「悪魔と天使と堕天使の共同作業か」
「本当に和平が成立したんだな」
現在、3大勢力による戦闘後の後始末が行われている。
修復されていく駒王学園の風景に渡とイッセーが表情を綻ばせている。
「………しかし、お前がキバだったなんてな」
イッセーの言葉に、渡はビクッと体を震わせる。
「アーシアの時も、コカビエルの時もお前だったのか」
「…………幻滅したか?」
渡が恐る恐る言うと、
「いや、最高の親友だと思うぜ!」
イッセーは二カリと笑った。
「っ!………そうか」
渡も笑い返す。
そして2人は互いの拳を重ねた。
「ダ〜リン❤︎」
「へ、ヘルさん⁉︎」
背後からヘルが渡を抱き締める。
それと同時にヘルの豊満な胸が渡の背中に当たり、なんとも言えない至福の感覚に襲われる。
「もぅ〜、私を放って何してるの?早く帰って、契りを交わしましょう❤︎」
「こんの……渡から離れなさいビッチ!」
「渡君!私と貴方の関係を見せつけましょう!」
「ギュッとして〜、渡〜」
「あうう、渡さん!私も!私も!」
「渡……私も…」
「渡君…私も……渡君が望むなら…いいよ?///」
「ええい離れなさい貴方達!渡様は私だけのモノです!」
結菜、リーヤ、紫水、アーシア、プリムラ、エリカ、グレイフィアが渡にのしかかる。
「わ、渡…!お前いつの間にハーレム王に⁉︎」
「はぁ、勘弁してくれ」
校庭の中心ではサーゼクス、ミカエル、アザゼルと会話していた。
「カテレアの件は私達に問題があった」
「いいよ、こっちもヴァーリが迷惑をかけたしな、未然に防げなかったのは俺の過失だ」
そう言うアザゼルの瞳には寂しさの陰りが写っていた。
きっとヴァーリと間で彼なりに思うところがあったのだろう。
「俺はもう疲れた。これからやる事があるからな」
背を向けて、アザゼルはサーゼクス達の元をから離れて行った。
「いや〜、まさか渡ちゃんがキバだったとはねぇ〜」
フォーベシイがネリネを連れて渡の側に来る。
「これで確定だね。君はネリネちゃんのお婿さんだ」
「お、お父様///」
「ちょ、そんな勝手に!」
「いやいや、キバは『王の証』。冥界のプリンセスであるネリネと、キバである渡ちゃんは地位の問題を気にせず婚約できるよ。いやー!めでたいめでたい!」
「なぁ、ミカエル。和平が完了しても、不満を持つ奴はいるよなぁ?」
「はい、そうですが…」
ユーストマはミカエルと話し合っていた。
「だったら、天界のプリンセスであるシアが、キバである渡殿と結婚して更に親睦を深めれば、そいつらも納得するんじゃねぇの?」
「おお!それはいいですねユーストマ。シアちゃんも渡君に好意を抱いていますし、ゴハッ⁉︎」
「み、ミカエうぶっ⁉︎」
「お父さんもミカエルさんも余計な計画立てないで!」
大天使と神王の脳天に、同時に椅子が叩きつけられた。
天界代表天使長ミカエル、堕天使中枢組織『
以降、三大勢力の争いは禁止事項とされ、協調体制へ。
この和平協定は舞台になった駒王学園から名を採って「駒王協定」と称される事になった。
***********
「てな訳で、今日からこのオカルト研究部の顧問になる事になった。アザゼル先生と呼べ。もしくは総督でも良いぜ?」
着崩したスーツ姿のアザゼルがオカルト研究部の部室にいた。
リアスは額に手を当て、困惑しながら言う。
「……どうして、あなたがここに?」
「ハッ!セラフォルーの妹に頼んだら、この役職だ!まぁ、俺は知的でチョーイケメンだからな。女生徒でも食いまくってやるさ!」
「っと、こんな事をしたから『堕天』したんだこいつは」
「あ〜、納得」
オカルト研究部に呼ばれた渡達はリリスの言葉に納得する。
「しかし、『キバの眷属』はグレモリー眷属に負けじとも劣らないなぁ。絶滅種の戦闘民族の人狼族と、同じく絶滅種で水の魔力の扱いは右に出る者はいない人魚族。あらゆる異能を無効化し、物理攻撃しか効かないフランケン。そして全てのケルベロスの母、マザーケルベロス。眷属としてもハーレムとしても最高だな」
「前にも思ったけど渡!モテない同盟のクセに着々とハーレムを築き上げていやがったのか!お嬢さん方!今度俺とお茶でもしませんか⁉︎」
「嫌よ、私は渡一筋なの」
「貴方には品が無い。私、品の無い人が一番嫌いなの」
「君…………誰?」
「弱い子に興味は無いのよね〜」
デートに誘うが、瞬く間に断られその場に膝をつくイッセーであった。
「よし、イッセー。じゃあ童貞卒業ツアーにでも出掛けるか!渡!お前も一緒にどうだ⁉︎」
アザゼルは渡にも言ってくるが、渡は首を横に振った。
「俺は遠慮しますよ。好きな女以外抱く趣味はないし、色恋沙汰には興味ありません」
それを聞いて、渡に想いを寄せる女達はホッと胸をなで下ろす。
「はぁ、何だそりゃ?父親の音也はそんなつまらない男じゃなかったぞ?」
「どういう人だったんですか?」
渡の問いにアザゼルは懐かしそうな表情を浮かべる。
「エロかったな」
「「「「「……………」」」」」
「エロくて、女誑しで、バカで間抜けで、事あるごとに女にナンパするダメ男だった」
「女誑ししか合ってないわね」
「泣くぞ?俺………」
結菜の言葉に、瞳に涙を浮かべる渡。
「年下・同い年・年上・人妻・ロリっ娘・悪魔・堕天使・妖怪など年齢種族問わずに愛する浮気性。それが暁 音也だ。俺と音也はナンパ友達でよぉ。事あるごとにナンパの約束をしたもんだ」
「ねぇ、泣いていい?泣いていい?」
渡は涙目でリリスに縋り付く。
「すまん、渡。これは事実だ」
リリスも苦笑いを浮かべて渡を抱き締める。
「特に有名なのは天界に1人で潜り込み、天界一の美女ガブリエルの胸を見て、触って、揉んで、乳首を突いて、摘んで、吸った事だな」
「何て事だ!あの、あのガブリエル様の胸に何という事を⁉︎」
それを聞いたゼノヴィアは頭を押さえて膝をつく。
「渡…お前、何て素晴らしい父を持って産まれたんだ!」
対するイッセーは、感動のあまり落涙していた。
「ダメ男だったんですね……父さん」
渡が落涙しながら落胆していると、
「だがバイオリンの腕は凄かった」
アザゼルの言葉に反応する。
「あいつは誰よりもバイオリンをこよなく愛した。正に天才…とは片付けられない程にな。そして…」
アザゼルは真剣な顔立ちで言った。
「『決して女に涙を流させなかった』、『女を泣かした奴を許さなかった』。音也は人間、神器も持ってないただのバイオリニストだ。しかし、相手が魔王だろうと神だろうと恐れず突っかかった」
アザゼルは渡の方を向く。
「俺は初めて人間に恐怖したよ。『こんなバカで無鉄砲で自分の命すら顧みないーーーー
話が終わった頃には、皆がその話に釘付けになっていた。
アザゼルはパンパンと手を叩き、話を戻す。
「ま、ここは三竦み同盟の代表な場所だ。仲良くやっていこうや。当面の目標は赤龍帝の完全なる禁手化。それとお前らのパワーアップだな。それらを夏休みに修行して達成するべきだ」
話は終わり、渡はただジッと青空を見上げていた。
「俺の父さん……凄かったんだな」
「ああ、未来永劫…あいつを超える人間なんて出て来やしないさ」
「そっか………」
渡は笑みをこぼし、家へ帰っていった。
「あ」
「?……げ」
途中、イリナと目が合い沈黙する。
「………じゃあな、紫藤」
「ッ!」
それだけ言って、渡は歩を進めた。
「……
イリナの胸は、チクリと痛んだ。
音也に対するアザゼルの話はどうだったでしょうか?
そして、最後のイリナの表情…
感想お待ちしております!