クロスアンジュ 天使と竜の輪舞 銀河の守護者 作:オービタル
タトローイの宿屋でサラは寝ていると、ある夢を見ていた。タトローイやドロップ、村が魔王に焼き付くされている所を...........その時、魔王がある方向に目をやった。魔王の視線の先に、地面から赤黒い魔方陣が現れ、赤黒い人馬龍が大咆哮を上げ、魔王に襲い掛かかった
「う...........ん..........」
サラは夢から目が覚め、起き上がった。
「またあの夢ですか........さすがに何度も見ると、答えますね~.........それにあの赤黒い龍は何だったのでしょう?」
するとサラが泊まっている部屋の隣から複数の足音が聞こえてきた。
「?.........お隣さんも、悪い夢でも見ているのでしょうか~?」
その隣に、レイミが寝ており、悪夢に魘されていた。
「う....うあ.......ああ......」
「レイミ.........」
「ごめ.....んなさ.......い.......」
「えっ?」
「許して........ください........おねが.......い........ごめんなさい..........ごめんな.......さい........」
「何を........何を言っているんだレイミ!?.....お前が謝ることなんて何一つないだろ!?」
「だから.......見ないで.......そんな目で...........見ないで下さい.......」
「レイミ! おい!」
エッジがレイミを揺さぶると、フェイズがエッジを止める。
「落ち着いて下さい エッジさん........レイミさんは僕達に謝っているんじゃありません」
「恐らく夢の中の対象に謝罪しているのだろう.....このうなされ具合からすると 酷い夢だと見える」
「しっかり レイミ........あたしたちがついているから........」
「れーたん」
メリクルとリムルがレイミの手を握った直後、二人はレイミの異変に気付く。
「エッジ.....何だかおかしいよ?」
「れーたんのおてて、カチカチなのよ」
「え.......!?」
エッジ達は驚き、レイミの腕のプロテクターは外すと、レイミの手が石になっていた。
「まさか、これは.......」
「"バカラス病"......なのか?」
「バカラス病?.......何だそれ?」
フェイズが陽弥にバカラス病の事を説明する。
「バカラス病.........グリゴリが放出する異常なエネルギーにより、周囲の人々を異常な進化させたり、全身を石化しまうのです.....最悪の場合.......他人や知人も襲います.......所謂、対象を暴走させてしまう......恐ろしい病のことです」
「それって........ヤバイんじゃないか?!」
「れーたんも....じーちゃんみたいになっちゃうの!?.」
リムルは過去に祖父が石化してしまった事を思っていると、バッカスがあることを言う。
「.......いや、違う これはこのローク独自の風土病だ」
「.......ローク独自の?」
「見た目の通り、これは"石化病"と言う......石化は四肢の末端から内臓にまで及び、やがて死に至る」
「なぜ そんなに詳しいのですか?」
「自分も若い頃は色々あったのだよ......だが安心したまえ、石化病には.....「はい 特効薬があるから大丈夫ですよ~」その通りだ、かつては不治の病だったが現在は特効薬が存在している」
突然、サラが説明すると、皆はサラの存在に気付かない。(因みに優位つサラに気付いているのは、陽弥だけです。)
「運河船でアストラル城に行きましょう あそこなら確実に特効薬があるはずです~♪」
「そうなんだ.......よかった.......え?」
エッジ達がようやくサラの存在に気付くと、陽弥は呟いた。
「皆......気付くの遅い.....」
「......サラたん?」
「な!なんでこんなところにいるの!?」
メリクルが驚くと、サラが訳を話した。
「実はわたくし、お隣の部屋に泊まっているんです~、何かと思って見に来たら、素敵な再会ですね~」
するとサラは、レイミの脚部のプロテクターを外すと、足も石化しており、サラが容態を確認すると同時に、エッジ達は驚く。
「ふむー」
「なっ!........そんな所まで......」
「やっぱり、まずいんじゃないか.....これ?!」
「そうですね~ これはかなり症状が進んでいますねー.......」
「な 治るの?」
「はい 先程も申し上げた通り、特効薬さえあれば直ぐに治っちゃいます~」
「よかったのよ......」
皆はホッとすると、サラはサラの発症原因も話した。
「どうやら、心身共に疲労がたまっていたようです~、こんなに可愛いのに 無理する人ですね~....」
「心身の......疲労......」
エッジは惑星ロークに着いた時から、いつもレイミに任せており、レイミをこんな風にしたのは自分のせいと気付く。
「また.....僕のせいだ.....僕がしっかりしないから、今度はレイミが.......」
「悔やむぐらいなら行動あるのみですよ~」
「.......えっ?」
すると、サラがエッジにある教訓を教える
「悔やんでも 楽になるのは結局自分だけですー......でも、何か行動すれば 救われる人はいるはずです~.....な~んて、わたくしが尊敬する人の受け売りです~」
「行動.......救われる......」
陽弥は自分のこれまでの行為を考え思い込んだ。
「フェイズ......」
フェイズがエッジの肩に触れる。
「レイミさんが申し訳が立たないと思うのなら、今こそ決断すべきだと思いますよ」
「......行こう アストラル城へ レイミの病気を治す 特効薬をもらいに...........」
エッジが以前の前向きに戻りかけた直後、陽弥のデバイスから通信が入る。
「ん?.......どうしたヴィクトルー........え?........何だって?!.........分かった.....今からエッジ達とアストラル城にいって特効薬を貰いに行く.......それまで石化病の進行を抑えてくれ......」
「どうしたのよ?」
リムルが問うと、陽弥は答えた。
「オメガプライムスで留守番している子供達も......石化病になっているって......ヴィクトルーが.....」
「っ!?」
エッジ達は驚くと、陽弥は皆の前で、深く頭を下げた。
「頼む.......俺も一緒にアストラル城に連れていってくれ.......エッジ」
「分かった.......お前にとっては、あの子達は家族だからなぁ........」
「.......ありがとう」
エッジ達は急いで、レイミや子供達をロークの人達と協力し、運河船に輸送し、アストラル城へ向かった。
アストラル城行きの運河船上でサラはレイミの容態の事を言う。
「レイミちゃんの具合はいかがですか~?」
「船室で、グッスリ寝てるよ......勿論、子供達の数人も.....リムルとバッカスとシャーラとラフィとレイナが付いていてくれてる」
「あたし達と交代したの」
「容態も安定していますし リムルはともかく、バッカスさんが見ていてくれるなら安心です...... 」
「後、シャーラ、ラフィもな.......あの姉弟申し訳いざというときに口から放つ『ソニックボイサー』や光の障壁でサポートしてくれるからなぁ....」
「そうですかー、それはよかったです~♪」
「サラさんには本当にお世話になります.....あなたの助言がなかったらレイミは.......先日 あんな酷いことを言ったのに.....」
エッジはサラに謝罪すると、サラは気にしてなかった。
「別に気にしなくても良いですよ~ それと、わたくしのことはサラで構いません~」
「ありがとう.....サラ」
「ねぇねぇ サラ.....サラ見たいな鳥って、他にもいっぱいいるの?」
「と 鳥ではありません~ "フェザーフォルク"です~」
「フェザーフォルク?......それがサラさんの種族なのですか?」
「そうです 時々『聖なる翼』とも呼ばれます~ 里の皆はお空をフワフワしてますけど、わたくしは ちっとも飛べなくて~ ですからこれは、ただのお飾りなんでよー 『聖なる翼』が泣いてますよね あははー♪」
サラは何気なく笑い、メリクルも笑う。陽弥とエッジとフェイズは寄り添って、語る。
「お飾りって......」
「フェザーフォルクと言う種族は皆、こうなのでしょうか?」
「.......どうだろう?」
「わたくしたちフェザーフォルクは代々の王様と仲良くしているんですよ~......アストラル城についたら、王様にお願いしますね....王様はお優しいから直ぐに特効薬をくれますよ~......」
「王が薬を管理しているんですか?」
「はい~、昔....特効薬は高値で取引されていたんです~.....それで、貧しい人たちが皆石になって、この大陸は滅亡の危機を迎えてしまったんです~.....それを教訓に、今は王様が管理して、誰にでも安く売ってくださるんです~」
「へぇ~ 偉い王様なんだね!」
「はい~、とっても偉い王様です~ ほら、あれが王様のお城ですよ~」
すると、徐々に小山から大きな邸らしき建物が見えて来はじめた。
「よかった これでレイミは........僕はまた 取り返しのつかないことになるかと........」
「エッジ君達はパージ神殿に行くんですよね~」
「その予定でしたが.......」
「それでしたら、トロップに立ち寄ってはどうですか~?」
「トロップ?」
「この大陸にある港町です~ わたくし、元々はトロップに行ってとある人に会うつもりだったんです~......ここしばらくお会いしていませんでしたし、ご相談したいこともありまして~」
「それは、どんな方何ですか?」
「イレーネ・ファーレンスさんです~」
「イレーネ・ファーレンスだってミャッ!?」
メリクルが彼女の名前に反応した。
「それって......偉大なる賢者 聖女イレーネ様のこと!?」
「偉大なる?......賢者??」
「ずっとずっと小さい頃 絵本で読んだ事があるの『イレーネと食いしん坊のシャム猫』」
「何ですか......それは......?」
「食いしん坊のシャム猫を連れた聖女イレーネ様が、大いなる力で悩める人々を救うお話なの」
「「「...........」」」
「イレーネ様は......美しくて、優しくて聡明で、清らかで、世のため、人のために一生を捧げたんだよ」
「.......どう思う?」
「正直、なんとも.......あくまでも絵本の話で実在の人物かどうかは.......」
「違うもん!イレーネ様は本当にいたの!多くの僕をを導いて、世界を救ったのよ!」
「ま ますます眉唾と言いましょうか..........」
「なんにしても、そのイレーネさんとやらはまだ生きているみたいだよ?」
「む?むううう~ 」
「イレーネさんは 先見の明がある占い師さんです~、道に迷った たくさんの人たちが、進むべき道標を示して貰ったんですよ~」
陽弥は元の世界にいるクロウ将軍の事を思う。
「.........(さすが、クロウさんの奥さんだ......)」
「.....道に......迷う.......」
「エッジ君も会って見てはどうですか~? 少しは、気休めになるかも知れませんよ~」
「完璧だミャッ! 聖女イレーネ様は未来を見通すって絵本に書いてあったミャ~ッ!」
「.......まあ、それはともかくとして....せっかくのご厚意ですし、心にとめておきましょう........全てはレイミさんが完治してからと言うことで......」
「.......あぁ、そうだね」
エッジはそう言うと、
「道標........か」
そして運河船は、アストラル城の城下町に到着し、付近の人達が、子供達を宿屋に運んでくれた。
そしてエッジは城下町の宿屋でレイミをレイミをベッドに寝かせた。
「特効薬が手に入れたら、直ぐに戻るから.....」
「.........うん、ありがとう....でも、無理しなくても良いからね.......?」
「お前は......どうしてこんな時まで.........」
「本当に.......平気なんだよ?............だって私、これくらいじゃ、........."死ねないもの".......」
レイミが不吉な事を言うと、エッジはさらに心配する。
「死ねないって......変なことを言うなよ......!」
「ふふふ........ごめん........ね.......」
「レイミ.........」
エッジがレイミの事を思っていると、サラがあることに気付く。
「........おかしいですねぇ~?」
「何がだね?ミス・サラ」
「石化病の進行具合が少し気になるのですよ~......潜伏期間がほとんどないまま発症したのに、その後の進行は異常に遅いのです~、陽弥君の子供達も、それと同じなのです~......」
「確かに、通常の石化病は潜伏期間が長く発症したら進行が早い筈だ.....」
サラとバッカスは潜伏期間の事で語っていると、サラは気にしなかった。
「けどまぁ、どっちにしても治せば良いことですし~」
「.......だったら、言わないでほしいものですね.....」
フェイズが恐れながら言うと、
「まぁまぁまぁ.......それでは、王様のお城に行きましょう~」
「おー!」
「おー」
「「「おー!」」」
メリクルやリムル、シャーラ、ラフィ、レイナは掛け声を上げ、エッジ達と一緒にアストラル城へ向かった。
アストラル城に入る前に、衛兵がいたと思ったら、サラがおったお陰でパスされ、陽弥達は、国王と謁見した。
「ようこそおいでになられた『聖なる翼』里の皆様は息災かな?」
「はい~、みんなパタパタしています~♪」
「ははは、サラ殿は相変わらずですな♪」
アストラル国王とサラの友好差に陽弥達は驚いていた。
「何やら、予想以上に友好的ですね?」
「それだけ、フェザーフォルクと言う種族.........いや、サラ自信が特別なのかもしれない......」
「俺は両方だと思うぞ.....」
陽弥達が呟いてながらも国王は語る。
「時に、此度の来訪の目的は、この者たちに石化病の特効薬を、と言うことでしたな」
「はい~、わたくしのお友達さんです~」
「ほう、サラ殿の」
エッジと陽弥は国王に名を名乗る。
「エッジ・マーベリックと申します 陛下」
「同じく、陽弥・ギデオンと申します 陛下」
「石化病に倒れた仲間や子供達のため、陛下のお力をお借りしたく、参上しました」
「かしこまる必要はない、特効薬は全ての民に平等に与えられる物だ.......薬の精製に取りかからせるのだ」
「かしこまりました」
兵士は国王を命に従い、特効薬の精製に取り掛かった。
「精製には少々時間がかかる...すまないが、今しばらく待っていてほしい」
「ありがとうございます 陛下」
「感謝します 陛下」
「ところで王様~......少しお聞きしたいことがあるのですが~」
「何かな?サラ殿?」
「最近....変わったこととかありませんか~?」
「変わったこと......とは?」
「そうですね~、"古の魔王さんが目を覚まして、ひっそりと悪いこと"をしているとか~?」
突然サラの言葉に皆は呆れる。
「魔王って......人気の○○○○クエストに出てくる......あの?」
陽弥は何気なく元の世界に存在するゲームのタイトルを言い、
「何を言い出すかと思ったら.....」
「この人の行動は、本当に読めませんね.....」
「でも、ひっそりと悪いことをする魔王がいたらちょっと見てみたいなぁ」
「うんうん!....それで、魔王ってなんなのよ?」
リムルは分からないまま魔王が何なのか答えると、陽弥はガクッとなり、フェイズが注意する。
「知らないくせに調子を合わせるんじゃありません」
「んべー」
「サラ殿のお仲間が倒れたように、このところ、石化病に流行のきざしが見える......このアストラルも既に幾人か発症しており、特効薬の消費量が例年よりも増えそうなのだ......「
「それは困りますね~」
「そのうえ、海が荒れて船も運休続き、特効薬精製のための原料もいささか不気味でな.......加えて言えば、近頃怪しげな集団が国内に出没しているとのことだ.....」
「エッジ君達のことでしょうかー?」
「えぇ....?!」
「.......そう言う目で僕たちを見ていたんですか?」
「それが、先程のサラ殿の冗談と少しばかり繋がりがあるのだ」
「はい~?」
「.........."アスモデウス"」
突然、国王が魔王の名を口に出すと、回りの空気がどよめき
「そう、かの古の魔王を崇拝する者達がいる....その者らはシュドネイ教を名乗っているがな......魔王を崇め、魔王の復活こそが世界を救うと民を煽っているらしい.....灰色のローブとフードを纏った者達なのだが、見たことはないかね?」
「しかも、これが魔王を崇拝するだけで、あからさまに法に触れることをするわけでもない」
「魔王......復活....」
「サラ?」
「何だか......お顔が悪いのよ?」
「それを言うなら、顔立ちだって、」
「顔色です」
「話が過ぎたようだな.....特効薬の精製が終わるまで、皆は別室で休むといい......誰か、サラ殿達を客間へお連れしろ」
王様の命に、メイド達は、陽弥達を客間に案内させた。
「サラさん」
「あら、陽弥君......わたくしに何かご用ですか?」
「さっきの......魔王の事なんだ.......どうやって知ったんだ?」
「時々、夢で見るんです~.......古の魔王さんが、村や町も、王様のお城に襲い掛かり、全部を燃やしていたのです~」
「魔王か........(父さんが倒したドゥームの下級レベルの存在か.........復活しても、倒すから良いか....)」
「後、王様には話していなかったですが~......赤黒い龍も出てきたのです~」
「赤黒い龍?」
「はい~、魔王さんが悪いことをしているとき、地面の中から赤黒い炎が出てきて、その中に、人馬みたいな赤黒い龍が現れて、悪いことをしている魔王さんを凝らしめていたのです~」
「それが本当だったら、町も村も逆に焼き付くされてしまうぞ.......」
「どういう事なんですか?」
「たぶん......サラさんがいったその赤黒い龍は........獄闇の皇神帝ブラムかもしれない」
「ブラム?」
「俺の世界で........いや、全宇宙で最も恐れてしまうほどの、邪神達を束ねる皇帝をも簡単に超えてしまう邪神なんだ...........所謂、邪龍ってことかな?」
「邪龍ですか.......陽弥さんの世界にはサラさんが言う魔王似たような者が存在しているんですね」
「そうなんだよ........まぁ、俺の父さんは......邪神を倒した英雄でもあるんだ......」
「へぇ~」
サラとフェイズは陽弥の世界に興味津々している中、エッジはテラスで庭園を眺めていた。
「............」
すると、庭園外から背中に鷲の入れ墨が付いた大男が現れだ。
「......?」
エッジは直ぐに隠れると、大男はテラスの方を向いた。誰もいないと分かった大男は何処かへと姿を消した。エッジはもう一度、庭園を見たが、そこに大男はいなかった。
「......誰だ?あの身のこなしは素人じゃないぞ..........僕には関係ないことだ........」
エッジは関係ない事と判断すると、そこにフェイズが声をかけ、そろそろ特効薬が精製し終えたと思い、謁見の間へと向かった。
だが、この時..........思いもよらぬ事に陽弥達は知る良しもしなかった.........