クロスアンジュ 天使と竜の輪舞 銀河の守護者   作:オービタル

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第56話:グランドスフィア

 

陽弥とザンジーグは何かを話していた。陽弥は自分の世界の事や指命を話し、ザンジーグはこの時空の何処かにあると言う大秘宝"グランドスフィア"を探していると、

 

「つまり、お前らは別の宇宙の何処かにその"グランドスフィア"を探していると?」

 

「そうだ、俺達はあらゆる宇宙や次元を全て探したが、何処にもなかったよ.......っで、ここが最終宇宙だ。」

 

陽弥はグランドスフィアの事に興味が湧く。

 

「思ったんだけど、グランドスフィアってそんなにヤバイ秘宝なのか?」

 

「秘宝と言うより、大秘宝だ。俺は見たことはないが、初代先祖が言うにはそれは物凄く大きく、何千光年もあるて言うからな........確かなのは、大きすぎて何れぐらいあるか分からなくなるらしい。」

 

「まるで恒星移民艦だな、それと本当なのか?そのグランドスフィアって.........機械生命体って?」

 

「ああ、確かだ。俺達の親っさんが言うんだ。」

 

「.........本当にか?」

 

「本当だ!俺と親っさんと御先祖を信じろ!」

 

「......分かった。但し、一緒に探す条件がある。」

 

「言ってみろ」

 

「そのグランドスフィアって言う大秘宝の一部を貰っていくぞ」

 

「分かった。俺からも条件がある。」

 

「言ってみろ?」

 

「もし、お前らの世界で邪神軍に勝ったら.........俺らはあんたらの仲間にな?......種族大銀河連邦"ヴァルキュリアス"の傘下に入るぜ!兄弟分国家としてな!」

 

「約束.....守れよ.....」

 

「ああ!」

 

陽弥とザンジーグは握手で契りを交わした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

陽弥はシグムディアの後部座席にザンジーグを乗せ、グランドスフィアが在りそうな宇宙のコアの近くに来ていた。

 

「ここから、次元反応がおかしくなったのか?」

 

「あぁ、この宇宙の核とも言える『コア』にあると分かった.......だが、問題点があるんだ。」

 

「言ってみろ」

 

「核を護ろうと変な化物達が出てくるんだ」

 

「"変な化物"?」

 

「今まで見たことのない化物だ......ほらッ!あれだ!」

 

コアから現れたのは、黒く、翼から赤いビームウィングを放出する機械龍であった。

 

「あれって........"ドラゴン"......か!?」

 

「ドラゴン?何だそれ?」

 

「神にも抗う空想上の化物だ........だが、このドラゴンから......感じる.........分かるか?ブラム」

 

陽弥は胸の中にいるブラムに問い掛けた。

 

「ああ、俺もだ........こいつも"ダークマタージュエル"を感じる!だが........」

 

「だが?」

 

「だが、こいつの中にあるダークマタージュエルから僅かだが、光を感じるぜ.......間違いないぜ!こいつはシグムディアと同じ........主を探してやがる!」

 

さらにコアから紫の暗黒物質の体を持つ黒い小型のドラゴン達が無数に出てきた。

 

「.......要するにあのドラゴンや無数にいるシタッパはノヴァ見たいで......銀河七聖龍と?」

 

「そうだ.......見つけたぜ!"偽りの銀河七聖龍"を!」

 

ブラムは心をウキウキすると、陽弥は笑う。

 

「ははは.......偽りの銀河七聖龍か........よく見てみると、あのドラゴンはちょっとブラムに似ている...........安っぽいネーミングだが、『紅蓮龍騎神 クリムゾンドラゴン』と名乗ろうぜ!」

 

「だな!」

 

陽弥はクリムゾンドラゴンに近付いた直後、

 

『ようやく来たか......』

 

クリムゾンドラゴンが突然陽弥達に話し掛けてきたことに驚いた。すると陽弥からブラムが出てきて、クリムゾンドラゴンの前に出る。

 

「「「!?」」」

 

『貴様は?名を申せ......』

 

「俺の名はブラム.......獄闇の皇神帝ブラム・ギデオンだ!」

 

『ブラム・ギデオン.......我はアプスの命により貴様を待っていた。この......グランドスフィアと共に......!』

 

するとコアが急激に光だし、中から他の星やケートスの数十倍の全長を持ったの球体型のマザー級要塞が姿を現した。

 

「あれが.........グランドスフィア.....!!?」

 

「デカッ!?」

 

「こりゃ、ヤバイ戦闘資産になりそうだな.......見ろよ」

 

球体の周りに機械の衛星が9隻あり、グランドスフィアを囲っていた。

 

「グランドスフィアを囲っているのって........馬鹿デカイデス・スターだ!?.....しかも9隻を.........こんな次元を超越しちゃった兵器があればもうクトゥルフ率いるネオ・グリゴリア大銀河帝国なんか怖くなくなってきた.....」

 

「だな、」

 

『嫌、違う......クトゥルフを含め、邪神達は奴の一部だ。』

 

クリムゾンドラゴンが突然の言葉に陽弥とブラムを首を傾げた。

 

「「え......!?」」

 

「今こそ話そう........今から15億年前........護星神の真実を......」

 

「護星神の真実.......」

 

クリムゾンドラゴンは護星神の過去を語り始めた。

 

「かつて.....全ての宇宙"グランドギャラクシー"には......混沌の存在カオスが存在した。だが、カオスは.......消えた。奴の力の大半にされた。」

 

「奴?」

 

「超次元生命体アルマロスによって.......」

 

「超次元生命体アルマロス!?奴が!?」

 

「奴は......遠い未来からやって来た存在なのだ。」

 

「遠い未来!?」

 

「未来からやって来た奴は、カオスを吸収し、巨大な存在へとなった。その危機を察知した先代護星神は一人でアルマロスに挑んだ。だが、その護星神の力でも敵わなかった。何故なら奴の力はカオスの力.............エターナルソウルハートは元々カオスの魂.......魂が封印されればカオスは甦れない........そう思って護星神はある決断をした......」

 

「シンセシス.....」

 

「そう......彼は禁断の融合化を使い、神と機械のハイブリッターへと変貌を遂げ、何とかアルマロスを撃退した。だがその時アルマロスは死ぬ直前自らの一部を残した......」

 

「それが.......クトゥルフ.....」

 

「アルマロスの一部であるクトゥルフはアルマロスとの戦闘で傷付いた護星神に追い討ちをかけようとした。.......」

 

「そこからは爺に聞いた........護星神はクトゥルフを倒すために自分の力を解放してクトゥルフ達を封印したんだろ?」

 

「.........その通りだ。だが決して忘れるな.........."真なる影法師は目の前にいる。ソイツは必ず隙を狙っている"......。」

 

「え?」

 

「この意味が.......分かるか?」

 

陽弥は考えるが、思い付かなかった。

 

「う~~ん......やっぱり分かんない」

 

陽弥がそう言うと、クリムゾンドラゴンはブラムの体の中に入り、胸に陽弥と同じ赤い宝石が付いているジオへと変わった。

 

「陽弥と同じだ........」

 

陽弥はグランドスフィアから何かを感じた。

 

「それにあのグランドスフィアには俺にとって、特別な修練場が在るらしい......俺はそこで己の限界を超えようと思う。瞑想だけで......」

 

陽弥は早速グランドスフィアを起動した。要塞内はとてつもなく広く、居住区や商業区、工業区、さらに森や海もあって時空族とリーフマンやダークリーフマンの居住地になった。さらにグランドスフィアには他の種族がおり犬座に存在する種族"アヌビス人"と鏡の世界に住む"異次元の民"、宇宙を放浪し、錬金術に得意とした宇宙魔女族、グランドスフィアに住むパラメイル並の体長を持った機械生命体"星機兵"がいた。陽弥はそこで宇宙魔女族の錬金術とアヌビスの瞑想で集中力、判断力を鍛え、さらにプロセアンの技術でシグムディアを改造し、プロセアンの心読みとプロセアン流のバイオティクスを得た。勿論ブラムやシャーラ達も共に......そして陽弥は自分の愛馬を見つけた。それは空想上の幻獣"ユニコーン"であり、普通の馬よりも大きかった。陽弥はそのユニコーンに名前をユニゴルディアンと名付けた。(体長2㍍、体重1470㎏)ブラムも自分の騎乗できる獣を見つけた。"ティアマト"と言う魔獣であり、名前をザガンと名付けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二ヶ月後、陽弥は新しい鎧を着用していた。和の甲冑と洋の甲冑、陽弥のアーマーを組み合わせ、表裏紅白のマントを靡かせており、マントにヴァルキュリアスの国旗が描かれていた。手元には一角が付いたヘルメットを持っていた。

 

「役者は揃った様だな......」

 

ブラムも陽弥と同じアーマーをしており、手元に2本の角を付けた兜と鬼が牙を牙を向けた面頬を付けていた。

 

「うん.....」

 

「髭.......剃ったたんだ」

 

ブラムは陽弥の顎に生えていた髭が剃られていたことに気づく。

 

「恥ずかしいからな.........」

 

「早く演説しろ......皆お前の指示を待っている。」

 

「分かった。」

 

陽弥は外に出ると、鎧や武器を持った数億人の兵や平民が待っていた。陽弥は緊張を和らげ、演説した。

 

「我が民よ.........ヴァルキュリアスの兄弟、姉妹達よ........真なる決戦の時は来た........!。我等、異次元の民、プロセアン、星機兵、妖精族、時空賊、アヌビス人、宇宙魔女族、暗黒龍達はこれよりクトゥルフ率いるネオ・グリゴリア大銀河帝国を打ち破るためにホライゾンへ進攻する!ここまで来れたのも全て皆のお陰だ!だからこれからの決戦もさらにとてつもない戦争になる。もう少しだけ俺に皆の力を貸してくれ!我等、種族大銀河連邦ヴァルキュリアスに宵闇の男神アプスと曙光の女神ニケの加護と祝福を!今こそ!皆の力を一つに!」

 

陽弥は鞘から七星剣を抜刀し、上空に掲げると、兵隊達も剣や槍、メイス、銃剣、オムニブレード、さらにセイクリッドメイル、パラメイル、インゼクティアメイル、も手を掲げた。

 

《一つにっ!!》

 

「作戦名『トゥルーラストリベルタス』!!目的は......影法師を引きずり下ろさせることだ!全軍!出撃だ!」

 

陽弥の命令に、ヴァルキュリアス兵士達は掛け声と共に陽弥に向かって、信念のある敬礼をした。

 

《yes!we fuhrer!!》(了解!我等の総統!!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

陽弥はグランドスフィアの時間跳躍システムを起動し、元の時代へ戻った。しかし、陽弥が見た光景は.......

 

「何だ.......これ.......!?」

 

美しかったホライゾンが何もなかったかのように荒れ果て、大破した機体の残骸や廃墟化したヴァルヴァトール帝国であった。

 

「皆は?.........ホライゾンの人達は?」

 

「..............もしかしたら....あのエスメラルダさん.......これを分かって.....」

 

陽弥は地面に膝を付き、悲しい表情をするとブラムが言う。

 

「陽弥......予定変更だ。さっきの時代へ戻ってコールドスリープするぞ」

 

「え!?何を?」

 

「多分......エスメラルダはこれを分かって俺達を過去に送ったのかもしれない........だからグランドスフィアはステルスモードで姿を消しておこう。そしてネオ・グリゴリア大銀河帝国が来たら........俺達は再びこの地に舞い戻ろう......。」

 

陽弥達はグランドスフィアに戻り、時間跳躍を使い、文明が発達する前のホライゾンのある太陽系にワープし、兵士や民達は直ぐ様コールドスリープへと入る。

 

「ヴィクトルー......」

 

「何でしょうか?マスター」

 

「念のために、ホライゾンに俺らのビーコンと石碑とデータをポッドに送っておいてくれ................IDコードは『解放』.......」

 

「かしこまりました。」

 

ヴィクトルーはホライゾンに向けて、ポッドを射出した。それから1000年後、皆がコールドスリープで人工冬眠中、カプセルが開き、中に寝ていた陽弥が目を覚ます。

 

「すまん......ブラム......俺は待っていられないんだ。」

 

陽弥は冷めないようシャワーを浴び、アーマーを着用し、シグムディアの所へ向かうと、カプセルの中で寝ているブラムに言う。

 

「俺には.......もう一つの役目があるんだ......」

 

陽弥はブラムの寝ているカプセルの横に置き手紙を置いた。

 

 

 

 

 

 

 

陽弥はシグムディアに乗り込み、次元跳躍を使い、アルマロスを探していた。その間に、陽弥は何やらメッセージを残し、それを終えると、シグムディアに話し掛ける。

 

「シグムディア.........」

 

「何だ?」

 

「.........ありがとう。ここまで付き合ってくれて.....」

 

「良いのだ。我はお前の僕だ........死ぬときも一緒だ。」

 

「フフ....死ぬときも一緒か......」

 

シグムディアが笑うと、後方から3つの光が追い掛けてきた。3つの光の正体はなんと、カイオウとシンオウとエンオウであった。陽弥は驚き、三体へ怒鳴る。

 

「カイオウ....シンオウ....エンオウ.....!?お前達!何やってるんだ!早くグランドスフィアで眠れ!これは俺の問題だ!奴は普通の次元と呼べるものじゃねぇ!超次元生命体なんだぞ!」

 

するとカイオウ、シンオウ、エンオウが言う。

 

「そうはいかん......我々、三獣王はあなたと契約した古のスペクトロブス。シグムディアの言葉通り、我々も死ぬときはあなたと一緒です!」

 

「そうです。私達にはあなたに借りがあります.......だから、私達も付いていきます。」

 

「主は何時だって一人で生徒や仲間を集めてきました。そして今も、背負った運命もまた一人で.........だから決意しました。一人より皆で殺れば、.......アルマロスに勝てます!」

 

三獣王達の決意に、陽弥は呆れ、泣き崩れる。

 

「クッ!.............お前等.........分かった....分かったよ!三獣王は俺のシグムディアに新たな力を与えてやってくれ!」

 

「「「yes!my Master!」」」

 

三獣王は陽弥の命令に従い、次元を越えた。

 

「シグムディア......お前の力を解放する........モードチェンジ!.....シグムディア ザ・オリジン!」

 

シグムディアの体中に装備されていたアーマーが強制的に外され、本来のシグムディアへとなった。

 

「来ました!アルマロスです!」

 

シンオウの目先に、惑星セレスを照らし、巨星化した太陽を取り込んだアルマロスが現れてきた。

 

「ッ!?」

 

三獣王達はその大きさや気迫に押されるが、陽弥は七星剣とグラムを抜刀し、叫んだ。

 

「アルマロスゥゥゥゥゥゥッ!!」

 

「1000年ぶりだなぁぁぁぁ!!護星神タイタニス!!!!」

 

アルマロスは巨大な口を開け、雄叫びを上げ、陽弥に襲い掛かった。アルマロスの体から流星群と拡散レーザーを放つ。陽弥はシグムディアの出力を最大に上げ、回避する。

 

「カイオウ!シンオウ!エンオウ!」

 

三獣王達はそれぞれに別れ、アルマロスの部位を破壊していく。カイオウは口から光輝く水圧のレーザーを放ち、シンオウはたくさんの角から光の球体を生み出すと、球体からビームが放たれる。エンオウは自身の紅蓮の羽を撒き散らすと、羽がビームの刃を持ったフェザービットへとなり、突撃する。陽弥はシグムディアのハイパーノバビームライフルで撃ち続け、グラムで切り裂いていくと、陽弥はカイオウを呼ぶ。

 

「カイオウ!」

 

するとカイオウが陽弥の元へ向かい、シグムディアと融合した。

 

「海よ.....今こそ我に力を!」

 

するとシグムディアの頭部や肘、背中、から青白い鰭が出てきた。さらに尻尾も生え、尾びれへと変わった。手元にはカイオウの力が宿った三又槍を持って、アルマロスを睨んだ。

 

「シグムディア ザ・リヴァイサン!」

 

陽弥はそう言うと、三又槍を上に掲げ、叫んだ。

 

「ビックバンウェーブ!」

 

すると陽弥の後方に光の球体が現れ、大爆発を起こした。後方の彼方から大爆発により、次元の波動が津波となり、アルマロスを飲み込んだ。しかし、アルマロスは次元の津波を受けても、歯応えがなかった。陽弥は仕打ちをし、カイオウとの融合を解除し、次に移った。

 

「シンオウ!」

 

シンオウが雄叫びを上げ、陽弥と融合した。

 

「森よ.....今こそ我に力を!」

 

シグムディアの頭部にシンオウと同じく何本もある角が生えており、山羊と羊のような瞳、足が樋爪になっていた。

 

「シグムディア ザ・ケリュネイア......!」

 

陽弥が叫び、シグムディアの目が光るとアルマロスの体から木々や植物が生えてきた。

 

「ッ!!?」

 

アルマロスの太陽で燃えようとも、木々と植物は無限に生えていき、太陽の炎も関係なく、アルマロスの身動きを止める。するとアルマロスが怒り出した。

 

「クソォォッ!化物がっ!調子に乗りやがって!」

 

アルマロスは口から獄炎を吐き、体中に生えている木々や植物を全て燃やし尽くし、獄炎を陽弥に向けた。

 

「グッ!」

 

陽弥はすぐに防御体制を取り、シンオウとの融合を解除した。

 

「エンオウ!」

 

次にエンオウが炎の翼を羽ばたかせながら、陽弥と融合した。

 

「炎よ.....今こそ我に力を!」

 

シグムディアの背部からエンオウと同じ炎の翼が4枚生え、さらに孔雀のように羽を広げた。

 

「シグムディア ザ・フェニックス!」

 

陽弥は羽から羽を撒き散らし、大型、小型を含め264機のフェザービットを展開し、アルマロスに攻撃を集中する。

 

「小賢しい事を!」

 

アルマロスは怒り出すと、自身の体から闇の波動が放たれ、シグムディアとエンオウが離れ、強制解除された。

 

「っ!!?」

 

さらに陽弥や三獣王達も身動きが取れなくなり、アルマロスは動けなくなった三獣王に手を翳す。

 

「混沌よ.....三獣王を石に変えよ!」

 

アルマロスの手から赤黒い光線が放たれ、三獣王達は赤黒い光線を浴び、石になっていく。

 

「主よ......逃げて.....!」

 

「カイオウ!シンオウ!エンオウ!」

 

するとカイオウが最後の力を使い、口から水圧のレーザーを放った直後に石へと変わり、放った水圧のレーザーがアルマロスの左目に傷を付けた。

 

「ッ!?」

 

アルマロスはその痛みに耐えることもなく、左目を押さえ付ける。

 

「お前達の......思い......無駄にはしない!」

 

陽弥は決意し、呪紋を唱え始める。するとシグムディアの周りからアルマロスを多い囲む程の光の紋章が浮かび上がってきた。

 

「はぁぁぁぁぁぁっ!!.......イサリ! ザリス! イエザラフ! イファリス! ザファリス! イエザラス!我が元に来たれ、時空を駆け巡りし聖なる一角馬よ!ユニゴルディアン!」

 

すると紋章から純白の装甲と黄金の装飾、そしてエメラルドのような瞳と一角を持った一角聖馬ユニゴルディアンが陽弥の前に現れ、陽弥はユニゴルディアンに乗った。

 

「今こそ!........有機生命体と機械生命体を.......一つにっ!」

 

シグムディアとユニゴルディアンが強く光始め、アルマロスは2体の放つ光に押されていた。

 

「何だッ!?この光は!?」

 

光の中、ユニゴルディアンがシグムディアの周りを駆け巡ると、バラバラになり、シグムディアの鎧として装着されていく。そして陽弥も邪神覚醒すると、皮膚の表面に、緑色に輝くコンピュータ回路が浮き出てきて、陽弥の両目が緑へと変わった。

 

「シグムディア ザ・シンセシス......!」

 

シグムディアも緑色の瞳を輝かせ、胸に手を当て、陽弥は呪文を唱え始めた。

 

「無限の光と闇、無限の聖と魔、生と死を司る龍神の王の力が宿りし裁きの龍神剣.......召喚!ウルティメイト・バハムディアァァァァァッ!!!!」

 

陽弥の叫びに、シグムデイアの胸から、白い穴が開き、シグムデイアはその穴に手を突っ込むと、中から、紫と黄色の高周波の刃を放ち、龍の頭部が付いた剣を抜刀し、さらに高周波の刃の出力が最大に上げ、アルマロスよりも巨大な刃なった。

 

「何ッ!?」

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

陽弥はウルティメイト・バハムディアを手に、渾身を込めて、アルマロスへ降り下ろした。刃がアルマロスに直撃し、アルマロスはウルティメイト・バハムディアの刃により、左半分を失った。

 

「どうした!!護星神が憎いだろ!」

 

「ほざけぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

アルマロスは大咆哮を上げ、シグムディアを吹き飛ばした。するとアルマロスの体から光の鎖が出てきて、シグムディアを捕まえる。

 

「グッ!.........ッ!!」

 

「グォォォォォォォッ!!!」

 

アルマロスは鎖で縛られているシグムディアに巨大な足で踏み潰しまくった。何十回も踏み潰されていると、シグムディアが八卦でアルマロスの足を砕いた。その隙に陽弥は鎖を断ち切り、頭や両目、鼻、口、体からかなりの量の血が流れ落ちていた。

 

「ハァ....ハァ.....ハァ......ハァ」

 

陽弥の両目から出る血がまるで、赤く満ちた涙の様であった。アルマロスも最後の力で巨大な拳を握りしめ、陽弥に攻撃してくる。

 

「止めだ.....!護星神タイタニス!」

 

陽弥も、シグムディアの出力、パワーを全開にし、叫んだ。

 

「滅びよ!アルマロス!」

 

「「グォォォォォォォッ!!!/ウォォォォォォォッ!!!」」

 

2体の拳がぶつかり合い、そしてアルマロスの拳に亀裂ができ始めてきた。

 

「馬鹿なっ!?」

 

そしてアルマロスの体が崩れていき、断末魔の悲鳴を上げ、沈黙した。

 

「どうだ.......!?」

 

するとアルマロスの中からダークマタージュエルが現れ、中から無数にいるロイガー、イング、邪神軍団、そしてクトゥルフと、ケートスが出てきた。

 

「そう簡単に行くわけないか........クトゥルフ.......」

 

「護星神ぃぃぃぃぃぃぃん!!!!」

 

クトゥルフが叫び、邪神軍団が一斉に攻撃してきた。

 

「殺ってやるぞ.....!」

 

陽弥は決意をし、拳を握りしめ、気を貯める。

 

「ハァ~...........」

 

「ブラム......シャーラ、ラフィ、皆....そして父さん、母さん、ルナ、エミリア、マナ、皆............向こうで、また会おう.....!」

 

シグムディアに気が貯まった直後、シグムディアからとてつもない程のビックバンが放たれ、ケートスや邪神軍団が異次元へ、クトゥルフは四つのエレメントの結晶体に別れ、散っていった。そしてダークマタージュエルは小さくなっていく。

 

「ハァァァァァァァァァァァ~~~~~~!!!!!!!!!」

 

光の中、陽弥は苦しみもがきながらも、爆発を続けていると、ダークマタージュエルから一つの影が生まれた。

 

「っ!?」

 

その影は段々と形を整え、人型へと変わり、陽弥の方を向いた。

 

「お前は!!!」

 

陽弥はその影の正体に驚き、閃光と共に消えた。だがこの時、ダークマタージュエルはクアンタ人に回収されている事に誰も知るものはいなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして陽弥は何処か知らない惑星に不時着しており、周りには石化したユニゴルディアン、カイオウ、シンオウ、エンオウが横たわっていた。さらに陽弥は四肢を失っており、体中血だらけになっていた。

 

「..........糞......奴だったのか.....だとすればクアンタ人を毒ガスで皆殺しにしたのも......アイツだったって訳か............もう、元の時代には戻れないか.........」

 

陽弥はシグムディアを見ると、体中ボロボロになっており、部位が何ヵ所もなくなっていて、その瞳には輝きが一つもなかった。

 

「シグムディア..........ユニゴルディアン......カイオウ.......シンオウ......エンオウ........すまなかった........結局、俺は奴に負けたんだ........お前達を犬死にさせてしまった...........最低な守護神だ...........だけど、お前らはよく頑張った.........そして俺の根性も...........だから、.......満足だ.......................。」

 

そして陽弥はシグムディアのコックピット内で命を落とした。するとそこに蛾のような種族達が陽弥に近付き、安否を確認する。

 

「この生命........弱っている」

 

「どうする?」

 

「.........仕方ない、こうしよう......」

 

蛾のような種族はテレキネシスでシグムディアを宙に浮きあげ、山を登り始めた。山頂に着くと、目の前に火山が見えてきた。溶岩も煮えたぎっており、いつ噴火してもおかしくもない現象であった。そして火口に到着し、蛾人間は言う。

 

「火の山に投げ入れる。」

 

蛾人間はシグムディアと陽弥を火口の中へ落とした。溶岩が陽弥とシグムディアを飲み込んだ。その様子にもう一人の蛾人間が言う。

 

「何故入れた?まだ助かる見込みはあったのに.......」

 

「この神には、エネルギーが足りない。だからこの火の山のエネルギーを含め、海、大地、森のエネルギーで回復させる。」

 

「なるほど.......」

 

もう一人の蛾人間は納得した。

 

「だが、時間が掛かる。精々........約6800億年後だ........」

 

「ここに神殿を建造しよう。この星の守り神として......」

 

「そうだな......」

 

「残りの4体の石像は?」

 

「この神殿を中心として、各地域に神殿を築く。東西南北の守護獣として、そしてこの山に結界を張ろう.......他の種族に悟られないように.......」

 

蛾人間はそう言って、山を降りていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

6800億年後、シン達はクトゥルフとの戦いで消えた陽弥を捜索していた。

 

「陽弥!陽弥!」

 

「お兄ちゃん!何処に行ったの!?返事をして!」

 

シンとルナが陽弥を呼び掛ける。

 

「陽弥様.......」

 

エミリアも必死に心配する。

 

「見つかったか!?」

 

「嫌、何処にもいない!」

 

ラルフとリョウマ、ローレライも必死の捜索をしたが、跡形もなかった。

 

「そんな!?」

 

「.........こんなにも探してもいないなんて.....まさか、陽弥は.....」

 

タスクが言うと、ヒルダが怒鳴った。

 

「んな事ある分けねぇだろ!?アイツは神だぞ!私等の馬鹿息子がそう簡単に死ぬわけねぇ!」

 

「ヒルダの言う通りだ。陽弥は絶対に生きている........それを信じよう.......」

 

するとマナの通信機から身元不明のメールが着信してきた。

 

「じぃじ.....」

 

「ん?」

 

「これ.....」

 

「何だそれは.......?」

 

シンはマナの通信機を見て、身元不明のデータを確認すると、中にビデオメッセージが入っていた。

 

「何かの.......映像記録?」

 

シンはビデオを再生すると、そこに映っていたのはシグムディアに乗った陽弥であった。しかし、シン、ココ、ルナ、ジャヴィック、ルー、クロウ、サム、アルベルト、マナタスク、ソフィア、ラルフ、キャリー、デュラン、バルト、ダーマ、ドミニカにしか見えない映像であり、他の人が見たらただのノイズで塞がられている映像にしか見えなかった。

 

「っ!?」

 

「これは!?」

 

「彼らに眠るムーアの血筋が起動して、我々には見えない映像を見てるんだ......」

 

『やぁ、皆......映像を使っているけど、久しぶり......』

 

「陽弥!?」

 

シン達は驚き、映像に映っている陽弥は話を続ける。

 

『このメッセージを見ているなら.........たぶん.....私はいないと思う..........これから、超次元生命体アルマロスを倒すために三獣王と共に向かっているんだ。後のスペクトロブスやオメガプライムス、ブラム、生徒や仲間達は俺の要塞グランドスフィアにいる。だけど、俺は違う........父さん達に告げる........アヴァロンとクトゥルフを決して......逃してはいけない.....奴等の狙いは.......本体の復活.........つまりクトゥルフはその本体の一部なんだ........』

 

「何!?」

 

「何だとっ!?」

 

『今から何千億年前........初代護星神はクトゥルフではなく、アルマロスを倒していたんだ。そしてその初代護星神は..........."この俺......ミッドガンドの護星神"なんだ......』

 

「嘘ッ!!?」

 

『そろそろ着きます。主よ!』

 

シンオウが陽弥に報告してきた。

 

『そう言うことだ...........だからこれだけは言っておく。クトゥルフの他にもう一体の一部がいるんだ。ソイツだけには気を付けて..........それから.......う......うう.....!』

 

映像に映っている陽弥が突然泣き崩れる。

 

『今まで.......俺を.......愛してくれて.........ありがとう!!!!』

 

『来ました!アルマロスです!』

 

『行ってくる!』

 

陽弥はメッセージを切った直後、シン達は叫んだ。

 

「待て!陽弥!」

 

「お兄ちゃん!?」

 

「お前ら、一体何を見たんだ......?!」

 

「..........陽弥」

 

「.........そんな......そんな!」

 

「嘘だといってくれよ.........」

 

皆の表示が不安になっていると、突然シン達の後方にエミリアがおり、もう一人のシンセシスの力で陽弥のメッセージを見てしまっていたのだ。

 

「............エミリアさん?」

 

エミリアは泣き崩れ、断末魔の悲鳴を上げた。

 

「.....陽弥.....様.......死ん.....だの...........死んだの?....陽弥様..............アアア............アアアッ!!!.............アアアアアアッ!!」

 

するとエミリアの心の中で、初めてクトゥルフと言う。存在を目の敵にした。

 

「怨んでやる......!」

 

するとエミリアからおぞましき闇の波動が溢れ出てきた。

 

「ッ!?」

 

シン達は驚くと、今度は地面から黒い蕀が出てきた。

 

「妬んでやる......!」

 

アストラッド王も驚くと、エミリアの体から蕀が出てきた。

 

「ッ!?」

 

「嫉んでやる......!」

 

蕀は徐々にエミリアを包み囲む。

 

「ッ!?」

 

「憎んでやる......!」

 

すると蕀から赤と紫、黒、ストロベリーピンクに別れた薔薇の花が咲いていく。

 

「ッ!?」

 

「呪ってやる......!」

 

そしてエミリアを包んだ蕀から赤黒い薔薇で体を多い囲った闇のドラゴンが現れた。ドラゴンは雄叫びを上げ、蕀の中にいるエミリアへ入っていった。

 

「ッ!?」

 

「クトゥルフを.........殺してやるぅぅっ...........!!!」

 

そして蕀の中にいるエミリアの額に黒と赤に満ちた瞳が開き、姿が変わっていく。

 

「エミリアさん!」

 

「ママ!」

 

「離れろ!マナ!」

 

シンがマナを守ろうと、エミリアから離れると、蕀の中から別の声がした。

 

「やっと解放してくれたよ.........この女.......」

 

《ッ!?》

 

すると蕀が燃え上がり、中から現れたのは、スカーレットに満ちた大きな薔薇の花が頭にあり、赤に満ちたドレス、さらに体の周りに蕀のタトゥー、緑の髪が赤く染まっており、額に第三の眼を持ったエミリアであった。

 

「誰だ!?お前は!?」

 

シンはビームソードを抜刀し、名を訪ねると、その女性は不気味な笑顔で答えた。

 

「知りたい?知りたいよね~♪........教えてやるよ、私の名はイザベル!"イザベル・ヴァルネア・クリーフ!!"私の婚約者である "ブラム・ギデオン"と並ぶ第0界邪神 獄闇の皇女帝ですわ♪アハハハハ!!」

 

イザベルと名乗る暗黒生命体はシン達に微笑みを返した。

 

《ッ!!》

 

シン達は直ぐ様、武器を構えた。ガンシップや戦車の機銃がイザベルへ向ける。

 

「嘘だろ........!?」

 

「ブラムの次は........コイツ!?」

 

「暗黒生命体は........一体、何体いるんだ......!?」

 

「さぁ、楽しい楽しい処刑のお時間ですわ!」

 

イザベルは腕から蕀でできた細剣を作り出し、シン達に向かっていった。

 


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