クロスアンジュ 天使と竜の輪舞 銀河の守護者   作:オービタル

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afterstory12:エルダーの誇り

 

陽弥達はエッジ達の世界にある惑星『レムリック』に着陸した。雪山がある森林の中を歩いている陽弥達は、雪景色を楽しんでいた。

 

「へっくしゅっ!!あ~、寒い!何で上着持ってこなかったんだろうか?」

 

「仕方ない、こう言うのを想定していなかったからなぁ。」

 

アラドが寒がっているジュンを見て言う。レオンは先頭の陽弥に質問してきた。

 

「陽弥、最後の剣に選ばれし者は誰なんだ?さっきの表情で何か知っているような表情していたから.......」

 

「最後の剣に選ばれし者は.......エルダー人だ.....」

 

「エルダー人?」

 

「外見はエルフに似ているが、高度な技術力を持っていて、呪紋と言う紋章術を使っている........そしてこれから、エルダーの総司令であるガガーン総司令と会い、彼の所在地を探す。彼の名は......"フェイズ・シッファー・ベレス"......非常に論理的な思考の持ち主で、非論理的な人には厳しい口調や態度を取ってしまうが、基本的には人懐っこくて純粋な性格なんだ........けど、」

 

「けど?」

 

「アイツは......己の正義感の欲に取り込まれ.......散った。だけど、紅蓮帝がの言葉でフェイズが生きていると分かった........アイツにもう一度........チャンスを与えようと思う。」

 

陽弥はエンジェリックナイツを決意する。そして陽弥達はエルダー人の集落があるコロニーへと足を踏み入れた。木の家や釜戸、そして風車小屋が並んでいた。

 

「何か......長閑すぎるなぁ.......」

 

「そりゃ、そうだ........陽弥の話を聞いていただろ?エルダー人は技術を封印してしまったと.......」

 

すると集会所の前にエルダーの総司令であるガガーン総司令や評議員達が待っていた。陽弥達はこれまでの事と目的を話した。

 

「なるほど、紅蓮帝と言う龍がフェイズを選んだのですね.....」

 

「えぇ、無理な事と思いますが......俺の娘や勇人の恋人を救出するために、フェイズの捜索に協力してください!」

 

すると陽弥がガガーン総司令や評議員の前で土下座する。

 

レオン達は陽弥が土下座をしていることに驚く。

 

「「「「えぇっ!!?(神様が土下座している~~っ~!!!!????)」」」」

 

「..........」

 

評議員達が困った表情になると、ガガーン総司令はある決断をした。

 

「分かりました.......貴殿方々の要求を受け入れましょう。但し、未開惑星保護条約を守っている事を忘れないでください.......」

 

「.........すまない、ガガーン総司令.......」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜、陽弥達はエルダー人と協力し、フェイズを捜索していた。

 

「なぁ、陽弥」

 

「ん?」

 

「ネザーが使っていたあの"ゼロ"ってお前のシグムディア土下座で勇人のクーフリンに似ていないか?」

 

「そうだ......ゼロは旧クアンタ人によって造られた人造生命体零号機それに続いて造られたのが壱号機である"シグムディア"、弐号機である俺の嫁さんが使っている"シグニュー"、勇人が使っているのはパンドラメイル9号機でも言える人造生命体参号機"クーフリン"と10号機でも言えるシンディの人造生命体四号機"エリン".......その五体の人造生命体の中で恐ろしいのが"ゼロ"なんだ。二年前のソロモニア戦記で騒がせた生命体だからなぁ.........」

 

「どんぐらい強いんだ、ソイツ?」

 

「.........俺も含め.....8人の護星神でも苦戦する程だ........何せ、超収斂時空砲でも全く通じない、あれこそ......悪魔と呼べる生命体だ......」

 

「悪魔ねぇ......それと、勇人が荒神だと知っていたのか?」

 

「信じたくはなかったけど、あの子は間違いなく"荒神"だ.......無理に戦い続けたら.....」

 

「戦い続けたら?」

 

「.........荒神化には持てる時間があるんだ。勇人はまだ17だし、まだ荒神化の耐性に特化していないだ。荒神化を持てる時間は10分......8分30秒経過すると、胸のジオ......つまり"カラータイマー"が赤く点滅するんだ.......それが消えると勇人は..........."人ではなくなる".....。」

 

「え!?どういう事なんだ?」

 

「すまんが、ここから先は自分の目で見るんだ........そこからは本当に無理なんだ.......」

 

「........」

 

レオンが後ろにいる勇人を心配そうに見ると、草むらから音がした。

 

「っ!?」

 

「どうした?」

 

陽弥が問うと、レオンは言う。

 

「今、微かに音が!」

 

「フェイズか!?」

 

「見てくる!」

 

勇人が先頭に出る。

 

「勇人!」

 

「俺が行く!陽弥は皆と居てくれ。」

 

「分かった!」

 

レオンが勇人の後を追う。森林の中を走る勇人は影を追う。そして、

 

「っ!!」

 

勇人が森林を抜けた先は、月の光で照らされている花畑で、目の前に黒いマントで顔を覆い隠している人物がおり、腰から細剣を抜刀し、勇人に襲い掛かってきた。

 

「っ!!?」

 

勇人は急いでライオットシールドを取り出し、黒い人物のレイピアの突き攻撃を防御した。華麗な戦法で攻める黒い人物は勇人を圧倒する。

 

「クッ!」

 

黒い人物がライオットシールドを貫き、勇人から引き剥がした。

 

「あっ!!」

 

勇人がライオットシールドを取りに行こうとしたが、黒い人物は勇人の顔にレイピアを突きつける。

 

「........」

 

勇人は怯え、絶対絶命になった直後、

 

「突風斬!!」

 

レオンがアースセイバーを抜刀し、奥義を放つ。烈風が黒い人物に向かっていくが、黒い人物はレオンの突風斬を回避した。

 

「大丈夫か!?」

 

「レオンさん!」

 

その直後、黒い人物がレオンの背に向けて、レイピアを突き刺そうとしていた。

 

「クッ!」

 

レオンはアースセイバーでレイピアでの攻撃を防御する。

 

「コイツ......かなりの剣術を使っている!」

 

両者は一旦離れ、攻撃体制取る。

 

「「.........」」

 

そして二人は剣を突き付け、突撃すると、森林から光の右腕とブラムの力が宿る闇の左腕を使い、それぞれの爪で二人の剣を受け止める。

 

「そこまでだ!!」

 

「「っ!!」」

 

「師匠!」

 

二人は互いの剣を鞘に収めると、陽弥が黒い人物の方を向く。

 

「久しぶりだな.........フェイズ.....」

 

すると、黒い人物がマントで顔を覆い隠していた部分外し、顔を露にした。緑の髪で微かだが顔に赤黒い痣が残っているフェイズであった。

 

「陽弥さん......」

 

「エッジから聞いたぞ........お前、あの子を助けられなかったんだな......」

 

「..........」

 

「ブラム.....」

 

陽弥の体から黒き民のマントを着ているブラムが現れる。

 

「ブラムさん.....それ....」

 

「これか?あの部屋で見つけたんだ......彼らの分も生きていこうと.......」

 

「.........」

 

「........やっぱり、まだ思っているのか?あの娘......."アミナ"の事を......」

 

「え?」

 

「........ようやっと知れたんだ.......あの娘の名前を........」

 

「..........アミナ..........あの娘の.......」

 

「辛いのは分かる.......もう、誰も傷付けたくないんだろ?」

 

「...........」

 

「分かるよ........世界を変えたいくらい、苦痛のない世界を創ろうとしてるのは...........だけど、助けてくれ........」

 

陽弥はフェイズにこれまでの事を話すと、フェイズは驚いた。

 

「そんな事が起こっているのですか!?」

 

「あぁ、娘が........マナが死ねば.......俺はこの世から消えることになる。だから頼む............」

 

「.........出来ません。」

 

フェイズが突然、陽弥の要求を否定した。

 

「.......もう、誰かを傷付けたくありません.......それに僕は.......この通り、グリゴリの影響で毒を浴びているんです..........僕は本当は弱いんですよ.........」

 

「.......フェイズ」

 

「?」

 

ドゴォッ!!

 

「ッ!!?」

 

「「えぇっ!!?」」

 

突然、陽弥がフェイズの頬を殴った。

 

「何時までマイナス思考になっているんだ!!!ど阿呆っ!!」

 

「!!?」

 

「あの子や他の同胞を助けれなかった?それで因果を変えようとしていた!?甘ったれてんじゃねぇぞ、ゴラァッ!!」

 

「.........何が、分かるんですか、」

 

「........」

 

「何が分かるんですか!あなたに!!僕は必死に同胞の為に戦いました!だけどっ!「だけど何だぁっ!!!!」っ!!?」

 

「それなら守れよ!必死に!己の恐怖から背けるな!エルダーは.........そんな事で死ぬような種族ではねぇ!!」

 

陽弥の言葉にフェイズは驚くと、通信が入ってきた。

 

「どうした?」

 

『兄貴!ネザーの軍勢が来やがった!』

 

「分かった......直ぐ行く。それまで持ちこたえてくれ!」

 

『分かったぜ!!』

 

アレンが通信を切ると、レオンと勇人に報告する。

 

「レオン!勇人!急いでジュン達と合流するぞ!奴が来やがった!」

 

「分かった!」

 

レオンは急いでジュン達の所へ戻る。陽弥がフェイズに言う。

 

「誰かを守りたい...........だったら新しい仲間やエルダーを助けろ........」

 

陽弥はそう言うとエンジェリックナイツをフェイズに渡した。

 

「これは?」

 

「八人のクアンタの皇帝が遺した剣だ.........戦いたいなら戦い抜け、守りたいなら守り抜け.........エルダーの誇りを汚すな....」

 

陽弥は急いでレオンの後を追うと、勇人が言う。

 

「師匠はフェイズさんの事を心配しているのです.......今のフェイズは臆病者扱いとしているのですが、心のそこではあなたの事を必要としているのです........」

 

勇人も急いで陽弥達の所へ戻る。フェイズはエンジェリックナイツを見つめる。

 

「............」


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