クロスアンジュ 天使と竜の輪舞 銀河の守護者   作:オービタル

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afterstory07:罠

 

数日後、ザンジークの船隊がワープを繰り返し、グランドスフィアがある宙域に到着した。

 

「敵艦隊補則!!」

 

既に格納庫には陽弥が仮面を付けて、皆に宣言していた。

 

「同志よ!今日........俺達はこれから、グランドスフィアの主導権を奪還し、皆に取り付いているプリズンウォールの制御を壊し、解放した同時に逆賊であるネザーの首を捕る。多勢に無勢の戦いになるかもしれないが、これは俺たちにとって、秩序と名誉を取り戻す戦いにもなる!あんな野郎に好き勝手されたくないだろ?戦う!俺たちの絆を......奴にぶつけるんだ!作戦名「リベリオン」を開始する!」

 

《おぉ~~!!!》

 

そしてグランドスフィアから、ヴァルキュリアス艦隊及び、全機体がカタパルトから発進されていく。その中にルナ達もいた。その頃、ネザーはグランドスフィア内部にある司令塔から前方のザンジークの船隊を見て、笑う。

 

「さぁて、そんな数でどう叩こうと言うのかね?総統..........」

 

するとザンジークの船からシグムディア・リベリオンに乗った陽弥が前に出る。

 

「笑っていられるのが.......これで最後だと思え、ネザー.......」

 

すると陽弥はシグムディアを操作し、七星剣と魔剣グラムを抜刀した。

 

「見せてやろう........これが、アイツ等と2000年間の修練で叩き込んだ俺の新たな力だ!!」

 

2本の刃から光のオーラが溢れ、陽弥は渾身を込めて、七星剣と魔剣グラムを振り回し、何かを斬った。ネザーは何が起こったのか分からなくなる。

 

「何だ!?」

 

陽弥は七星剣と魔剣グラムを収納し、剣を収める時と同時に音が鳴り響いた直後、ヴァルキュリアス艦隊を含め、ルナ達の神経に電気が走り、気絶していく。その光景を見ていたネザーが慌てる。

 

「お前達!?どうしたんだ!!?」

 

すると陽弥がネザーに説明する。

 

「ネザー!観念しろ!お前とクローン兵以外のプリズンウォールを付けている者達は、俺の技で心を切った!数時間は動けないぞ!!」

 

「チッ!......小数で来ると思って甘く見ていた......」

 

ネザーが舌打ちすると、命令を下してきた。

 

「ヴァルキュリアス以外のクローン兵に告ぐ!何としてでも、私の元へ奴等を来させるな!お前らの命がどうなろうとも、絶対にだ!!」

 

クローン兵士達はネザーの命令を聞き入れ、グランドスフィアからグリニア帝国艦隊が発進してきた。その様子をザンジークの船から見ていたザンジークは叫ぶ。

 

「陽弥!来やがったぞ!」

 

「セイクリッドメイル隊!全機出撃!」

 

《yes!we fuhrer!!》

 

カタパルトから陽弥のシグムディア・リベリオン、エミリアのシグニュー・リベリオン、さらに勇人のパンドラメイル『クーフリン』とシンディのパンドラメイル『エリン』が発進し、後からラフィのブレイブとバンシー、サイクルプス、時空賊のアーキバスⅡも続いていく。そして動けなくなったヴァルキュリアス艦隊を抜け、シャフトが閉じられているグランドスフィアの発着場に辿り着く。陽弥は非常用スロットルを回し、シャフトを開けた。

 

「突撃!」

 

全機がビームライフルを構え、目の前に防衛網を貼っているグリニア帝国艦隊が待ち構えていた。グリニア帝国艦隊のカタパルトから複数のドローンが発進し、発着場での交戦が始まった。陽弥のシグムディア・リベリオンの背部のバインダーから4対の剣型エネルギー弾"ルミナスビット"を展開し、ドローンやグリニア帝国兵士の死角から襲う。エミリアもシグニューの高出力エネルギーランスとビームシールドの他に6対の銃型エネルギー弾"ルミナスファンネル"を展開し、グリニア帝国艦を撃沈していく。そして勇人のクーフリンはハイパーノバビームライフルを構え、狙い撃ちしていく。するとドローンが背後から迫ってくると、シンディのエリンが脚部から光の剣"クラウ・ソラス"を抜刀し、ドローンを切り裂いた。そしてラフィ達も、グリニア帝国軍を打ち倒していく。そしてシグムディアがルミナスビットで街に繋がるシャフトを切り裂き、セイクリッドメイルも通れるくらいの巨大な穴を開け、侵入した。すると陽弥の目の前に司令塔が見えた。

 

「見つけたぞ!!」

 

シグムディアが先進し、司令塔の内部をスキャンする。

 

「あれ!?」

 

しかし、司令塔には誰もいなかった。

 

「師匠!」

 

「アイツ......逃げたな!まだ遠くには言っていないと思う!探せ!!」

 

全機が二組を組み、ネザーを捜索する。

 

陽弥とエミリアは城内を調べ、勇人とシンディが商業エリアの辺りを探す。勇人とシンディは機体から下り、商業エリアの街道を歩いていた。

 

「何処にいるんだ?......アイツは.....」

 

「teacherは城内にある研究室......ネザーの部屋を探すと言っていました。」

 

「ネザーの?」

 

「yes、きっと部屋の何処かに隠れていると思っているのでしょう.....」

 

勇人とシンディがそう考えていると、背後から黒い影が迫ってきた。

 

「っ!?」

 

運良く勇人がシンディの背後から迫る黒い影に気付き、フルオートライフル『ハリヤー』を構えたが、黒い影が勇人を撥ね飛ばした。

 

「勇人!」

 

すると黒い影が姿を現した。

 

「くっ!.......ネザー!」

 

ネザーがシンディを捕まえ、人質にすると、ネザーが勇人を睨む。

 

「愚かなあの地球人の生き残りか...........子ネズミが........」

 

「うるさい!僕たちの故郷を壊し、そしてシンディの両親を目の前で殺しやがって.......」

 

勇人が陽弥に通信を入れようとした直前、ネザーがシンディの顔にプレデターピストルを突き付ける。

 

「おっと、あの紛い物に連絡してみろ♪このお嬢さんの顔に穴が開くぞ♪ヴァルキュリアスの勇者が......」

 

「糞.......卑怯者が!」

 

「卑怯?......私が?フフフ♪やっぱり地球人は可笑しな事を言う。」

 

「どういう事だ!?」

 

「私は......何日も待ち続けた。不安を抱き、滅びを避けるために、私は"あれ"を研究した!」

 

「"あれ"?」

 

「だが!!研究した結果........陽弥・ギデオンに追放され、私は絶望の淵をさ迷っていた。私は信じていたのに!!私の研究が上手く行けば!陽弥・ギデオン!嫌.....先生に認められると思っていた!!私の頭脳がヴァルキュリアスの未来を照らす光だと!だが、先生に裏切られた!.........そんなさ迷っていた私に........"あれ"を渡し......"あの方"が私にクローン兵の作り方と、未来を照らす計画を引導してくれた.......」

 

ネザーは自信の過去を勇人とシンディに語り始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一年8か月前......辺境惑星ヴォルダンにて、ビリビリに破れかけの白衣を着ているネザー・マンティカルが雨の降る中を泣き崩れながら、絶望の淵へ落ちていた。

 

「う.......うう.......何でですか?何故、認めないのですか」

 

ネザーは地面に拳を叩きつけながら、悔やんでいた。

 

「糞!.....糞!糞!.......糞!糞!糞ぉっ!!!」

 

その直後、ネザーの元に禍々しい怨念の巨大な塊が近付き、ネザーを呑み込んだ。すると闇の中からある人物が現れ、名を言う。

 

 

『私の名は........."エンブリヲ"。君の失意は無駄ではない♪彼は分かっていないだけだよ.........私の無限の憎悪を受け取りなさい.......完璧な兵士と.......この"傀儡の剣"を使い、君の叶えたかった野望を果たしなさい♪そして彼を......ヴァルキュリアスの紛い物を消し去りなさい♪......』

 

 

彼の言葉を聞き入れたネザーが放心し、そして軍事組織を造り上げた。それを聞いた勇人とシンディが怯え、ネザーは狂喜に満ちた笑い声を上げる。

 

「アハハハハハハハハ!!!!!.......そして私の望みはただ一つ!........."傀儡と黄昏の全てを..........一つの闇に"!!」

 

ネザーはそう言うと、シンディを人質にしたまま勇人に襲い掛かった。勇人は間一髪ネザーの攻撃を回避するが、シンディを人質しているため、撃てなかった。するとネザーがまた不気味な笑顔を見せ付けてくる。

 

「そろそろ.....私は退散しよう♪」

 

「何!?」

 

「私は........ずっとこのお嬢さんを見てきた。今も黄昏の心を持っており、前向きであると.........そして決めた。このお嬢さんを"私の妻"にしようと思っている♪」

 

「「っ!!?」」

 

「それに、私は知っているのだからなぁ.........君の......」

 

勇人はネザーの放った言葉に驚く。

 

その頃、城内のネザーの研究室では、陽弥がネザーを探していた。

 

「アイツめ!何処にいった!?」

 

「陽弥様!」

 

「ん?」

 

「これを!」

 

エミリアがある資料を持ってきた。陽弥はエミリアと一緒にその資料を見る。さらに陽弥が端末を開き、名簿リストを見る。

 

「っ!!」

 

陽弥が名簿リストに載っていた人物に驚き、発着場を確保したザンジークに通信を入れた。

 

「どうした?」

 

『ザンジーク!マナは無事か!?』

 

「え?ちゃんと世話役に回してあるけど.......」

 

『っ!!今すぐマナを助けに行ってくれ!ソイツはネザーのスパイ!プリズンウォールを付けられている奴だ!』

 

「何だって!!?」

 

ザンジークや時空賊達が急いでマナのいる部屋に向かい、ドアを開けようとしていた。

 

「おい!開けろ!!」

 

しかし、ドアは向こう側から鍵を掛けられていた。

 

「退いて!」

 

丁度そこに、次元跳躍で飛んできた陽弥とエミリアが現れ、ハンドガンを取り出し、ドアの金具を破壊した。

 

「せーのっ!!!」

 

ザンジークと陽弥がドアを破壊すると、倒れているプリズンウォールを付けられている時空賊の女性を救助する。そして磁場を発生する黒い穴が陽弥の目の前にあり、中からパラメイル並の大きさを持つ手が現れており、手のひらにコールドスリープカプセルを持っていた。陽弥はコールドスリープカプセルの中にマナが寝ていると分かり、ヘビーマシンガン"レヴナント"を取り出し、巨大な手を撃ち始めた。

 

「このぉぉぉぉぉっ!!!」

 

しかし、巨大な手が手のひらからマナの障壁を展開し、防御する。すると黒い穴からネザーの声がする。

 

「ハハハハハハ!!!マナ・ギデオンは貰ったぞ!陽弥・ギデオン!」

 

「「マナァァァァァッ!!」」

 

そして巨大な手がマナを連れて消えようとすると陽弥はハンドガンを取り出す。それを見たエミリアが止めようとする。

 

「止めて!」

 

「発信器だ!」

 

陽弥は巨大な手に発信器を撃ち込んだ。巨大な手が黒い穴と同時に部屋から消えた。そしてエミリアが泣き崩れ、陽弥が壁に拳を叩き込むと、壁ごと貫いた。

 

「糞!.......まんまとネザーの手のひらで踊らされていた.......これは俺の責任だ.....」

 

 

 

 

一方、勇人の方ではネザーの放った言葉に怒り出し、ライフルを撃つ。

 

「この野郎!!」

 

「無駄だ......今の私はエンブリヲの力を宿している。それに彼方の方は目的達成したようだし、だから♪」

 

するとネザーが手から衝撃波を放ち、勇人に直撃した。

 

「勇人!!」

 

「未来の花嫁は頂いたぞ、新川 勇人!!」

 

「シンディィィィィ!!!」

 

「勇人ぉぉぉぉぉ!!!」

 

二人は互いの名を叫びつつ、シンディはネザーに連れ拐われた。勇人は彼女を守れなかったことに、悔やむ。

 

「糞!糞!..........糞ぉぉっ!!」

 

勇人は燃え盛る町の中でシンディの叫び続けていた。




次回、あの剣の名前が出ます!

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