ハイスクール KIVA   作:寝坊助

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73話 ウェルシュアンドゴールド・黄金装甲形態

「はぁ!はぁ!はぁ!」

 

「この程度かぁ」

 

リーヤはボロボロになりながらもルークに攻撃を仕掛ける。

しかし、それでもルークの鋼の肉体に傷1つ付ける事ができない。

 

「フンッ!」

 

「キャァァァア!」

 

更にルークの圧倒的パワーにより、ゲル化は意味を成さない。

 

「く」

 

「まだ立つか。それに引き換えーーー」

 

ルークは未だに岩の後ろで震えているライザーに視線を移す。

 

「ライザー・フェニックスは情けない限りだ。冥界が堕落している証拠だな。いや、元々フェニックスはここぞという時に脆く、弱い」

 

ルークがライザーに野次を飛ばす。

侮蔑と嘲笑の意を込めた野次にリーヤはキッとルークを睨み付ける。

 

「確かにあいつは情けないバカでクズよ。けどねら嫌々ながらもトラウマを克服しようと励んでいるわ。さっきも見たでしょ?妹の事となると、結構いい面するのよ」

 

「り、リーヤ……」

 

「……下らん。理解不能だ」

 

無情に、ルークはリーヤに拳を振り下ろした。

 

ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッッッ‼︎‼︎‼︎

 

辺りが吹き飛び、砂埃が舞い、クレーターができる。

 

「………手応えが無い?」

 

『ここだ』

 

「ッ!」

 

声のする方を見ると、そこにはリーヤを抱き抱えたキバが立っていた。

 

「その姿……お前、まさかレイヴェルと⁉︎」

 

(全く、レディーを戦わせて自分だけ隠れてるなんて情けないですわ)

 

『でも、そんな情けない兄の為に来たんだろ?』

 

(そうですわね)

 

キバはリーヤを下ろし、ルークに向かい合う。

 

『リーヤさん、下がってて』

 

「うん、来てくれてありがとう。渡くん」

 

「新しい力か。面白い!」

 

ルークは駆け出し、拳を振り上げる。

 

『ハァァァァ………!』

 

キバのフェニックスアームが赤く燃える。

 

『ダァァァァァァア‼︎‼︎‼︎』

 

炎の拳がルークの腹に直撃する。

 

「ぐ、おおおおおお!」

 

ルークは痛みに耐えて拳を振るうが、キバは炎の翼を翻して上空へ飛ぶ。

炎の翼から多くの炎の弾が放たれ、ルークを襲う。

 

「こんな小技が一々この俺に効くかぁ!」

 

棍棒を装備し跳躍、キバを地面に叩き落とす。

 

『グッ!』

 

「おおおおおおおおおお!」

 

地面に叩きつけられたキバにロケットクローを放つ。

 

「…………ッ!」

 

煙の中から、所々炎の出ているキバが現れる。

 

『無駄だ。フェニックスの力で、俺は傷を幾らでも再生できる』

 

「フェニックスバイト!」

 

キバットが、フェニックスアームに噛みつき、魔皇力を注入する。

 

(ひゃん❤︎)

 

拳に炎を纏い、振り上げる。

 

『ラァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアアア‼︎‼︎‼︎』

 

「ぬおお⁉︎」

 

『フェニックス・バーニングパンチ』が、ルークの決まった。

ルークは高く舞い上がり、吹き飛ぶ。

 

「やったか?」

 

「勝ったの?」

 

『…………いや、まだだ』

 

ボオオオオオオオオオンッ!

 

土煙を撒き散らして、ルークは起き上がる。

 

「ふぅ〜む、中々やる。こっちも本気を出さねばな」

 

ルークは懐から注射器を取り出す。

 

『あれは!』

 

「お゛おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお‼︎‼︎‼︎‼︎」

 

注射器を腕に突き刺し液剤を注入すると、ルークはライオンを彷彿させる異形への姿を変えた。

 

『タツロット!』

 

レイヴェルと分離して、タツロットを呼ぶ。

 

「はいは〜い!いっそげー!いっそげー!」

 

両肩の封印を噛み砕き、キバの片手に止まる。

 

「変身!」

 

『エンペラーフォーム』になり、ルークと向かい合った。

 

 

**********

 

 

『らぁ!』

 

『ドワッ!』

 

「クハッ!」

 

その頃、イッセーと駿河はイノシシの異形と化したアベルに圧倒されていた。

 

『こいつ注射打った途端、いきなり強くなりやがったぞ!』

 

禁手化したイッセーの鎧は所々ひび割れていた。

 

「前に会長が言ってた、強化の薬か」

 

『ふん、弱い!弱過ぎる!赤龍帝に、シトリーの兵士。貴様らを倒しても、何の得にもならん!』

 

『「あ゛あぁ⁉︎」』

 

頭にきた2人は、地面を蹴る。

 

「得にならないかどうか、その身をもって知りやがれ!」

 

ガッッッ!

 

『ヌゥォ⁉︎』

 

駿河の蹴りがアベルの放たれる。

 

(この兵士、何という脚力を⁉︎)

 

「左腕使えないからなぁ!」

 

回し蹴りがアベルの首筋に当たり、メリメリと鈍い音を立てる。

 

(こいつ、本当に下級か⁉︎中級上位クラスはあるぞ!)

 

驚愕している間に、イッセーの拳が顔面に突き刺る。

 

『俺を忘れんな!』

 

(きょ、脅威!)

 

アベルはチェックメイトフォーと互角、サタン派では上位の力を持つ。

 

キングの座を狙っているのも、その己の力への自信から来ている。

 

しかし、その自信はシャルバ達のような自信ではない。

 

別の自信だ。

 

それ故に、相手を見下すしか能の無いシャルバ達とは違い、冷静に相手を分析する。

 

その分析の結果、目の前の2人は脅威と判断したのだ。

 

(底知れぬ”将来性”。成る程、旧魔王の奴らが勝てない訳だ)

 

内心、旧魔王派に対して吐き捨て、向き直る。

 

ガンッ!

 

『グアッ!』

 

「何ッ!」

 

『舐めるなよ小僧ども!』

 

巻き返し、駿河の足を掴んで遠くに放り投げる。

 

『す、駿河ぁぁぁぁぁぁあ!』

 

『次は貴様だ』

 

『ゴホッ!』

 

アベルの突進がイッセーに直撃し、殆どの鎧が砕け散る。

 

『お前達の力は認めよう。しかし、俺はチェックメイトフォーのキングになる男。お前達小僧に負ける訳にはいかないんだ』

 

「こっちの……セリフだ…この野、郎……!」

 

イッセーはフラフラと立ち上がる。

動く度に、鎧はボロボロと崩れ落ちる。

 

『止めておけ、折れた骨が内臓に刺さっているだろう。死ぬぞ』

 

「お生憎様、今の今まで死ぬ位の修行してきたんだよ!それに俺だって一緒さ!」

 

イッセーは叫ぶ。

 

「俺だって負けられねぇ!大好きな部長の為に、もっと強くならなきゃいけないんだぁぁぁぁあ!」

 

カッーーーー!

 

「あ?」

 

『何?』

 

その時、上空が黄金に輝く。

 

「あれは……渡のブロン⁉︎」

 

マシンキバーから分離したブロンが、イッセーの目の前に現れた。

 

「分かる!今何をすればいいのか!」

 

イッセーはブロンに手を伸ばす。

 

「来いブロン!」

 

イッセーの言葉と共に、ブロンはバラバラに砕けて幾つものパーツになる。

 

パーツはイッセーの鎧の壊れた所に集まり、修復していく。

 

修復が終わると、そこには赤と金の合わさった鎧を纏ったイッセーがそこに立っていた。

 

赤龍帝の鎧(ブーステッド・ギア・スケイルメイル)黄金装甲形態(ゴールド・ブロンアップフォーム)!ここに誕生だ!』

 

『バカなッ⁉︎確かにデータ上では、ブロンは兵器と合体してその性能を引き上げるとあったが、神器と同化するなど!』

 

流石のアベルも驚愕していた。

 

『行くぜぇ!強化ドラゴンショットぉ!』

 

今までのより特大で、金と赤の合わさったドラゴンショットがアベルを包む。

 

『グオオオオオオオオオオオオオ!バカな!何だこのデタラメな力は⁉︎』

 

ゴッッッ!

 

『ダァラァァア!』

 

『ゴハッ⁉︎』

 

倍加したイッセーの拳がアベルに直撃する。

 

《BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost‼︎‼︎》

 

『ダララララララララララララララララララララララララ‼︎‼︎‼︎』

 

イッセーは倍加して連打を叩き込む。

 

『ぐぉぉぉぉお!』

 

『これで決めるぜ!』

 

イッセーはブースターを噴き出し、アベルに突っ込む。

 

『これでトドメだぁぁぁぁあ!』

 

イッセーは金赤のビームをアベルに放った。

 

『舐めるなぁ!』

 

アベルは体勢を低くして、避ける。

 

『ははは!終わりだ!』

 

『お前がな。なぁーーーーーー駿河』

 

「おうよ」

 

『何ぃ⁉︎』

 

いつの間にか吹き飛ばされた駿河が、アベルの背後に立っていた。

 

『受け取れぇぇぇぇえ!』

 

《Transfer!》

 

ビームの当たった駿河の力が倍加する。

 

『え、遠距離型の赤龍帝の贈り物(ブーステッド・ギア・ギフト)だとぉ⁉︎』

 

「おおおおおおおおおらぁ!」

 

駿河の踵落としがアベルに直撃した。

 

『俺は…………キングに……」

 

アベルの変身が解け、その場に倒れた。

 


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