いま、真夜中だ。とても暗く、音も全くない。静寂な空間とはこの状態の事を言うんだろうなと1人で納得している。
真っ暗な背景の中で、俺はとても重い感情を持っている。罪悪感というのだろうか。それを持たずにはいられなかった。いま俺らがやっている事は、どう見たって犯罪行為である。
「…なぁ、本当にやるのか、これ…」
「今さら後に引けませんよ学真くん。片岡さんを助けたいのでしょう」
なんとかして辞めれないかとは言ってみたものの、その予定は無いらしい。バッサリ切り捨てられた。そりゃ後には引けねぇのは確かだろうけどよ…
「…女子中学生を、プールに連れていく必要は無いだろう…」
俺らは、E組校舎のプールにいる。それだけならまだいい。そのプールには、あの多川 心奈もいる。それもベッドごと。殺せんせーが彼女をここまで運んで来たらしい。本当にチートだなこの先生…
だが犯罪行為は犯罪行為だろう。どっからどう見たって拉致だよコレは。世間にこんなのがバレたら、俺らの今後が危うくなる事はおろか、殺せんせーの事が世間にバレる。だから俺はかなりヒヤヒヤしている。
そして、俺は服装を着替えている。貝などを用いた髪飾りと、魚の下半身を形にしているズボン。ここまで言えば俺たちが何になっているか分かるだろう。人魚だよ。
こんなの恥ずかしい。何が嬉しくて男の俺が人魚にならないといけないんだよ。黒歴史と言う名の記録にデカデカと記載する事間違いなしだ。
「そうは言うけどよ…」
「学真くん、彼女がそろそろ眼を覚ますよ」
渚に言われて、多川 心奈が眼を覚まそうとしている事に気付く。俺は慌てて渚と茅野と一緒に、水遊びをしているフリをする。だっていま俺は水の中に入ること出来ないし。
「…ああ、夢か、コレ…」
水で遊ぶ俺らを見て、多川 心奈が一言発する。どうやら夢と思ってくれたようだ。そうじゃなきゃ困るしそうならなかったら俺はこの先、色んな意味で生きていけなくなる。
「や、やぁ。目が覚めたようだね。ここは魚の国!さぁ、一緒に泳ごうよ!」
「…なんかあんためぐめぐに似てない?」
「違うし。めぐめぐなんか知らないし…
「なにその居酒屋みたいな名前!」
片岡が多川 心奈に話しかける。何回もあったことがあるせいか、その正体が片岡であることがバレそうにやった。なんとかごまかしたようだが。
ちなみに多川 心奈は片岡の事を『めぐめぐ』と言うらしい。他の奴らが『イケメグ』と言うから、少し違うのを使ったんだろうか。
まぁそれはどうでもいい。俺らも挨拶しないといけない。
「僕は魚太」
「私は魚子だよ」
「魚子は魚なのに水着なの!?」
「俺は魚助…怪我だらけになって水の中に入れないんだ」
「なにがあった!?」
「そして私の名前は魚キング。川や海を跳ね回る全世界最強のタコです」
「タコかよ!!」
…まぁ、ツッコミどころ満載だよな。逆の立場だったらツッコミきれずにおかしくなる。
「素晴らしい連続ツッコミ。良い準備運動になってますね」
殺せ…魚キングの言っている事に疑問が浮かぶ。ツッコミって準備運動なのか?
そんな疑問を感じている俺を余所に、殺せんせーが無理やりストレッチさせて、水着に着替えさせて、水に投げ…入れた。てか水着の着替えの仕方エグすぎるだろ。
「ぎゃあ!み、水ゥ!?」
突然水の中に入れられた多川心奈はかなり焦っている。海で溺れて以来水の中に入るのがトラウマになったと聞いているからな。そんな多川 心奈の近くに、片岡が来た。
「落ち着いて心奈!そこはまだ浅いから!泳げるようになりたいでしょ?少しだけ頑張ってみましょ」
「い、良いわよ!今更泳げなかったって!それを逆手に愛されキャラで行く事にしたし!泳げないって言っておけば、あんたに似てる友達がなんでも言うこと聞いてくれるし!」
うーん…やっぱりアレだな。彼女が完全に努力する事を諦めているのは片岡の話を聞いた時から分かっていたが、実際見てみると少しため息をついてしまう。
なんか既視感があるんだよな…1年の頃の俺に。あの状態から変わるシンドさはかなり分かっているつもりだ。
けどこのままでいるのもマズイのは事実。黒崎も言っていた通り、努力しない生き方は堕落していくだけの人生になりかねないからな。だから彼女には変わって貰わないと困る。
…てゆーか、その黒崎はどこだ?
「甘ったれているんじゃないぞ!多川 心奈!それではきさまの価値を下げている事になる!」
…うお、噂をすれば影か。スゲェ大きな声だな。しかしどこにいるんだ。
「人は自分の価値を証明して生きていくものだ!出来る人間は自分の価値を日々高めていく!貴様のようになにも変わらずにいては周りから置いていかれて孤独になるのがオチだ!そうなりたくないのであれば、その甘い考えを捨てろ!」
「だ…誰!?」
「ふっ…よくぞ聞いてくれた。この俺の名前をしかとその耳に焼き付けるが良い!とぅっ!」
高々に語っている黒崎、それに俺は文句を言いたい。うるせぇ。
いちいち強調するなよ。お前の声が耳にキーンと来ているんだよ。そして『とぅっ』てなんだ?特撮ものか?
意気揚々とした掛け声とともにソイツは、プールに飛び込んだ。水中に飛び込んだ衝撃で、そこから水が波を生み出す。プールは飛び込み禁止だぞ。
「水中あるところにこの俺あり!あらゆる荒波を乗り越える謎の魚。俺の名は…
『オサカナマン』だ!」
だ…
「「「「ダサい!!」」」」
俺がいま思ったのと同時に、渚、茅野、片岡、そして多川 心奈がツッコンだ。オサカナマンってなんだ?ス○リッツで似たような名前を聞いたことあるぞ。
黒崎の弱点1 ネーミングセンスが壊滅的
「この俺が来たからには、キサマを嵐の海すらも泳げるようにしてみせる!さぁ行くぞ多川 心奈!水泳の準備は万端か!?」
「ちょ、そこまで行くつもり…やだー!」
ズンズンと近づく黒崎から逃げようと、プールの真ん中に行く多川 心奈。地味に深いところに誘導してるな。
てゆーか…なんかキャラがおかしくなってね?いや前からおかしい奴とは思っていたけど、この黒崎はそれよりも変だ。なんか変なスイッチ入ってキャラが凄い事になっているぞ。
しかも格好までえげつない。特撮物をイメージしているからか、タイツに色々な飾りがつけられている。それ水着なんだろうな。
「そう言えば殺せ…魚キングは水に入らないの?」
「い、いや…今日は先生焼きに来ただけだし」
「真夜中だよ今。入らなきゃ彼女に泳ぎ教えられないよ」
渚が殺せんせーに話しかける。それを聞いて思い出した。今回俺らが来た理由は、片岡の手伝いとは別にある。それは当然、『殺せんせーが泳げるか否か』だ。それによって今後の暗殺が大きく変わっていく。片岡は多川 心奈の練習を見ている間、俺らはそれをしっかりと見極めないといけない。
「…それもそうですね。では入りますか」
「「「…え?」」」
サラッと殺せんせーが言った言葉に、俺と渚と茅野は呆気に取られた。すると何の躊躇いもなく、殺せんせーは水の中に入った。…やっぱり泳げんのか?
「さて、先ずは基本の『けのび』から」
水中に沈んだ殺せんせーが浮かび上がると…魚のようなスーツで体を覆っている姿が見えた。魚の顔あたりは透明になっていて中の様子が見えるが、あの顔のデカさが見事にフィットして、殺せんせーが魚に化けているように見える。
ていうかけのびかそれ?水着を身に纏って浮かんでいるだけだろう。いや…そもそもタコの体をしている殺せんせーのけのびをしている姿は想像できないけど。
「この時の為に開発した先生用水着です。完全防水でマッハ水泳にも耐えられます。数々の秘泳法をとくとご覧あれ」
殺せんせーの話を聞いて『ズリィ』と思った俺は悪いんでしょうか?
そんな事を思っている俺を他所に、殺せんせーは魚の形をした水着の尾にあたる部分を横に振動させてバタ足…バタ足?をした。
すると何という事でしょう。E組が使っている穏やかなプールが、一瞬にしてうず潮になったではありませんか。
「ちょ…もが、流され…」
うげ…あんなのそこそこ泳げる人でも難しいぞ。うず潮の回る速度が半端ねぇし、波の速いということは当然、体にかかる負担は尋常じゃない。俺でも泳げるかどうか怪しいぞ。
「心菜慌てない!端っこの方は大した流れじゃないから!
海での泳ぎ方を練習するよ。基本はプールと一緒!手のひらに負荷を感じながらテンポ良く!!
海では自分の位置がわからなくなり易いから、ときどき平泳ぎに切り替えて確認して、またクロールに戻る!」
慌てる心奈の側に片岡が近づき、彼女に海での泳ぎ方を教えている。
すげぇな。うず潮の中なのに慌てないで平然と泳いでいる。教え方も上手だ。適切でとても分かりやすい。女子たちが彼女を慕う理由が何となく分かる。
そう言えば黒崎はどうしたんだろうかと探していると、やや中央で泳いでいた。何でお前も堪能しているんだよ。しかも上手だな。服を着ている状態で泳ぐことはかなり難しい筈なんだけど。
「水着とかズルいよ魚キング!」
「そーだよ!生身で水に入れるかどうか見たかったのに!」
渚と茅野は、そのうず潮を引き起こしている張本人…いや魚か?魚キングに文句を言っている。それもそうだ。殺せんせーが泳げるかどうかを見たかったのに、あんな高性能な水着なんか使われると確かめようがない。てゆーかそれを着てるってことは泳げないって事じゃね?
「入れますよ生身でも」
…へ?何と言ったんだこの魚。
すると殺せんせーはあの水着を脱ぎ捨てた。いま殺せんせーは何の水着も着てないから、生身でプールの水の中に入っている事になる。本当に平気なのか?
「…いや違う!マッハで周りの水を掻き出してる!」
「マジで何やってるんだあのタコ!」
渚の言葉を聞いて理解した。殺せんせーは触手に柄杓やら桶やらで水を掻き出していた。つまり殺せんせーの立っているところだけ水が無い状態になっている。よって物理法則により水はそこに向かって流れていた。
もう泳げない確定だろ。明らかに水を嫌がっているじゃねぇか。てゆーか仮にマッハ20でもあんな事可能なのか?相当スタミナ消耗すんぞアレ。ある意味凄いと思っておくことが正解なのか?
「な、何これ!波はこっちに来てんのに、引きずり込まれる!」
一方プールの方は、心奈がかなり焦っていた。波の方向とは逆の方向に体が引き摺り込まれており、必死にもがいている。
アレって確か…
「落ち着いて!泳ぐ方向コッチに変えて!」
「…え?流れるの止まった」
「離岸流って言ってね。岸に反射して沖に出ていく流れがあるの。前に心奈が溺れた原因はこれじゃ無いかな?
そういう時には無理に岸に向かわずに、岸と平行に泳いで流れから逃げる!とにかく、パニックにならないこと」
…やっぱり、離岸流か。海に泳ぐと大抵聞くしな、その流れ。それを知らないで海に出て、海の中で苦しむ人がいる事を何回か聞いた。
アレに逆らって泳ぐことは殆ど無理だ。無理に力を入れすぎると逆効果になってしまう。何故か逆らって泳いで、岸に上がっているこの
「なにお前ここのプールでちゃっかり泳いでいるの?」
「そう言うな。水泳は鍛錬には向いている。筋肉にかかる負担もあるから、体を鍛えるためには持ってこいだ」
俺は黒崎の言葉を聞き流す。なんかマトモに聞くのもアホらしくなって来た。
「知識だけ身につけてもダメですよ。朝まで死ぬほど泳いで、魚のような流麗な泳ぎを身につけましょう」
殺せんせーが心奈に言う。言っている事はその通りだが、朝まで死ぬほど泳いでって…洒落にならない。いや、恐らくガチでそう言っているんだろう。なるほど、殺せんせーが体育の教師に向いていない理由が何となく分かった気がする。
その後、多川 心奈の地獄の水泳訓練は続いた。激しい波の中で泳ぎまくり、彼女も無我夢中に泳ぎ続けている。
片岡が優しく的確なアドバイスをしている一方で、黒崎の厳しい叱責が響く。まだ初心者でぎこちない泳ぎをしている彼女に凄い声の指導が入る。黒崎って厳しい指導者タイプだったか。いや、イメージ通りなんだけど。
結局、その練習中で、殺せんせーが水に入る事は無かった。
◇
翌日、どうやら多川 心奈は水泳の授業で好記録を出したようだ。まぁ、アレだけしごかれりゃそうなるわな。彼女が泳いでいる様子を見て、片岡は肩の荷が下りたようになっている。
「これからは手を取って泳がせるだけじゃなく、あえて厳しく手を離すべき時もあると覚えて下さい」
「はい。殺せんせーも突き放す時あるもんね」
殺せんせーの言う通りだな。面倒を見てあげるのも大切だけど、時には厳しくする必要がある。じゃ無いと、人は甘えてしまうからな。殺せんせーや黒崎は厳しすぎる気がするけど。
すると殺せんせーは自分の触手を、プールの水につけた。すると水につけた触手が膨らみ、かなり固くなっているように見える。
「それと、察しの通り先生は泳げません水を含むとほとんど身動きとれなくなります。弱点としては最大級と言えるでしょう。
とは言え先生は大して警戒していない。落ちない自信がありますしいかに水中でも片岡さん1人なら相手できます。ですから皆の自力も信じて皆で泳ぎを鍛えて下さい。そのためにプールを作ったんです」
どうやら、殺せんせーは泳げないと言う推測は当たっていたようだ。何となくそうだと分かっていたし、別に驚きはしない。て言うか昨日の夜のアレを見てそう思わない方が不自然だ。
けどそれだけじゃダメだ。殺せんせーが言う通り、そもそも殺せんせーを水の中に落とす手段が思いつかないし、水の中では片岡さん1人なら相手出来るとのこと。やっぱりそう簡単に暗殺出来るようにはならないようだ。
けど落ち込んだりはしていない。最初からこの先生の暗殺が上手く行くとは思っていないし、寧ろモチベーションが上がって来ている。
暗殺のためにも…俺はもっと力をつけよう。
そう改めて実感した。
「…そう言えばよ、黒崎はどうした?」
ふと、渚に黒崎の事を聞いた。あの訓練の後、黒崎はそのまま家に帰った。何でも、朝食を作らないと行けないんだと。スゲェな、徹夜かよ。
けど放課後、多川心奈の事について聞くために来るのかと思いきや、来なかった。だからどうしたんだろうかと思う。
「それが…」
渚は困っているような顔をしている。なんかマズいことがあると言うよりも、何と言おうか迷っているような言い方だった。なんか説明しづらい事でもあるのだろうか。
暫く悩んで、漸く整理ができたのか、渚は話し始めた。
「…烏間先生と一緒に、職員室に行っている」
……へ?
◇三人称視点
道路で片岡の話を聞いている時に、そのきっかけが訪れた。黒崎の持っている携帯電話に一通のメールが来た。送り主は不明、少なくとも黒崎があった事のない人物からのメールだ。
知らない人からのメールは、基本的に無視するものではあるが、黒崎はとある事情によりそう言うわけには行かない。そのメールの画面を開き、その文章を読んだ。
※※※
突然だが失礼する。防衛省の烏間だ。
少しばかり、君と話をしておきたい。
訳あって俺は、椚ヶ丘中学校の教師をしている。だから、E組校舎で話をしたい。明日のE組校舎の職員室に、放課後来て欲しい。
※※※
文章から、黒崎はあの標的関係の話であると直ぐに分かった。いま国が抱えている問題を黒崎は分かっており、それが国家機密である事も知っている。だからこのメールの送り主は、黒崎がなぜその国家機密の情報を知っているかどうかを知りたいと言うのが分かる。
このメールを読み終え、黒崎は承諾のメールを送った。特に断る理由も無いし、彼も国に聞いておきたい事がある。だからこの話は悪く無いと思い、受けたのである。
そしていま、黒崎はE組校舎の職員室にいる。職員室には、1人の男がいた。その男こそ、黒崎にメールを送った烏間である。
「突然このような事を頼んで申し訳ない。どうしても君には、聞いておきたい事があった」
「構いません。俺も政府の人と話はしたかったので」
職員室で用意されている机を挟み、烏間と黒崎は話をしている。この2人の話している様子はどこか、かなり静かな感じでもあり、少しばかり怖いとも感じる。
「黒崎くん、率直に聞く。君は、政府が抱えている問題について知っているか」
烏間は黒崎に聞き出した。殺せんせーの事を。ハッキリとそう言わないのは、万が一知らなかった時の予防だ。もし黒崎が知らなかったら、下手に情報を広めてしまうことになる。
だから黒崎は、本当の事を話す必要は無い。ここで仮にとぼけても、別に問題はない。だから彼はそうする選択肢もあった。
「ここの担任の話ですね」
だが黒崎はとぼけたりはしなかった。ここで誤魔化してもバレる、と言うのもあるが、黒崎は烏間に対して嘘をつく必要もないと悟った。
「…知っていたか。なら話は速い。君は奴の情報をどこから手に入れた?」
烏間がもっと詳しく聞こうとする。黒崎が国家機密の事を知っていたとすれば、今度はどこからその話を聞いたのかを聞くことになるのは当然だ。
「この前学校にロヴロという人が来てたと思いますが、その人から聞きました」
「…!」
その質問にも答えた。殺せんせーの情報は、イリーナをここに送り込んだ刺客、ロヴロから聞いたと。
「…なぜ、彼からその話を?」
とすれば、何故ロヴロが彼にその話をしたのかを聞いた。ロヴロは浅はかな考えで行動をする男ではない。でなければ、暗殺であれほどの業績が出せるわけがないのだから。その男が、目の前の男、黒崎に殺せんせーの話をしたのは、どういう理由があるのだろうか。
「…その質問には、答えれません」
その質問には、拒否した。今までの質問とは違い、それは明かすわけには行かない情報であるという事だ。
烏間は、その質問を再び聞くことはしなかった。これ以上彼に話しかけても、黒崎は一切答えない。それを彼の目から感じ取った。
「わかった。この件に関してはこれ以上聞かない。だがくれぐれも奴の事は他言しないで欲しい。この事が世間に伝わると、街中…いや、世界中が大混乱となり、奴がこの校舎に来る事が出来なくなる。そうすれば、奴の暗殺の機会を逃すことになる」
烏間は追及せずに、彼に忠告だけをした。くれぐれも情報を他に漏らさないで欲しいと。殺せんせーに関する情報の漏れは、何が何でも防ぎたい。その烏間の意図を読み取り、殺せんせーの仕事に何の干渉もない黒崎は、その忠告を聞くことにした。
「了解です。…それで、他に何か聞きたいことがあるのですか?」
『
殺せんせー以外で彼に聞きたいこと、そう考えた時、黒崎の頭には1つの仮定があった。
「…この質問も、無理に答える必要は無い。だが念のために聞いて欲しい」
そして、烏間は彼に聞いた。
「君は、3年前に問題を起こし、1年前に他界した政治家、矢崎 弘文の息子ではないか?」
黒崎くんのキャラが日に日に可笑しくなる件について。
そして黒崎くんに関する新たな情報が出ました。果たしてどうなるのか。
次回、鷹岡もどきの出番です。
次回 『流される時間』