ハイスクール KIVA   作:寝坊助

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66話 グレモリーの試練・参上のサタンキバー

『おら、行くぜぇ!』

 

ダウンイクサに変身した匙は専用武器、『ダウンスピアー』を振るう。

ダウンスピアーからの一閃が放たれる。

 

『光の力か』

 

『あの鎧着たら、悪魔でも光の力が使えるようですね』

 

キバーラとビショップはそれを避ける。

 

ドドドドドドドドドドドド‼︎‼︎‼︎

 

一閃の勢いは止まる事なく、辺りの建物も巻き込んでいく。

 

『お、おい匙!少しは加減しろ!怪我人が出たらどうするんだ!』

 

『煩せぇ!お化け太郎が俺様に指図すんな!』

 

ダウンイクサはキバに向かって一閃する。

 

『ウワッ、危な⁉︎』

 

『俺は常に正しいんだ!テメェらは邪魔だからそこで見てやがれ!』

 

『無茶苦茶よあいつ』

 

ダウンイクサの言葉に、イクサは呆れる。

 

『ははは!凄え威力だぜ!流石俺!あの特訓によって、俺は強くなったんだ!』

 

『減らず口を…』

 

鱗粉を撒き散らすが、ダウンスピアーによって掻き消される。

 

(今のダメージでは流石にキツイですね)

『クイーン、撤退しましょう』

 

『チェ、はーい』

 

『逃がすかよぉ!』

 

《ダ・ウ・ン・ス・ピ・ア・ー・フォ・ー・ル・アッ・プ》

 

ダウンスピアーの光が更に増す。

 

『おおおおおらぁぁぁぁぁあ‼︎‼︎‼︎』

 

必殺技『ダウン・スピアブレイク』が、2人に向かって放たれる。

 

ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ‼︎‼︎‼︎‼︎

 

大爆発が起き煙が晴れると、そこにはもうキバーラとビショップの姿がなかった。

 

『ヘッ!俺の力にビビッて逃げやがったか。チェックメイトフォーも大した事はねぇなぁ!いや、俺が強すぎるのか?あはははははははは‼︎‼︎‼︎』

 

高笑いして変身を解いた匙に、変身を解いた渡とエリカが近づく。

 

「匙、一体グリゴリで何してたんだよ」

 

「煩え」

 

グイッと渡の襟を掴んで引き寄せる。

 

「いいか?これからは”俺の時代”だ。勝手に出しゃばっていい気になるんじゃねぇぞ」

 

そう言って、渡の襟を押しながら離す。

 

「そうだエリカ。喜べ、今度俺様とデートさせてやるよ」

 

「え?ちょ、何よ勝手に……」

 

「明日の午前10時だ。いいな、遅れるなよ?これは命令だからな?」

 

「って言うか、明日学校じゃない!貴方、生徒会でしょ⁉︎」

 

「俺のやる事は常に正しいんだよ!もう生徒会なんて面倒な事はしねぇ!」

 

匙はそのまま帰っていった。

 

「………最低」

 

「前より酷い」

 

 

**********

 

 

「ダウンイクサ……やれやれ、アザゼルもあんな物を作るとは。流石…というべきか」

 

「あんな口煩いバカをそんなに買ってるんですか?」

 

「買っている?誰を?」

 

「いや、ダウンイクサを褒めてたし、てっきりあの匙っていう人を」

 

「馬鹿を言わないで貰いたい、クイーン。あれ(・・)はダウンイクサに使()()()()()()のです」

 

ビショップはクィッとメガネを上げる。

 

「私が評価しているのはダウンイクサ。あんな小僧、評価する価値も無い。アザゼルめ。研究面は評価するが、白龍皇といい、あの小僧といい。()()()の面は抜けていますね」

 

 

**********

 

 

「本当にすまなかった」

 

帰って早々、アザゼルが渡に頭を下げる。

 

「アザゼル先生、あいつに一体何したんですか?どうやったら更に酷くなるんですか?」

 

「まさかあいつの自尊心があんなにも高いとは思わなくて……」

 

「アザゼル、お前教育者としてどうなんだ?ヴァーリといい、ヴリトラの小僧といい……お前、子供作るな=結婚するな=一生独身でいろ」

 

「そこまで言うか!」

 

リリスのキツイ言葉に、涙目のアザゼル。

 

「わ〜た〜る〜さん」

 

タツロットがカメラを持って帰ってきた。

 

「お前、どこ行ってたんだ?」

 

「あの匙って人を追って見てみたらこんな事に」

 

全員がタツロットのカメラを覗く。

そこには

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

壁にダウンベルトを貼り付けて、それを見てニタニタ笑っている匙の姿だった。

 

「「「「「…………………………………………………………………」」」」」

 

「…………見なかった事にしよう」

 

「はい」

 

「アザゼル、お前もう教師止めろ」

 

「言い返せねぇ」

 

 

**********

 

 

「はぁーーーー………」

 

その夜、渡はベットに重い体を預けた。

 

静香の真実。

 

チェックメイトフォーとの戦い。

 

そして、更に酷くなった匙。

 

色々ありすぎで、渡のメンタルはかなりギリギリだった。

 

そんな時、レヴィアタンの魔法陣が浮かび上がる。

 

「渡君、みぃーっけ☆」

 

「セラフォルーさん?」

 

魔法少女姿のセラフォルーが突然、渡の手を掴む。

 

「緊急事態なの!早く冥界に来て!」

 

「え?え⁉︎」

 

渡は言われるがままに魔法陣に乗った。

転送した先はグレモリー領のとある山岳地域に存在する遺跡に来ていた。

遺跡は精巧な石造りで両脇に石柱が立ち並び、石柱と石柱の合間に歴代のグレモリー家らしき人達を模した石像も建っていた。

重要な遺跡だけあって全体的に豪華な創りだ。

 

「やぁやぁ!待っていたよ!」

 

満面の笑みで渡を歓迎するサーゼクス。

見てみると、そこにはアジュカ・ベルゼブブ、ファルビウム・アスモデウス、フォーベシイそしてアリーシェ,ルキフグス。

五大魔王とその1人の女王が集まっており、途轍もない大事件だと想像がつく。

 

「あの、一体…何が」

 

緊張しながら渡は問う。

 

「うむ、取り敢えず変身してくれ、今直ぐに」

 

サーゼクスの真剣な眼差しを受けて、渡は直ぐに変身する。

 

「よし、皆も準備に取り掛かろう!」

 

サーゼクスの言葉と共に、他の魔王とアリーシェがどこかで見たような安物らしき衣装と仮面を被る。

 

『え?ちょっ……本当に何を?』

 

サーゼクスは赤、アジュカは青、ファルビウムは緑、セラフォルーはピンク、フォーベシイは白、アリーシェは黄色と特徴が薄い戦隊ものだった。

 

「よし、渡君。合図をするからこの台本を読んいてくれ」

 

『え?………はぁ』

 

何が何だか分からず取り敢えず受け取る。

 

暫くして、男女の話し声が聞こえてきた。

 

「来た☆」

 

「さぁ皆んな!台本通り!」

 

「「「「おー!」」」」

 

『お、おー……』

 

「はぁ」

 

キバは周りに流され、アリーシェは溜息をつく。

 

 

 

「さぁ、皆んな行くぞ⁉︎とう!」

 

サーゼクスの合図で、一斉に飛ぶ。

そして全員が着地すると各々ポージングを決める。

と同時に、

 

ボォォォォォォォ!!!

 

カラフルな炎が一気に燃え上がる。

 

(って、あれイッセーとリアス先輩じゃん)

 

「ふっはっはっは!我らは魔王戦隊サタンレンジャー!私はリーダーのサタンレッド!」

 

「同じくサタンブルー」

 

「めんどいけど、サタングリーン」

 

「レヴィアたん……じゃなくて、サタンピンクよ☆」

 

「娘大好き!サタンホワイト!」

 

「……はぁ、えーと、サタンイエローです」

 

(何だこれ)

 

唖然としていると、全員の視線がキバに向けられる。

 

「渡ちゃん。台本台本」

 

『え?あ、………はい』

 

キバはもうヤケクソになり、腰を低く、左手を前に、右手を下げる。

 

『さ、サタンキバー!』

 

「何で1人だけ色じゃないんだよ⁉︎」

 

イッセーの突っ込みに、キバも激しく同意する。

 

「どうだ?いいポーズだろう。昨夜、息子と一緒に練習したのだよ」

 

「何よ!私だって、かわいいポーズをたくさん考えたんだから☆」

 

「孫ができたらと思って昔から考えていたんだよ、このポーズ!」

 

(早く始めましょうよ……)

 

ノリノリでポージングを決めていくサーゼクス、セラフォルー、フォーベシイ。

 

「な……⁉︎魔王クラスが7人だなんて……貴方達、一体何者⁉︎」

 

「いや部長!あれ1人絶対渡ですよね⁉︎何やってんのお前⁉︎」

 

(ゴメンイッセー、俺にもよく分からん)

 

「我々はグレモリー家に雇われたのだ。この遺跡には3つの試練が君達を待ち受けている。それを見事に2人の力で突破してもらいたい。大事なのはコンビネーションと個々の能力!」

 

「試練……?それはいったい?」

 

「我々が各試験を受け持つ!グレモリーを受け継ぐ若き2人よ!見事、三つの試練を超えて遺跡の奥まで到達してみせるのだ!それでは我々は先に各セレクションで待っているぞ!フハハハハハハ!」

 

(ああ、その為呼ばれたんだ……俺)


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