夜魔―理々禍流奇譚   作:罠ビー

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 お久しぶりです。フェイト編第三話……といっても事後処理ですが。あんまり話の内容は進んでないです。

 とりあえず金髪の子かわいそう


複製奇憚―3

「……終わったみたいだね」

 

 

 残念そうになのははそう言うともう入れるよと一言だけ告げる。その言葉に獣耳の女性は直ぐ様アパートの中に入って行く。ユーノもそれに続こうとするがユーノは立ち止まりなのはに振り返る。

 

 

「なのはは誰の味方なの?」

 

「私はみんなのお友達だよ。ユーノ君もあの子達とも」

 

 なのはは平然と笑顔のまま僕の問いかけに答えた。話にならない。いつもの笑顔で返されてしまう。

 

 

「なのは……君が友達だと言っているモノは」

 

「友達だよ。お話ができて、いつも私の周りにいてくれる、大切なお友だち」

 

 

 そんななのはに対しユーノは自身があの時感じ、そして思った事をなのはに告げようとするも、 なのははどこ吹く風といった様子で聞く耳は持たない。

 

 

「そんなことより行こうよ、ユーノ君。ユーノ君だって気になるでしょう。この物語の結末」

 

 

 なのははユーノの手を引くと部屋の中へ入っていく。ユーノはその光の差さない部屋から感じるじめっとした薫りに生理的拒否感を覚えるが手を引かれそこに足を踏み込む。

 

 

「……うん」

 

 

 覚悟を決めよう。僕だってこの部屋で何がおきていたのか気になるし。

 

 ここはもう普通のアパートの一室じゃない。そう思い歩を進める。

 まずは玄関。靴は一足だけということはさっきのお姉さんは履いたまま入ったのだろう。なのはは律儀に靴を脱いだがユーノは脱がなかった。

 

 

「靴はお部屋に上がるとき脱ぐものだよ」

「脱がない文化だってあるよ」

 

 

 ユーノの言葉になのははそれもそうかといった感じで微笑むとぺたぺたと音をたてて先に行く。もう手は引かれてないがユーノもそれについていく。

 

 部屋の中は木材なのに何となく柔らかい気がした。前を進むなのはは迷うことなく一直線に進んで行く。ユーノもただただついていく。

 

 

「その様子だとお姉ちゃんに逢えたみたいだね」

 

 

 

 

 

 

 

 なのはが風呂場につくやいなやそう呟くと風呂場にいた金髪の女の子が抱きついていた獣耳の女性を振り払い突然なのはに襲いかかった。

 襲いかかられたなのはは吹き飛ばされて壁に背中をぶつける。そこからユラリと立ち上がりながら顔をあげる。やっぱり相変わらずの笑顔だった。

 

 

「いきなりでびっくりしちゃったよ」

「お前っ」

「ちょっと待ってっ」

 

 

 激情のまま、なのはに掴みかかろうとする女の子となのはの間にユーノは割って入る。確かになのはの態度は神経を逆撫でするかもしれないけど暴力じゃ何も解決しない。

 

 

「邪魔をしないでっ」

「ちょっと落ち着いて。なのはが君に何かした?」

「わからない。わからないけど」

 

 

 そう言いながら金髪の女の子はユーノの後ろのなのはに迫ろうとする。その表情は怒りが大部分を占めているがまるで何かを恐れているようにも見えた。

 

 

 

 

 

 

 

「確かに私は彼女達に名前をあげたけど怒るようなことかな?」

 

 

 後ろから聞こえた声に僕をどけてなのはに掴みかかろうとする力は強くなる。そして金髪の女の子の後ろにいた獣耳の女性もなのはに敵意の眼差しを向ける。

 

 

「あの子達は君に逢いたがってたんだよ。君もお姉ちゃんにあえて嬉しかったでしょ。家族が離ればなれは悲しいもんね」

 

「貴女も、お姉ちゃんもお母さんも……一緒にいるべきなんだよ。それが優しいハッピーエンドなんだから」

 

 

 なのはが何を言っているかはわからない。でもこの不自然にカーテンが締め切られて日の光を全く通さない室内。鏡が割れており鋭利な刃物のような割れた面に血が滴っている浴室を見る限りそれは多分女の子にとってあまりよくないことなのだろうと察しはついた。

 

 

「お前は……敵だ」

 

「私はみんなと仲良くしたいだけなのに酷いなぁ。プレゼントもあげたのに」

 

「プレゼント?」

 

「青い宝石。貴女も探していたんでしょ」

 

 

 

 嫌なことを思い出す。なのはの言ゔ友達゙が青い宝石、ジュエルシードを取り込みユーノをも取り込もうとしたあの夜の事を。獣の獲物を補食せんとする息遣いが、獣の喉元にいるとわかる生暖かい湿っぽい吐息が首もとに今もかかってるような錯覚を覚える。

 ここまで言われれば気づく。さっきまでこの家で起こっていた異変は彼女によって仕組まれていたのだと。

 

 

「なのは、君はジュエルシードを」

 

「ごめんね、ユーノ君。でもジュエルシードも困ってる人に使われた方が本望だよ」

 

 

 なのはは申し訳なさそうにユーノにそう言うともうここには用はないといった感じに部屋から出ていく。金髪の子も獣耳の女性も、ユーノ自身も彼女を追いかける事は叶わない。

 

 

「ああ、そうだった」

 

 

 途中一回だけ振り返り一度だけ口を開いた。

 

 

 

「お母さんと仲直りできるといいね」

 

 

 

 

 

 その後ジュエルシードの反応を関知したという時空管理局の魔導師に焦躁した金髪の女の子、フェイトと獣耳の女性、アルフと共に保護されるころにはなのはの姿は近くには無かった。

 

 

 

◇◇◇

 

 

「君達の知っている事を話して欲しい」

 

 

 時空管理局の魔導師の男はフェイト達にそう言った。先程の異変とあの女の子のせいで酷く混乱と疲労していたフェイト達は時空管理局の魔導師にあっさり捕らえられ彼らの本拠地である

次元航行艦に連れて来られた。

 

 管理局の男の質問にフェイトは答えない。答えてやる義理もない。

 

 

「僕はスクライアの一族として紛失したジュエルシードの回収をおこなっていました。」

 

 

 フェイトと一緒に連れて来られたあの子と一緒にいた男は管理局の男にそう言う。……果たして本当だろうか。あの子の味方をした時点で私は彼を信じられない。

 

 

「勇敢だが無謀だな。事は次元干渉に影響する。悪いが君に手伝って貰うには危険だ」

 

 

 管理局の男の言葉に彼は渋々と引き下がろうとするも表情をかえて管理局の男に言う。

 

「……あなた方も危険です」

 

「僕達はそういう職業についている。君は違うだろう」

 

 

 

 

 

 

 

「無謀はどっちでしょうか」

 

 

 二人がこっちを向く。思わず口に出してしまった事を後悔すると管理局の男が近寄って来る。

 

 

「何を知っているんだ。洗いざらい話して貰うぞ」

 

 

 面倒くさい事になった。フェイトは思う。フェイトは自身の母が彼らにやられるとは思ってないがそういう意味での発言ではない。

 

 得体の知れないあの女の子の仕組みは魔導師だとか、そんなものは関係なく等しく取り込み何か人として崩壊してしまうような代物だ。

 

 

「それは私より彼の方が詳しいと思います」

 

 

 あの女の子もジュエルシードを持っていたという事はあの女の子もジュエルシードを集めているという事になる。

 

 

 ジュエルシードは私が母さんをアリシアから開放するために使うんだ。お前になんか使わせるものか

 

 

「あの現場にはもう一人の女の子がいました。ジュエルシードを集めている女の子が」

 

 

 




なのはさんもプレシアさんのために行動してんのになんでこんなにも敵対してしまうのか

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