クロスアンジュ 天使と竜の輪舞 銀河の守護者   作:オービタル

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第25話:潜入

 

各国家に別れた皆はネオ・ミスルギ皇国に備えて、特訓していた。たまにクロウに呼び出され模擬戦や練習相手をされた..........そして明後日.......陽弥とクロウ、ルーはブリーフィングルームでシンが作戦内容を説明した。

 

「これから、説明する作戦は最も危険な行為でもある。まず、奴等の残骸から回収したフォドラニウムを使ったステルスシステム『ミストカーテン』を起動し、敵要塞の外壁に穴を開け、ネオ・ミスルギ皇国へ侵入する。」

 

「ネオ・ミスルギ皇国に入ったら必ずやること.......情報収集だ........」

 

するとシンはデスクの上に昔の服3着を見せた。

 

「父さん、これは?」

 

「見ての通り偽りの人間達が使っていた服だ.........それと.........これを持っていきなさい」

 

するとシンはポーチから九つの緑の液体が入っている小瓶を三人に三個ずつ分けた。

 

「これは?」

 

「本当はやりたくなかったが.......お前のじいちゃんの研究データを元に作り上げた擬似マナが使える薬だ。」

 

「マナ!?」

 

「多分...........中には多数の警備兵が配備されていると思う。そこで........」

 

シンが説明する直後、クロウが分かったかの様な表情をして、答えた。

 

「偽りの人間に成り済ますって言うことなんだな?」

 

「そうだ、流石クロウさんだ..........成り済ますした後、奴等のデータを解析し、身分証も作り出す。ネオ・ミスルギ皇国の都市に入ったら絶対に目立たないことや変装していることや怪しい行動がバレないようにだ。」

 

「「「分かった」」」

 

「良し..........そして、アヴァロンに潜入するために彼らも協力してくれるそうだ。」

 

「彼ら?」

 

陽弥が言うと二人の影が近付いて来て、ドアが開き中から現れたのは紫の発光ラインをしたβと黄色の発光ラインをしたΣが姿を現し、陽弥は驚き、警戒体制を取る。

 

「Σ!?β!?」

 

陽弥が2体の名を言うと、βとΣは返事を返した。

 

「また会ったな!ヴェクタの小僧!」

 

「お久し振りです。」

 

「でも、何でお前らがここに!?」

 

「決まっているだろ!あの偽皇ジュリオをぶっ倒しに行くんだ!」

 

「彼は陛下に無礼な事と民を道具の様に使っております。その様な外道は許せません。」

 

するとΣは手の平から、3D映像の反アジマス連邦政府の写真を見せた。

 

「その為、アヴァロンに残っている反アジマス連邦政府に協力を申し入れるんだよ!」

 

βが言うと、シンは納得する。

 

「なるほど、反アジマス連邦政府なら、アヴァロン内部で起こっている事も知っているかもしれないなぁ........」

 

「シンの旦那!俺らのギムガルムは用意してくれたのか?」

 

「ああ、Δが反アジマス連邦政府に頼んで、お前達のギムガルムを届けてくれた。さらに最新式の武器も装備されている。」

 

「よっしゃ!腕がなるぜ!!」

 

βは両方の拳をぶつけ合うと陽弥は言う。

 

「アンタ達が味方なら、1000人力だ.......頼むぞ!」

 

「おう!」

 

「任せてください、恩師から救ってくれたこの恩........必ずご子息を御守りします。」

 

「頼む........クロウさんも」

 

「言われなくても分かっている。」

 

「ありがとう........ひょっとしたら私も行くと思う。」

 

「父さんも!?」

 

「ああ、傷も癒えた.........ペルシウスは使わないが、俺専用のアーキバスⅡカスタムで後で、向かうと思う。それまで耐えてくれ。」

 

「「「「「了解!!!!!」」」」」

 

陽弥達は早速準備に取り掛かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

格納庫ではメイが陽弥のアーキバスⅡを改造しておりを陽弥はそれを見て驚く。

 

「これが俺のアーキバスⅡか...........」

 

陽弥のアーキバスⅡのパックに惑星アクアに使われたブラスターパックとそのブラスターの両側に2本の長刀が装備されていた。その光景を見て、メイが説明する。

 

「うん!前に使ったブラスターパックと対艦長刀「ダーインスレイブ」も一緒にさせた。簡単に言ったらパーフェクトアーキバスⅡかな?」

 

「完全なアーキバスⅡか...........」

 

「出力も火力、機動力、回避力も限界まで強化したから、これでエヴァと互角に戦えるよ」

 

「そっか.........ありがとうございます!メイ整備長」

 

陽弥はメイに深く御礼をすると、メイは笑った。

 

「良いよ、良いよ私も頑張らないと亡くなったお姉に笑われちゃうからね♪」

 

メイは首に掛けられているペンダントを取りだすと、中にはメイの姉"フェイ・リン"の写真が貼られていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

陽弥達は出発し、宇宙空間に出ると、目の前に黄金に輝くアヴァロンがホライゾンの真上に浮遊していた。そして陽弥達はΣとβに連れられ、アヴァロンの外壁に着地した。

 

「父さんが開発してくれたジャミング装置で.........何とか気付かれずにアヴァロンの外壁に付いた.........」

 

「良し、開けます。」

 

Σが外壁の暗証コードを入力すると、陽弥達の機体で動かせるダイアル式のレバーが現れ、Σは左回転に回すと、アヴァロンの外壁が、ゆっくりと開いた。中は暗く、何も見えなかった。

 

「..............ここからが地獄の門への入り口か......」

 

「らしいね........」

 

「それでは、入ります。」

 

陽弥達は機体ごとアヴァロンの中に潜入し、Σに案内された。βは敵に気付かれないように外壁の扉を閉めた。中は暗く、機体のライトで道を照らしていた。

 

「そこの角を右です。」

 

陽弥達はΣの言う通り、右の角を曲がると目の前に三つに別れている道があった。

 

「三つに別れている道の真っ直ぐ行き、その角を左です。」

 

Σの言う通りに真っ直ぐ行き、左の角を曲がって行った。

 

「決行この道........高さや幅が広いなぁ、俺のアーキバスの装備でギリギリだ........」

 

すると目の前に壁が見えてきて、陽弥達は止まるとΣが言う。

 

「ここから先は........降りて行きましょう。」

 

「何でだ?」

 

「この先は小型の回路があります。大型の回路を行きますとバレる確率が高くなります。」

 

「なるほど、」

 

陽弥達は機体から降り、Σに下層に繋がる回路を歩いていった。

 

「っ!?」

 

「どうした?」

 

「隠れて......!」

 

Σが何かに気付き、角の影や、上に上がって身を隠したり、光学迷彩を使い、壁と同化して身を隠すと、段々と足音が聞こえてきた。

 

「あれは!?」

 

陽弥が見たものは偽りの人間二人が銃剣を持って、回路を歩いている姿だった。

 

「どうやら、移住して来た人達が最下層を見回っているのでしょう。」

 

「行きました。」

 

Σは見回りがいなくたったことを報告し、クロウが答える。

 

「ここまで広がってるとは.......まずいなぁ、」

 

「おう!早いとこ、ここから出て、反アジマス連邦政府のアジトへ合流しないとなぁ、」

 

βがやる気満々の姿を見ていると、陽弥は横にあるパイプの隙間から、灯りが指し漏れている事に気付いた。

 

「ん?」

 

陽弥は恐る恐るパイプの隙間に近付き、覗くと思わぬ光景を見て、驚く。

 

「っ!?」

 

それは偽りの人間や、操られたアジマス人が捕らえた奴隷達を鞭打ちで労働していた事に、中にはエルフや、ダークエルフ、ハイエルフ、ハーフエルフとエルシュリア王国の民や拐われたメトロの人達が苦しみと悲鳴を上げており、陽弥は歯を食い縛りながら、拳を強く握り締めた。

 

「これが..........人間のやることなのか?」

 

陽弥は怒りを込み上げていると、クロウが厳しい表情をした。

 

「俺らの世界は..........奴隷なんて昔の歴史の事だった。だが、これは..........酷すぎる..........焼き印を付けるとは...........」

 

クロウも歯を食い縛りながら、拳を握り締める。

 

「助けたいのは分かる........だが、迂闊に動くとアポカリプスや乗っ取られたアジマス人や住民にバレる.........今、辛抱強く待つんだ。」

 

「クッ!俺らは........黙って見るだけかよ...........」

 

陽弥はΣに連れられ、最下層から下層に通じている通路を案内しながら上に上がり、ドアを開くと何処かの倉庫に入った。

 

「到着致しました。」

 

「ここが我々がいた下から二番目の場所の下層スラム街です。」

 

「ここが.......アヴァロンの下層......」

 

「良し、ここからは........情報収集の為にシンから渡された服に着替えるぞ........お前達は?」

 

「旦那から貰ったシステムで姿を変える。」

 

βは余裕満々に答えるとβとΣは叫んだ。

 

「「トランスフォーム!!」」

 

βとΣの各部が変形し始め、段々と色が変わっていき、βは黒人の男性になり、Σは眼鏡をかけている青年に変わった。

 

「スゲェ!?人になった!」

 

「これでも、四将軍の一人だったからなぁ」

 

「私達もマナが使えるシステムを組み込まれましたので、情報収集も簡単に済むでしょう。」

 

「だけど、路地裏から出てきたら、見回りから、怪しまれるんじゃない?」

 

陽弥が困っているとルーがある事を思い付いた。

 

「何なら........俺に任せろ」

 

「「?」」

 

陽弥達は首を傾げるとルーはドアをノックした。するとドアが開き、出てきたのはボロボロの服を着た男の子だった。

 

「坊主......」

 

するとルーはポーチから何かを取りだし、男の子に渡すと、何かを話し出した後、命令した。

 

「見回りと兵隊がいないか教えて.........」

 

男の子はルーの命令に従い、辺りを見回した後、ドアをノックし、ルーに知らせる。

 

「いないよ」

 

「ありがとう」

 

「それで.........美味い物食えよ♪」

 

「分かった!」

 

男の子は元気よく返事し、何処かへと向かっていった。それを見ていた陽弥はルーに問い出した。

 

「ルー.......何を渡したんだ?」

 

「ここの金貨5~6枚を使って取引したんだ。」

 

ルーはポーチから金貨を取りだし、陽弥に見せた

 

「なるほど、」

 

「念の為............皆に何枚か渡しておく」

 

ルーは陽弥達に金貨30枚ずつに分けて、渡した。

 

「それじゃ、情報収集をするために..........散会...........何か分かった事があればここに集合だ。」

 

陽弥達は早速情報収集をするため散り散りになって行動した。

 

何処もかしくもボロ屋や闇市場が並んでおり、麻薬や兵器を売っていた。そして驚いた事にそこに住む人々はマナの光を使っていなかった。

 

「何処も誰もマナを使っていない...........この下層スラムはフォドラニウムの加護を受けないのか?」

 

陽弥は闇市場を歩いていると誰かが陽弥を呼んでいた。

 

「御兄さん!御兄さん!」

 

「ん?」

 

陽弥を呼んでいた声の主は小さなテントから聞こえていた。

 

「ちょっと寄ってらっしゃい!」

 

陽弥は恐る恐るテントの中を見ると周りには不気味な飾りや目玉、そして呪いの護符が貼られていた。そしてそこにテーブルの上に水晶が置かれており、その横に老婆がいた。

 

「アンタ占いは信じるか?」

 

「占い?」

 

「わしは占いをするのが得意のじゃ、じゃが誰も占いを信じてくれぬ.........インチキ婆ぁと言われておるのじゃ、」

 

「ふ~ん.........一回だけ占う。」

 

「任せよ!」

 

老婆は水晶に手を笠指、呪文を唱え始めると答え出した。

 

「おぉ!見える!見えるぞ~!」

 

「何が?」

 

「とてつもなく禍々しい大きな闇の華じゃ」

 

「闇の華?」

 

「そして........その華の中で皇帝が拳銃を御主に向けて.........全部で6発が御主の胸に直撃している。」

 

「6発も!?」

 

「あぁ、そして......その6発を受けて御主は死ぬ.........」

 

「間近よ..........」

 

「じゃが、安心せよ.........その運命を回避する事なら出来る..........いわゆる........"コンティニュー(やり直し)"じゃ」

 

「なるほど、なるほど.......」

 

「どうじゃ?それじゃ、お代は金貨10枚じゃ」

 

「(げ!?息なり高いなぁ、まぁ良いか..........嘘だったら殴るけどな).........分かった。」

 

陽弥はポーチから金貨10枚を取りだし、占い師の老婆に渡し、情報収集へ移りに戻った。だが、この時........占い師の老婆の語った予知が起こる事を本人はまだ、気付いていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

数字間後、陽弥達はさっきいた倉庫の中に戻り、それぞれの情報を話した。

 

「何か情報は?」

 

陽弥がが問い出すとルーは答える。

 

「俺の方は.........このスラム街では貧相人はマナの加護を渡さないらしく.........加護を渡すのは中層と上層、最上層だけらしいんだ。」

 

「何て酷いことを.......そっちは?」

 

次はクロウが答えた。

 

「情報はないが、面白いものを見た。この下層スラムの上を見てみろ。」

 

陽弥達は窓から下層スラムの上空を見ると、何か大きく建造中の建物が見えた。。

 

「何だ?あのデカイのは?」

 

陽弥が驚くとΣが言う。

 

「何か...........パーツの様な物ですね。あんな大きな物はこの頃下層スラムにはありませんでした。恐らく、私達がいない間に建造していたのでしょう..........」

 

「Σさんは?」

 

「私の方はジュリオを恨む連中もいました。その人らの話を聞くと..............最上層にある宮殿...........つまり、ジュリオのいる宮殿です。その宮殿付近に建っている塔から...............美しい女性の歌が聴こえてくるって.........前に見回っていた兵隊が言っていたと.........」

 

「歌が!........それって..........!?」

 

陽弥が大声で言うとしたとき、Σが陽弥の口を抑える。

 

「声が大きい......!」

 

「ごめん................」

 

「それって............エミリアの事か?」

 

「可能性はあるが..........問題は一つあります。」

 

「何?」

 

「検問所です.........彼処はかなりの警備が硬くて、身分証とDNAをスキャンされます..........一発目で情報不足や確認ややり直しになったらアウトですが.......問題はそれだけじゃありません、私とβは脱走したから、もしスキャンされたら一発でばれます..........」

 

Σがそう言うとβはある提案を言う。

 

「そこで、俺達はここで反アジマス連邦政府軍のアジトへ向かう。そして最上層に繋がる通路でお前たちと合流する。」

 

「分かった.......」

 

Σとβは反アジマス連邦の本部へと通じるマンホールの中に入っていった。

そして陽弥達も中層に通じる検問所へと足を踏み入れた。

 

「さぁ、地獄に通じる門に来たぞ.........」

 

「本当に大丈夫何ですか?..........偽物のマナとDNAと身分証で......?」

 

ルーが心配するとクロウは根を貼って答える。

 

「大丈夫だ.........絶対に.......」

 

次の人が行くと、クロウの番が来た。緑に光るセンサーがクロウの体をスキャンし、検問の兵が答えた。

 

「良し、行って良い.........次!」

 

ルーはそれに続き、検問の兵がルーをスキャンし終え、答えた。

 

「良し!...............次!」

 

最後に陽弥の番が来てしまった。陽弥は緊張しながら、唾を飲み込む。

 

「.................(ゴクリ!)」

 

センサーが陽弥をスキャンし、それが終えると兵は答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「.....................行って良い!」

 

 

 

 

 

 

陽弥は冷や汗をかき、急いでクロウとルーの所へ合流した。

 

「.............ハァ~、焦った.....」

 

「第一関門はクリアしたが、気を抜くな.........まだ中層と上層を繋ぐ第二関門と上層と最上層を繋ぐ第三関門がある。注意しろ.........」

 

「「了解.........!!」」

 

二人は敬礼し、中層へと上がっていった。

 

「待っていてくれ.........エミリア..........今、助けに行く......!!」

 

陽弥達が中層へと向かう事が出来るエレベーターに乗る中..........先の検問所の何人のデータデバイスに陽弥のだけ、エラーが出ていたことに、兵は気付いていなかった。




次回は.......................まずい..........!!

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