ハイスクール KIVA   作:寝坊助

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23話 登場・チェックメイトフォー

『キバァ‼︎倒す!私が!』

 

イクサは拳を渡に向けて振るう。

渡はそれを……

 

ガンッ!

 

受ける。

 

「渡さん!」

 

「この「来るな!」ッ、でも!」

 

渡の加勢に行こうとした結菜を渡が止める。

 

「これは……俺達の問題だ‼︎」

 

「渡……」

 

渡はイクサの方を向き、立ち上がる。

 

「渡!ただでさえお前は体が弱いんだ!早く変身しろ!」

 

キバットが叫ぶが、渡は首を横に振る。

 

「俺1人で…いい!」

 

『キバァ!…私が……倒す‼︎』

 

イクサは無防備な渡を更に殴り続ける。

だが、それでも渡は抗い続ける。

 

目の前にいる友を救うために、己の罪を償う為に。

 

「エリカ……‼︎」

 

渡は何もしない。

ただ、受け止め続ける。

エリカの想いを1つ1つ、受け止め続ける。

 

「エリカ…俺は……前に、言ったよな……『自分がどんな逆境に立たされても受け止めれるぐらいに強く』って……」

 

渡は殴られながらも、エリカに語りかける。

 

「ゴメンな……俺も…弱かったんだ…」

 

イクサの拳が渡の腹に直撃する。

拳を引き抜く際に、渡はその腕を掴みイクサを引き寄せる。

 

「言える立場じゃなかったんだ……俺は、1人じゃ何もできない…弱い奴なんだ」

 

引き寄せられたイクサは、それでも殴るのを止めない。

 

「だから……『一緒に強くなろう』」

 

『ッ‼︎』

 

その時、イクサの動きが止まる。

 

「俺も…お前も……一緒に…」

 

『わ…た、る……くん』

 

「俺は……お前が必要なんだ」

 

『わた…し……も』

 

段々と声を発するイクサ。

 

『渡……君』

 

イクサの変身が解けたと同時に、エリカの”何か”が砕けた。

 

その目には涙を浮かべ地面に倒れないように渡の体に抱きつき見つめ合うように顔を上へと持っていく。

 

「ゴメンな……エリカ」

 

「ゴメンね……渡君」

 

エリカはその言葉を言い終えた直後、渡と自分の唇を重ねる。

目を瞑っているが涙を流し、必死に想いを伝えようとしているように見える”それ”は数秒間離れることは無かった。

 

2人の唇が放れた瞬間、渡に体を預けるようにそのまま気を失った。

 

 

**********

 

 

「ば、バカな……私の『催眠』を打ち消すなど……‼︎」

 

それを見ていた男が、ワナワナと怒りを燃やす。

 

「下等な人間如きがぁ…!こうなったら私自ら……ッ!」

 

その時、男に向かって凄まじい殺気が放たれた。

 

「これはこれは、リリス様」

 

男の視線の先には怒りを露わにしているリリスと、その反対側にはグレイフィアが立っていた。

 

「【ビショップ】…まさかまたお前の顔を見る事になるとは思わなかったぞ」

 

「貴方も、てっきり死んだものかと思っていましたよ…しかし、これで合点がいきました。あの小僧に『キバの鎧』を与えたのは貴女ですね」

 

ビショップもリリスに劣らない殺気を放つ。

 

「悪魔の始祖と呼ばれた貴女が…おいたわしいものですね」

 

「黙れ、そんな下らない事より私の質問に答えろ」

 

リリスが怒気を孕んだ言葉を発する。

 

「お前達『チェックメイトフォー』の支えた【旧魔王サタン】はもう死んだ。支える主をなくして、何を企んでいる」

 

『チェックメイトフォー』。

それは、旧魔王サタンの率いた冥界最凶の戦士。

全員が「超越者」で、魔王と同等の力を有しており、大戦の時は1番多く戦果を挙げ、他陣営から恐れられていた存在である。

 

「まさかサタンが死んだから、シャルバやカテレアに支える…何て言わないようなぁ」

 

「心外ですね。私達がそんなにプライドがないように見えますか?」

 

クイッと、眼鏡のズレを直すビショップ。

 

「『戻す』んですよ。冥界のあるべき姿ーーー『絶対的恐怖による支配』の冥界に」

 

「またあんな『地獄』を繰り返すおつもりですか」

 

表情を崩さないものの、明らかに怒りを露わにしているグレイフィア。

 

「サタン…【キング】さえ死ななければあの戦争は我々、悪魔の勝利で終わった筈だ。なのに貴女方は……

 

 

 

 

 

 

【暁 音也】に唆されて‼︎」

 

「黙れ‼︎‼︎」

 

リリスの魔の波動が辺り一帯に響く。

 

「殺すぞ…ビショップ‼︎」

 

 

ドオオオオオオオオオンッ‼︎‼︎‼︎

 

刹那、上空から2つの影が降りて来た

 

「ッ、何だ⁉︎」

 

煙が晴れ、そこにはビショップを護るように、2人の青年が立っていた。

 

「紹介しましょう、『チェックメイトフォー』はこれを機に新たなメンバーを加えました」

 

「ビショップ様直属の部下【ナイト】」

 

無表情の肌白の青年が、丁寧にお辞儀をする。

 

「【ポーン】だ。不本意だが、【ルーク】直属の部下だ」

 

逆立った髪の青年が、威圧的に名乗る。

 

(2人共、最上級悪魔クラス…魔王と戦ってもかなり善戦する実力者と見た)

 

(ビショップ……いつの間にこれ程の戦力を…‼︎)

 

リリスとグレイフィアは正確にナイトとポーンの力量を測る。

 

「どうでしょう。確かに、私1人では絶対に貴女達2人を相手にして生き延びる事はできない。しかし、この2人の加勢があれば確実に日本の半分は消し飛びますよ?」

 

「……チッ、グレイフィア」

 

リリスは舌打ちし、グレイフィアに指示をする。

グレイフィアも悔しそうに、殺気を収める。

 

「懸命な判断力、流石でございます」

 

今、この5人が戦えばリリス達が勝つにしても、日本は崩壊する。

そうなれば日本神話、妖怪、他の陣営も黙ってはいないだろう。

それを付け入られたのだ。

 

ビショップはナイトとポーンと共に、転移魔法陣に立つ。

 

「ああ、それと1つ」

 

ビショップはリリスとグレイフィアの方を向く。

 

キングは死んではいない(・・・・・・・・・・・)

 

「「ッ⁉︎⁉︎」」

 

ビショップの言葉に驚愕の表情を浮かべる2人。

 

「おいそれは「では、これで」ビショップ‼︎」

 

咄嗟に魔力弾を放つが、転送された後だった。

 

「サタンが……生きている⁉︎」

 

「リリス様…」

 

リリスの表情が更に険しくなる。

 

「あいつは…音也が倒した筈だ……」




ついに出ましたチェックメイトフォー!
そしてオリキャラとしてナイトとポーンを入れました!
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