クロスアンジュ 天使と竜の輪舞 銀河の守護者   作:オービタル

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第59話:闇の根源

一方、ヴァルヴァトール帝国戦場では、シン達が必死に立ち上がろうとしていた。するとクトゥルフが笑い出す。

 

「フハハハ!.......痛むか?ヴェクタの英雄よ」

 

「黙れ.....!陽弥をそっちの戦力へ引き寄せようとするなど......!」

 

「引き寄せる?.....我は.....アヤツの迷いに手を貸しただけだよ」

 

「何!?」

 

「いくら神とて、悩みはある..........己の使命を抱いて、何になる?........欲望は儚い.......直ぐに新しいものに興味が湧く.....神も欲望に満ちる.......彼らは世界の秩序を正そうとしているが、欲望の為に秩序を汚している.......お前達護星神もそうだ。太古の昔......我の本体でもあるアルマロスはこの宇宙....嫌、全てを正そうとしていた。進化しなければならない欲に.........アルマロスの欲望は限り無く、全てを支配できる........支配すれば、穢れた欲望を浄化できる。お前達のような偽物の秩序がやることではない。」

 

するとシンはクトゥルフの言葉に呆れ、笑い出した。

 

「.......プッ、ハハハハハハ」

 

「?」

 

「アハハハハハハハハハ!」

 

「何が可笑しいと言うのだ?」

 

「まぁ、確かに可笑しいよ........あんたの言っている事の意味が..........結局はお前............"一人だと何も出来ないんだ"...........秩序を護ろうとしているけど、内心はどうだって良いと思っている。結局、お前も欲望に満ちてるじゃないか.........自分勝手の正義感と言う欲望に........」

 

クトゥルフは自分の胸に手を当て、返答した。

 

「.........分からない.........でも、そうみたいだな。」

 

クトゥルフは手からアメズヤクラを抜刀し、シンに突き付ける。

 

「よって、お前を殺すことに決めた........!あの世で悔い改め!」

 

クトゥルフはシンに突き刺そうとしたその時、

 

 

ドゴォォォォォンッ!!!

 

 

「っ!?」

 

何処からともなく響いた轟音、クトゥルフは上を見上げると、空から蓮獄の炎を発する無数の溶岩石が降り注いできた。

 

「.......あれは?」

 

溶岩石はネオ・ミスルギ皇国義勇軍や艦隊、さらにロイガー、イングに直撃していった。朝日が昇り、大きな影が写った。クトゥルフは影の正体を見ると、陽弥が七星剣を上に掲げ、ユニゴルディアンと共にポーズをしていた。(分かりやすく言えば、リンクとエポナ様なポーズです。)

 

「燃え盛る溶岩を流星群として使ったか.........ミッドガンドの護星神よ....」

 

そして陽弥はユニゴルディアンで駆け巡り、倒れているシン達の前に立つ。すると陽弥がクトゥルフに話し掛ける。

 

「久しぶりだな.......クトゥルフ」

 

「見てきたのだろ?もう一つの地球と惑星ロークでの出来事、そしてアルマロスと護星神誕生を......」

 

「全部見てきた.........エスメラルダさんが.....」

 

「ふん、やけに素直を話すではないか........人間は弱い......直ぐに新しき者に目が入る......あらゆる世界や星の理も同じことだ.........それのせいで生命がもがき苦しみながら散っていく......」

 

「確かにお前の言う通りだ.......あの地球やロークでの下らない欲望、信念、狂喜、無差別、強欲、権力、絶望..........全ての理が揃ってできたのが"進化"と言う救済.........お前は全ての種を進化させ、世の中の理を正そうとしたんだろ?」

 

「その通りだ、護星神よ。我々は以上なテクノロジーを持った種を排除し、未だに文明が発達していない種に........我々の力を分け与える。それしか方法はないのだ。」

 

「ふ~ん.......お前の場合はそう言う事を考えていたんだな.......なら、話が早い!!」

 

陽弥は七星剣とグラムを抜刀し、クトゥルフに向ける。

 

「俺は......全ての命を護る!例えそれが厄祭の理を持っていても!それでも!守って見せる!」

 

「陽弥様.....」

 

エミリアが陽弥の言葉に感心すると、クトゥルフが怒鳴った。

 

「ふざけるなッ!!何が『守って見せるだ』っ!?こんな腑抜けた種に、未来を託すと言うのか!?いい加減に我々の仲間へ入れ!!護星神!!」

 

「フンッ!その願い、願い下げだな!」

 

するとシンは陽弥の言葉に笑う。

 

「フフフフ、アハハハハ!」

 

シンは立ち上がり、ディメンジョン・ヴァルキュリアを抜刀した。さらにサムやタスクやリュウガ、フィーリ、ラルフ達も次々と立ち上がっていく。

 

「いやぁ、本当に俺の馬鹿息子は.....性悪な事を考えたな!」

 

「色々持って無茶な人......嫌、無茶な"神"」

 

「でも、それが陽弥君ですから♪」

 

「そう!俺達はどんな種でも助ける!.....それが、護星神だ!」

 

すると陽弥の元にルナ達も駆け付けてきた。さらにエヴァやシグニューも来てくれた。

 

「僕達も!」

 

「私達も!」

 

「「銀河を守る守護者だ!!」」

 

勇敢なる戦士たちが勢揃いし、クトゥルフは拳を握り、陽弥を睨んだ。

 

「クッ!9人の護星神と銀河七聖龍に選ばれた7人の守護者が!」

 

「皆!行くぞ!」

 

「龍装光!!」

 

《龍装光!!》

 

陽弥達は龍装光を展開した。

 

「掛かって来な!邪神軍団!」

 

陽弥がクトゥルフに指をクイクイッと挑発させた。

 

「小生意気な神々が!殺れ!」

 

クトゥルフ率いる軍隊が一斉に陽弥達に襲い掛かってきた。すると陽弥とルナ、リョウマ、ソフィア、アレクトラ、ルチル、ルー、クロウはそれぞれの必殺技を発動した。

 

「超・剛火炎!」

 

「絶対零度!」

 

「雷龍破!」

 

「火鱗粉!」

 

「鋼山掌覇!」

 

「シューティングスター!!」

 

「ディバインセイバー!!」

 

7人の必殺技が合体し、イング及び義勇軍、艦隊、イングの大半が吹き飛ばされた。その勇ましさにラルフ達も驚いていた。

 

「中々やるなぁ、銀河七聖龍に選ばれた守護者は!」

 

「そうだな!俺達も負けてられないな!」

 

「皆!行くぞ!陣形!トリシューラ!」

 

陽弥とラルフ、キャリー、バルト、ラルフ、サム、アルベルト、ドミニカ、ダーマ、デュランが陣形を組むと陽弥に宿る二つのインフィニティソウルの光が8人の護星神達に力を与えた。そして陣形トリシューラが発動し、陽弥達の体が光の槍へ変身し、ロイガー達に向かっていった。光の槍がロイガーの目を貫き、あっという間にロイガーが全滅した。

 

「インフィニティソウルを使って、他の護星神達を強化しているだと!?糞がっ!」

 

すると今度はクトゥルフに向かって突撃してきた。

 

「マナの大障壁!!」

 

クトゥルフはマナの光を使い、防御すると、陽弥が叫ぶ。

 

「ファイアァァァァァァッ!!!」

 

「グッ!」

 

「いつまでその力に頼っているんだ!?」

 

陽弥の波動がクトゥルフのマナの障壁を押し出していくと、矢先に直撃しているマナの障壁に亀裂が入った。

 

「何っ!?」

 

そしてマナの障壁がガラスのように砕け、光の槍がクトゥルフの左目半分を破壊したり

 

「グァッ!」

 

「クトゥルフ様!!」

 

ヴルトゥームがクトゥルフを助けに行こうとした時、ルナとソフィア、アレクトラ、そしていつの間にかシグニューに乗ったエミリアが立ち塞がった。

 

「おっと!貴方の相手は.......私たちよ!ヴルトゥーム!」

 

「クッ!」

 

そして同じ頃、リョウマとセイレーンに乗ったローレライもクトゥルフを助けに行こうとしていたダモンを相手していた。

 

「ここを通りたければ、この拙者!ドラゴレイド当主リュウガ・ネイルとフレイヤの一族サラマンディーネの子 リョウマ・ネイルと!」

 

「マーメルド共和国第一王女 ローレル・ウルド・ネプチューンがお相手になります!」

 

「チッ!龍と人魚の皇子と姫が!図に乗るな!」

 

2体の邪神が守護者に襲い掛かった。

 

 

 

 

 

そしてこちらも、クロウはアポカリプス、ルーはヴォルヴァドスを相手していた。

 

「決着を付けるぞ.......アポカリプス」

 

「そちらも......本気で掛かって来なさい。クロウ・F・アルメディオ!!」

 

アポカリプスがマイクロボットでクロウに攻撃する。ルーとヴォルヴァドスは互いの武器を抜刀し、話していた。

 

「お前は?」

 

「ヴォルヴァドスと申します.......クトゥグアに支える第3界邪神でもあります。そなたは?」

 

「ルーカス.......それが俺の名だ......こいつは俺の機体......ジークフリードだ。ここでは兵士を巻き込んでしまう。どうかな?ここではなく、別の場所で一騎討ちするのは....」

 

「それもそうですね......」

 

ルーはジークフリードを飛翔形態へ変形し、ヴォルヴァドスと共に何処かへ向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

一方、クトゥルフは9人の護星神に苦戦していた。

 

「グッ!」

 

「どうした!俺等9人の護星神じゃ荷が重すぎたか!」

 

「ほざけぇぇぇぇっ!!」

 

クトゥルフが叫ぶと、クトゥグア、ナトラータホテプ、ハスター、ガタノトアへ分離した。

 

「4体に分かれた!」

 

「良し!ラルフ、キャリー、デュランはハスターを!」

 

「分かった!」

 

「ええ!」

 

「了解!」

 

「バルト、ダーマ、ドミニカはガタノトアを!」

 

「応!」

 

「分かったぜ!」

 

「あいよ!」

 

「爺とアルベルトと父さん達はナトラータホテプを!奴は再生する力を持っているから注意してくれ!」

 

「分かった!」

 

「任せろ!」

 

「陽弥、お前は?」

 

「俺は....クトゥグアとイプシロンを相手する!殺るんなら、出していなかったが4分の1の力を解放する!」

 

陽弥達はそれぞれの邪神を相手して行った。

 

「陽弥!」

 

「来い!陽弥・ギデオン!」

 

「クトゥグアッ!!!!」

 

クトゥグアは三刀流、陽弥も二刀流で相手した。

 

「以前より腕が上がったな!」

 

「当たり前だ!家の生徒達と鍛えていたからなぁ!」

 

「フンッ!26人の使徒のことか.......その様な腑抜けた者達と共に我々は倒されぬぞ!」

 

クトゥグアの呪滅刀、ムラマサ、アメズヤクラが炸裂し、陽弥が吹き飛ばされた。

 

「クッ!やっぱり今までじゃ、駄目か........ならば、奥の手!」

 

陽弥はコスモバイルを起動し、三獣王達を召喚した。

 

「カイオウ、シンオウ、エンオウ!」

 

コスモバイルからカイオウ、シンオウ、エンオウが召喚され、そして陽弥はユニゴルディアンと共に合体し、シグムディア ザ・シンセシスへとなった。

 

「今こそ、俺達が身に付けた特技を......奴等に見せようじゃないか!」

 

陽弥は七星剣とグラムを地面に突き立てると、シグムディア、カイオウ、シンオウ、エンオウを多い囲むほどの紋章が浮かび上がった。

 

「天地人を司りしアプスとニケよ!今こそ、陸空海の獣の王と共に、仇なす者を滅する。我に常しえの天界、地界、人界を統べる力を与えよ!」

 

三獣王が雄叫びを上げ、シグムディアに憑依していく。

 

「何だ!?この光は!?」

 

光がさらに強くなり、シグムディアの姿がみるみる内に変わっていった。そして光が消えクトゥグアがシグムディアの姿を見て驚いた。

 

「っ!?」

 

シグムディアの角がさらに大きく伸びており、腕が四本、ドラゴンの様な鉤爪、尻尾、そしてビームウィングの形状がトンボとドラゴンを合成させた翼へと変わっていた。

 

「シグムディア......ザ・タイタニス!!.......そして!」

 

陽弥はシグムディアの胸に手を当てると、シグムディアの胸からホワイトホールが出現し、その中へ手を入れた。そして陽弥はホワイトホール中からウルティメイト・バハムディアを取り出した。

 

「無限の光と闇、無限の聖と魔、生と死を司る龍神の王の力が宿りし裁きの龍神剣.......召喚!ウルティメイト・バハムディアァァァァァッ!!!!」

 

「龍神剣か!」

 

「さらに!」

 

陽弥はまたホワイトホールの中へ手を入れた。

 

「何っ!?」

 

バハムディアのように引き抜くと、出てきたのはオレンジと赤黒い炎を発する妖刀であった。

 

「仇なす者の刃を無に変え、全ての命と我の常しえの魂よ!今こそ出でよ、影を切り払う永久の炎神刀 鬼羅丸っ!」

 

七星剣、魔剣グラム、ウルティメイト・バハムディア、鬼羅丸を手にするとシグムディアの下半身が変わり始め、ブラムと同じ四本足へと変わり、クトゥルフを超える巨大な生命体へと変わった。

 

「これが俺の心に宿る......二つの剣と刀と七星剣と魔剣グラムだ!」

 

シグムディアの背中から目映い光輪を展開すると、クトゥグアは驚愕する。

 

「四刀流だと!!?」

 

「まだあるぞ!カイオウ!シンオウ!エンオウ!」

 

シグムディアの体からシグムディア ザ・リヴァイアサンになったカイオウ、シグムディア ザ・ケリュネイアになったシンオウ、シグムディア ザ・フェニックスになったエンオウが現れた。

 

「何っ!?4体に増えた!?」

 

「俺が炎の力を持つなら、カイオウは水.......シンオウは土......そしてエンオウは風の力を持っている.......この意味が分かるか?」

 

陽弥の言葉に疑問を持つと同時にクトゥグアはあることが解り、驚く。

 

「.........っ!?まさか!!?」

 

「そのまさかだ!シグムディア ザ・リヴァイアサンはガタノトアに抗戦しているバルトを援護!」

 

「応!」

 

「シグムディア ザ・ケリュネイアはナトラータホテプの動き封じろ!」

 

「畏まりました!」

 

「シグムディア ザ・フェニックスはラルフ達を援護せよ!フェザービットで奴の体を蜂の巣にしてしまえ!」

 

「了解!」

 

三獣王達はそれぞれの邪神と護星神の所へ向かっていった。

 

「お前.......わざと我々を分断させているのか!」

 

「当然!こういう手段も使わなければ本当の戦いとは呼べない!それとも?お前.........もしかして俺達やヴァルキュリアスにビビっているのか?」

 

「っ!!」

 

「やっぱり、前の戦いで、僅かだが、ダークマタージュエルに亀裂が出来てるんだろ?あの時、俺がインフィニティソウルをジュリオに奪われた直後、ラルフが放った攻撃で、ジュリオの半分が火傷を負い、その神経を通じてダークマタージュエルに亀裂が出来た。つまり、ダークマタージュエルは段々と諸刃の剣となっていく!嫌、今もなっている!そうなれば、お前達はクトゥルフにもなれない!!」

 

「クソッ!」

 

クトゥグアは三刀流を突き付け、陽弥もシグムディアの四刀流で防御体制をとった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

正にその頃、邪神覚醒で応戦しているラルフ達がハスターの暴風に苦戦していた。

 

「クッ!強い!」

 

「どうした?掛かって来い......豊穣の神フレイの血を惹いたヴェクタ人よ」

 

「まだだ!」

 

ラルフがアナイアレイタービームライフルを撃つがハスターの暴風によって無効化されていた。

 

「無駄なことを、そんなちんけな武装では勝てないぞ!」

 

「チッ!」

 

ラルフが舌打ちしたその時、

 

「なら!これはどうかな?」

 

何処からともなく、炎の羽が飛んできて、ハスターの暴風を貫いた。

 

「っ!?」

 

「何っ!?」

 

ハスターは驚き、フェザービットを回避した。

 

「この羽は!?」

 

ハスターは上空を見ると、腕を組んだシグムディア ザ・フェニックスになったエンオウが浮遊していた。

 

「貴様は!?」

 

「シグムディア ザ・フェニックス........またの名を風を司る空の獣の王"エンオウ"だ.......」

 

「何だと!?」

 

「ヴァナヘイムとアルブヘイム、スヴァルトアルブヘイムの護星神よ、我、エンオウがお主達に力を貸そう。」

 

エンオウはそう言うと、熱風を起こした。するとラルフ達の機体のサブカラーに炎と風のマーキングが付けられた。

 

「暖かい.....この熱風....」

 

「心が.....安らいでいく......」

 

「綺麗な.....風.....」

 

そして機体の背部のウィングがエンオウと同じフレアウィングへとなった。

 

「これは?」

 

「我が力が宿った翼だ.......存分に使うとよい」

 

「......分かった!」

 

ラルフ、キャリー、デュランは炎の翼を羽ばたかせながら、ハスターを囲んだ。

 

「「「「フェザービット展開!」」」」

 

エンオウ、ラルフ、キャリー、デュランのそれぞれの機体のウィングから1054機のフェザービットが展開され、砲口、銃口をハスターに向けた。

 

「グッ!」

 

ハスターは急いで回避し、フェザービットを撒こうとしたが、無数のフェザービットはハスターを追撃していった。

 

「しつこい武器だ!」

 

ハスターはフェザービットに向けて、真空斬を放った。しかしフェザービットがソードモードになり、ハスターの真空斬を斬った。

 

「何っ!?」

 

そしてソードモードになったフェザービットは一気にハスターへ向かっていった。

 

「何で!?何でだ!?我の風は全てを切り裂く鎌鼬の筈!それなのに何故斬れないんだ!......っ!」

 

気づいたときには、キャノン、ライフルモードのフェザービットのレーザー、ビームがハスターを襲い、ソードモードのフェザービットがハスターの死角から突撃し、ハスターの四肢を断ち切った。

 

「グァァァァァァァッ!!!!!!」

 

「止めだ!」

 

ラルフがアナイアレイタービームライフルをキャノンに切り替え、ハスターをロックオンした。

 

「ヴァナヘイムの護星神よ.....お前に力を分け与えよう。」

 

エンオウがアナイアレイタービームライフルに炎の力を分け与えた。

 

「俺達の風は全てを突き通す!」

 

ラルフはライフルの引き金を引いた。銃口から紅炎を発する光と闇のビームが発射され、ハスターの顔や心臓を貫いた。

 

「ギヤァァァァァァァァァァッ!!!!!!」

 

ハスターは悲鳴を上げ、消滅した。

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてハスターが消滅したことにより、ヴルトゥームが苦しみ出す。

 

「ガァァァァァッ!!!?」

 

「何!?」

 

ソフィアがヴルトゥームの様子に不可思議に思い込んでいると、ヴルトゥームの体がみるみると枯れていき、鮮やかな色が黒く散り、老けていった。

 

「まさか!?ハスター様が!?........嫌......嫌........嫌、嫌、嫌、嫌、嫌、嫌っ!!!」

 

老けて苦しむヴルトゥームが標的をエミリアの方へ向き、襲い掛かった。

 

「アタシこそが!原初の華の筈!何で!?」

 

するとエミリアの前にソフィアが立った。

 

「教えてやるわ!ヴルトゥーム!」

 

「っ!?」

 

「美しさの秘密はね............"愛"なのよ」

 

「"愛"っ!!?」

 

「心の中にある愛って言うのは.......無限の可能性を持っているの、貴方のような美貌しか持たぬ欲望では、美しいとは言えない........言える事はただ一つ......」

 

ソフィアはエリザベスのラツィーエルを抜刀した。するとラツィーエルの形状が変わり、細剣へ変わり、その刃から緑に発光するエネルギーブレードが放出された。

 

「.........貴女は......既に"枯れた華"だったのよ........」

 

ソフィアは渾身を込めて、細剣と化したラツィーエルをヴルトゥームの顔面に突き刺した。ヴルトゥームは悲鳴を上げず、絶命し、灰へとなった。そしてあちこちにヴルトゥームによって哀れな姿となった少女や女性の死体が転がっていた。

 

「可哀想に.......この子達も........未来へ行きたかったでしょう.........」

 

ルナは目を開けたままになっている死体をそっと目を閉じらせた。

 

「仇は......取ります!」

 

ルナは拳を握り、空を見上げた。

 

 

 

 

 

 

その頃、クトゥグアを相手している陽弥がハスターの気配が消滅した事に気付く。

 

「どうやら、ハスターが殺られた見たいだなぁ」

 

「クッ!よくもハスターを!」

 

クトゥグアはムラマサを降り下ろしたが、陽弥がムラマサを口で白羽取りで受け止め、ムラマサの刃を歯でへし折った。そしてそのへし折ったムラマサの刃をクトゥグアの左目に口で吹き飛ばし、ムラマサの刃がクトゥグアの左目に突き刺さると、陽弥は八卦でクトゥグアの顔面にぶつけた。

 

「どうした?動きが鈍っているぞ!」

 

「ガァッ!!」

 

ふらつくクトゥグアはムラマサを失い、二刀流になってしまった。

 

「俺はお前らを倒した後、アイホートに用がある」

 

「何!?」

 

「アイホート........ジュリオに寄生していた邪神だ........寄生していた筈のジュリオが、どうして疑似シンセシスになり、どうしてジュリオを殺したのにアイホートがいないんだ?」

 

クトゥグアは陽弥の問いに返答しなかった。

 

「.......お前......何か隠しているだろ?」

 

陽弥がクトゥグアの顔に近付いた瞬間、呪滅刀がクトゥグアの腹から出て、陽弥は慌てて回避した。

 

「隙が見えすぎだ!」

 

クトゥグアがアメズヤクラも突き刺そうとした時、陽弥はシグムディアの腰にぶら下げていたジュリオの首を取りだした。

 

「っ!?」

 

そしてジュリオの首をクトゥグアの顔に近付け、力一杯でジュリオの首を潰した。飛び散った血がクトゥグアの目に掛かり、苦しむ。陽弥はその隙に防御体制を取る。

 

「ジュリオの首を潰して!.......飛び散った血で目眩ましか!!己ぇぇぇっ!!!」

 

クトゥグアは血を拭き取り、怒りながら二刀流で陽弥に襲い掛かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちょうどその頃、アヴァロン最上層宮殿では、ジュリオの部屋に隠された謎の部屋.......そこにアイホートが巨大な容器に入っている生命体を見る。

 

「さてと、そろそろコイツを使う時が来たぜ......!」

 

アイホートは容器ごと生命体を呑み込んだ。

 

「ガッ!........ウグッ!......グアッ!!」

 

アイホートはもがき苦しみながら、段々と姿が変わっていった。そして容器が割れ中から現れたのは女性を彷彿させるスラリとした人型で、巨大な翼のような形状の頭部が特徴。ラインは紫、鋭い鉤爪、鋭く尖った尖端の尻尾を生やしていた。

 

「これで.......あの姿に戻らなくても充分な究極体へ進化出来た.........これが究極の人造生命体"00"のパワーか.........」

 

アイホートは壁に触れた。その直後、壁がみるみる内に溶けていった。

 

「ほんの触れただけなのに、これほどの力が発揮されるとは........アポカリプス!」

 

「はい」

 

「今からお前を我のデータにインプットする。良いな?」

 

「はい、アイホート様」

 

「よせ、アイホートは私の仮の名前だ..........そうだなぁ、前と違い、この姿と力は壮絶なパワーが発揮される.......最早陽弥・ギデオンの他、護星神達や銀河七聖龍、全ての敵勢力も......赤子の頬を捻るくらいだ...........今度からこう名乗ろう!」

 

アイホートはそう言うと、宮殿外から出て、叫んだ。

 

「我が名は..........新・超次元生命体!"アルマロス"と呼べ!」

 

「分かりました......アルマロス様.....」

 

「フフフフフ............時は.........満ちた!」

 

アルマロスは最上層と上層へ繋がるハッチを破壊し、貴族の住む上層へ降下した。

 

《ッ!!?》

 

市民や貴族達はアルマロスを見て、警戒する。

 

「フフフフフ!アハハハハ!!」

 

「何だ!?」

 

「化け物!?」

 

「アポカリプス.......全ての配線をジャックし、生中継させろ。それと、ナトラータホテプは調子に乗りすぎだ.........始末しろ。残りの邪神軍団は用済みだ.......そしてコイツらは.....」

 

アルマロスが市民を見る。

 

《っ!?》

 

「一部であり、欠片はナトラータホテプが持っているが、本体であるこのグリゴリの力がまだ起動出来るか試してみよう.......」

 

するとアルマロスは手から何十メートルもあるグリゴリを取り出した。

 

「時は来た!我の復讐が.......今!幕を開けた!さぁ、目覚めよ......我の力で生まれし子供達よ!」

 

するとグリゴリから白い胞子が放出され、市民や貴族に襲い掛かった。

 

「これで......我の計画が始動出来る!」

 

市民や貴族の悲鳴が鳴り響くなか、アルマロスは不気味な微笑みを浮かばせた。


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