C3キューブ 伝える物達   作:アロンダイト

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この小説向いてなかったのかな?

日常シーン書くのがここまで億劫だと今知ったよ!


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「これが海か・・・」

フィアが台風で荒れ始めた海を見る

 

風が轟々と吹き荒れフィアに容赦なく冷たい雨粒をぶつける

 

「テレビで見たものより、暗いのだな・・・」

フィアがそういう。だがフィアはこれが台風によるものとはしらない

 

「だが・・・私の、最後にはうってつけだな・・・」

そうフィアが呟く

 

一歩また一歩とフィアは海岸に歩み寄っていく

 

その足取りは重く、まさに亡霊のようだ

 

「・・・・ィアー!!」

 

「えっ?」

自分の名前を呼ばれた気がした。あのどうしようもなく能天気な少年に

 

「・・・・ふ、ははは!私も未練がましいな」

自虐じみた笑いを浮かべフィアはまた歩き出した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くそッ!本当にここなのか!?」

春亮が雨に濡れながら海岸に続く道を走る

 

「ゾリショさんはここだって言ってましたけど・・・」

このはもぼやきながら走る

 

ちなみにゾリショは《ザミエルの鷹》の代償でしばらく全身が金縛りで動けないため捜索に参加してない

 

「フィアーーー!どこだぁーーー!!」

 

「フィアさーーん!!」

このはと春亮が雨に濡れながら叫ぶ

 

しかし探し人は一向に答えたりはしない

 

「どこにいるんだよフィア・・・」

荒れ始めた海を見てぼやく春亮が目にしたのは

 

「・・・・・あ」

波打ち際に漂う一個の立方体、ルービックキューブ

 

「・・・は、ははは、そうか。そういうことか・・・」

なんとも疲れた笑みを浮かべた春亮はポケットから財布や携帯を取り出す

 

「・・・春晃くん?」

このはが不思議そうに春晃をみる

 

「あいつは二つ、見落としていた。一つはバカだったこと。とりあえず人気が無けりゃなんでもよかったんだな、けど海でよかったよ。そして二つ目」

春亮は大きく深呼吸し軽く体をほぐす

 

「俺のあきらめの悪さをなめるな!」

そのまま、海に、飛び込んだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ブッハ!」

 

「春晃くん!」

フィアを掴んで浮かび上がった春亮をこのはが掴んで陸に引き上げる

 

「生きてるか?」

 

「さあ?けど、私達はこの程度では死にませんし、きっと生きてますよ」

このはが投げやりに言う

 

「あぁ……そういや、おまえ等がそう《・・》なの。すっかり忘れてた……」

 

禍具は並大抵のことでは壊れない。それこそ粉々に砕いたりしないと壊れたりはしないのだ

 

「まったく……そう……またいいんですが……」

 

「このは、何かいったか?」

 

「いいえ、なにも」

このははとっさにごまかし歩き出した

 

「まったく、心配かけやがって……」

背中で安らかな寝息をたてるフィアをみてため息をつく春亮だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、あぁー………痺れる」

《ザミエルの鷹》の効果が薄れてきたゾリショは身体の痺れを解す

 

「やれやれ、参ったな……」

ノートパソコンのような機器を仕舞い、縁側に目を向ける

 

そこには蓑虫のように逆さにぶら下がる一人の少女

 

蒐集戦線騎士領の後方支援員の《ミイラ屋》がゾリショを冷たい無表情で見ていた


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