『おら、行くぜぇ!』
ダウンイクサに変身した匙は専用武器、『ダウンスピアー』を振るう。
ダウンスピアーからの一閃が放たれる。
『光の力か』
『あの鎧着たら、悪魔でも光の力が使えるようですね』
キバーラとビショップはそれを避ける。
ドドドドドドドドドドドド‼︎‼︎‼︎
一閃の勢いは止まる事なく、辺りの建物も巻き込んでいく。
『お、おい匙!少しは加減しろ!怪我人が出たらどうするんだ!』
『煩せぇ!お化け太郎が俺様に指図すんな!』
ダウンイクサはキバに向かって一閃する。
『ウワッ、危な⁉︎』
『俺は常に正しいんだ!テメェらは邪魔だからそこで見てやがれ!』
『無茶苦茶よあいつ』
ダウンイクサの言葉に、イクサは呆れる。
『ははは!凄え威力だぜ!流石俺!あの特訓によって、俺は強くなったんだ!』
『減らず口を…』
鱗粉を撒き散らすが、ダウンスピアーによって掻き消される。
(今のダメージでは流石にキツイですね)
『クイーン、撤退しましょう』
『チェ、はーい』
『逃がすかよぉ!』
《ダ・ウ・ン・ス・ピ・ア・ー・フォ・ー・ル・アッ・プ》
ダウンスピアーの光が更に増す。
『おおおおおらぁぁぁぁぁあ‼︎‼︎‼︎』
必殺技『ダウン・スピアブレイク』が、2人に向かって放たれる。
ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ‼︎‼︎‼︎‼︎
大爆発が起き煙が晴れると、そこにはもうキバーラとビショップの姿がなかった。
『ヘッ!俺の力にビビッて逃げやがったか。チェックメイトフォーも大した事はねぇなぁ!いや、俺が強すぎるのか?あはははははははは‼︎‼︎‼︎』
高笑いして変身を解いた匙に、変身を解いた渡とエリカが近づく。
「匙、一体グリゴリで何してたんだよ」
「煩え」
グイッと渡の襟を掴んで引き寄せる。
「いいか?これからは”俺の時代”だ。勝手に出しゃばっていい気になるんじゃねぇぞ」
そう言って、渡の襟を押しながら離す。
「そうだエリカ。喜べ、今度俺様とデートさせてやるよ」
「え?ちょ、何よ勝手に……」
「明日の午前10時だ。いいな、遅れるなよ?これは命令だからな?」
「って言うか、明日学校じゃない!貴方、生徒会でしょ⁉︎」
「俺のやる事は常に正しいんだよ!もう生徒会なんて面倒な事はしねぇ!」
匙はそのまま帰っていった。
「………最低」
「前より酷い」
**********
「ダウンイクサ……やれやれ、アザゼルもあんな物を作るとは。流石…というべきか」
「あんな口煩いバカをそんなに買ってるんですか?」
「買っている?誰を?」
「いや、ダウンイクサを褒めてたし、てっきりあの匙っていう人を」
「馬鹿を言わないで貰いたい、クイーン。
ビショップはクィッとメガネを上げる。
「私が評価しているのはダウンイクサ。あんな小僧、評価する価値も無い。アザゼルめ。研究面は評価するが、白龍皇といい、あの小僧といい。
**********
「本当にすまなかった」
帰って早々、アザゼルが渡に頭を下げる。
「アザゼル先生、あいつに一体何したんですか?どうやったら更に酷くなるんですか?」
「まさかあいつの自尊心があんなにも高いとは思わなくて……」
「アザゼル、お前教育者としてどうなんだ?ヴァーリといい、ヴリトラの小僧といい……お前、子供作るな=結婚するな=一生独身でいろ」
「そこまで言うか!」
リリスのキツイ言葉に、涙目のアザゼル。
「わ〜た〜る〜さん」
タツロットがカメラを持って帰ってきた。
「お前、どこ行ってたんだ?」
「あの匙って人を追って見てみたらこんな事に」
全員がタツロットのカメラを覗く。
そこには
壁にダウンベルトを貼り付けて、それを見てニタニタ笑っている匙の姿だった。
「「「「「…………………………………………………………………」」」」」
「…………見なかった事にしよう」
「はい」
「アザゼル、お前もう教師止めろ」
「言い返せねぇ」
**********
「はぁーーーー………」
その夜、渡はベットに重い体を預けた。
静香の真実。
チェックメイトフォーとの戦い。
そして、更に酷くなった匙。
色々ありすぎで、渡のメンタルはかなりギリギリだった。
そんな時、レヴィアタンの魔法陣が浮かび上がる。
「渡君、みぃーっけ☆」
「セラフォルーさん?」
魔法少女姿のセラフォルーが突然、渡の手を掴む。
「緊急事態なの!早く冥界に来て!」
「え?え⁉︎」
渡は言われるがままに魔法陣に乗った。
転送した先はグレモリー領のとある山岳地域に存在する遺跡に来ていた。
遺跡は精巧な石造りで両脇に石柱が立ち並び、石柱と石柱の合間に歴代のグレモリー家らしき人達を模した石像も建っていた。
重要な遺跡だけあって全体的に豪華な創りだ。
「やぁやぁ!待っていたよ!」
満面の笑みで渡を歓迎するサーゼクス。
見てみると、そこにはアジュカ・ベルゼブブ、ファルビウム・アスモデウス、フォーベシイそしてアリーシェ,ルキフグス。
五大魔王とその1人の女王が集まっており、途轍もない大事件だと想像がつく。
「あの、一体…何が」
緊張しながら渡は問う。
「うむ、取り敢えず変身してくれ、今直ぐに」
サーゼクスの真剣な眼差しを受けて、渡は直ぐに変身する。
「よし、皆も準備に取り掛かろう!」
サーゼクスの言葉と共に、他の魔王とアリーシェがどこかで見たような安物らしき衣装と仮面を被る。
『え?ちょっ……本当に何を?』
サーゼクスは赤、アジュカは青、ファルビウムは緑、セラフォルーはピンク、フォーベシイは白、アリーシェは黄色と特徴が薄い戦隊ものだった。
「よし、渡君。合図をするからこの台本を読んいてくれ」
『え?………はぁ』
何が何だか分からず取り敢えず受け取る。
暫くして、男女の話し声が聞こえてきた。
「来た☆」
「さぁ皆んな!台本通り!」
「「「「おー!」」」」
『お、おー……』
「はぁ」
キバは周りに流され、アリーシェは溜息をつく。
「さぁ、皆んな行くぞ⁉︎とう!」
サーゼクスの合図で、一斉に飛ぶ。
そして全員が着地すると各々ポージングを決める。
と同時に、
ボォォォォォォォ!!!
カラフルな炎が一気に燃え上がる。
(って、あれイッセーとリアス先輩じゃん)
「ふっはっはっは!我らは魔王戦隊サタンレンジャー!私はリーダーのサタンレッド!」
「同じくサタンブルー」
「めんどいけど、サタングリーン」
「レヴィアたん……じゃなくて、サタンピンクよ☆」
「娘大好き!サタンホワイト!」
「……はぁ、えーと、サタンイエローです」
(何だこれ)
唖然としていると、全員の視線がキバに向けられる。
「渡ちゃん。台本台本」
『え?あ、………はい』
キバはもうヤケクソになり、腰を低く、左手を前に、右手を下げる。
『さ、サタンキバー!』
「何で1人だけ色じゃないんだよ⁉︎」
イッセーの突っ込みに、キバも激しく同意する。
「どうだ?いいポーズだろう。昨夜、息子と一緒に練習したのだよ」
「何よ!私だって、かわいいポーズをたくさん考えたんだから☆」
「孫ができたらと思って昔から考えていたんだよ、このポーズ!」
(早く始めましょうよ……)
ノリノリでポージングを決めていくサーゼクス、セラフォルー、フォーベシイ。
「な……⁉︎魔王クラスが7人だなんて……貴方達、一体何者⁉︎」
「いや部長!あれ1人絶対渡ですよね⁉︎何やってんのお前⁉︎」
(ゴメンイッセー、俺にもよく分からん)
「我々はグレモリー家に雇われたのだ。この遺跡には3つの試練が君達を待ち受けている。それを見事に2人の力で突破してもらいたい。大事なのはコンビネーションと個々の能力!」
「試練……?それはいったい?」
「我々が各試験を受け持つ!グレモリーを受け継ぐ若き2人よ!見事、三つの試練を超えて遺跡の奥まで到達してみせるのだ!それでは我々は先に各セレクションで待っているぞ!フハハハハハハ!」
(ああ、その為呼ばれたんだ……俺)