クロスアンジュ 天使と竜の輪舞 銀河の守護者   作:オービタル

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最終決戦編
第61話:大戦前夜 前編


 

ルナは陽弥を探していると、シュミレーションルームの窓越しにシンがいた。

 

「お父さん.....お兄ちゃんは?」

 

ルナの問にシンは首で窓の方をジェスチャーする。

 

「?」

 

ルナはシュミレーションルーム内を見ると、そこにいたのは全身傷だらけで汗まみれになってまで500トンの鋼鉄の模擬刀を振り回していた。

 

「あんなに必死になった陽弥は.......始めて見たかもしれない」

 

「よっぽど、エミリアさんの事を心配していたんだね.........」

 

「.......ジャヴィックの言う通りになってしまった......今回の戦いは........先のラストリベルタス以上の戦況になるって.......正にこれだな......」

 

「クトゥグアは?」

 

「マギーやモーディン......医療班やヒーラー、陽弥の生徒であるエミリーとリカとユミが治療している.....まさか今まで戦って来た邪神全員がアルマロスの道具にされていたとは........皮肉だ...」

 

「........」

 

「考えても仕方がない......種族銀河同盟とアジマス連邦、ホライゾンの民、ネオ・ミスルギ皇国義勇兵、銀河連邦、シャドウブローカー、モーフィス、ザンダー、未来からルーカスが所属している次元連邦警察、多種族次元革命連合"『レボリュード』"、そして陽弥の種族大銀河連邦を結成した巨大共和国国家"『多種族大銀河連合"』が樹立された........もうこれは、俺等だけの問題じゃない世界........嫌、正確に言えば別世界や次元を巻き込んだ最終戦争になりそうだ......」

 

「.......そうだね」

 

ルナとシンは陽弥を心配そうに見る。そして陽弥は一息し、タオルで汗を拭いた。

 

「ふぅ~............クッ!」

 

陽弥は歯を噛み締め、壁に拳をぶつけた。

 

「(あの時........もっと早くアイホートを殺しておくべきだった........それなのに......俺は.....)..........チクショウ!!」

 

陽弥は悔やんでいると、デバイスから通信が入ってきた。

 

「ん?」

 

陽弥はデバイスを開くと、モニターに映ったのはラフィだった。

 

「ラフィです。陽兄さん...」

 

「どうした?」

 

「はい、陽兄さんに会いたい人物が8人もいまして.......その.......」

 

ラフィが突然小声で陽弥に話し掛けてきた。

 

「.......何だ?言ってみろ」

 

「その8人の中に....."エッジ・マーベリック"さんがおりまして......」

 

ラフィの言葉に陽弥は驚いた。

 

「エッジ・マーベリック?...........エッジ・マーベリック........エッジ...........っ!!?エッジ・マーベリック達が!?」

 

「えぇ」

 

「.....分かった。直ぐにそちらへ向かうと伝えてくれ.........それから父さんとクロウさんも連れてくる.....」

 

「分かりました」

 

陽弥はラフィとの通信を終了すると、急いでシャワーを浴びた。

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、本部のフロントでは、ラフィが陽弥との通信を終えると、フロントの前で立っているエッジ達に報告する。

 

「陽兄さん自ら来てくれるって......それと陽兄さんのお父さんや.......彼も.......自ら.......」

 

「彼?」

 

それから数分後、私服に着替えた陽弥がエッジの所に駆け付けてきた。

 

「よぉ!エッジ!」

 

「陽弥!」

 

陽弥とエッジは腕を組み、再会した。

 

「久し振りだな!」

 

「そっちも!」

 

すると陽弥はもう一人の仲間がいないことに気付く。

 

「フェイズは?」

 

すると皆は黙り混むと、エッジが説明する。

 

「..........実は」

 

エッジ達はこれまでの事を話した。フェイズはあの時、惑星ロークで黒き民族が救えなかった事に、ミッシングプローシージェがフェイズを選んだ。そしてフェイズを苦しみから助けようとしたが......

 

それを聞いた陽弥は真剣になっていた。

 

「..........そうか、フェイズは己の罪悪感に呑まれて........自分自身がミッシングプロシージェになってしまったのか.........」

 

「だけど.....フェイズは自分のやったことに責任を果たした.........」

 

「............まぁ、誰にだってあるんだ......残酷な運命って物のは.......」

 

「それより、この状況は何だ?物凄い怪我人だらけじゃないか.....」

 

陽弥があちこちにいる怪我人を見て、陽弥に問う。

 

「無理もない......俺が復活した時はもっと酷かった......だけど、まだ戦いは終わっていない......」

 

「え?」

 

陽弥の言葉にエッジは驚く。

 

「戦いが終わっていないってどう言うこと!?」

 

「.........エッジ達が来る前、奴が姿を現したんだ.....」

 

「奴?」

 

「........."超次元生命体 アルマロス"だ」

 

「超次元生命体 アルマロス?」

 

陽弥もこれまでの事を話した。超次元生命体アルマロスの事や、護星神誕生の事、先の戦闘、そしてエミリアが拐われた事も.....

 

「そんなことが!?」

 

「結果がこれだ........アヴァロンにいるネオ・ミスルギ皇国の民達はやアジマスの民も含めて人質になっている......その中にエミリアも.......」

 

「だけど......それで良いのか?ホライゾンの人達は君たちの......「分かってる!!」っ!?」

 

陽弥はエッジが立ち上げた条約『未開惑星保護条約』の事を破っている事に........

 

「分かっている!......けど、彼等はアイツ等に奴隷として働かせられ、奴等のテクノロジーを見てきた........お前達の世界での規則を破っている.........もう巻き込まれてしまっているんだ......でも、彼等は武装と言うより、防壁だけを作っている.........相手を容易く殺す兵器を造らないよう各国の王達には約束している........」

 

「.......本当だな?」

 

「大丈夫.....この戦いが終われば、兵器を没収する........もう、二度とあの地球のような事は起こさせない.......」

 

陽弥の決意にエッジは感心した。するとそこにシンが来た。

 

「.......成長したな、陽弥.....」

 

「父さん.....」

 

「初めまして、私の名はシン・ギデオン......陽弥の父です。」

 

シンはエッジに握手で交わした。

 

「あ、どうも.....」

 

「息子からあなた方の事を聞いていました.......そして彼からも」

 

「彼?」

 

シンはそう言うと下がり、シンの後方にクロウが立っていた。

 

「.......」

 

《ッ!!?》

 

「嘘......!?」

 

「ミスタ・クロウ.....!?」

 

「クロウ.......何でここに!!?」

 

「.......理由があって、彼等と共に戦っているんだ.....それと、ケニー司令やUSTAの船員達も全員無事だ。」

 

「ケニー司令達が!?」

 

「あぁ」

 

クロウの所に金髪の男性やUSTA隊員が集まった。

 

「マーベリック君」

 

「ケニー司令!」

 

「君達も無事で良かった......我々は彼等との話を聞き、協力することになった。」

 

「協力?一体何の?」

 

「その事は彼に聞くと良い......」

 

すると陽弥の所に黒い体毛をしたアヌビス人とトゥーリアンのブリマーチがテレポートしてきた。

 

「御初に申し上げます。アヌビス総督のザーン・グリブナグと申します。」

 

「同じく......惑星連合加盟種族トゥーリアン代表 フェドリアン・ブリマーチです。」

 

「早速ですが、ケニー司令 恐らく、貴方方が仰られた以上なワームホールと言うのは恐らく"タイムトンネル"でしょう。きっとアルマロスの影響で、我々の世界と貴方方の世界.....と言うより、正確に申しますと過去の別の世界と繋がった....言うことです。」

 

「その事は、我々も戸惑った。それより、今起こっていることを報告してくれないか?」

 

ケニー司令がザーン・グリブナグに注意する。

 

「失礼しました。良い報告と悪い報告の内容は我々が偵察ドロイドを送った結果、飛んでもないことになっていました。良い報告では幸いなことに、偽りの地球に残されていた偽りの人類は全て、ヴェクタ星に移住させ、残りの大半はアヴァロンにいると思われます。次に悪い報告はただ一つ。これです。」

 

するとザーン・グリブナグが手のひらから、モニターを映し出した。

 

「何だこれ!?」

 

それに映っていたのはバロックダークの触手が青かった偽りの地球を真っ赤に染めていた。そしてバロックダークを本拠地として、偽りの地球、アヴァロンと言う惑星直列が出来ていた、

 

「バロックダークが偽りの地球を飲み込み......見ての通り、真っ赤な星へと変貌を遂げたのです。さらに、アヴァロンが露出展開したのです。」

 

アヴァロンが露出展開し、黄金ではなく、紫の巨大な花の形になっていた、

 

「あれが......アヴァロン!?」

 

「紫色の.......花?」

 

「アヴァロンの花弁にはしっかりとコロニー用のガラスがされいるため、安心ですが、中枢や花弁に砲台らしき物が確認されました。」

 

画面が拡大され、砲台を見る。すると陽弥が何かに気付いた。

 

「ん?」

 

「お兄ちゃん......どうしたの?」

 

「嫌、あれ........何処かで見たような気がして......」

 

陽弥が首をかしげた直後、クロウとルー、シンが思い出す。

 

「........まさか.....あの砲台は!?」

 

「.......収斂時空砲!?」

 

《ッ!!?》

 

皆は驚き、シンはその数と大きさに驚く。

 

「花弁が六つ..........そして中枢にも!.......もしあんなデカイ収斂時空砲を発射されたら!」

 

「しかも、今やっと分かってきた!奴が言っていた"全ての存在をリセット"と言うのは!!」

 

「それに!エッジ達がここへ来たのも、影響って言っていたけど、本当の意味は!」

 

「じゃあ!この巨大な惑星型の収斂時空砲は......!?」

 

陽弥が言うと、ザーン・グリブナグは言う。

 

「過去、現在、未来へ繋がるタイムトンネルを開くテスト.......そしてタイムトンネルによってあらゆる全世界と全時空に収斂時空砲を放つ。そんなことをしたら......私達......嫌、関係ない世界が巻き込まれる......」

 

《!!!!!?????》

 

「嫌!ちょっと待て!それマズイんじゃないか!!??」

 

「そうだよ!そんな事をしたら!」

 

「えぇ、間違いなく........あらゆる時空が乱れ......消滅するでしょう.....さらにあらゆる世界の過去、現在、未来を破壊される.........その前に、アヴァロンのメインコンピューターを奪還しなければなりません。だが、戦況は五分五分になります.....そこで、」

 

ザーン・グリブナグから陽弥がもう一つの作戦を通達する。

 

「アポカリプスをジャックする.........最も有効な手段で相手するんです。」

 

「有効な手段?」

 

「父さん......俺が戦略ゲームやバーチャルゲーム、FPS系のゲームが得意と言うことは分かるよな?」

 

「あぁ、それで?」

 

「これです」

 

陽弥が取り出したのは昔のゲームのカセットであった。

 

「なるほど、ゲーム内に閉じ込め、誰かがワクチンプログラム(プレイヤー)になって戦うのか.......面白い!」

 

「その案.....良いと思います!」

 

「多分、アルマロスとアポカリプスは真っ先に収斂時空砲を使うと思うんだ......」

 

シンは考え込むと、それを聞いていたフィーリが割り込んできた。

 

「良い考えがあります!僕達フィリジス人と異次元の民の技術、ホライゾンの魔法やエッジ達の呪紋の加護を使って、強力なミラーシールドを展開できないかな?そうすれば、ミラーシールドを上手く屈折させて、敵の艦隊に直撃する。どうかな?」

 

「名案だ!恐らく、アヴァロンの収斂時空砲は多分、永遠語りを奏で始めたとしても、あれだけのデカさだ.....チャージに時間が掛かると思う。」

 

「その前やその隙に、アヴァロンの収斂時空砲の砲台を先に破壊するんだね?」

 

「そうです。収斂時空砲を失った隙に、陽弥総統や皆さんの艦隊がアヴァロンへ突入し、アポカリプスを排除、そして一気にバロックダーク中心部を叩き込むのです。我々も無人戦闘艦隊や戦闘機を使い、援護します。」

 

「なるほど、優位つシンセシスである彼をバロックダーク中心部に行かせるのですね?」

 

「面白い!やろう!」

 

エッジが気合いを入れる。

 

「どうするんだ?ヴァルキュリアス総統.....」

 

皆の視線が陽弥の方を向く。

 

「そんなの.......最初っから決まっているじゃないか!」

 

陽弥はスーツを起動し、口回りにマスクを付けた、

 

「俺を何者だと思っている?俺は......ミッドガンドの護星神!ヴェクタ人シン・ギデオンとメイルライダー ヒルダの子!陽弥・ギデオン!太陽神龍、超神星煌龍帝ノヴァに選ばれし守護者にして、エミリアの騎神だ!超龍装光!!」

 

陽弥は超龍装光を発動し、ヴァルキュリアスの兵士へ叫ぶ。

 

「ビームフラッグを掲げろぉぉぉぉっ!!」

 

陽弥の命令にヴァルキュリアスの兵士達や民、スペクトロブス、三獣王達が雄叫びを上げる。

 

《おお~っ!!》

 

その光景にシン達はその圧迫差に驚く。

 

「アイツが.....別の国家の主導者になるなんてな....」

 

「ビックリだよ.......」

 

シンとヒルダが自分の息子に驚かされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その夜、ルナは一人で呪紋を勉強していると、陽弥がやって来る。

 

「ルナ......」

 

「お兄ちゃん?」

 

「ちょっと.....来てもらいたい場所があるんだ......」

 

陽弥はルナを連れて、何処かへ転移された、ルナは気が付くと、何処かの山頂におり、大きなクレーターがあった。不思議なことに、山頂は寒いはずなのに、全く寒くなく、辺りには湖と緑溢れる森、そして桜の樹が並んでいた。

 

「ここは?」

 

「アテナイ共和国にある呀麗山って言う所で、その山頂の中心部だ.......普段は山で多い囲われているが、中心部だけはこうやって湖や桜の木がそこらに生えているんだ......そしてこの呀麗山には......"山の主"がいるんだ」

 

「山の主?」

 

陽弥は湖に入りながら説明する。

 

「滅多に姿を現さない獣........まぁ、分かりやすく言うと"霊獣"だな.......その霊獣は俺のユニゴルディアンと同じ、乗り手を探している.......」

 

「何で?」

 

「山の主にも......相棒が必要って言う事だ........」

 

そう言うと、風が吹き、桜の花弁が宙に舞う。そして雲で隠れていた月が現れ、月光で湖や桜を照らし出す。

 

「出てきたぞ.......」

 

陽弥の目線の先に何か光るものが写った。

 

「あれが........霊獣.......」

 

桜の樹の影から、月の光のように輝いており、蹄が二つ、鬣は長く白く光っており、不気味な事に左右に人面が二つある馬の神獣が現れた。神獣は青白く光る体毛からオレンジに光る紋章を浮かばせながら、陽弥とルナに近付く。すると陽弥の全身にもオレンジと緑に発光する。

 

「お兄ちゃん!体の表面から紋章が!?」

 

「そう言うルナも表面から紋章が浮かび上がってるぞ」

 

陽弥の言葉にルナは体のあちこちを見る。足や手、嫌、陽弥と同じ全身から紋章が浮かび発光していた。

 

「っ!?」

 

「ルナはセレーネの加護を貰っているから、青紫の紋章が浮かび上がるんだ......俺はシンセシスとヘリオスの加護を貰っているから、オレンジと緑も混ざっているんだ.........」

 

そう言っている内に、神獣が陽弥の近くに来た。陽弥は神獣の神を撫でる。すると神獣は陽弥の体から発光している紋章を見て、拗ねる。

 

「どうやら、同じ仲間と勘違いされているようだな........」

 

ルナは恐る恐る、神獣に触れた。すると神獣は何もしなく、大人しかった。

 

「ルナ......乗ってみな♪」

 

「えっ?無理よ!私お兄ちゃん見たいな神様じゃないのよ!確かに愛馬は欲しいかも知れないけど........」

 

「ルナ........♪」

 

「.........もう!分かったわよ!」

 

ルナは陽弥の指示通りに神獣に乗った。

 

「.......どうやって、移動するの?」

 

「鬣を引くんだよ、本当は手綱と鞍があれば、操作が簡単なんだが....」

 

「こう?」

 

ルナは思いっきり、神獣の鬣を引っ張った。すると神獣の眼が変わり、陽弥は唖然する。

 

「あ......」

 

「えっ!?」

 

神獣が急に暴れだし、水面の上を駆け巡った。

 

「うわぁぁぁぁぁ~~~~!!??」

 

ルナはしっかりと鬣を掴み、落ちないようにしていた。

 

「........思いっきり引っ張ったな........アイツ.......」

 

「助けて!お兄ちゃ~~~んっ!!!!」

 

「仕方ない.....ユニゴルディアン」

 

陽弥は叫ぶと、空からユニゴルディアンが来てくれた。

 

「乗るよ♪」

 

陽弥はユニゴルディアンに乗り、なだめながらルナを追いかける。

 

「行け!」

 

ユニゴルディアンが超速を使い、神獣に追い付いた。陽弥はユニゴルディアンから神獣に乗り移り、なだめる

 

「どうどう......」

 

落ち着いたのか、神獣が暴れるのを止め、大人しくなった。

 

「ったく、人の話を最後まで聞けよな?......」

 

「はい.......」

 

ルナは反省し、陽弥の指示通りに神獣を乗りこなす。最初は落ちたり、振り回されることもあったが、ルナは諦めなかった。そして数時間後......

 

「大分、乗りこなすことが出来たじゃん!」

 

ルナは鬣を少し引っ張りながらなだめ、神獣をコントロールしていた。

 

「私.......神獣に乗っている!」

 

ルナが走らせるのを止めると、神獣はルナの方を向き、拗ねりはじめた。

 

「多分、神獣は乗り手をお前に決めたらしいな!」

 

「月のように光っているまるで神秘に満ちた聖霊だわ.......そうだ!貴方の名前は"ミスティック"!今日から貴方の名前は"ミスティック"よ♪」

 

「ミスティック......良い名前じゃないか♪それからルナ......」

 

「何?」

 

「エミリアの代わりに......シグニューに乗ってくれないかな?一応、シグニューには頼んでいるし.......」

 

「分かったわ.......」

 

陽弥とルナはミスティックを連れ、本部へ戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、ホライゾン上空に無数の艦隊、地上には部隊が揃っていた。エッジ達はその数に驚く。

 

「うわぁ.....スゲェ数だ!」

 

「あらゆる全部隊や全艦隊を招集していますからね........これからの戦闘で死傷者が出るのは間違いないでしょう。それに、もしバロックダークが他の星へ次元跳躍されたら終わってしまいます。よって7体の機神を前線基地として、グランドスフィアとEnⅡを最終防衛ラインにします。陽弥総統....よろしいでしょうか?」

 

「良いよ.......もしアルマロス何か仕出かして来たら、デススターとレッドダスト(核ミサイル)を発射しろ.....」

 

「分かりました。」

 

「エッジ.....援護してくれ」

 

「分かった」

 

「父さん達も......頼む」

 

「分かった.......それと陽弥...格納庫に来てくれ」

 

「うん」

 

陽弥はシンに連れられ、格納庫にいった。

 

「俺のシグムディアを完全装備!?」

 

突然の事に陽弥は驚く。

 

「あぁ、俺のARSスーツに搭載されていたシステム.....通称"Blade"をハイパーノバビームライフルに組み込んだ....元々このシステムはユグドラシルにあった惑星...."ルミナス"の滅んだ文明とテクノロジーを使って、やっとハイパーノバビームライフルに組み込むことができたんだ。ライフルがアサルト、ショット、マシンガン、スナイパー、キャノン、そして精密射撃モード用のスコープとストック、グリップ、バレルを追加させた......さらにハイパーノバビームライフルの弾の能力を切り替えることもできる。」

 

「完璧だな.....」

 

「まだあるぞ」

 

次のコンテナを開けると、中に入っていたのは二門のランチャーが装備されているジットブースターやアーマードバパック、ミサイルコンテナ、更に剣の刃が積み込まれていた。

 

「それは?」

 

「シグムディア専用のパック....その名も"フォーミュラ"だ。このパックには3年分のペトルサイト粒子を注ぎ込んだ兵器"カルネージ"が装備されている。さっきのハイパーノバビームライフルと連結すれば、カルネージがハイメガランチャーと化する。さらにフリーズランチャーや対艦ミサイル6隻を肩のブースターパックに付けてみた。」

 

シンは早速シグムディアにフォーミュラパックを付けてみた。シグムディアの姿に唖然していた。

 

「ゴツくなったな、」

 

「まだあるぞ、シグムディア専用のシールドだ!」

 

シグムディアの両腕に実体盾が装備されていた。

 

「何これ?」

 

「両腕に一つずつ装備された対アルマロス対策として開発した兵器の一つ。"ビームガーター"だ。」

 

「.....ガーター?....ボウリングの間違いじゃ?」

 

「違う、違う.......これもクアンタ人のテクノロジーを使って造り上げた実体盾及び、光学障壁を展開することができるシールドだ。実体盾がビームの衝撃を吸収し、光学障壁があらゆる攻撃を拡散無効化できるんだ。」

 

シンの言葉に陽弥は不可思議に思う。

 

「........強力な光学兵器も?」

 

「........そうだね、」

 

「.....収斂時空砲も?」

 

「アヴァロン見たいなバカデカイあれは無理だな......」

 

「.........そこはおいしいとこないんだな....」

 

「無理言うな......収斂時空砲をも無効化してしまうんだぞ.........ありがたく使ってやれ」

 

「........ハァ、分かったよ.....父さん」

 

「最後に.......お前の新兵器を見せてやる」

 

最後のコンテナを開くと、巨大な兵器と黄金の装飾が付けられている突撃銃が入っていた。

 

「それは?」

 

「ハイパープラズマビームライフルと"エクセリオンライフル"だ......お前が前に使っていたプラズマビームライフルを回収して、大型兵器へ改造したんだ。以前のプラズマビームライフルと違って、火力や出力が大幅に上がったが、オーバーヒートするから冷却してから使え.....そしてエクセリオンライフルはあの姫さんの祖父が乗っていた船から得たデータを修復し、やっと復元できた兵器だ。存分に使え......」

 

「分かった.....俺のシグムディア、滅茶苦茶武装されるなぁ」

 

腰部にハイパープラズマビームライフル、そしてハイパーノバビームライフル、エクセリオンライフルを脚に付ける。

 

「さて、これだけの装備だ........名前も凄いのにしないと.......」

 

「シグムディア・アサルトベクターは?」

 

「.......いまいち」

 

「......ブレイドシグムディアは?」

 

「......断固」

 

「何で?.......名前も完璧な筈なのに......」

 

「ダサすぎる。だいたい、思ったことがある。お前.......機神の名前が長すぎる!短縮せい!」

 

「え~、カッコいいのに......」

 

「でも、長い!最短縮して完璧な『あっ!!』っ!?........何だ?」

 

陽弥が何かを閃く。

 

「思い付いた!シグムディアの名前!」

 

「何だ?......言ってみろ」

 

「今さっき、完璧って言ったよな?」

 

「あぁ、」

 

「完璧........パーフェクトだよ!.....だから、このシグムディアは言わば完全な武装、最終決戦使用!名付けて......シグムディア・パーフェクターだ!」

 

「シグムディア・パーフェクター........完全なシグムディア........悪くないな」

 

「だろ!?」

 

「良いんじゃないか?それと機神の名前を短縮しろ.......オススメは......インフィニットプライムスだ......」

 

「その名前貰いました!」

 

「なら、インフィニットプライムスだ......あの機神は.......」

 

陽弥とシンの親子の話し合いを盗み聞きしていたプライムスが、自信のバーチャルアバターで笑顔になる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして艦隊や部隊、兵士が終結し、陽弥の演説が始まる。

 

「我が同士よ!.......解放を決意した友よ!.......俺は!ここに宣言する!超次元生命体 アルマロスは我々の世界....嫌、君たちの世界を焦土化しようと迫っている!だが、我々はそんなものを恐れない!我々は強い!我々達の思いは無限だ!.......暗黒と光明に分けられた理の12柱の男女神に.....我々に勝利が導かれるだろう!同士よ!立ち上がれ!今こそ!我々の意思を一つに!」

 

「多種族大銀河連合と共に!!」

 

《yes!we fuhrer!!》(了解!我等の総統!!)

 

ヴァルキュリアス兵士は掛け声と共に整列し、艦船に乗っていく。そして陽弥の演説を聞いていたシン達は唖然していた。

 

「総統って.......ヤバイ主導者だなぁ.....」

 

「今の陽弥の演説........あの頃のジルに似ていたよ.....」

 

「陽弥.....変わったな♪」

 

すると数多の艦隊が次々にホライゾンから離脱していく。

 

「どんどん!打ち上がれぇぇっ!」

 

「さて、俺らもウラノスに乗って行くか!」

 

陽弥はウラノスに乗り、最後の方となったが、ウラノスが打ち上がると、席に付いていた陽弥が何かを察知する。

 

「.........っ!?」

 

「ん?.....お兄ちゃんどうしたの?」

 

「え?何でもない.......ちょっとトイレに行ってくる.....」

 

陽弥はルナにトイレに行くフリをして、ウラノスの後部ハッチを開いた。

 

「テメェッ!!何処までしぶとい奴なんだよ!?お前は!!」

 

陽弥の目の前に、首だけでこの世とは思えない程の異形(想像絶する顔面)になったジュリオが裂けた口で、追いかけてきた。

 

「カァァァァッ!!!」

 

「もうお前の計画は消えていってるのにまだ諦めないか!?」

 

「ノーマ根絶ぅぅぅ!ノーマ根絶ぅぅぅっ!!」

 

するとジュリオの後ろからエッジ達が乗っているカルナスが駆け付けてきた。

 

「陽弥!」

 

「エッジ!」

 

「っ!?何だこいつは!?」

 

「前にも話しただろ!こいつがジュリオだ!」

 

エッジ達はジュリオの姿を見ると、突然頭の中にジュリオのこれまでの記憶が流れ込んできた。

 

《っ!?》

 

記憶を全て見終えたエッジ達.....中にはジュリオがやって来た事に怒っているものもいた。

 

「今のは.......!?」

 

「たぶん......あの、ジュリオの記憶かもしれない......」

 

「最低ね.......」

 

ミュリアが言うと、補助座席に座っていたリムルが杖を持ち構えていた。

 

「アイツ、悪いやつなのよ!悪い子にはバチが当たるのよ!」

 

「皮肉なものだ........あのミスタ・ジュリオはまだ現実から逃れようとマナの光に頼っているのか......」

 

「ノーマだって同じ人間なのに.......これが、エンブリヲの洗脳によって変わり果てた人間の末路か?.......」

 

「洗脳された人を治すには、霧シズカと言う花を使った特効薬が効くと思いますよ~♪え~っと........特効薬は今ありませんでした~♪」

 

「ないなら.......撃ち落とすまでだ.......」

 

エイルマットがマニュアル操作で、ジュリオの後ろにつき、ロックオンする。

 

「待ってくれ.....エイルマット」

 

「何?」

 

「コイツの始末は.......俺が殺る.......」

 

陽弥はそう言うと、ハッチの奥へ向かった。

 

「今回は.....シグムディアを使うのは止めておく........最終決戦に使うから燃料を消費したくない.......だから、代わりの機体を使う。」

 

シートを剥がすと、中に入っていたのは陽弥が前に搭乗していたパーフェクトアーキバスⅡであった。

 

「俺のパーフェクトアーキバスⅡリペアだ.........追加武装として、高火力ヒートアサルトブレードとブラスターパックとダーインスレイブだけだ........」

 

陽弥はアーキバスⅡのヒートアサルトブレードを抜刀し、ジュリオに突き付ける。

 

「ジュリオ.........その穢れた呪縛、今ここで断ち切る!」

 

アーキバスⅡの出力を最大に上げ、ジュリオに突撃した。

 

「龍装光!」

 

陽弥は龍装光を発動し、ジュリオに斬りかかった。しかし、ジュリオは全く反応せず、ウラノスへ近付く。

 

「クッ!」

 

陽弥はアーキバスⅡの背部に取り付けられている二門のブラスターランチャーを起動し、ジュリオに向けて発射する。

 

「インフィニティソウル!クアンタニウムハート!アーククリスタル!ダークマタージュエル!マナの光!マナの光!マナの光!光っ!光っ!光っ!光っ!光ぃぃぃぃぃっ!!!!」

 

「ったく!コイツは何れだけの欲望を持っていやがるんだよ!!?そんな力を全部自分の物にするなんて絶対無理だと思うけどな!」

 

陽弥はそう言うと、ジュリオは尖端が鋭い舌を伸ばしたが、陽弥が舌を掴み、ダーインスレイブを抜刀し、切り裂いた。

 

「堕ちろ!」

 

「アアアアアアッ!!!」

 

「良い忘れていたけど........アヴァロンにいる民は全員........俺が引き取らせて貰うぞ、引き取ったついでに.....お前の存在を記憶から抹消させる........もうネオ・ミスルギ皇国と言う狂信国は!..........歴史から無くなるんだよ!!!」

 

「グギギギギッ!!!!」

 

その時、全艦隊がワープをし始め、ジュリオはワープでの引力により、ウラノスから引き剥がされ堕ちていった。

 

「己ぇぇッ!!!陽弥・ギデオォォォォォォンッ!!!!この怨み!晴らすまで行き続け.......っ!?」

 

落ちていくジュリオの後ろにレールガンのチャージを終えたカルナスが待っていた。

 

「その怨みが.....この死神の呪いに消される運命だ........堕ちろ狂皇が!」

 

エイルマットがトリガーを引き、レールガンが発射された。レールガンの電磁弾がジュリオに直撃し、燃えながらワープの空間に飲み込まれた。

 

「そんなっ!!馬鹿なぁぁぁぁぁぁっ!!!!」 

 

そしてジュリオの叫び声が消えると、陽弥はハッチを閉め、コックピットから出る。

 

「今度こそ終わりだ.......元新生ミスルギ皇国皇帝........ジュリオ・飛鳥・ミスルギ.........お前の存在その物が........民達を狂気へ曝していたんだよ.......」

 

陽弥はそう言い、自室に戻ろうとすると、アンジュがいた。

 

「フゥ~......ん?」

 

「........付けたようね?」

 

「アンジュ伯母さん.......」

 

「ありがとう......お父様の仇を取ってくれて.....」

 

「当然の事をしたまでです........これでエンブリヲからの呪縛も解ける事でしょう.....」

 

アンジュは笑い、陽弥は自室に戻る。

 

 

 

 

 

自室に戻った陽弥はクアンタ人の日記を読んでいた。するとマナが陽弥の袖を引っ張る。

 

「どうしたの....マナ?」

 

マナの瞳が赤色から虹色を持つ獣の瞳へと変わり、辺りが白く包まれた。

 

「っ!?......ここは!?」

 

陽弥が目覚めた所は白い空間であった。すると前方から足音が聞こえてくる。

 

「誰だ!?」

 

現れたのは青白く光る女性であった。

 

「私はロラーナ・レグレシア・クアンタ........長女エスメラルダと次女エミリアの母です.......」

 

「え!?」

 

「訳あって......孫であるマナに憑依していました」

 

「憑依?......どういうことなんだ?」

 

「覚えていませんでしょうが......この子に付けられていたあの仮面.......あれは、私を封じ込める為の口封じの仮面です.......」

 

陽弥はマナに付けられていたあの仮面の事を思い出す。

 

「口封じの仮面?......誰が!?」

 

「彼......アルマロスです」

 

「っ!!そう言う事か!」

 

「そうです。彼は.....未来から貴方の娘マナが来る事を察知し、私とこの子にアルマロスの呪縛を掛けられました。ですが、運良く再起動したシグムディアのお陰で、私とこの子に掛かれていた呪縛や口封じの仮面が解放され、今、こうやって貴方に話すことが出来るのです.....では、改めて話します.....義子よ........アルマロスを絶対に、逃してはなりません....」

 

「それは分かっている......」

 

「いいえ、もっと別の意味があるのです.....」

 

「え?.....別の意味?」

 

「アルマロスはかつて、コレクターであり、元プロセアンの兵士と言うのは知っておりますね?」

 

「あぁ、コレクターの母船で飛んでもない大きさのグリゴリがあった.......あれのせいで変わったんだろ?」

 

「確かに........ですが、あれは........"感情の一部"なのです。」

 

「感情の一部?」

 

「日記を見なさい.......」

 

「あれ?文書が変わっている......これは!?」

 

「そう......それは日記と言うより、我々が造り上げた兵器の一部......"クアンタムシーカー"と言う.......分かりやすく言えば、"過去と未来を見透すことができる予言の聖書"なのです.......」

 

「予言の.....聖書」

 

「グリゴリはあらゆる世界に複数存在します......ですが、貴方達が相手しているグリゴリは何かが違います......」

 

「.......エッジの世界に存在していた.....グリゴリ?」

 

「そう......彼の世界での戦いにより、何かの原因でこの世界に跳んできたのでしょう.......」

 

陽弥は考え込んでいると、ある言葉に疑問を持つ。

 

「......そう言えば、アルマロスが感情の一部って言っていたけど......誰の感情なんだ?」

 

「.......実は」

 

ロラーナが言うとした直後、陽弥を呼ぶ放送が流れた。

 

『陽弥・ギデオン総統......グランドスフィアに参ってください。これから全評議会との作戦会議があります。』

 

「分かった」

 

「時間がありません.......貴方に私達クアンタ人の力全てを授けます。」

 

「やって来れ.....」

 

するとロラーナの後ろから亡くなったクアンタ人の魂が現れた。

 

「準備して......」

 

ロラーナはそう言うと、魂に変わり、ロラーナを含めクアンタ人の魂が次々に陽弥の体の中へ入っていった。すると陽弥の体から緑に発光する膜が浮かび上がる。

 

「私達クアンタ人達の加護その名もクアンタムシールドです。私達の思いと意志が貴方を必ず守ってくれるでしょう........それから......私達クアンタ人の兵器のセーフティを解除させました.......これで彼等にクアンタの兵器を授けることができます......」

 

「ありがとう.....」

 

「最後に一つ.....」

 

「ん?」

 

「エスメラルダと......エミリアを.....護ってください.....」

 

「言われなくても.....分かっておりますよ......お義母さん♪」

 

陽弥はロラーナに笑顔で返しすと、白い空間が急激に光だし、陽弥は自室で目を覚まし、作成会議室へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

会議が終えるとロバートが駆け付けてきた。

 

「陽弥!」

 

「どうしたの?」

 

「見ろ!クアンタ人の遺物が動き出したんだ!どうなっているんだ!?」

 

ロバートが陽弥にルミナスの遺跡を映像端末を渡した。そこに映っていたのは、次々とクアンタ人の遺した遺物や兵器、さらにガーディアンビットが起動していった。

 

「........合戦の為.....俺らの為に動いたと思う.....父さん達やソフィア達、爺達にもクアンタ人の兵器を取り付けておけ......初っぱなから来ると思うから」

 

「何が?」

 

「......アルマロスの攻撃が.......」

 

「........?」

 

ロバートが首を傾げると、陽弥は何処かへと向かった。

 


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