「はぁ!はぁ!はぁ!」
「この程度かぁ」
リーヤはボロボロになりながらもルークに攻撃を仕掛ける。
しかし、それでもルークの鋼の肉体に傷1つ付ける事ができない。
「フンッ!」
「キャァァァア!」
更にルークの圧倒的パワーにより、ゲル化は意味を成さない。
「く」
「まだ立つか。それに引き換えーーー」
ルークは未だに岩の後ろで震えているライザーに視線を移す。
「ライザー・フェニックスは情けない限りだ。冥界が堕落している証拠だな。いや、元々フェニックスはここぞという時に脆く、弱い」
ルークがライザーに野次を飛ばす。
侮蔑と嘲笑の意を込めた野次にリーヤはキッとルークを睨み付ける。
「確かにあいつは情けないバカでクズよ。けどねら嫌々ながらもトラウマを克服しようと励んでいるわ。さっきも見たでしょ?妹の事となると、結構いい面するのよ」
「り、リーヤ……」
「……下らん。理解不能だ」
無情に、ルークはリーヤに拳を振り下ろした。
ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッッッ‼︎‼︎‼︎
辺りが吹き飛び、砂埃が舞い、クレーターができる。
「………手応えが無い?」
『ここだ』
「ッ!」
声のする方を見ると、そこにはリーヤを抱き抱えたキバが立っていた。
「その姿……お前、まさかレイヴェルと⁉︎」
(全く、レディーを戦わせて自分だけ隠れてるなんて情けないですわ)
『でも、そんな情けない兄の為に来たんだろ?』
(そうですわね)
キバはリーヤを下ろし、ルークに向かい合う。
『リーヤさん、下がってて』
「うん、来てくれてありがとう。渡くん」
「新しい力か。面白い!」
ルークは駆け出し、拳を振り上げる。
『ハァァァァ………!』
キバのフェニックスアームが赤く燃える。
『ダァァァァァァア‼︎‼︎‼︎』
炎の拳がルークの腹に直撃する。
「ぐ、おおおおおお!」
ルークは痛みに耐えて拳を振るうが、キバは炎の翼を翻して上空へ飛ぶ。
炎の翼から多くの炎の弾が放たれ、ルークを襲う。
「こんな小技が一々この俺に効くかぁ!」
棍棒を装備し跳躍、キバを地面に叩き落とす。
『グッ!』
「おおおおおおおおおお!」
地面に叩きつけられたキバにロケットクローを放つ。
「…………ッ!」
煙の中から、所々炎の出ているキバが現れる。
『無駄だ。フェニックスの力で、俺は傷を幾らでも再生できる』
「フェニックスバイト!」
キバットが、フェニックスアームに噛みつき、魔皇力を注入する。
(ひゃん❤︎)
拳に炎を纏い、振り上げる。
『ラァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアアア‼︎‼︎‼︎』
「ぬおお⁉︎」
『フェニックス・バーニングパンチ』が、ルークの決まった。
ルークは高く舞い上がり、吹き飛ぶ。
「やったか?」
「勝ったの?」
『…………いや、まだだ』
ボオオオオオオオオオンッ!
土煙を撒き散らして、ルークは起き上がる。
「ふぅ〜む、中々やる。こっちも本気を出さねばな」
ルークは懐から注射器を取り出す。
『あれは!』
「お゛おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお‼︎‼︎‼︎‼︎」
注射器を腕に突き刺し液剤を注入すると、ルークはライオンを彷彿させる異形への姿を変えた。
『タツロット!』
レイヴェルと分離して、タツロットを呼ぶ。
「はいは〜い!いっそげー!いっそげー!」
両肩の封印を噛み砕き、キバの片手に止まる。
「変身!」
『エンペラーフォーム』になり、ルークと向かい合った。
**********
『らぁ!』
『ドワッ!』
「クハッ!」
その頃、イッセーと駿河はイノシシの異形と化したアベルに圧倒されていた。
『こいつ注射打った途端、いきなり強くなりやがったぞ!』
禁手化したイッセーの鎧は所々ひび割れていた。
「前に会長が言ってた、強化の薬か」
『ふん、弱い!弱過ぎる!赤龍帝に、シトリーの兵士。貴様らを倒しても、何の得にもならん!』
『「あ゛あぁ⁉︎」』
頭にきた2人は、地面を蹴る。
「得にならないかどうか、その身をもって知りやがれ!」
ガッッッ!
『ヌゥォ⁉︎』
駿河の蹴りがアベルの放たれる。
(この兵士、何という脚力を⁉︎)
「左腕使えないからなぁ!」
回し蹴りがアベルの首筋に当たり、メリメリと鈍い音を立てる。
(こいつ、本当に下級か⁉︎中級上位クラスはあるぞ!)
驚愕している間に、イッセーの拳が顔面に突き刺る。
『俺を忘れんな!』
(きょ、脅威!)
アベルはチェックメイトフォーと互角、サタン派では上位の力を持つ。
キングの座を狙っているのも、その己の力への自信から来ている。
しかし、その自信はシャルバ達のような自信ではない。
別の自信だ。
それ故に、相手を見下すしか能の無いシャルバ達とは違い、冷静に相手を分析する。
その分析の結果、目の前の2人は脅威と判断したのだ。
(底知れぬ”将来性”。成る程、旧魔王の奴らが勝てない訳だ)
内心、旧魔王派に対して吐き捨て、向き直る。
ガンッ!
『グアッ!』
「何ッ!」
『舐めるなよ小僧ども!』
巻き返し、駿河の足を掴んで遠くに放り投げる。
『す、駿河ぁぁぁぁぁぁあ!』
『次は貴様だ』
『ゴホッ!』
アベルの突進がイッセーに直撃し、殆どの鎧が砕け散る。
『お前達の力は認めよう。しかし、俺はチェックメイトフォーのキングになる男。お前達小僧に負ける訳にはいかないんだ』
「こっちの……セリフだ…この野、郎……!」
イッセーはフラフラと立ち上がる。
動く度に、鎧はボロボロと崩れ落ちる。
『止めておけ、折れた骨が内臓に刺さっているだろう。死ぬぞ』
「お生憎様、今の今まで死ぬ位の修行してきたんだよ!それに俺だって一緒さ!」
イッセーは叫ぶ。
「俺だって負けられねぇ!大好きな部長の為に、もっと強くならなきゃいけないんだぁぁぁぁあ!」
カッーーーー!
「あ?」
『何?』
その時、上空が黄金に輝く。
「あれは……渡のブロン⁉︎」
マシンキバーから分離したブロンが、イッセーの目の前に現れた。
「分かる!今何をすればいいのか!」
イッセーはブロンに手を伸ばす。
「来いブロン!」
イッセーの言葉と共に、ブロンはバラバラに砕けて幾つものパーツになる。
パーツはイッセーの鎧の壊れた所に集まり、修復していく。
修復が終わると、そこには赤と金の合わさった鎧を纏ったイッセーがそこに立っていた。
『
『バカなッ⁉︎確かにデータ上では、ブロンは兵器と合体してその性能を引き上げるとあったが、神器と同化するなど!』
流石のアベルも驚愕していた。
『行くぜぇ!強化ドラゴンショットぉ!』
今までのより特大で、金と赤の合わさったドラゴンショットがアベルを包む。
『グオオオオオオオオオオオオオ!バカな!何だこのデタラメな力は⁉︎』
ゴッッッ!
『ダァラァァア!』
『ゴハッ⁉︎』
倍加したイッセーの拳がアベルに直撃する。
《BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost‼︎‼︎》
『ダララララララララララララララララララララララララ‼︎‼︎‼︎』
イッセーは倍加して連打を叩き込む。
『ぐぉぉぉぉお!』
『これで決めるぜ!』
イッセーはブースターを噴き出し、アベルに突っ込む。
『これでトドメだぁぁぁぁあ!』
イッセーは金赤のビームをアベルに放った。
『舐めるなぁ!』
アベルは体勢を低くして、避ける。
『ははは!終わりだ!』
『お前がな。なぁーーーーーー駿河』
「おうよ」
『何ぃ⁉︎』
いつの間にか吹き飛ばされた駿河が、アベルの背後に立っていた。
『受け取れぇぇぇぇえ!』
《Transfer!》
ビームの当たった駿河の力が倍加する。
『え、遠距離型の
「おおおおおおおおおらぁ!」
駿河の踵落としがアベルに直撃した。
『俺は…………キングに……」
アベルの変身が解け、その場に倒れた。