結局、あの後は敵が攻めてきたら基本的に徹底的にしばき倒して追い返すことに落ち着いた
霧霞ちゃんは帰った。もし攻められたら大変だしね
そのためしばらく交代で見張りをつけることにした
ところで、銃火器の音はうるさい
ゾリショが使う禍具も例外なく音をまき散らす
そして、ここに一個の禍具がある。その名前は《
このサプレッサーの効果は銃声を消す、といったものだ
おまけにどんな銃火器にも取り付けれるすぐれものだ
そんなサプレッサーを巻いたM240軽機関銃《理想社会への犠牲》という名の銃で、ザカエフ国際空港で起きたテロで使用された銃の内の一丁である
屋根に登り、機関銃の
表は大丈夫と思い、あくびを一つし、機関銃の照準を調節する
その瞬間
「うッ!?ぅぐあぁあああぁ……」
急に痛み出した左胸を抑える
まるで、いきなり焼け火鉢を突っ込まれたような熱さだった
『殺せ、ロシア人だ』
「ッ!!?」
その瞬間、ゾリショは空港にいた
幾人もの人々が通り過ぎる中、誰もゾリショには気付かない。どころかゾリショはそこにいないように感じられた
そこへ巻き起こる殺害の嵐
三丁の機関銃と二丁のライフルとショットガンが乱射され、ところ構わず弾痕を開け、人々の命を例外なく刈り取っていく
『uraaaaaaaaaaa!!!』
男達が叫びながら重火器で人々を薙ぎ倒していき、警官の持つ拳銃では歯がたたない
『やめてッ!撃たないで!!』
男達を止めようにも機関銃による蹂躙は止まらない
『あ、ああ………』
怖くなった。こんなことをしている人が
そして
男たちは金属探知機をビービ―鳴らしながらホールへ向かう
チーン
振り向くと胸から血を流した男がフラフラと歩き、やがて倒れた
『大丈夫ですか!?』
ゾリショが駆け寄ると男は
『マ、マカロフ……』
血混じりの咳をしながら男は落ちていた拳銃を拾い上げる
薄れゆく意識の中、彼は拳銃を撃つ。マカロフただ一人を殺すために
しかし、装填されている9mm弾はかすりもしない
『くそッ……クソォ……』
やがて男は弾切れの拳銃を落とし、そこで倒れた
ガシャ――ン!!
その音で現実に戻ったゾリショは機関銃を持ち上げる
下を見るとローブを羽織り、黒くて細長い何かを伸ばしてさながら探検家のように逃げ出す不審者がいた
「逃げすかッ!!」
サプレッサーに減音された機関銃が遠慮なしに撃たれ、逃げ出す不審者の周囲を機銃弾が抉るが命中弾は無い
やがて姿が見えなくなり、ゾリショも銃を撃つのを止める
7.62mm弾の空薬莢が屋根を転がる音が響く
「……」
撃った銃弾のうち当たったのは2、3発しかし、向こうはぴんぴんしていた
ゾリショの脳裏にはカードを届けに来た少女、《ミイラ屋》の姿を思い浮かべる
(あの子にしちゃ、やけにタフだな……)