俺は死んだ。
3度目ともなると慣れたものでとか言いたいが、1回目も2回目も突然のことだったのでこんなに穏やかな気持ちで死ぬのは初めてのことだった。
1回目は大学に行く途中、駅のホームで電車を待っている時突風が俺を襲いそのまま線路に落とされた。
落とされただけならよかった。いや、本当は良くないけど、それでも落ちてその後何事もなく助けられれば運がなかったと笑い話にもなったかもしれない。
だが、俺は本当に運がなかったらしくタイミング良く電車がホームに来てしまいその先は何も覚えていない。
神様が言うには見た人が確実にトラウマになるだろうと言うぐらいグロいことになったらしい。
ここでお前のせいだろ!とツッコんだ俺は悪くないと思う。
間違えて殺してしまったから生き返らせてくれるとか言い出した神様に、俺は転生する条件として遠坂凛の近くに住みたいと願った。
ここで恋人になりたいとか言ってもよかったのだが、なんかどうしても気に入らなかったのでそれはやめておいた。
俺は平凡な大学生の頃にハマっていたゲームの世界にそれも好きだったキャラと楽しく喋れるかもしれない世界にこうして入っていった。
転生してから数ヶ月後に俺は転校して遠坂凛が通う学校に行くようになった。
残念ながら同じクラスではなかったが、それでも俺の家は凛の家に歩いて数分圏内の所謂ご近所さんであった。
ここまできてあの人はちゃんとした神様だったんだなと思い感謝した。1回殺されてるから感謝はおかしいかもしれないがそれでも俺は感謝した。
さて、あとは俺の努力次第であの遠坂凛と仲良くなれるかもと思っていた時期も俺にはありました。
転校して数日で俺は知った。思い知った。彼女、遠坂凛には話しかけることができないと。
まず俺の知る遠坂凛は違っていたのだ。遠坂凛は学校では猫をかぶっている。これが俺の知る遠坂凛である。
だが、それは俺でも気付いてしまうぐらい脆いものになっていたのだ。
クラスメイトなどにそれとなく聞いてみると家族に何かあり落ち込んでしまっているのではと言っていた。
これの他にもう一つ俺が気づいたことがあった。
それはなんて言うか彼女の存在が儚げであるという事だ。まるでもうすぐ死んでしまう人のような、そんな感じを俺はうけた。
そんな彼女でも俺はお近づきになりたいと思っていたがなかなかきっかけを掴めずその日も学校の屋上で1人反省会をしていた。
今思えばこの時屋上にいてよかったと思う。なんせ彼女の、遠坂凛の自殺を止めることができたのだから。
その時に告白めいたことを言ってしまったがそれは本心であり、この時から俺は死んでも彼女を一生支えられるようになろうと決心した。
それから凛は少しずつであるが俺に心を開いてくれて、学校でも俺の知ってる遠坂凛に少しずつ戻っていった。それからの日々は俺が今まで生きていた時間の中で最も濃密な時間だったと言い切れるほど充実していたと思う。
登下校を一緒にするために俺が迎えに行ったり、交互にお弁当を作りあって持ち寄って2人で昼休みを過ごしてり、休日にデートみたいなこともした。
俺の誕生日には凛が綺麗な石と偽って小さな宝石を渡してきたときは驚いた。
だけどそんな素敵な日々は一瞬で終わった。
それも俺の死という最悪の結末で。
この時ほどあの神様を恨んだことはないだろう。さすがに神殺しなんてことはできないので、罵詈雑言を言うだけに留めたが。
唯一の救いが凛は俺が死んでも強く生きることを選んでくれたことと、神様にもう1度チャンスを貰えたことである。
待っててくれ、凛。
俺は何処ぞの赤い弓兵みたいになれないかもしれないけど、それでもお前を護り支えてやるから。
そんなことを思いながら俺は目を開けた。
予想通りなら目を開ければ遠坂邸のリビングか、もしかしたらエミヤではなく俺だからちゃんと凛の目の前に召喚される可能性もあるなと思っていた。
だが、目を開けるとそこは・・・
「辺り一面燃え盛っていて建造物が全て壊されてるってなにこれ?」
とりあえず主人公側の視点も書いてみたので投稿しときます。
そしてタグで盛大にネタバレする勇気。
主人公の名前を考えてないけどめんどくさいからトリスタンでこのままいくと思います。
それと前回の後書きに書いた次回ってのはこの話と次回両方合わせたことなので。