俺と彼女のハイスクールライフ   作:”アイゼロ”

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はい、どうも、アイゼロです。

15話突入。

夏休みに入りました~。

それでは、ご覧ください。


15話:俺と彼女の林間学校ボランティア

じりじりと日差しが眩しく、肌が焼けるような暑さにやられながらも、総武高は夏休みを迎えました。

 

そんな俺達奉仕部一同は、車から降り、辺りを見回す。

 

自然に囲まれ、森林は生い茂り、濃密な草の匂いが鼻をついた。空気がおいしく、気持ちがいい。

 

結衣「ん~!きもちいい!」

 

彩加「わぁ、本当に山だ」

 

風音「空気がおいしいね~」

 

・・・何故こうなった・・・。

 

遡ること数日前、俺の携帯に一通のメールが届いた。

 

 

差出人:平塚

 

比企谷君、夏休みの奉仕部活動について連絡があります。詳細は後程、説明しますので、宿泊セットを準備しといてください。

 

 

先生・・・メールだとキャラが違うんすね。なんていうか・・まじめっす。

 

そんなわけで、俺、風音、雪ノ下、由比ヶ浜、彩加、小町のメンバーで先生の車で、千葉村にやってきました。ていうか、何で小町いるんだよ?必要あった?

 

先生曰く、奉仕部の活動で小学校の林間学校のサポートスタッフとして働いてもらう。

 

なんでそんなめんどくさい事引き受けたのかねぇ・・・。大人の事情というやつなのかな?大人になりたくねえな~・・・。

 

それはそうと

 

隼人「やぁ、ヒキタニ君」

 

俺の事をヒキタニと呼んだイケメンは、軽く手を挙げた。

 

優美子「なんかただでキャンプできるっつーから来たんだけど?」

 

翔「っべーわー!いーやーただでキャンプとかやばいっしょー!」

 

姫菜「私は葉山君と戸部君がキャンプすると聞いてhshs」

 

なんか一人だけとんでもないやつがいた。

 

八幡「なんでこいつらもいるんすか?」

 

平塚「ん?ああ、君たち以外にも募集をかけていてね。それで、こいつらが参加すると言ってきたんだ」

 

隼人「俺は、内申が加点されるって聞いたからなんだ」

 

成程、つまり釣られてんだな?そうだろ?そうと言え。

 

平塚「小学生はもう集合してるみたいだ。お前たちも早くいくぞ」

 

 

「はーい、皆が静かになるまで3分かかりました~」

 

で、でたーーー!全校集会や学級会などでお説教の前ふりに使われるあの伝説の台詞!この年になって聞くことになるとは・・。

 

予想通り、教師の説教から、林間学校の説明が始まった。

 

一日目の行事はオリエンテーリングだそうだ。みんな『林間学校のしおり』を開いている。

 

一通り説明を終えた教師は、俺達に顔を向け、葉山にメガホンを渡した。

 

「では最後に、みなさんのお手伝いをしてくれる、お兄さんお姉さんを紹介します。まずは、挨拶をしましょう。よろしくお願いします」

 

教師の言葉に小学生の視線は、一斉に葉山に移った。

 

隼人「これから3日間みんなのお手伝いをします。何かあったらいつでも僕たちに言ってください。この林間学校でたくさんの素敵な思い出を作ってください。よろしくお願いします」

 

「はい、ありがとうございました」

 

なんのひねりもない、無難で模範的な超普通のつまらない自己紹介ありがとうございました~♪

 

 

「それでは、オリエンテーリング、スタート」

 

教師の合図とともに、小学生はグループを形成して、森の中を歩き出す。

 

八幡「よし、俺らも行くか」

 

風音「そうだね」

 

俺達は、小学生についていく形で、奉仕部の活動が始まった。

 

 

 

「キャア!」

 

1人の女子小学生が悲鳴をあげた。はぁ、早速アクシデントかよ・・。なんだなんだ?

 

「蛇だ!」

 

どうやら、蛇に遭遇したらしい。珍しいな、こんなところに蛇なんて・・。なーんて悠長な事言ってらんねぇな。

 

隼人「危ないからみんなは下がって!」

 

葉山は蛇と対峙しながら、小学生を手で制止させている。いや、そんなことしたって、蛇がいなくなるとでも?

 

そんな葉山を無視し、俺は蛇の下へ足を運ぶ。

 

隼人「ヒキタニ君、危ないよ!」

 

雪乃「大丈夫なのかしら?」

 

結衣「だ、大丈夫だよ。ヒッキーにはアレがあるし」

 

残念大外れだ。蛇ごときで、ロットアイなんて使わねぇよ。あとさ、

 

風音と小町は何でそんな何事も無いような顔をしてるの?ほら、ちょっとは心配してくれたっていいじゃない?

 

俺は素早く、蛇の喉を優しくつかみ、尻尾も持ち上げ、身動きをとれない状態にした。

 

男子「おー!すげーー!」

 

男子「かっけーーー!!」

 

女子「カッコいいーーー!」

 

小学生から称賛の言葉を浴びた俺は、少し優越感に浸った。・・だって、葉山の顔面白いもん。

 

俺は、蛇を持ち上げたまま、小学生に近づいた。一瞬不安の表情を見せたが、すぐに落ち着かせ、蛇を見せるように前へ持って行った。

 

八幡「ほら、触ってみろ。心配するな。動けないようにしてるから」

 

俺がそう言うと、何人かが近づき、恐る恐る蛇の胴体を触った。

 

男子「すげー、こんな感触なんだ・・」

 

女子「なんか不思議だね」

 

その後も、蛇の豆知識を教え、小学生からの関心を得たという事で、蛇を逃がし、風音の下に戻った。うむ、子供というのは、いいものだな・・。

 

風音「お疲れ、八くん。すごかったよ♪」

 

八幡「おう。ありがとな」

 

 

そろそろ、中間地点かな。あー、疲れた。喉が乾いた。

 

風音「はい、八くん」

 

俺の状態を察知した風音は、MAXコーヒーを渡してきた。

 

風音「持って来たんだ。ここにはないし」

 

八幡「おおー!ありがとな、風音。愛してる」

 

風音「ふふ、私もだよ~」

 

お、普通に返してきた、嬉しい。最近やたら、からかったせいで耐性がついたのかな?ウブな部分が抜けている・・。

 

小町「お兄ちゃん、風姉。ここにきてまでいちゃつかないでよ。小町、毎日砂糖吐き出す思いしてるんだから・・」

 

ははは、それは悪いな。だが小町、いくら可愛い妹の頼みでも、譲れないものがあるのだよ。なにをだよ。

 

女子1「お兄さんとお姉さんは、恋人なの?」

 

1人の女子が、グループを連れて俺達の前に現れた。この話しかけてきた子が、おそらくリーダーだろう。

 

風音「うん、そうだよ」

 

女子3「2人は、喧嘩したことないの?」

 

八幡「一回もないな」

 

女子1「すごーい!じゃ、お幸せに」

 

そう言って、再び女子たちは歩き出した。

 

なんて純粋なんだろう、小学生というのは・・。俺もつい昔の事を思い出す。・・あ、トラウマあるから、やっぱやめとこう。シャットアウト!

 

去っていった女子グループに再び目線を向けると、俺は眉間にしわを寄せた。

 

1人だけ、2歩離れた状態で、歩いている。その少女は、首からカメラを下げ、顔を下に向けながら、トボトボと歩いている。

 

風音「八くん、あれ・・・」

 

八幡「やっぱ、ああいうのはなくならないんだな。いつの時代も」

 

 

夜は飯盒炊飯。カレーを作るんだよ~。葉山グループと奉仕部のグループで分かれて調理の手伝いをすることとなった。ちなみに、由比ヶ浜は、葉山グループに入った。

 

手伝いと言っても、見守ってるだけで、何か聞かれたら答えるくらいの事しかしないんだよな。ま、子供は嫌いじゃねぇし、こういうのは見ていて飽きない。頑張れー。

 

雪乃「私たちも、晩御飯はカレーだから、一緒に作るのよ」

 

ええぇ!本当かいサザエ!?

 

 

奉仕部と葉山グループが一つのテーブルで、カレーを頬張っている中、平塚先生が訪ねてきた。

 

平塚「ふむ、何か心配事かね?」

 

先生がそう聞いてきた。それもそうか。皆浮かない顔してるし。その理由は十中八九、あの女子小学生のことだろう。

 

隼人「実は、孤立してる子がいて。なんとかできないかなって思ってます」

 

平塚「そうか・・。ま、君たちでなんとかしたまえ」

 

うっわ。投げつけてきた。なんの意も返さずに・・。ちょっとは、話し合いに参加する姿勢を見せてくださいよ。

 

優美子「それで、隼人。なんか考えてるわけ?」

 

そうだ。何とかしたいんなら、何かしら考えがあるはずだ。むしろなかったら、この場で論破する。雪ノ下が。

 

隼人「俺は、皆で話し合えば、理解し合えると思うんだ」

 

ぶふぅ!!ぷ・・・くく。おい、思いついた案がそれか?最高傑作だ。笑わせるんじゃねぇよ。なんとかこらえてるけど。あ~腹痛い。

 

この提案に風音も呆れているのか、目に光を宿していない。雪ノ下は、ふか~い溜息をついた。

 

雪乃「それ、本気で言ってるのかしら?」

 

隼人「ああ、本気だ」

 

どうやら、真剣らしいな。あの目を見る限り。

 

雪乃「無理よ。不可能だわ」

 

ま、当然こんな意見、却下に決まっている。だが、俺はあえてこう言う。

 

八幡「やってみろよ」

 

俺の発言に、風音、小町、雪ノ下が驚いていた。それもそのはず、他の誰よりも否定しそうな人が、この案を肯定したのだから。

 

風音「八くん、何を・・」

 

雪乃「比企谷君、一体・・」

 

何か言いたげだったが、俺は目で制止させ、葉山の方を向いた。

 

八幡「その、皆で話し合い。やってみればいいじゃねぇか」

 

隼人「分かったよ・・・」

 

葉山は、俺がこの意見に賛成したことをを不審がっているのか、複雑の表情で、頷いた。

 

葉山、お前は少し、非情というものを身に付けやがれ。スーパーサイヤ人になれないぞ?あ、元々金髪だったか。

 

 

カポーン

 

八幡「ふぅ・・」

 

彩加「気持ちいいね♪」

 

八幡「だな」

 

現在、俺と彩加は風呂に入っている。気持ちがいい。あと、ヤバい。彩加を直視できない。見た瞬間、鼻血を出しそうで怖い。男なのに・・・男なのに!!。

 

彩加「そういえば八幡、どうして、葉山君の提案に乗ったの?」

 

八幡「ん?・・ああ、ちょっと葉山に現実を思い知らせるだけだ。あの意見が、どれだけ残酷なのかをな」

 

彩加「え!じゃあ、あの子、余計ひどく言われちゃうんじゃない?」

 

八幡「なーに、心配するな。アフターケアも考えてある」

 

 

夜は、木造ハウスに布団を敷き、皆眠りにつくとき、1人のお調子者が声をあげて、邪魔をしてきた。

 

翔「なんか修学旅行みたいじゃね?あ、好きな人の話とかしよーぜ!隼人君!」

 

隼人「やだよ」

 

即決の葉山。これ二つ名みたいだな・・。俺も二つ名とかないかな?腐濁(ふだく)の八幡。こんなん嫌だ。

 

翔「じゃあ、俺からな!・・実はさ、俺、海老名さん、ちょっといいなって思っててさ」

 

八幡「マジかよ・・」

 

予想外の想い人に、思わず声を出してしまった。てっきり、三浦かと思ってた。こいつ、媚びうるように、盛り上げてるから。

 

翔「うお!んだよ~、ヒキタニ君聞いてたのかよ~。っつーか、ヒキタニ君アレだべ?新島さんと付き合ってるんしょ?」

 

八幡「ああ」

 

翔「っべーわー!ヒキタニ君。マジ青春謳歌しちゃっている系!やべーわー」

 

うるせぇよ。

 

翔「じゃあ次。隼人君は?」

 

隼人「俺はいいよ」

 

否定しないあたり、気になってる人はいるという事なのかな?吐き出せ。弱みを握ってやる。

 

翔「えー!いいじゃん。イニシャルとかでもいいから!」

 

隼人「・・Y」

 

Y・・か。結構いるぞ。雪ノ下、由比ヶ浜に三浦、あと飛鳥だな。

 

隼人「もういいだろ。寝るぞ」

 

やや強引気味に電気を消し、就寝した。

 

 

翌日、彩加に起こされ、準備された朝食も食べ終わり、何故か水着に着替えさせられ、川に来ています。この間には、何もありませんでした。水着と言っても、上からパーカー着ています。

 

風音も白い水着を身に着けて、俺の隣にぴたりとくっついている。おかげで腕に伝わる柔らかい感触が、俺の冷静さを失わす。

 

風音の水着姿、誰にも見せたくない・・。けど、重いとか、束縛とか言われたくないから、堪える。グッと堪える!

 

結衣「ほら!ヒッキーも遊ぼうよ!」

 

そう言って、由比ヶ浜は俺のパーカーを掴みながら、引っ張る。

 

八幡「いや、いいよ。俺は」

 

結衣「えー!いいじゃん!」

 

風音「ねえ、結衣ちゃん。八くん、嫌がってるから・・」

 

小町「あのー、結衣さん。お兄ちゃんもああ言ってますから、私達で遊びましょう」

 

風音と小町が止めてくれたが、それを一部始終聞いていた三浦が、口を割ってきた。

 

優美子「あんさー、結衣がせっかく遊ぼうっつってんだから、遊ぶし!」

 

この発言に、風音と小町は、三浦に鋭い目つきで睨み付けた。それに気づいた三浦もにらみ返す。

 

さすがに、見ていていい気分ではないから、降参することにした。

 

八幡「チッ・・。分かったよ。遊べばいいんだろ・・」

 

俺がパーカーを脱ぎだすと、周りの俺を見る目が変わった。

 

俺の右肩には、深い切り傷の痕があるのだから。

 

この傷は、ある事件がきっかけで、小学生の時に付けられた。まぁ、その詳細は後々説明するよ。まだ何話先か分からないけどな。

 

八幡「さ、遊ぶんだろ?何すんだ?」

 

結衣「え・・いや・・その」

 

煮え切らねぇ奴だな。自分から誘ったんだろうが。

 

小町「お兄ちゃん・・」

 

風音「八くん、場所変えよっか」

 

風音と小町に連れていかれる形で、集団から離れた。

 

 

 

風音「八くん、どうしたの?」

 

小町「そうだよ。お兄ちゃんらしくもない・・」

 

八幡「別に。2人が三浦とにらみ合ってる画は見ていて気分が良くないからな。それに、俺は気にしてない」

 

小町「・・お兄ちゃんがそういうなら・・・」

 

風音「でも、ああいう行動は、控えてほしいかな」

 

八幡「悪いな。気に病むことして。気を付けるよ」ナデナデ

 

俺の事を心配してくれる、優しい彼女と妹の頭を撫でた。

 

 

さぁ、始まるザマスよ。いくでガンス。葉山発案、『話し合って仲良くしよう』。果たして、このお花畑な解決方法を、葉山はクリアできるのでしょうか?

 

隼人「ヒキタニ君。その、さっきは、優美子がすまなかったな」

 

八幡「何のことだ~?それより、早く言った方がいいんじゃないか?あの子たち行っちまうぞ」

 

隼人「君って奴は・・。行ってくるよ」

 

全く・・。せっかく盛り上がってたんだから、掘り返すんじゃねぇよ。

 

葉山は、少し離れた所にいる少女を連れて、集団の中に入れながら、話し合っていた。

 

一方その少女は、怒りを含んだ鋭い目つきで、葉山を睨んでいる。その眼には『余計なお世話』とでも訴えているかのようだった。

 

そして、女子グループは、気まずく、孤立していた少女を招き入れた。それを葉山は、成功したと思い込んだらしく、ご機嫌で戻ってきた。

 

腹が立つ。その、何でも分かっていると言っているような表情に、凄く怒りがこみあげてくる。

 

隼人「上手くいったよ。俺達も行こう」

 

八幡「待てよ」

 

俺は怒気を含んだ低い声で、葉山の服を掴み、無理矢理前に引っ張り出した。

 

隼人「な、なんだよ?・・」

 

八幡「よく見やがれ」

 

そう言われて、葉山は再び女子たちを見た。そこには、さっきとは裏腹に、仲間に入れたはずの少女が、集団に糾弾されている光景が、目に映っていた。

 

隼人「え?・・そんな・・」

 

八幡「見えないところで行われているからこそ、イジメや悪意というものは消えないんだ。人間を1種類だと思うな。何でもかんでも、思い通りにいくと思ったら、大間違いだ。それくらい、高校生なら気付くだろ」

 

隼人「クッ!」

 

心底悔しそうな葉山を置いて、俺は1人になった少女の下へ歩く。

 

?「何?」

 

八幡「いや、特に何も。俺の名前は比企谷八幡だ」

 

留美「・・鶴見留美。それで、何か用?」

 

八幡「用というか、さっきは悪かったな」

 

留美「ほんと。余計なお世話だった」

 

八幡「・・・なぁ、嫌か?こういうのは」

 

留美「・・うん。なんか惨めで、凄く嫌」

 

その声は、とても小さく、震えていた。

 

留美「別に、1人が嫌なわけじゃない」

 

八幡「鶴見は、どうしたいんだ?」

 

留美「留美でいい。私も八幡って呼ぶ」

 

八幡「え、おう。そうか」

 

何小学生相手に戸惑っちゃってるの?俺ってば・・。

 

留美「私は、今の環境が嫌なだけ」

 

八幡「・・・成程な」

 

留美「用はそれだけ?」

 

八幡「ん。そんだけだな。それよりも、俺にいい考えがあるぜ」ニヤ

 

留美「?」

 

 

 




最後まで読んでいただきありがとうございました。

奉仕部の2人が空気みたいと感想をいただきましたが、そんなことはさせませんよ。

また次回。

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