あの男がね・・。そんなことするとは思わなかったわ」
風音「まぁ、何はともあれ。八くん、お疲れ、凄いよ!」
八幡「ありがとな」
風音「八くん、あっちで花火やってるから行こう」
八幡「おう!」
久しぶりに花火ではしゃいだな・・。はしゃぎ過ぎて、そこらへんに転がってた石を勢いよく擦って、火を起こしたのは、やり過ぎた。ははは。
花火も終わり、俺は1人離れて座って、星空を眺めていた。自然に囲まれた中での天体観測は、心を落ち着かせられ、安らぎを得られる。綺麗にゃー、星空だけに。
隼人「隣、いいかい?」
と、ここで葉山が登場し、俺の隣に座ってきた。おい、まだ返事してないんだが・・。
隼人「君はすごいな。あんな案、普通の人じゃ思いつかないよ」
八幡「俺は普通じゃねぇからな。それより、あんな悪役みたいなこと、やってよかったのか?」
隼人「ああ、俺が招いたことでもあったから。正直あまりいい気分じゃないのに、妙に清々しくて、全く後悔していない自分がいる。・・でも、俺はみんな仲良くというやり方を変えないけどね」
八幡「そうか。それにしてもお前がそういうなんてな。その薄っぺらい仮面の中は、悪い方の本性が隠されてんじゃねぇのか?俺は、悪感情がかなり好きなんでね・・」
隼人「君はどこの地獄の公爵だい?」
八幡「何で知ってんだよ・・・」
こいつ、案外ネタ通じるかもしれねぇぞ。
隼人「そう言えば、どうやってあんな大きい木を倒せたんだ?」
八幡「腐ってたんだろ」
◆
3日間の奉仕活動も終わり、先生の車を出ると、千葉の駅に着いた。
車から出ると、近くに黒いハイヤーが停まっていた。
陽乃「雪乃ちゃーん」
そのハイヤーから出てきた人物は、雪ノ下の姉である雪ノ下陽乃だった。相変わらずの鉄仮面である。
結衣「誰?」
事情を知らない由比ヶ浜が、頭に?マークを浮かばせ、疑惑の視線を送った。
陽乃「雪乃ちゃんの姉の陽乃だよ♪よろしくね」
結衣「は、はい!由比ヶ浜結衣です」
陽乃「うんうん、ガハマちゃんね。今後も雪乃ちゃんをよろしく」
雪乃「それで、姉さん。何しに来たのかしら?」
陽乃「あ、そうそう。お母さんが偶には顔を出してって、言ってたからね。これから行こうと思って、待機してたの」
雪乃「そう、分かったわ。私も、夏休みは行く予定だったから」
陽乃「そっか。お母さん心配してたよー」
雪乃「じゃあ、早くいくわよ」
雪ノ下姉妹は他愛のない会話をしている一方、俺は黒のハイヤーを隅々まで見ていた。
どこかで見た気がする。だが、思い出せない。けど、何か重要な事な気がするんだよなぁ・・。
陽乃「そんな見たって、手形なんてないよ」
ッ!?・・思い出した。この人・・この車に乗っていたのか。
そう、この黒のハイヤーは、入学式当日に俺と接触した車だ。
実は、この車の前に犬が飛び出して、ロットアイで助けようと走り、犬を抱え、轢かれる直前にボンネットに手をつき、ジャンプしたのだ。俺は真っ先にその場を去ったが、この人には見られていたようだ。
陽乃「じゃ、雪乃ちゃん。行こうか」
雪ノ下さんはそう言って、雪ノ下雪乃を車に乗せ、走っていった。
随分と厄介な人に疑惑をもたれてしまったようだ。
その後も、彩加や由比ヶ浜と別れ、俺と風音、小町の3人だけとなった。
八幡「せっかくだし、何か食ってから帰るか?」
風音「あ、それいいね」
小町「本当に!やった~♪じゃあ、あそこがいい!」
小町が指を指した先には、イタリア料理が食べられるレストランだ。
八幡「んじゃ、そこにするか。風音もいいか?」
風音「いいよ~」
あ、ちなみにサイゼじゃないからな。サイゼじゃないよ!う・ま・る!
≪レストラン≫
風音「はい、八くん。あーん」
八幡「あーん」
小町「・・・ここにきてまで、いちゃつくんじゃねぇ!」
激おこの小町であった・・。ふぇぇ、妹が怖いよぉ~。
◆
8月8日の俺と風音の誕生日、俺達は近くで開催されている花火大会にやってきている。誕生日デートです。
白百合の花を基調とした黒地の浴衣がとても似合っている風音。俺達は腕を組みながら。屋台を回っていた。
風音「はい、八くんも食べる?」
風音は食べていたリンゴ飴を俺の口に近づけてきた。ありがたくいただこう。
八幡「うん、美味い」
風音「美味しいよね、リンゴ飴。あ、八くん、あれやろう」
風音に手を引っ張られて、連れてこられたのは、射的だった。しかも、連続射撃型の奴。
八幡「こういうのって、豪華な景品ほど、後ろに細工されてるものなんだけどな」
風音「もう、またそうやって・・。八くんも一緒にやろう!」
八幡「分かった。どれを狙う?」
風音「ん~と、あのぬいぐるみ!」
よし、あの中くらいのウサギのぬいぐるみだな。やってやるぜ、【ロットア
風音「ロットアイ禁止!」
八幡「そりゃないぜ。ハニー・・・」
風音「頑張って!」
ま、全部ロットアイに頼ってちゃダメだよな。自重しよう。
銃口をウサギに向け、狙いを定める・・・・。今だ!
撃ったコルクの弾は、ウサギを素通りしていった。
その後も、2発目3発目も失敗し、残りは1つとなった。
今度こそ!と意気込み、発射すると、ウサギの耳にかすりはしたが、落ちることはなかった。
八幡「悪いな、風音」
風音「ううん、次は私だよ。八くんの敵!」
パパパパン
風音は、一瞬たりとも隙を出さずに、ぬいぐるみに乱射した。そして、その勢いで、ウサギのぬいぐるみは台の上から落下した。
風音「どうだ!」
八幡「お見事だ。風音」
そろそろ、花火が上がる時間だ。今のうちに渡しておこう。
八幡「風音。誕生日おめでとう。プレゼントだ」
俺は、リボンのついた箱を風音に渡した。
風音「ありがとう!八くん!嬉しいよ」
八幡「開けてみてくれ」
俺がそう言うと、風音は丁寧にリボンをほどき、中身を取り出す。
風音「これは・・」
出てきたのは、ピンク色の真っ二つに割れたハートの首飾りだ。何故半分かというと
八幡「ほら、こうすれば・・」
俺は、自分の首にかけていた青い同じ飾り物を、風音の持っているやつにくっつける。すると、ピンクと青の混ざったハートが完成した。
風音「わぁ・・。すごく素敵。ありがとうね。八くん!嬉しい!」ダキ!
風音は勢いよく、俺に抱き着いてきた。俺も抱き返す。
風音「じゃあ、私からも。八くん、誕生日おめでとう!」
風音からもらったのは、腕時計だ。裏には、『Dear hachikun』と彫られていた。
八幡「ありがとう、風音。一生大事にする」
風音「どういたしまして♪」
俺達は、しばらく見つめ合い、互いに顔を近づけ、唇を重ねた。
その瞬間、大きい音を立てて、花火が上がった。まるで、俺達を祝福してくれているような気がする・・。
一方同時刻、花火を打ち上げる現場では・・。
明菜「おおー!上がってる上がってる!」
一華「綺麗だね~」
風音の友人である明菜と一華がお手伝いとして、花火を打ち上げていた。
明菜「あ、そういえば、今日風音の誕生日だったね」
一華「そういえばそうだね。確か、比企谷君も同じじゃなかったっけ?」
明菜「よし、あの2人の誕生日祝いも兼ねて、とっておきの大きいやつを上げようか!」
一華「おおー!」
最後まで読んでいただきありがとうございます。
今回の話で勘付いた人もいるのかと思いますが、雪ノ下と雪ノ下家とは特に隔たりもないという設定です。ただ、陽乃がシスコン過ぎて、雪乃は苦手。そんな感じです。
また次回。