さて現実逃避したくてたまらないけど、この状況をどうにかしなくては(使命感)
「立ち話もなんですし、中に入りませんか?」
「はい、そうですね」
この部屋にはベット、書き物ができる机と椅子、そして円形の机とそれを囲むように椅子が2脚あるので、そこにアルトリアと俺で対面する形で座った。
アルトリアは俺からの説明待ちのようで黙っているので、この隙にこれからの方針をざっと考えるか。
ひとまずどこぞの赤い弓兵よろしくの記憶が摩耗してるってことにするかな。これは神様からのありがたい説明の間に考えてたことだけど、こうした方がこれから動きやすそうなんだよな、たぶん。
そもそもこの国でのトリスタンの現状の立場がわからんし、絶対ぼろがでると思うんだよな。あとはどう説明するかなんだが・・・。そこは相手に合わせる感じでいいかな。
「さっきはすまんな、大きな声をだしてしまって。驚いただろ。いろいろと思い出そうとしたんだが突然頭痛がしてな」
「いや、こっちは大丈夫ですが・・・・・・、あの、待ってください。思い出すとはどうゆうことですか?」
「どうやら記憶が摩耗してるようなんだ(諏○部ボイス意識)」
「!!!!」
これは声については反応してくれないな。似てなかったのかな?驚きすぎて声が出てないし。まじめにいくか。
「覚えてることもあるにはあるんだが、覚えてないことの方が多くてな。例えばランスロットがさっき訪ねてきたが、訪ねてきた人がランスロットだというのはわかったんだが、その人がどんな人間で俺とどんな関係だったのかが全くわからないんだ」
「わ、わ、私のことは?」
取り乱しすぎじゃないですかね?これで大丈夫なのかアーサー王。
あと、その可愛らしいお顔を近づけないでくださいドキドキするから。
「すいません。貴方が可愛らしい少女なのに、何故騎士の格好をしているかわからないんだ。それに申し訳ないんだが名前も分からない」
「そ、そうなんですか」
そんな目に見えてしょぼんとしないで下さい、お願いします。間違えて頭でも撫でた日には殺されてしまう。
「や、やめて下さい/////」
なんでテレてるんすかね?あ、俺が頭撫でたからか。や、やばい。円卓の変態共にバレたらリ○チにされる。あと、アルトリアさんもチクんないでね。
「私の名前はアーサー・ペンドラゴン。そして私は男だからその少女と言うのはやめてください」
「と言われてもね。見るからに可愛らしい女の子なんだがな」
「さすがの私でもそろそろ怒りますよ」
「わかったよ。俺が悪かった。お前はアーサーで男なんだな」
「分かればいいんです、わかれば。そして一応私は王で貴方は騎士ってことになってますがこれも覚えてませんか?」
「騎士については格好と部屋にある武器で察してたよ。それよりもアーサーは王様だったのか。てことは俺が敬語で喋るのか・・・・・・しゃべるんですか?」
「記憶のないものにそこまでは強要させませんよ」
「それはありがたい。それで今の国の状況を聞きたいんだがいいか?俺の記憶だと俺はどこかで戦ってたはずなんだが・・・」
全くの嘘である。もし間違っていても記憶違いと言い訳できるし、たぶんこの頭の包帯を見る限り怪我をしたばっかのはずだから当たってる確率のほうが高いはず。これも神様に聞ければ良かったんだが、勝手に会話を終わらせやがって・・・
「はい。貴方は確かに戦に出ていました。そこで頭を鈍器か何かでおもいっきり殴られたんそうです。たぶんそのせいで記憶がなくなったのでは」
なるほど。そのタイミングで神様が俺ともといたトリスタンとを交代させたってことか。この表現であってるのかな?
でも、そしたらもといたトリスタンはどうしたんだ?話すたびに謎が増えてるような気がするんだけど。
「そしてこの国はその戦いで勝ち、やっと周辺諸国を平定できました」
「それは良かった。少なくともすぐに戦いがあるってわけではないんだな?」
「はい、そうなりますね」
さて、起きてすぐ戦いに行けって言う最悪なパターンは免れそうだけど、これからどうしたものか。
「あ!!もしかしたら」
「どした?」
「もしかしたらマーリン・・・この国の魔術師だったら貴方の記憶喪失を治せるかもしれません。ちょっと呼んできますね」
「おい、待て」
とんでもない早さで席を立つと、颯爽と部屋から出ていった。やばい、マーリンなんてでてきたら流石に嘘がバレる。どうしよう。この隙に逃げるか。
「今呼んできましたからすぐ来ますよ」
「お、おう。ありがとう」
ちょっと待て、速すぎるだろ。もしかして魔力放出全開で移動したのか。早すぎるだろ。これが全盛期のアルトリアなのか。ドン引きや・・・・・・
あー、やばい。完全に思考回路が現実逃避し始めてる。これでバレたらどうなるんだろ。是非も無いネェ、とか言いながらやられるのかね。転生してすぐにBADENDなんて笑えねーよ。
***
「トリスタン卿、記憶をなくされたそうですね。大丈夫ですか?」
「正直わからん。日常的なことは問題ないかもしれんが人間関係とかは全くダメだ」
「なるほど。これは私には治せそうもないですね」
「!!!」
部屋に入ってくるなり話し掛けてきた全体的に白くてもやしみたいな人がみんなご存知のマーリン様です。
てか、驚いたわ。記憶がなくなってるのを治せない云々に驚いたように見えると思うけど嘘がバレてないことに驚きだよ。これはワンチャンあるだろ。ちなみにアルトリアは治せないことに驚いてる模様。
「記憶がないってことは自己紹介が必要ですね。魔術師をやっていますマーリンと申します。以後お見知りおきを」
「よろしくお願いします」
「それでですね、治せない代わりと言ってはなんですが僭越ながら私から助言というか予言を差し上げますね。トリスタン卿、貴方は1人でアイルランドに向かわれた方がいい」
「なぜです?マーリン」
「理由を聞かせて貰ってもいいですか」
「私にはそれが最善だと視えたからですよ。トリスタン卿、貴方なら理解いただけるはずです」
「そうか」
「待ってくれ、マーリン。私にもわかりやすく教えくれないか」
「王よ。正直に申しますと先程トリスタン卿は日常的な部分は大丈夫だ、とおっしゃいましたが戦闘面は触れていなかった。いや、あえて触れなかった。そのような状態でここに居られても邪魔になるだけだと思うのです」
「そんな。本当なのかトリスタン卿」
ありゃ?おかしな方向に話が勝手に進んでるんだが。だけどこのまま話に乗っかればここから出ていきやすい。嘘の上にさらに嘘をつくようなまねはしたくなかったが、しょうがないか。
「言いづらいがな・・・」
「それでは早めに出ていかれた方が良いでしょう。こちらでも準備をしておくのでトリスタン卿、貴方も準備をしておいてください」
4月23日追加しました。本当ならもう少しマーリンとお話しようと思いましたがめんどくさかったのでやめて引っ付けされてもらいました