浅野 学真の暗殺教室   作:黒尾の狼牙

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最近文字数がかなり多くなってきた。成長と捉えるべきなのか、それともダラダラと書くクセがついたと捉えるべきなのか…

てなわけで変更点
2話とか言いましたが、オリ回は3回に分けます。今回でやる予定だった話を2つに分けます。


第22話 黒崎の時間

「な…!テメェ、何でそれを…」

 

『梟仮面』と黒崎が言った時、男らは慌て始めた。その名は一般の目には写らないようにしてある筈なのに、この男は確かにその名を言ったからだ。

 

「最近の暴力団、その名も『梟仮面』。行動する時間は真夜中、それも活動範囲が一般の目には見えないように灯の無い場所に限定されている。団員は全て梟を模した仮面をしており、活動の際にはその仮面を被る。それに習い『梟仮面』。まぁ、分かりやすいな。

恐らくはその名は悪業界にしか通ってないようだが…知り合いにその関係者がいてな。その人から話は聞いた。

因みに…貴様らが襲ったであろう者から依頼が来た。『夜道を歩いていたら襲われて財布を奪われた。是非取り返してほしい、とな。そんなわけで…大人しく縄について貰おうか」

 

淡々と語り、黒崎は男らに降伏を促す。勿論これに応じる筈は無い、と分かってはいる。だが戦闘前には戦闘の意思を示してもらってから、と言うのが黒崎の流儀だった。

 

「チッ…ガキが。ちょっと頭良いからと言って調子に乗りやがって…おい!テメェら全員出てこい!」

 

やはり、応じることは無かった。おそらくボス格であろう男が声高に叫ぶと、周りから仮面を被った者らが黒崎を囲んでいる形で現れた。

 

「成る程…壮観だな。同じ仮面がこんなにあると、正直吐き気がする」

「余裕ぶっこいてんじゃねぇぞ。本当の地獄は、ここからだ!」

 

先ほど叫んでいた男が何やら機械のような物を取り出す。それには1つだけボタンがあり、それを押した途端、どこからともなく煙が噴出される。

 

「…!煙幕か。毒ガス…じゃなくて煙…か。よくこんな物を作れるな。そうとうバイクを弄ったということか」

 

口元を覆いながらその正体を推測する。バイクにおける煙の排出口…マフラーから溢れ出るそれは、オイルによって生じるものだ。毒ガスでは無いにしても、オイルから生じるため有害であるのは変わらない。片手を完全に覆ってないと、体に異常を来すであろう。

 

「ここに来たことを後悔するんだな。やっちまえぇ!!」

 

一方の梟仮面の男らは仮面を被っているためその煙は何の障害にもならない。周りから一斉に黒崎に襲いかかった。

 

 

 

 

 

 

 

《バコ!》

 

「……え?」

 

だが、黒崎はその手に持つ鉄の棍で近づいてくる1人の男の腹を殴る。その衝撃により、その男は一瞬だけ体制を崩した。

 

「悪いな。借りるぜ、その仮面」

 

流れるような動きで相手の顎を殴る。顎の部分から仮面が外れかけ、男はそのまま倒れる。黒崎はその倒れた男の後頭部にある紐を外して仮面を取り外し、その仮面を着けた。

 

「な…!早っ…」

 

余りにも一瞬で、周りの人間らは唖然としている。だがその静寂も長くは持たなかった。

 

「ボーッとしてる暇があるのか?」

 

耳にその言葉が入ってくるのと同じくらいの時に数人の男たちは一斉に倒れた。黒崎が棍で叩きつけられたのである。

 

「ひ…怯むな!数で押し切れ!」

 

煙が無くなったものの、数では圧倒的に有利だと見て男たちは再び襲いかかる。普通ならばそれが1番良い手になる。多対1なら囲むのが定石で、この差をどうにかする者などそんなにいない。ただ、中には例外もいる。特に男らと戦っている黒崎は、確実にその中に入っている。

1人目が拳を叩きつけようと腕を突きつける。それに黒崎は焦ることなく、右手に持つ棍でその腕を殴る。鈍い音と同時にその腕は軌道を逸らして空を切った。

それを見ながら、1人目に続くようにして2人目が黒崎の後ろから走り寄る。そして、手に持つバットで黒崎の後頭部目掛けて振りかぶる。その男は黒崎の死角にいるから、黒崎には見える筈が無い。だがそれなのに黒崎は屈んでバットを躱した。その結果、先ほど黒崎に拳を当てようとして外した男にバットが当たり、その男は吹き飛ばされる。

一瞬それに動揺してしまった2人目の男、その隙を逃すはずもなく黒崎は体を回転し、その勢いで棒を叩きつける。見事頬を捉え、その男は意識を失った。

 

「…!調子乗んなボケ!」

 

余裕そうに次から次に男らを倒していく黒崎に痺れを切らしたのか、1人の男が、『本物の』刀を取り出した。

 

「…そんな物を持っていたのか。『銃砲刀剣類所持等取締法』を知らないのか?その刀は明らかにアウトの類だぞ」

「ゴチャゴチャウルセェよ!頭デッカチのクソ野郎が!」

 

黒崎は淡々と語る。法律や事実を的確に言うのは黒崎の性格ゆえであり、その口調に腹をたてる者らは結構いる。この男の反応は黒崎の予想通りであり…狙い通りであった。

刀を用いて黒崎を叩っ斬ろうと腕を上から下ろす。その様子でさえ黒崎は全く顔色変えずにして、棍で相手の刀を持つ右手の小指の関節を突く。

 

「いごっ!?」

 

手に強すぎる痛みを感じ、刀を握る手が緩んでしまう。棍を回転させて剣を払い落とし、右手を棍から離して裏拳を顔面に当てた。

 

「な…なんだよコイツ…」

 

次から次に男らをバッタバッタとなぎ倒していくその姿に、男らは萎縮してしまう。仮面は被ってはいても、その恐怖はまるで隠せてない。

誰が予想していただろうか。不利な状況を一瞬でひっくり返してしまう事を。誰が考えていただろうか。この戦力差がまるで役に立たない事を。誰が知っていただろうか。このバケモノみたいなスペックの男の存在を。

 

「なっさけねぇ…退いてろテメェらァ!」

 

萎縮しきって指一本動かすことができない男たち。彼らに喝を入れるかのように1人の男が叫ぶ。彼は、この『梟仮面』のリーダー格の男であり、実力的にも彼がこの中で一番強い者であった。

男は叫んだ後、近くに置いてあった細長い袋から、1本の木刀を取り出した。その木刀を持って黒崎を殴りにかかる。当然、黒崎は棍でそれを防いだ。

 

「…!お前、そこそこの腕だな。剣道やってたのか?」

「まぁな。ウザったくて1年で辞めたけどよ!」

 

木刀を止めながら、黒崎は男の力を測り、その男が剣道経験者であると分かった。実際その通りで、この男は1年ほど剣道をかじってた。

 

「…そうか。残念だな。アレは続けるとかなりの武器になるのにな」

「は!充分武器になってるわ!」

 

木刀に力を入れて棍を弾く。そして第二撃第三撃と連続して木刀で攻めにかかる。黒崎も棍で対抗してるが、何処となく押され気味だ。

 

「は!どうしたどうしたどうした!この連続攻撃に手も足も出ねぇか!?」

 

風を切るような勢いで木刀を振るう。それは周りから見ると圧倒的な強さを感じる。今や周りにいる者らは一見有利そうな勢いに、やがては黒崎を倒せるだろうと思った。

 

 

 

(こいつ…!)

 

だが、当の本人はそう思わなかった。

 

(何涼しい顔で俺の攻撃を防いでやがる!)

 

黒崎は先ほどから表情を変えずに攻撃を防いだり躱したりしている。その目に焦りの色は無く、冷静に相手を見ていた。

 

(何だよその目は…!たかが中学生ごときが、俺と対等に戦えるとでも思ってんのか…⁉︎)

 

今までこの男らは、数々の男たちを倒してきた。抗ってきた者さえも一瞬で返り討ちにして来た。その実績による自身とプライドが、目の前の男に対する怒りを促進していった。

 

(ふざけんなよ…!テメェごときが…テメェごときが…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「テメェみてぇなガキが!俺をその目で見てるんじゃねぇ!!」

 

 

遂に怒りが抑えきれずに、男は怒りのままに木刀を振り下ろした。その軌道は、確実に黒崎の体に向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「戦闘心得その1、感情のままに行動するな」

 

 

木刀が黒崎の体を捉える寸前、黒崎は木刀の根元を叩いて木刀を弾き飛ばした。手にかかる衝撃と武器を落とした事による動揺により、男は一瞬思考が働かなくなってた。

 

 

「考えもなしに戦えば、その時点で敗北したと同義だと思え。如何なる時でも戦況を冷静に見定めろ」

 

 

黒崎は手に持つ棍を数回回して止める。

 

 

「戦闘心得その2、焦りは禁物。

結果を急いで攻め時を誤れば、その攻めは裏に出る。その瞬間が来るまでは粘り強く待て」

 

 

そして、棍の端を男に向ける。

 

 

「戦闘心得その3…

 

 

 

 

 

攻め時が来たら、決して躊躇うな」

 

 

 

そして、黒崎の目が、先ほどまでの冷静だったのが、獲物を仕留める獣のような物になり

 

相手の腹にその棍を、押し飛ばすように突いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

その突きを食らった男は若干宙に浮きながら、大きく後ろに飛ばされる。地面に着いた時、勢い余って若干滑るも、その後は全く動かなかった。

 

 

 

 

「忍耐力、あらゆる武道の中で最も基本となる心得の1つ。お前にあとそれだけあれば、武でもっと輝けただろうな」

 

 

 

 

 

「ひ…ボスが…やられた…?」

 

今、男たちの目の前で起きたことは、余りにも信じがたい事が起こっていた。倒されたのは、彼らを取りまとめたボス格の男。彼らの中では最も強い者であった。

その男が、目の前の中学生にやられた。それにより、先ほどまで強気になってた者たちが、意気消沈してた。

 

 

 

「他に、俺に挑む者がいるか?」

 

彼らの耳に届くその質問。それに応える者はいなかった。彼らの頭には、1つの答えが出た。

 

自分たちでは、この男には勝てない。

 

 

 

「戦意を失くしたものは、大人しく武器を捨てて縄につけ。痛い目見ずに済むぞ」

 

黒崎のその言葉に従ったのか、あるいは意気消沈したゆえか、どちらかは分からないが、数人が武器を手放す。重い物が地面に落ちた音が連続して鳴り、少しの間だけ地面を転がったものの、それは全く動く気配は無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ふざけんな」

 

 

 

 

 

1人の男が、そう呟く。目の前のこの男の強さは分かった。だがそれでも、大人しく捕まることを、認めたく無かった。

 

 

「この俺が!よりによってこんなガキに捕まってたまるかよ!」

 

そう叫ぶと男は手に何か投げた。投げる際には何なのかは分からなかったが、それが地面に着いた瞬間、ハッキリと分かった。

 

 

 

「…!まさか…爆弾…⁉︎」

 

周りに仲間がいるにも関わらず、その男は爆弾で消し飛ばそうとした。そして、当の本人はそこから一気に立ち去った。

 

 

 

 

 

 

《チュドォォォォン!!》

 

 

 

巨大な爆音と煙を発し、そこら一帯を呑み込んだ。

 

「は!ザマァ見ろ!そこで永遠にくたばってな!」

 

爆撃を見届けて、男は走って去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…チッ…爆弾を持ち込んで来たか。最近は武器を選ばない奴が多いのか?」

 

煙の中から、爆弾を近くで受けた筈の黒崎が現れた。因みに上半身は道着が破れ、ほぼ裸体だ。地面に落ちていく爆弾を、棍で上に弾き飛ばす。その事で直撃は免れたが、衝撃ばかりは避けきれず、その結果若干被害を被った。…勿論爆弾を上に弾き飛ばすという芸当は普通なら出来ないが。

爆撃の余波を受けたのか、残りの者らは全員気絶している。あの衝撃を受けて立っているのは黒崎1人であった。

因みに、いま彼の上半身が露わになっているが、筋肉質であるものの、あまりにむごい体でもあった。殴られた跡や火傷、切り傷までついている。普通の人ならついてないであろうその傷を見ていると、周りは少し気持ち悪くなるだろう。

 

 

「どうした!?一体何が起こったんだ!?」

 

 

近くで彼に近づく者が数人、服装から警察官だと分かった。

 

 

 

「ちょっと君、一体何が……」

 

黒崎に一体何が起こったのかを聞こうとしたが、その口が突然止まった。

 

「なっ…君は…」

「どうも、いま『梟仮面』を捕らえに来たんですが1人逃げ出しまして、厄介なことに爆弾を使ってきました。残りの連中は気絶しているので、病院に送った方がいいでしょう。それと…上着がありませんか?何か着ないとさっきの男を追っかけられないので」

「いや…良いけど、大丈夫なのかい?」

 

 

黒崎を知っているのか何か言いかけるのを黒崎は遮って、いま起こったことを話す。更にはこれから追いかけるので服を貸してくれと言った。警察の言う『大丈夫なのか?』は、黒崎は平気なのか、という事だ。

 

「問題ないです。それよりも、早くしないと一般人が巻き込まれます」

 

 

 

 

 

 

 

「ハァッ…ハァッ…け…結構走ったな」

 

死に物狂いで男が町まで走っている。息も激しく、その足がフラフラとし始めた。走る際に、仮面を被って街中に入ると逆に危ないと思った男は途中で仮面を外した。そうすれば、若干可笑しくあろうとも怪しまれる事は無いと思った。

 

「そこの男、ちょっと止まりなさい」

「な…」

 

だが不幸にも、それが災いとなった。たかだか『梟仮面』の手下であるならそれで済むだろうが、その男はそうならない。

 

「その顔、唐松 徒人(からまつ とひと)だな。連続窃盗の容疑で逮捕する」

 

この唐松という男は、何個も品物を盗んだ犯罪者であった。刀や爆弾など、数々の危険物を盗んできたのは、彼の仕業である。

 

「チ…キショ…」

 

 

 

 

「…?どうしたんだろ、警察たちが集まって」

 

その近くを、1人の女子中学生が通る。彼女は、椚ヶ丘中学校E組の1人、倉橋だ。

 

「…チャンス!」

 

彼女を見た瞬間、唐松は警察の接近を強引に振り切り、倉橋を捕らえた。

 

「え?ちょ…」

「退がれ!じゃないとコイツの命はねぇぞ!」

 

右手にナイフを持って男は叫んだ。いまこの男は、倉橋を人質に取ったのである。

 

 

 

 

 

 

 

「あそこで騒ぎが起こってるな…一体何が…」

 

上着を着て先ほどの男を探してる黒崎。町まで来た時、彼の目に何やらの騒ぎが起こってるところが映る。

もう少し近くまで来た時、1人の男が、人質を取っているのが見えた。

 

「…チッ、本気か。何の罪も無い一般人に何て事をしやがる…!」

 

一応人を探してる身ではあるが、そのような物を見てしまっては見逃す訳にはいかない。お人好しだの色々言われようとも、彼はその信念を変えるつもりも無かった。無論、その目の前にいる男こそ、探してる男ではあるが。

かと言って迂闊には近寄れない。少しでも刺激しようものなら、あの女子中学生を何しようとするか分かったものでは無い。

そう思い悩んでる彼の足元に、何かがぶつかった。

 

「…サッカーボール?」

 

近くで遊んでる子供たちのものであろう。そのボールが足元に転がってきたのだ。今やそれどころでは無いのに…

 

(いや…使える!)

 

彼は足を器用に動かして、サッカーボールを宙に浮かす。その高さは黒崎の顔と同じくらいにある。黒崎は棍を持ち、ボールがゆっくりと落下していくのを待つ。

 

 

 

 

 

「そのままだ…そのままだぞ…!」

 

唐松が、警官らが動かないでいる様子をしっかりと見て、遠ざかっていく。

 

「うぅ〜、何でこんな事に〜…」

「黙れ女!ここで愚痴るんじゃねぇ!」

 

泣いている倉橋を黙らせようと声を荒げる。その時、彼は気づいてなかった。

 

彼に近づく凶器を…

 

 

 

 

 

 

《バコーーーーーーーン!!》

 

「げば!?」

 

(な……さ…サッカー…ボール…?)

 

彼の顔面に物凄い勢いでサッカーボールが直撃する。頰が凹み、目玉が飛び出すほどの衝撃が襲い、彼は意識を失った。

 

「え……?」

 

突然の事で、警察も倉橋も呆気にとられる。彼らはゆっくりと顔を動かして、サッカーボールが飛んできた方を見た。

 

 

 

「…大当たりだ」

 

棍を持った男が、何やら勝ち誇った顔で呟いていた。さてこの後何が起こるか予想つくだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ちょっと君、一体何してんの?」

 

 

警察の人が男…黒崎に問いかける。いくら人質を助けるためとはいえ、サッカーボールを飛ばすなど正気の性ではない。軌道がずれれば人質にされていた少女が当たってたかもしれないし、何より唐松という男が死ぬかもしれなかった。

 

「一体どこに…あ!ちょっと待って下さい!」

 

すると、先ほど黒崎と話していた警察がそこに駆け寄る。そして、そこで事情を話している。

 

「…こいつ…よくみりゃさっきの奴か。これは探す手間が省けたな」

 

黒崎は先ほどサッカーボールを当てた男を見ている。すると、その男がいま自分が探している男であると分かった。手間が省けたと呟き、先ほど捕まってた女子に声をかける。

 

「無事か?」

 

何の前触れもなくただ言いたいことのみを言う。こういう事をする辺りが、黒崎らしいということだろうか。

 

「あ、うん。大丈夫。ありがと〜」

「どうも…ん?失礼、どっかで見たか?」

「……へ?」

 

その顔を何処かで見かけた事があるのか、黒崎が倉橋に問いかけると、倉橋は頭に疑問符を浮かべたような顔をした。

 

「…いや、気のせいなら良い」

「別に良いよ〜」

 

黒崎が謝り、倉橋が気にしないでと言うと、丁度話が終わったのか、警察の人も黒崎に近づいた。

 

「そうか、君が黒崎 裕翔か…これは失礼したね」

「別に気にしてません。一応、梟仮面が全滅したと思われます。後始末は、宜しくお願いします」

「良いよ。それじゃ『上』の人に伝えとくね」

「ありがとうございます」

 

そうして、警察の人らはそこから離れた。

 

「…凄いね。あんな事が出来るなんて」

 

倉橋は心からそう思った。暗殺を行っている自分たちでも、黒崎のように器用に敵を倒せる人なんて何人いるだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いや…凄くはない」

 

だが、黒崎はそう思ってない。

 

「どんな力があっても、役に立たないと意味がない。…もし、この力が数ヶ月前についていれば…俺は…」

「どうしたの?」

 

何処か悲しそうな顔。黒崎のその顔を見て、倉橋は不思議に思った。

 

「…いや、とにかく無事ならそれで良い。アイツが捕まったから一安心だが…他にも妙な奴はいる。気をつけておけよ」

 

まるで何でもないかのように言って、黒崎はその場を去った。倉橋はそんな彼の背中をただ見ていた。彼女の心にあったのは心配と…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何とも言えない揺らぎだった。

 




黒崎くん強いでしょ?(親バカ)現時点での黒崎の力はカルマくん以上烏間先生以下と思ってます。
彼が何でこんな途轍もない力が身についているのか、というのはかなり後でハッキリさせます。
最後に倉橋さん出したのは…まぁ察してください。
次は学真くんの方に戻ります。

〔黒崎の技〕
・根落とし
武器の根元もしくはそれを持つ手を棍で殴り、武器を落とす。かなりの技術が要求されるが、決まると相手は確実に武器を失くし、隙が生じる。


・逸らし風
攻撃に合わせて棍の先端ぶつけ、軌道を逸らす。全力たる攻撃を逸らした時、体制が大きく崩れる。


・車輪撃
体を回転させながらその勢いで棍を叩きつける。遠心力と回転がかかり、くらうと致命傷


・突風
黒崎の最強の技。棍で突きを繰り出し、相手を吹き飛ばす。目にも留まらぬ速さなので、避けきれない。なお、物に当てて吹き飛ばすことも可


次回『事実と真実の時間』

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