『ヴァーリ・ルシファー…知ってるぜ、ルークに手も足も出なかった奴だろ?』
レイはヴァーリを指差して嘲笑う。
『そんな奴が俺に勝てるか?ああ?』
『確かにルークには敵わなかったが、だからと言って君に敵わない訳じゃないだろ』
その瞬間、ヴァーリは光の速度になりレイを殴り上空に飛ばした。
「あ、あいつを……」
その光景に、イッセーは息を飲む。
《DivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivide‼︎》
翼から半減の機械音が発せられるが、
(?、半減できなーーー)
ヴァーリは背後から攻撃を喰らい、地面に叩きつけられる。
『残像だ間抜けが』
そこには装甲は先程より、というか最初に変身した時より薄くなってスマートになったレイがいた。
「Wake up!『
騎士形態・『ナイトフォーム』
ヴァーリの高速よりも早いスピードで移動したのだ。
「Wake up!」
レイキバットがフェッスルを吹き鳴らすと、両腕に過剰に巻かれた封印の鎖・カテナを開放される。
巨大な人造魔皇石を3つ仕込んだ巨大な鉤爪『ギガンティック・クロー』が出現し、地面に倒れたヴァーリに向けて振り上げる。
『おっと、危ない』
全くダメージの負っていないヴァーリはレイの攻撃を避け、上空に上がる。
『やれやれ、一発でコレか。アルビオン、鎧の修復を頼む』
〈構わんがヴァーリ、直撃だけはするな。あのクローはドラゴンの鱗すら簡単に斬り裂けそうだ〉
『当たらなければいいんだろう?』
2人は同時に光の速度となり姿を消す。
ヴァーリが魔力弾や魔術を放ち、レイがギガンティック・クローで防ぐ。
レイの高速攻撃がヴァーリを追跡し、クローを振るう。
それの繰り返しで、勝負が見えず超高速戦が冥界の空で繰り広げられる。
『どうやら、その形態はスピードが上がるが、防御が格段に下がるらしい。回避やクローによる防御が早い』
『半減に頼らず魔術なんかも使ってくるとはなぁ。抜け目のない野郎だ』
全くの互角。
それを見たイッセーは悔しそうに、見つめる。
「部長…強くなります俺……もっと、もっと強く!」
「ええ、私達はまだ未熟だと思い知らされた。だけど、これは新しいスタートよ。前を見て進みましょう」
『しかし、もうサバトも全滅しちまったし』
レイはフェッスルを取り出す。
『一気に決めるか』
「Wake up!『
レイキバットがフェッスルを吹き鳴らすと、変身した最初の頃の装甲になったレイ。
だがしかし、ギガンティック・クローはバラバラに分裂し、形を変え2つの2丁の大砲『ギガンティック・バズーカ』となる。
〈ッ、ヴァーリ!この魔力量はマズイ!回避しろ!〉
『ほう、お前がそこまでいう程か………面白い』
ヴァーリは受けて立つように、構える。
『兵藤 一誠は無茶を通り越して俺の力を移植したんだ。だったらライバルである俺も無茶を通り越して、限界を越えよう!』
〈やれやれ、赤いのに触発されたか?〉
『地獄まで相乗りしてくれるか?相棒』
〈いいだろう!私は白き皇帝と呼ばれた龍!生きて乗り越えるぞヴァーリ!〉
その瞬間、ヴァーリの魔力も格段に上がる。
〈見ろ相棒。あいつがお前のライバルだ。神器は所有者の想いに応える。あの2人の想いが合わさった事により、奴らの力は何倍にも底上げされているんだ〉
「スゲェよ、スゲェ…ドライグ、俺もあんな風に強くなれるかな?」
〈なれるさ。乳を突いて禁手に至ったお前だぞ?これからもその煩悩で、数々の限界という壁をぶち破るに決まってる〉
「ははは、言ってくれるな…相棒」
気がつけば、2人の魔力は極限まで高まっていた。
『ダイアモンドブラストォォォォオオオ!!!』
2つのギガンティック・バズーカから放たれた白銀の氷の魔力がヴァーリに向かっていく。
《DivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivide‼︎‼︎‼︎‼︎》
『オオオオオオオオオオオオオ!!』
ヴァーリも半減の能力を全開にして魔力を受け止める。
ブシュッ!
ヴァーリの体に限界が来て、ヒビ割れた鎧から血が吹き出る。
〈ヴァーリ!『己の夢』をイメージしろ!お前の描く未来が、必ず限界の壁を越える力となる!〉
『俺の…夢は!……真なる、白龍……真……帝…‼︎』
《DivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivideDivide‼︎‼︎‼︎‼︎》
「ポーン!これは少々マズイのではないか?」
『ああ!分かってるさレイキバット!ヴァーリ・ルシファー!さっきは悪かった!訂正しよう!テメェを強いと認め、俺はそんなテメェをぶっ倒す!!!』
『ダイアモンドブラスト』の威力が更に上がる。
それと同時にヴァーリの半減も上がっていく。
『『オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!』』
森の木々が凍り、半分になり、半分になり、凍る。
最早、どう表現すればいいのか分からない状態になり、そしてーーー
ボオオオオオオオオオオオオオオン!!!
大爆発が起こった。
「クソッ、引き分けか……」
「成る程、
2人の鎧は砕け、地面に落ちて行く。
「あ?あのザコの見たモノ?…何言ってんだテメェ」
「フッ、ザコか…言っておこうポーン…兵藤 一誠を舐めると後で必ず後悔するぞ」
「?」
「ポーン!」
「ヴァーリ!」
ナイトとアーサーが同時に2人を抱える。
「引き上げましょう、流石に分が悪い」
「ああ、もう指一本動かせねぇよ」
「逃がさん!」
タンニーンがブレスを吐くが、2人は転移した後だった。
「チッ」
舌打ちしたタンニーンはイッセーの方を向く。
「負けはしたが、禁手には至ったようだな。収穫というモノだ」
「ああ、でももっと強くなるぜタンニーンのおっさん」
「フッ、いい目になったな」
「おいおいヴァーリ。お前、死に掛けじゃねぇか」
「だが美猴、俺はこの瞬間…限界というモノを越えたんだ。ふふふ、強者との戦いもいいが、これも何とも言えない高揚感だよ」
「あんた、そんな熱血キャラだったかにゃん?」
変身の解けた渡と分離した黒歌が、ヴァーリに言う。
「何で……そんな風になってまで助けてくれたの?」
「別に」
ヴァーリはアーサーに支えられながら立ち上がる。
「奴らが気に食わなかっただけだ」
そう言って背を向ける。
「素直じゃありませんね」
「『女の子には優しく』、とその本に書いてあったが…これでいいのか?」
懐から『恋愛マスターマニュアル』を取り出すヴァーリ。
「…………」
それを見て苦笑いを浮かべるアーサー。
「なぁ、キバ」
美猴がげんなりした表情で、渡に詰め寄る。
「あの会談の時からヴァーリがエリカっつう女の惚気ばっか話しくるんだよ。お前、その女と仲いいんだろ?悪いんだけどよ、早く落としてヴァーリを失恋させてやってくんね?」
(まだ諦めてなかったんだな)
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その後、黒歌の件は主に問題のあった事により、暁 渡とリアス・グレモリーの両名が責任を持って黒歌を監視する事ではぐれは解消された。
無論これは特例であり、もし渡とリアスとその眷属に危害を加える、禍の団としてテロ行為を働く、逃亡を図った際には主である渡が責任を持って処刑するという形でだが。
「こっちでも上層部にこの件を伝えよう。ただし…渡君は今以上に風当たりが悪くなる事は覚悟をしてくれ」
結菜達を見ると頷いてくれたのでサーゼクスにも問題は無いと返答する。
黒歌本人は理解できていないようだったのでリアスと共に説明すると泣きだして小猫に抱きついた。
小猫は苦しそうだったが逃げる素振りを見せずに抱きつき返す。
(あれが姉妹か…感動ものだな…)
今後の話し合いの結果、渡の家で住んで貰う事になった。
それには黒歌も同意して「不束者ですがよろしくお願いします」という何かが間違っていることを言った。
こうして、この件は静かに幕を閉じた。