浅野 学真の暗殺教室   作:黒尾の狼牙

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第74話 ぬの時間

ホテルの最上階。E組の生徒たちに交渉を仕掛けた犯人たちがその部屋にいた。

 

その部屋で、1人の男が丼にスープを入れていた。

 

 

 

 

「濃厚な魚介ダシに、たっぷりのネギとひと匙のにんにく。

 

 

 

そして銃!!」

 

 

 

 

薬味を入れたかと思うと、男は銃をそのスープの中に突っ込んだ。そしてそのスープがたっぷりと浸った銃を啜り始める。

 

 

 

「つけ銃うめ〜。ライフリングに絡むスープがたまらねぇ〜」

 

 

 

なんとも恐ろしい事をしているのだろう。人を殺す道具である銃を口に含んでいる。側から見るとヒヤヒヤする。

 

この男は、ボスに依頼された1人の暗殺者である。コードネームは『ガストロ』であり、暗殺者の中でも上位の銃の使い手だ。

 

 

 

「ククク…見てるコッチがヒヤヒヤする。その銃、実弾入りだろ?」

 

 

ガストロに話しかけている男は、モニターでウィルスに苦しんでいる生徒を面白そうに見ている。

 

その男こそ、暗殺者にボスと言われているこの事件の真犯人だ。

 

 

「ヘマはしません。撃つときにもなんの支障もありませんし、ちゃんと毎晩我が子のように可愛がっています。その日1番美味い銃がその日1番手に馴染む。経験則っすわ、俺の」

 

 

他人には到底理解できそうにない経験則を語りながらガストロは銃をスープの中に入れる。

 

「奇怪な奴だ。ほかの3人も同じようなもんか?」

「ええ。まぁ…使い捨ての鉄砲玉はいざ知らず、俺らみたいな技術を身につけて何度も仕事してきた連中は、何かしらこだわりが出てくるもんス。例えばスモッグの毒は全て自作。洗練された実用性にこだわる余り研究室まで作る始末っす」

 

 

 

スモッグとは、先ほどホテルの中で生徒たちに接触して来た男のコードネームである。彼の毒の実用性は、別室で苦しんでいる生徒たちの姿が証明している。

 

 

 

 

「ほう。では例えば『アクロ』は?」

 

「アクロっすか。アイツは効率っすね。いかにスマートに殺すか。効率を重視し過ぎて、暗殺時間にも強い拘りがあります」

 

アクロは未だに生徒たちの前に現れていない暗殺者のコードネームだ。だがこの部屋にはいない。彼は実を言うと見回りをしている。

 

「では…グリップは?」

 

ボスはもう1人の男のコードネームを言った。彼はもう既に、生徒たちの近くにいた。

 

 

「そっすね…まぁアイツは殺し屋の中でも変わってまして…」

 

 

 

 

 

 

◇学真視点

 

 

…引き続き不味い状況が立て続けに起こっているな。

 

烏間先生が倒した毒使いの男を縛って先に進んだ。烏間先生は磯貝に支えられながら歩いている。象も倒れる毒を吸ったと言うのに。

 

そして先に進むと、ガラス張りの壁がある部屋に来た。ガラスからは島の様子が一望できる仕組みだ。障害物がなく、外の光があるせいで見晴らしが良い。

 

その廊下に1人の男がいる。金髪に鍛えられているがっしりとした体格。あの雰囲気は、間違いなく敵側だ。このまま前に出るのは危ない。

 

かと言って回り込むことは出来ない。障害物がほとんどないから見つからないで通る事も無理だ。

 

 

 

 

 

 

 

バキバキバキ!!!

 

 

 

 

 

 

 

うお…

 

 

突然窓ガラスにヒビを入れ始めたからビックリした。ていうか素手でヒビを入れることができるんだ。

 

 

 

 

 

「つまらぬ」

 

 

 

 

 

 

…まさか、バレてるのか。俺たちは姿を見せてないはずなのに。

 

 

 

 

 

 

 

 

「呼吸を聞いている限り、強いと思う奴が1人もおらぬ。軍人上がりの教師もいるはずなのぬ。どうやら、スモッグのガスにやられたようだぬ。なかば相打ちと言うところか…出てこい」

 

 

 

 

 

 

 

…呼吸で気配を感じられたのか。鋭い感覚をお持ちのようだ。あのガラスにヒビを入れる力も半端じゃない。

 

 

それよりも…いや、多分みんな薄々気づいている。気づいてるんだけど…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『ぬ』多くね?おじさん」

 

 

 

 

 

 

 

 

言った!良かったカルマがいて!あまりにも不自然に聞こえたから気づいたが、このおじさんが怖すぎて言えなかった。多分みんなもそうだ。

 

 

 

 

「『ぬ』を入れればサムライっぽい口調になると小耳に挟んだぬ。カッコ良さそうだから試してみたぬ」

 

 

 

 

…ひょっとして外国人か?マイクもそうだったけど、日本に来る外国の人ってサムライとかニンジャとかが好きな傾向があるようだ。

 

 

 

 

 

「間違っているならそれでもいいぬ。この場の全員を殺してから『ぬ』を取れば恥にもならぬ」

 

 

 

 

 

両手からゴキッと低い音が出た。手に力を入れたんだろう。さっきガラスにヒビを入れていたし、握る力がかなりあるんだろう。

 

握る力、か…

 

 

「その素手があんたの武器か?」

「いかにも。こう見えて需要があるぬ。身体検査に引っかからぬ利点は大きい」

 

 

確かに。暗殺しに行く場所によっては身体検査を受けないと行けない場所もある。素手を使うなら武器なんて持つ必要がないし、引っかかることもない。

 

 

 

「近づきざま頸椎を一捻り。その気になれば頭蓋骨も粉砕できる」

 

 

頭蓋骨か…素手でそれを粉砕できるってことは、とんでもない握力を持っているという事か。

 

…ますます厄介だ。烏間先生がまともに動けないいま、肉弾戦で対抗できる人がいないと言うのに…

 

 

「しかし不思議なものだぬ。人殺しのスキルを極めれば極めるほど、暗殺以外にも試してみたくなるぬ。すなわち強い敵との殺し合いだ。だががっかりぬ。お目当てがこのザマでは試す気も失せた。雑魚ばかり相手するのも面倒だ。ボスと仲間を呼んで皆殺しだぬ」

 

 

げっ…携帯を取り出した。不味い。ここで犯人にバレたらここまで来たのがパーに…

 

 

 

 

 

 

《バリィィィィン!!!》

 

 

 

 

 

 

…!カルマ…?

 

 

 

 

「ねぇおじさんぬ。意外とプロってフツーなんだね。ガラスとか頭蓋骨なら俺でも割れるよ。

 

っていうかソッコー仲間呼んじゃうあたり、中坊とタイマン張るのも怖い人?」

 

 

 

アイツ……!

 

 

 

戦うつもりか…!?

 

 

 

 

 

「よせ!無謀だ…」

「ストップです烏間先生」

 

 

 

引き下がるように言おうとしていた烏間先生を制したのは、渚が持っている殺せんせーだ。

 

 

 

「アゴが引けている」

 

 

 

 

 

 

…確かに。

 

 

 

 

言われてみれば、いつもとは若干違う。前なら相手を見下すようにして余裕ぶっていたが、顔を下げて相手を正面から見ている。

 

相手を必要以上に見下さなくなったという事か?

 

 

 

◆第三者視点

 

 

椚ヶ丘中学校の期末テストの結果が出た時の事。赤羽カルマは教室から離れ、校庭の庭でテストの紙を握り潰していた。シワシワになったテスト用紙に書かれている点数は80点台、それなりに高い点数ではあるが、カルマにしてみればかなり低い点数だった。

 

 

「流石にA組は強い。E組の最高得点は浅野学真くんの3位でした。当然の結果です。A組も負けず劣らず勉強していた。テストの難易度も上がっていた。怠け者がついていけるわけがない」

 

「…何が言いたいの?」

 

「余裕で勝つ俺カッコいいと思ったでしょ。恥ずかしいですね〜」

 

 

カルマの後を追ってきた殺せんせーのセリフは、彼にダメージを与えるには充分すぎた。テストの点数が大幅に下がった原因は、彼自身も薄々分かっていた。

 

今回のテスト、カルマはテスト勉強に打ち込んでいなかった。勝負に本気で挑もうとはせず、簡単そうにスマートに倒してしまおうと彼は考えていた。

 

 

それは、彼の傲慢の表れだった。

 

 

そのせいで満足できる点数が取れなかった。

 

 

 

「殺るべき時に殺るべきことを怠った者は、この教室では存在価値を失っていく。刃を研ぐ事を怠った君は暗殺者ではない。錆びた刀を自慢げに掲げるただのガキです」

 

「……チッ!」

 

 

 

頭や頰を弄る触手を払いのけて彼は教室に戻っていった。彼の中では羞恥と屈辱で満たされている。

 

それが殺せんせーの目的だった。

 

多くの才能に恵まれたカルマは、本気で無くても勝ててしまうために、本当の勝負を知らずに育ってしまった。それを知らないことはこの先生きていく上で大きな痛手となることは間違いない。

 

それを避けるために手っ取り早いのは、負ける悔しさを覚えさせることである。少しだけバカにされたぐらいで折れるような男ではない。

 

 

 

 

負ける悔しさを知ることで、大きな才能はより進化する。

 

 

 

 

それは殺せんせーの教訓でもあった。大きな悔しさを知って大事な事を学んだのは、彼も一緒なのだ。

 

 

 

成長する事を願って、離れていくカルマの背中を眺めていた。

 

 

 

 

 

 

(期末テストの後なりを潜めていましたが、あの敗北からしっかり学んだようですね)

 

 

グリップの前に立っているカルマの様子を嬉しそうに見ている。いま彼が大きく成長した事を実感したのだから。

 

 

「良いだろう。試してやるぬ」

 

 

グリップが上着を脱ぎ捨てる。本気でカルマを殺そうとしているのだ。

 

 

 

(存分にぶつかって来なさい!高い大人の壁に!!)

 

 

 

 

◇学真視点

 

 

連絡を取ろうとした携帯電話は、窓にぶつかって粉々になっている。部屋に置かれていた観葉植物を持って、鉢で壊したからだ。いまカルマの手にはその観葉植物が握られている。

 

 

携帯電話を壊したように、目の前の暗殺者に向かって振りかぶる。

 

だがその観葉植物の蔦をガシッと掴まれた。

 

 

 

 

「軟いぬ。もっと良い武器を持って来いぬ」

 

 

 

 

そのまま観葉植物が握り潰される。ガラスにヒビを入れるくらいだし、植物程度じゃ簡単にへし折れてしまうだろう。

 

「…必要ないね」

 

 

敵の暗殺者がカルマに襲いかかってくる。頭蓋骨を粉砕する両手でカルマを掴もうとしている。捕まったらあっという間に潰されてしまう。

 

その手に捕まる事なく、カルマは見事に躱した。

 

続けて近づいてくる右手を、手首を弾いて捌く。更に伸びた左手を、顔を晒してギリギリで避ける。

 

次から次に繰り出されている殺し屋の攻撃を全て防いでいる。見ている限り殺し屋の方は手加減している様子はない。掴みかかりに来てる分普通のパンチよりリーチは短いといっても、速度は窠山とそう変わっていない。

 

 

 

その攻撃を躱しているカルマの動きは見覚えがある。体育の授業で俺たちのナイフを躱している烏間先生の動きだ。

 

 

 

烏間先生から防御の技術を教えてもらったことは無いけど、多分見て覚えたんだろう。E組の中でも戦闘のスキルはズバ抜けているコイツならそれぐらいの事は当然出来るに違いない。

 

 

 

 

「…どうした?攻撃せねば永久にここを抜け出せぬぞ」

 

 

 

暗殺者が攻撃の手を止めた。カルマは攻撃を防いでいるだけで自分から攻撃しようとしていない。けどそれはおかしくない。避けるので精一杯みたいだし、ヘタな攻撃をすれば返り討ちにされてしまう。

 

 

「…どうかな?あんたを引きつけるだけ引きつけておいて、その隙にみんながちょっとずつ抜けるってのもアリかと思って」

 

 

挑発というよりは駆け引きに近い。本当かもしれないしハッタリかもしれない。カルマの言葉だけでは判断できないだろう。暗殺者はカルマが言った通りの展開を避けるために、コッチに注意を向けている。

 

 

 

 

 

「安心しなよ。そんなコスい事は無しだ。今度はオレから行くからさ」

 

 

 

 

 

 

拳を鳴らして、ステップを踏む。構えとその動きからしても、ボクシングの体勢だと言うのが分かる。

 

 

「あんたに合わせて正々堂々、素手のタイマンで決着をつけるよ」

 

 

 

暗殺者の口元がつり上がったのが見えた。どうやら笑っているみたいだな。

 

 

「いい顔だぬ、少年戦士よ。お前とならやれそうぬ。暗殺稼業では味わえぬ、フェアな戦いが」

 

 

 

 

 

 

カルマが攻撃を仕掛ける。最初の1発目は見事に躱されたが、すぐさま2撃目を放つ。防がれては次の攻撃を繰り出し、躱されてはまたも攻撃を繰り出している。

 

次から次に攻撃を仕掛けていくうちに、カルマの攻撃が当たった。当たった場所は脛だったみたいで、暗殺者は体制を崩している。

 

チャンスに見える瞬間に、カルマが追い打ちをかけようとしていた。

 

 

 

 

 

 

《プシューーーー!!》

 

 

 

 

「なっ……!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫色の煙がカルマに襲いかかる。暗殺者の手から発している煙は、毒使いの暗殺者が仕掛けていた毒ガスと全く同じものだった。

 

 

その煙に覆われたカルマはフラッと体制が崩れる。

 

 

 

「一丁上がりぬ」

 

 

 

その頭を暗殺者に掴まれる。もう片方の手からはさっき使った毒ガスを発生させる装置が投げられた。

 

 

 

「長期戦は好まぬ。スモッグの麻酔ガスを試してみることにしたぬ」

 

「き…きったねぇ!そんなもの使ってどこがフェアだよ!!」

 

「俺は一度も素手だけで戦うとは言ってないぬ。拘ることに拘りすぎない。それもまたこの仕事を長くやっていく秘訣だぬ」

 

 

 

 

このオッサンが言っている事は正しい。拘りすぎていると後で後悔する事になってしまう。それこそ、標的に反撃されることもある。拘りと言うのは時によって邪魔なものだ。

 

 

 

「至近距離からのガス噴射。予期していなければ絶対に防げ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

《プシューーーー!!》

 

 

 

再びガスが吹き出る。今度はカルマの手からはおじさんに発している。

 

 

 

 

「ぬ…なん…!」

 

 

 

 

 

「奇遇だね。2人ともおんなじ事考えていた」

 

 

 

 

 

遠くからでもカルマが笑っているのが分かる。おじさんは知らなかっただろう。カルマが騙し討ちならクラス一(こういう男)であるという事を。あのカルマが『タイマン』とか言う時点で俺は何となく察していたが、知らなければそうはいかないだろう。

 

 

 

「ぬ…ぬぬぬぬぬぬ!!」

 

 

 

ナイフを取り出してカルマに突き刺そうとしている。素手で暗殺すると言ってもナイフを持ってない訳じゃないんだな。

 

勢いがあるもののガスで弱っているおじさんの攻撃を躱しながら、ナイフを持っている方の腕を掴み、地面に倒す。ナイフが手から落ちて関節が決まっている状態だ。

 

 

「ほらほら、寺坂早く。ガムテと人数無きゃこんなバケモノ勝てないって」

 

「…へぇへぇ。お前が『素手のタイマン』とかもっと無いわな」

 

 

 

先頭を走っている寺坂に続いて、渚と磯貝を除いた男子全員でおじさんにのしかかる。全員で押さえつけながらガムテープでおじさんを縛りつけた。

 

 

 

 

 

「ぐぬぬ…」

 

 

 

 

ガムテープで縛り付けられた暗殺者のおじさんは、地面にうつ伏せで倒れていた。いかに握力が強いと言っても、ガスで弱っている状態でここまで縛られれば動く事は無理だ。

 

 

 

「毒使いのオッサンからくすねてきたんだ。使い捨てと言うのが勿体ないくらいに便利だよね」

 

 

 

 

…そういえば烏間先生に蹴られた時に、毒使いのオッサンが手放した物があった。毒使いのオッサンを匿う時にはどこにも無かったけど、カルマが持っていたのか。

 

 

 

 

 

「何故だ。俺のガス攻撃、お前は読んでいたから吸わなかった。俺は素手しか見せてないのに…何故ぬ」

 

 

 

オジサンが気になるのも分かる。素手が武器の暗殺者が、武器を使ってくるなんて普通は考えにくい。俺も隠し持っている事には気づかなかった。

 

 

 

「とーぜんっしょ。素手以外の全部を警戒してたよ」

 

 

 

 

いつもに比べて、カルマの目は真っ直ぐだ。相手を蔑んでいる様子は全くなく、対等な存在として見ている目だった。

 

 

 

 

「あんたが素手の戦いをしたかったのは本当だろうけど、この状況で素手に固執するようじゃプロじゃない。俺らを止めるためにはどんな手も使うべきだし、俺があんたの立場でもそうしてる。

 

あんたのプロ意識を信じたんだよ。信じたから警戒できた」

 

 

 

 

 

 

………なるほど。

 

 

 

 

このオジサンのプロ意識を信じていたか。

 

 

 

 

 

以前のカルマだったらそんな事は無かった。基本相手を見下しているところがあったから、相手の事を信用するなんて事は全く無かった。

 

 

 

 

 

「…大した奴だ。少年戦士よ。負けはしたが、楽しい時間を過ごせたぬ」

 

 

 

 

 

暗殺者は満足したようで、見てると清々しいような感じがする。この人、思っていたほど悪い人じゃないのかもしれないな。

 

とは言っても殺し屋のプロにそこまで言わせたのは流石としか言いようがない。カルマは前に比べて変わった。それもいい方向に。

 

 

 

コイツはひょっとすると、将来は俺なんかよりとんでもない存在になるかもしれないな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何言ってるの?楽しいのはこれからじゃん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………あれ?

 

 

 

 

カルマの顔が…悪巧みをしている時の顔になっている。その手には和がらしとわさびがある。

 

 

 

 

 

 

 

なんか嫌な予感……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「な、なんだぬ?それは…」

 

 

 

 

 

 

暗殺者が恐る恐る尋ねている。その質問にカルマは嬉々として答えた。

 

 

 

 

 

 

「わさびアンドからし。これをおじさんぬの鼻の穴にねじ込むの」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…ねじ込む?

 

 

 

 

 

ねじ込むって言ったのか?この悪魔は…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さっきはきっちり警戒していたけど、ここまで拘束されたら警戒もクソも無いよね。これ入れたら専用グリップで鼻塞いで、口の中に唐辛子の100倍辛いブートジョロキアぶち込んで、その上から猿ぐつわ回して処置完了」

 

 

 

 

 

 

袋を取り出して色々な道具を取り出しながら、色々と暗殺者に細工している。袋には『備えあれば嬉しいな』って書いてある。アイツああいう道具を沢山用意しているのか?

 

 

 

 

 

 

 

「さぁおじさんぬ。今こそプロの意地を見せる時だよ」

 

 

 

 

 

《ブシュ!!》

 

 

 

 

 

「ぐぬおおおおおお!!!」

 

 

 

 

 

 

 

うわ…見ているだけでめちゃくちゃ痛い。暗殺者の断末魔も痛々しい。鼻の中大丈夫か?

 

 

 

 

 

変わったかと思っていたが、カルマのあの性格は全く変わってないようだ。

 

多分これからも変わらないんだろうな…

 

 

 

 

 

 

 

 

 




原作とほぼ同じストーリーが続いているな…



次回『女子の時間』

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